立原正秋のレビュー一覧
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表題作の他に「薪能」・「薔薇屋敷」・「流鏑馬」を収録。
倫ならぬ恋、自らに流れる“血”、半ば自発的に重ねる悪徳……。人間が直視したくないほどに儘ならぬ現実を前に狼狽し、躊躇し、善かれ悪しかれ決断するまでの過程を、作者は俗悪で仰々しい表現を用いず淡々と綴っている。語り口はあっさりだが、その奥に彼ら彼女らが抱える懊悩や罪悪感はひしひしと伝わってくる。新たな推しの作家、発見!
本書でのお気に入りは、日本と朝鮮の血を引く兄弟が自己の存在と向き合う「剣ヶ崎」、肉欲と麻薬への依存と脱却に揺れる男を描いた「薔薇屋敷」、夫に不倫された妻が弓と乗馬が得意な義弟に惹かれ、彼の姿に永遠的なものを見出す「流鏑馬 -
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なんだか幼い頃読んだキャンディキャンディを読んでされていたのをきっかけに読んでみた。紹介文には「少年院での友情や経験によって成長していく主人公行助」みたいなかかれ方をしていたので、赤毛のアン系かと思いきや、しっかりおとなの小説でした。くもんでって…子ども大丈夫なん?これ?
行助の行動や倫理観に共感できるよう表現されているが、やはりどこか共感できない。いないでしょ、こんな神様みたいな人。一方、敵役?修一郎には全く反感しか感じられない描かれ方だが、いるわ、こんなヤツ。てか、金持ちの甘やかされ坊主はだいたいこんな育ち損ないでしょ?!(庶民の願望)
でもさ、なんとかこの修一郎がコテンパンに凹まされるの -
購入済み
悶々と読み継いじゃった…、一気
なんだか幼い頃読んだキャンディキャンディを読んでされていたのをきっかけに読んでみた。紹介文には「少年院での友情や経験によって成長していく主人公行助」みたいなかかれ方をしていたので、赤毛のアン系かと思いきや、しっかりおとなの小説でした。くもんでって…子ども大丈夫なん?これ?
行助の行動や倫理観に共感できるよう表現されているが、やはりどこか共感できない。いないでしょ、こんな神様みたいな人。一方、敵役?修一郎には全く反感しか感じられない描かれ方だが、いるわ、こんなヤツ。てか、金持ちの甘やかされ坊主はだいたいこんな育ち損ないでしょ?!(庶民の願望)
でもさ、なんとかこの修一郎がコテンパンに凹まされるの -
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ネタバレ義兄 修一郎が実母を凌辱しようとする現場に出くわした行助はもみ合いの中、修一郎を刺してしまう。
祖父、祖母に盲目的に愛され未熟なままの青春を生きる修一郎と
義父と母に愛されながらも、2度の少年院生活を甘んじて受ける行助の青春。
これは読む年代によって、感想が全く異なる小説なのかもしれない。
愛し、愛されるがゆえに遠ざかろうとする行助の言動は、友人をして
『倫理そのもの』と言われる程にある種の 冷徹さを感じる
一方。若さだけでは許されない愚かな行動を取り続ける修一郎に
命の喘ぎを感じるのは何故だろう
修一郎の目線から、この小説を読みたくなった -
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矯正の姿を描いた作品で、人口に膾炙し、評価も定まっているといえば、冬の旅。
少年院を舞台に、少年達がいかにして生きるかを綴ると同時に、主人公に託した作者の倫理を描いた作品であると私は読んだ。
主人公の宇野行助を大学時代の友人の山村が評して言う、「宇野は損な性分にうまれついている、と思っているだけさ、あいつは、正義漢じゃないんだ。正義漢ならまわりから道場をよせられるが、あいつの正確には、こちらがはいりこむ余地がないんだな。なんといえばいいかな、あいつは倫理そのものだよ」という言葉に惹かれた。
「これは、自分の内面の問題ですから」をキーワードに現代的に読むのも可能。いろいろな読み方ができる素 -
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前半は星5の面白さだったが二度目の事件以降ちょっと失速してしまった。2度目の入院は安達のような周囲との交流も薄く行助が自分の頭の中だけで世の中を進めようとしている感じがして何1人で納得してるんだと思った。独善的な哲学に酔う大二病って感じでちょっと好きになれない。澄江も気の毒だな。
結末も好きじゃない。閉鎖された環境で1人で築きあげた実社会で通用するのかわからない哲学に酔ったままで終わったって感じで、最終的にちょっと賢いお子さまに収束してしまった。
あと修一郎はどクズ全開な方が面白かったがずっと爺バカの悠一が出てくるからまあいいか。結局1番共感できるのは理一だった。
少年院の描写が細かいが少年院