あらすじ
ブッシュ政権の登場により、戦後から冷戦期にかけて確立していた国際秩序は完全に変わりつつある。国連の威信は、イラクからの賄賂疑惑などの問題ですでに地に堕ちている。イラク、北朝鮮をはじめ、冷戦期に米ソのパワーバランスの狭間で生まれた独裁国家の数々は次々とその命脈を絶たれつつある。「冷戦」から「新しい戦争」への変換に対応するために、米軍はその戦略と組織形態を大きく変えようとしており、極東戦略や日米安全保障条約もその意味を大きく変えようとしている。そして、経済についても、これまでとは全く違う発想でアメリカの覇権の確立を目論んでいる。しかしそのような状況を、多くの日本人はまったくつかんでいない……。本書では、アメリカを知りつくし、深い人脈を持つ著者が、ブッシュ政権が4年間で方向づけたアメリカの新しい戦略の真実を徹底的に解き明かす。これからの日本のあり方を考えるとき、必読の一冊である。
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Posted by ブクログ
アメリカの政治経済を見る上で大変参考になる好著だ。特に、イラク戦争以降アメリカの世界戦略の中心がイラクになったことや、軍事的には厳しく対峙するブッシュ政権と中国政府が経済問題については円満な関係を保っていることなどを詳しく説明している。
一方、アメリカはシーレーンの確保以外アジア極東での軍事行動の必要を認めていないという指摘を日本はよく理解しておくべきだろう。ましてや、極東の軍事戦略をアメリカの意図に基づいて勝手に変え、日米安保条約に基づいて手にしている権益はそのまま使おうとしているというブッシュ政権が、米軍の再編をめぐって日本側にどのような対応を示してくるかは要注意だ。
それにしても、この本を読めば読むほど、アメリカの軍事力による覇権が、対日本だけでなく対ヨーロッパについても経済面にまで及んでいることを強く感じさせる。