日高義樹のレビュー一覧
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わずか70年足らず。超大国アメリカが覇権国家の座から滑り落ちようとしている。
ローマ帝国は千年、大英帝国は二百数十年続いた。それから比べればアメリカの繁栄はあまりにも短い。
本書の中で日高氏はアメリカが変質した理由として、白人人口が少なくなる一方、ヒスパニックや黒人の人口増大を挙げている。
アメリカ建国を担ったのはヨーロッパから移り住んだ、理想に燃えたキリスト教プロテスタント信じる白人達一団。
しかしその伝統を受け継がない人種や移民が増えるにしたがい、アメリカらしさが失われていったと日高氏は説く。
増え続ける膨大な財政赤字、削減される軍事予算。世界の警察官を辞めたアメリカの後に訪れるの -
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アメリカの政治経済を見る上で大変参考になる好著だ。特に、イラク戦争以降アメリカの世界戦略の中心がイラクになったことや、軍事的には厳しく対峙するブッシュ政権と中国政府が経済問題については円満な関係を保っていることなどを詳しく説明している。
一方、アメリカはシーレーンの確保以外アジア極東での軍事行動の必要を認めていないという指摘を日本はよく理解しておくべきだろう。ましてや、極東の軍事戦略をアメリカの意図に基づいて勝手に変え、日米安保条約に基づいて手にしている権益はそのまま使おうとしているというブッシュ政権が、米軍の再編をめぐって日本側にどのような対応を示してくるかは要注意だ。
それにしても、 -
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NHKのNY支局長、ワシントン支局長を歴任された方の著書。流石の取材力と文章力。日本のマスコミではトランプ大統領は、その言動から悪く描かれがちだが、本書では一貫してトランプ大統領の政策、特に対中政策が適当かを力説している。その説明は納得できるものであり、トランプ大統領の見方が変わった。本書発刊時点では予期し得なかった新型コロナの影響もあり、トランプ再選の予想は外れてしまったが、バイデン新政権になっても中国の不正な経済・軍事活動には厳しい姿勢で臨んでもらいたいし、そうあるべきだろう。また、日本は、中国、北朝鮮、ロシアが軍事活動を活発化させる中で、早急に安全保障政策を組み立て直す必要があると感じた
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ネタバレいつもある種の危機感を持ち、自力をつける努力を加速する必要性を感じます☆
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アメリカが世界における立場を失ったことは、70年にわたって日本を保護してきたアメリカの力の消失を意味する。
つまり、日米安保条約のもとで、アメリカの力によって安全と繁栄を維持してきた日本は、その後ろ盾を完全に失うことになる。
トランプは今年2月、集会の席上でこう言った。
「なぜアメリカが日本を守らなければならないのか。アメリカが中国やロシアと戦争を起こした場合に、日本は一緒になって戦うのか?」
この言葉は、今やアメリカの多くの人々が考えていることを端的に反映している。
(中略)
日本にとって最も懸念すべき事態 -
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元NHKの日高さんのアメリカレポートである。日高さんというとNHKよりNHKを退局したあとテレビ東京で日曜日の夕方にやっていた「日高義樹のワシントンリポート」の印象が強い。
本書ではまずアメリカは世界最大の軍事大国であり、中国と戦ったら間違いなく勝つというところから始まっている。それは、通常戦力では中国を凌駕する最新鋭の兵器を数多く持っており、兵站を含めて戦略的に優れている。不測の事態が起こったとしても、超高空からの攻撃で中国軍はあっという間に身動きが取れなくなる。一方海軍も中国の対艦ミサイルに対抗して小型ミサイルを搭載した艦艇を配備して対抗しつつあり、なんと言っても海軍、空軍のネットワークを -
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ネタバレ(以下、要約メモ)
日本の憲法は簡単には変えられない。変えることが難しいように作ったから。
アメリカやフランスは憲法改正の発議について複数の方法があり、国民投票についてもアメリカの場合は必要としておらず、フランスの場合は必ずしも必要としていない。
最も重要な問題は、アメリカ軍によって作られた昭和憲法のもとで、軍事や外交と真剣に関わることをしなかった日本の政治家たちが、日本を動かすことができなくなってしまったこと。
日本の現在のシステムの基本になっている憲法を与えるとともに、その憲法を変えることを難しくしたのはアメリカだが、平和主義の理想を貫く憲法の背後に潜んでいるのは、戦勝国による“報 -
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アメリカの衰退と中国の台頭。
日本のメディアによって盛んに報道されるこの図式も、日高氏の目線で考えると全く違ったものが見えてくる。
ワシントンリポートでおなじみのの日高義樹氏による本書は、アメリカ政財界や国防省、海軍などの重要人物に直接会って取材しているだけあって、その内容は極めて信憑性が高く信頼性が高い。
再選されたオバマ大統領もヒスパニックや黒人に支えられてのもので、社会主義的政策を嫌う多くの白人層からはすでに見放されている事実。
シェール革命が進行するアメリカで経済状況が大きく好転する可能性。
太平洋で軍事的台頭を深めつつある中国、それに対して強い警戒感を持つ共和党とアメリカ海 -
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ネタバレちょっと偏った意見だと思う。反オバマの色が濃く出ている気がする。
・アメリカ政府は膨大な借金を抱えており、オバマ大統領の社会主義的な政策はそれに拍車をかけている。
・オバマ大統領は軍事の事を全く理解していない。財政難とその戦略のまずさから米軍の弱体化が進んでいる。
・過去、アメリカは、戦争を仕掛けることで借金を清算してきた。その最大の被害者は日本である。
・アメリカの軍事力の衰退で東アジアは不安定化しつつある。アメリカは日本に核武装してもらって構わないとスタンスを変え始めている。
日高は日本は核武装しろ、持たねばならぬと言っている。
日本は核武装すべきではないと個人的には思う。 -
Posted by ブクログ
私は政治や経済には全くの素人(高校卒業程度の知識しかない)で、
あんまり参考にならないと思いますが、著者の主張を分かる範囲で簡潔に書くと
・民主党もオバマも全然ダメ
・次は共和党が政権を取る
・日本の民主党もダメ
・中国・アメリカ間はこれから対立する
・アメリカ衰退論は間違い
オバマ大統領を褒める部分がひとつもないので、ちょっと可哀相になるくらいでした。
しかし、その理由も明確に書いてあり、ちゃんとデータを出してくれているので、信憑性は高いと思います。
そのほか、アメリカの外交戦略やエネルギー事情、ちょっとだけ中国の外交などにも触れてあり、普段全くその辺の事情に疎い私には興味深いお話でし