野口武彦のレビュー一覧
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封建社会存続のための最後の砦として、持ち前の政治能力とカリスマ性を駆使して針の穴に糸を通すようなギリギリの勝負を仕掛けたが、時の運に見放されて敗れ去った慶喜公の前半生を評した本。幕府内の有力者にも味方はほとんどおらず、無責任な期待をただ押し付けられるだけ、という状況の中、数少ない身内を固めて、一会桑(一橋・会津・桑名)だけで途中までは互角の勝負をしたのは天晴、というのが正直な印象。そもそも、徳川将軍でありながら、数百人の護衛兵の調達に苦慮している時点で、時の運に見放されているとしか言いようがない。(結局、水戸藩の浪人や農民で護衛隊を急造した)
14代将軍・徳川家茂の後見人として、政治の表舞台に登場して以来、常に京都で生身の政争を強いられた点は、封建社会の開祖である源頼朝と真逆になっていて、その対称性が面白いと思った。それに、33歳にて政治力を失った後、40年以上にわたり一切の政治活動を断ってみせた精神力には、やはりカリスマ性が備わっているようにみえる。日本がいち早く先進国になれたのは、旧幕府勢力による抵抗や蜂起を、慶喜が無言の圧力で押さえつけたことが一番大きい。もっとも、慶喜が後半生で無言を貫けたのは、明治政府や徳川宗家から莫大な資金援助を受けていたから、とも言えるんだけど。(最近、「元首相」な人々がひたすら動き回って国益を損ねているのは、要するに彼らがカネに困っているから、なのである) -
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「歴史にイフはない」なんて誰が言ったのか――幕府の命運を決した慶応四年(一八六八)一月三日から六日にかけての四日間の戦いは、さまざまな偶然に満ちている。なぜ幕府歩兵隊の銃は装弾していなかったか、吹きつける北風は幕府軍にどう影響したのか、そして慶喜の判断はなぜ揺れ動いたのか――誰もがその名を知っているけれど、詳しくは知らないこの戦いをドキュメンタリータッチでたどる。(2010年刊)
プロローグ 鳥羽伏見の墓碑銘
第一章 開戦前夜
第二章 伝習歩兵隊とシャスポー銃
第三章 鳥羽街道の開戦 戦闘第一日目
第四章 俵陣地と酒樽陣地 戦闘第二日目
第五章 千両松の激戦 戦闘第三日目
第六章 藤堂家の裏切り 戦闘第四日目
第七章 徳川慶喜逃亡
エピローグ 江戸の落日
日本史上でも有名な鳥羽伏見の戦いですが、その実態は知りませんでした。今年の大河ドラマ「八重の桜」でも取り上げられていたので、興味が湧き実態はどうだったのかということで読んでみました。
大政奉還後、復権をめざして徳川慶喜は朝廷側と駆け引きをします。思惑通り進めば、新政府の中でしかるべき地位につく見込みがありました。計画が狂ったのは江戸の出来事でした。庄内藩らが薩摩藩邸を焼き打ちしたのです。事件をきっかけに両軍の緊張が増します。
そんな中、旧幕府側は大軍を持って上洛しますが、鳥羽伏見の地で入京を拒まれ戦争が始まります。
本書を読むと、旧幕府側が戦争を始める覚悟が無かった事がわかります。ゆえに作戦は稚拙で、銃に玉も込めておらず、死傷者を出し退くこととなります。ただし、一方的に負けたわけではありません。1日目こそ混乱したものの2日目は元込銃を装備した伝習隊の活躍や工兵隊が的確に陣地を構築したことにより、一進一退の攻防を続けますが、旧幕軍は体制を立て直すため淀まで退くこととなります。3日目に淀藩が裏切り入城を拒んだためさらに退くことに。旧幕軍は最後の防衛線として山崎地峡の橋本関門で戦いますが、新政府軍の渡河を阻止すべき的確な軍事行動を行わなかったことや、藤堂藩の裏切りにより大坂城へ敗走することとなります。ここの件について、藤堂藩が単に節操無く裏切ったという訳では無く、旧幕側にも手落ちがあった事が解ります。
面白いのは、1日目の時点では、大勢がこの戦いは徳川家(会津・桑名)と薩摩藩、長州藩の私闘と見なしていることです。旧幕側としても諸外国にはその様に説明しています。ところが初日の勝利で朝廷側の空気が変わります。日和見を決め込んでいた諸藩は決心を固めます。特に土佐藩の暗躍が面白いです。
勝てる戦を取りこぼした原因は何か。1番の責任は慶喜にあります。二心殿と言われ肝心なところで胆力に欠けました。かといって徹底して恭順した訳でもありません。激昂した臣下を御するための方便だったのかもしれませんが、何とも殿様らしく無責任な人を最後の将軍にしたものだと、歴史の皮肉を感じざるおえません。
