数ある広告宣伝の中で一番強いものと言われているもの、口コミ。
SP事業部でも、この「口コミ」を増やしていくということをトークの中に盛り込んで言っているのですが、じゃあ、口コミって一体なんなのか、と言われると、まったく説明できないなと思いました。
口コミって、一体どのようなきっかけで実際に増えていって
...続きを読むいるのかということが気になり、“口コミ”というキーワードで探して見つけ出したのが、この本です。
著者は有名な経営コンサルタントで様々な企業をコンサルティングしているだけでなく、自身の会社を設立する際も、派遣社員を1名雇っただけで、あとは予算も商品もない状態で、いきなり日経新聞の一面に会社の広告を出すという前例のない方法で顧客を獲得し、以来、日本最大の2万人におよぶ経営者・起業家を指導する最大規模の経営者組織を作り出した人です。
僕が以前に紹介した「マインドマップ」を日本に持ち込んだのも、この人です。
この本を通して、僕が得たかったのは、ずばり「口コミの正体」です。
口コミが一体なんなのか、いつ・どのような条件が揃えば発生するのかがわかっていれば、数ある広告宣伝の中で一番強いものと言われている“口コミ”をコントロールすることが可能です。
それがわかれば、お客さんの集客面の問題をトータルで解決することも可能になりますし、自社の商材の口コミを広めていくという面でも役に立ちます。
個人的に、この本の一番のポイントは、「口コミが起こるその一瞬を描写する」という発想がなかったので、今まで口コミをシステム化できなかったという点です。
その一点から、その時、どこで、何を、どんなふうに 言い、何をしたのかを分解して、方法をシステム化していっています。
①口コミをしたくなる感情。
②口コミが起こる時の、人、商品、場所、きっかけ、メッセージ、道具
具体的には、神田氏は実際に誰が口コミを広めているのか、という点に注目しています。
口コミが広まっていくという過程には、口コミが発生している場所があり、口コミを広めている人がいます。
例えば、近所のママ友たちが駅前のカフェで、お茶をしているときに最近行って、美味しかったお店をお互いに紹介し合っているという場面です。
このとき、このママたちは、自分たちが気に入った店のいわば営業マンになっているのと同じ状態になっています。
お互いに自分が行ったお店の雰囲気、接客、料理など、どんなところが良かったのかということを無償でプレゼンしてくれるわけです。
神田氏は、こういった人たちのことを「紹介マン」と呼んでいます。
そして、自社のことを最も紹介してくれる人のことをトップ紹介マンと呼称しています。
ここでポイントとしてあげられているのは、
1.口コミを広げるためには、誰に鈴をつけたらいいのだろう?
2.紹介されたお客は、まずどの商品を購入するのか
3.お客は、どこの場所で、自分の商品を話題にするか。
4.トップ紹介マンは、どんなきっかけで、その話題を出すか
5.トップ紹介マンは、どんな言葉を使って説明しているか
6.話題になった商品を売り上げにつなげるには、どのようなツールをつくればよいか。
の6点です。
この1〜5を紹介されて来店、もしくは連絡してきた方にヒアリングをして分析し、6の売り上げにつなげる為のツールを作成していけば、口コミの効果を促進することが可能です。
このように、この本は基本的に「どういう仕組みを作ればクチコミを巻き起こせるか」という観点で書かれています。
ただ単に文章で、つらつらと書き記されているのではなく、次のように、対話形式でチャートを総括されているので、非常に読みやすいです。
「チラシの効果がないんです」
「チラシを配る目的は何ですか?」
「お客を集めることです」
「チラシで集めたいのは新しい客なのに、集まるのは既存客ばかりじゃないですか?」
「チラシの効果はどうですか?」
「ありません」
「なぜやるのですか?」
「麻薬みたいなもんで、止められないんです…」
この本は10年も前の本で、集客法で模倣した本はたくさんありますが、元祖となる本かもしれません。
ここで紹介されているロジックは情報環境の変わった現在でも問題なく通用します。
情報かが進んで、FacebookやTwitter、LINEなどのソーシャルメディアが続々と出てきて、各社がプロモーションをするために続々と導入しています。
インターネットという環境が広告宣伝において、今後さらに重要なものになってくるのは誰が見ても、明白です。
しかし、これらのソーシャルメディアはクチコミを5から10に引き上げることができるツールかもしれませんが、0から1を生み出す仕組みではありません。
重要なのは、コンテンツ。
情報の中身である口コミです。
口コミはこの0から1を生み出す重要な要素であり、ソーシャルメディアの技術的な情報や活用法よりも、この仕組みを優先的に学ばなければならないと思います。
この本を読んで、口コミの本当の力を知り、それをコントロールする力をつければ、どんなにお金をかけたマーケティングや広告を打つよりも効果があるのだと感じました。どんな業界でも、どんな商品にでも、あてはめて考えていくことで、応用していくことが可能だと思います。