あらすじ
尖閣列島問題が発生した際、オバマ政権とその首脳たちは曖昧な態度を示し、「中国が軍事的に日本を攻撃した場合、どう対応するか」という日本側の問いに対しても、「日米安保条約を遵守する」としか答えなかったが、その間にも事態は悪くなり続けた。オバマ政権はもはや、この問題をこれまでのようにうやむやのうちに片づけることはできなくなっている。中国の帝国主義的な侵略という事実は、誰の目にも明らかになっているからだ。しかも「50パーセント政権」として政治力を失ったオバマ政権は、中国に対して厳しい姿勢をとるグループの存在を無視できなくなっている。私が日本で聞かれる質問の多くは「尖閣列島で戦いになった時、アメリカは助けてくれるでしょうか」というものだが、オバマ政権の如何にかかわらず、アメリカ国防総省には尖閣列島を守る緊急計画がすでに存在している。(日高義樹/第二章「アメリカは尖閣列島で戦う」より抜粋)
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Posted by ブクログ
アメリカの衰退と中国の台頭。
日本のメディアによって盛んに報道されるこの図式も、日高氏の目線で考えると全く違ったものが見えてくる。
ワシントンリポートでおなじみのの日高義樹氏による本書は、アメリカ政財界や国防省、海軍などの重要人物に直接会って取材しているだけあって、その内容は極めて信憑性が高く信頼性が高い。
再選されたオバマ大統領もヒスパニックや黒人に支えられてのもので、社会主義的政策を嫌う多くの白人層からはすでに見放されている事実。
シェール革命が進行するアメリカで経済状況が大きく好転する可能性。
太平洋で軍事的台頭を深めつつある中国、それに対して強い警戒感を持つ共和党とアメリカ海軍。親中派であるオバマにも揺らぎが生じつつあるようだ。
本書の中で書かれている内容は、そのほとんどが日本のニュースには出てこないものばかりだ。
報道されていなくても現実に物事は進行している。テレビや新聞だけで本当の世界を知ることはできない。
未来を予測するのは難しいが、日高氏の本は先を見ようとする者に対して大いに参考になるだろう。