著者は史料を渉猟し4日間の出来事を克明に描いており参考書目録には圧巻される。充実した1冊でありおススメである。 -
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ネタバレ江戸幕府に終焉を告げた最期の戦いであり、戊辰戦争の始まりを告げたまさに時代の転換期ど真ん中、鳥羽伏見の戦い。
意外なことに、この本が出るまで、この戦について体系だって書かれた文献はなかったそうです。
旧幕側の敗因はなんだったのか、もし旧幕側が勝つとしたら、勝っていたらどうなっていたのか、そういった歴史の「イフ」にも踏み込みながら、鳥羽伏見の4日間の戦争を、数々の史料の読み下し文と共に時間単位でドキュメンタリーのように綴っています。
内容はどちらかというと旧幕側寄りですが、薩長の官軍側に寄ったものが今まで多かったこと、それを裏付けたり覆したりする意図があることを踏まえれば妥当かと思います。
読み下し文を理解するために何度か立ち止まりましたが、ドキュメンタリーのような形式は当時の緊迫した雰囲気を伝えてくれるようで、物語のように次が気になってページを繰る手が止まりませんでした。
「なんでそこでこうしないんだ!」とじれったくなるほど、機を逸し続ける旧幕軍。その一方で、前線で薩長軍をたじたじとさせるほどの勢いを見せる場面も見られました。
死に物狂いで奮戦する前線と、負けが込んであまりにも早く見切りを付けて逃げ腰の上層部。冷静な判断を欠く上層部に、もう悔しい悲しい……。
会津と桑名の藩主兄弟らを拉致同然に連れ出したあとの慶喜の足取りや海上での出来事が、なかなか興味深かったです。
前半で一章割いたりして散々持ちあげたシャスポー銃や伝習隊の足取りが、後半で全然取り沙汰されなくなってしまったところにやや不満は残りますが、全体的に当時の武具にもスポットを当ててくれているのが嬉しかったです。
刀槍や鎧から銃や大砲、動き易い近代的な軍服といったところにも時代の移り変わりを感じることができます。 -
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[ 内容 ]
ペリーに抱きついたマジメ学者、アメリカ女性にもてた少年通訳、先祖の悪名が気になる大名、殺しを愛した勤王家、机上作戦では必勝の指揮官、銃弾に散った旗本、クリカラモンモンの歩兵差図役…など三十八人。
歴史変動は万人が避けられぬ巨大災害だ。
切羽詰まった現場のナリフリ構わぬ姿にこそ人の器が出る。
いかに土壇場を切り抜けたか、あるいは切り抜け損なったか。
目が離せない幕末ドタバタ人物誌。
[ 目次 ]
第1章 急転(ことわられた密航―吉田松陰;ペリーに抱きついた男―松崎純倹;能ある鷹は爪を剥がす―岩瀬忠震 ほか)
第2章 狂乱(殺しのライセンス―岡田以蔵;昔はテロを辞さず―伊藤博文;幕末の二重スパイ―大庭恭平 ほか)
第3章 残影(クーデター大好き―岩倉具視;江戸城に放火せよ―伊牟田尚平;軍師の末裔―竹中重固 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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[ 内容 ]
出世になりふり構わなかった学者、イヌを食えといった町奉行、文化のパトロンになった汚職官僚、江戸城内のイジメ、ぶらぶら遊び暮らす幕末のパラサイト、災害速報で売り出した男…など四十五人。
太平の世にもリスクはある。
当人たちが大まじめに生きる姿は、傍目にはコミカルで、かつ物悲しい。
歴史の素顔はゴシップに宿る。
江戸時代二百五十年を“陰の声”で綴った無類に面白い人物誌。
[ 目次 ]
第1章 黎明(大学教授の元祖―林羅山;島原に死す―板倉重昌;将軍機関説―酒井忠清 ほか)
第2章 爛漫(世直し大明神―佐野政言;老中直属情報網―松平定信;スカトロ宴会―水上美濃守 ほか)
第3章 風雲(いつも万葉気分―平賀元義;江戸のリベラリスト―松崎慊堂;入墨判官―遠山金四郎 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 内容 ]
黒船到来という外患が内憂に転じ、動乱期が始まった―。
激動期には、誰が政治権力を握るかが決定的な重要を帯びる。
本書で扱う安政期のキーパーソンは、部屋住みの庶子から幕府権力の絶頂、大老にまで駆け上がった井伊掃部頭直弼だ。
条約勅許、将軍継嗣問題、地震、インフレ、コレラなど難問が山積する中、京都朝廷の意向を無視して調印を強行し、反対派を弾圧することで自ら墓穴を掘ることになる…。
[ 目次 ]
第1部 安政内憂録(下田開港;便利屋役人;ひるがえる日の丸;伊豆の大津波;海上の遊牧民;爆発事故;お台場崩壊;水戸と彦根;日本橋と深川;江戸大風水害;講武所始まる;お茶坊主;井伊の赤鬼;ストレスに死す;英遇公子;英国領事は見た;幕末親米派;日米交渉;堀田の大汗;攘夷利権;条約調印;押し掛け登城;戌午の蜜勅)
第2部 安政血風録(安政の大獄;暗黒裁判;安政コロリ;薩海入水;至誠人を動かす;死地の思想;小塚原の首;金貨大流出;天狗の羽ばたき;桜田門外の変;あいまい解決;富士女人解禁;斉昭の死;万延遣米使節団;外国奉行憤死;ヒュースケン暗殺;万延小判;五品江戸廻送令;江戸城御金蔵破り;三人吉三)
[ POP ]
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ネタバレ[ 内容 ]
「歴史にイフはない」なんて誰が言ったのか―幕府の命運を決した慶応四年(一八六八)一月三日から六日にかけての四日間の戦いは、さまざまな偶然に満ちている。
なぜ幕府歩兵隊の銃は装弾していなかったか、吹きつける北風は幕府軍にどう影響したのか、そして慶喜の判断はなぜ揺れ動いたのか―。
誰もがその名を知っているけれど、詳しくは知らないこの戦いをドキュメンタリータッチでたどる。
[ 目次 ]
プロローグ 鳥羽伏見の墓碑銘
第1章 開戦前夜
第2章 伝習歩兵隊とシャスポー銃
第3章 鳥羽街道の開戦―戦闘第一日目一月三日
第4章 俵陣地と酒樽陣地―戦闘第二日目一月四日
第5章 千両松の激戦―戦闘第三日目一月五日
第6章 藤堂家の裏切り―戦闘第四日目一月六日
第7章 徳川慶喜逃亡
エピローグ 江戸の落日
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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ネタバレ[ 内容 ]
どんな戦争も後世へのメッセージを残している。
長州戦争は徳川幕府の命取りとなった戦争である。
勝利した長州藩は、後に『防長回天史』を編纂し、この戦争を明治維新への大きな一歩と位置づけた。
しかし、幕府側はこの敗戦を総括するに至らず、敗戦の責任者すら明確ではない。
幕府はなぜ戦争に踏み切り、どう戦って負けたのか。
開戦前夜から敗戦処理までを克明に描き、長州戦争が現代に残したメッセージを読む。
[ 目次 ]
プロローグ 兵は凶器なり(長州戦争とは何か;長州戦争の開戦事情 ほか)
第1章 長州が朝敵になるまで(航海遠略策と公武周旋;尊攘激派の擡頭 ほか)
第2章 第一次征長―幕府の威令なお衰えず(長州征討令下る;四国艦隊の下関襲来 ほか)
第3章 江戸と山口―二つの主戦派(攘夷見直しのチャンス;江戸幕閣と一会桑政権 ほか)
第4章 第二次征長―四方面の戦闘(歴史と個人感情;大島口の戦闘 ほか)
[ POP ]
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[ 内容 ]
徳川幕府の生き残りを懸けたイチかバチかの天保改革が、幕末の幕を切って落とした―。
改革失敗、経済混乱、飢饉に火事に異国船、未曾有の事件が頻発する中、虚々実々の駆け引きに翻弄される幕府首脳の姿は、青雲の大志と権力欲が渾然一体となった政治の現実を教えてくれる。
尊王攘夷・倒幕開国のうねりが押し寄せる直前、黒船来航までを、さまざまな名珍場面でたどる、既成史観ではわからない幕末政界権力争奪史。
[ 目次 ]
第1部 天保政怪録(老中願望 セクハラ大名 三方領知替え 怪盗日本左衛門 ほか)第2部 嘉永外患録(大江戸金融事情 火元争い ワンポイントリリーフ イケメン宰相 ほか)
[ POP ]
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共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
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