紀田順一郎のレビュー一覧

  • 江戸川乱歩随筆選

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    この随筆集を読んで、江戸川乱歩がますます好きになった。乱歩の関心の広さ、率直な態度、ミステリに対する愛情に心を打たれる。文章も格調高くて、読み応えがあった。私もミステリが好きなので、乱歩がミステリへへの情熱を語った「枕頭風景」のような随筆を一番面白く感じた。同性愛の嗜好をあっけらかんと述べる随筆があることに驚いた。戦争中にそんな文章を発表するのは勇気を必要としたと思うが、乱歩はさらりと書いている。江戸時代に、自らの命を絶った少年の墓を、乱歩が訪ねたことを情感あふれる文章で記した「もずくの墓」が私のベスト。

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    2017年04月13日
  • 東京の下層社会

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    東京の下層社会の様子を様々な資料を基に説明している。
    胸の悪くなるような描写も多々ある。
    驚かされるのは、この下層社会の様子は戦前まで日本中いたるところにあったということである。
    そして、我々はそのことを忘れている。または知らない。ということである。
    格差社会・社会保障費の増大が問題となっている現在一読の価値はある。

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    2012年12月24日
  • 東京の下層社会

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    過去の東京に存在した恐るべき貧困の実相を探るのが本書の目的である。帝国主義の時代を脱していなかった当時の国際社会にあって、日本政府が福祉政策に舵を切れなかった事情については、ほとんど考察と言える考察はないが、むしろそういった考察があっては、スラムの実態に対する切込みは甘くなる。本書は、その意味で、贅肉をそぎ落としたスマートなつくりになっている。
    本書に描かれたスラムの実態は、現代人の感覚からすると、およそ想像もつかないほどひどい。「残飯」の流通一つとっても、考えただけで吐き気を催すほど。もらい子殺しや娼婦、女工の虐待など、現代社会のどんな凶悪事件と比べても、その残虐性、凶悪性は比類なきものがある。
    このような社会が明治、大正、昭和初期の日本に存在したことを、我々は忘れてはならない。非常にショッキングな内容だが、おすすめできる一冊です。

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    2012年12月19日
  • 東京の下層社会

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    『ぼっけえ、きょうてえ』を読んだ後に読んだので、淡々と読めたけれど、凄まじいの一言。東京もこんなだったのか、と感じると同時に、現代社会でも一部「ネットカフェ難民」や派遣労働者問題があるように、この時代に戻りつつあるのかも?格差社会もどんどん進行したらいつかは戻る。ゾクッとしました。
    残飯にもランクがあること、近親相姦や強姦にあうのが当たり前の生活。工場での人間扱いされない労働条件。人がここまで蔑まれていた状況。どれも本当の日本の姿だったのです。今の自分の生活がいかに恵まれているのか、考えさせられる本ですね。

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    2009年10月04日
  • 神保町の怪人

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    以前読んだ「古本屋探偵」と
    似たようなミステリー
    本のためなら
    なんともいえない意地悪を
    思いつく変な人や
    大学で起きた殺人事件など
    さまざまな事件を追う中で
    本にまつわるあれこれが
    たくさん詰まっている
    なかなか難しいことも多く
    何度も戻って読むことになってしまった
    知識がないのが悔やまれる

    ますます神保町に惹きつけられる
    今の神保町はどんなものだろうか

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    2026年05月09日
  • 日本賭博史

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    日本における賭博の歴史を解説する本。

    貴族の遊びが時間と共に博打になっていき、かつ大衆化されていくという流れが描かれている。
    歴史に照らし合わせることで、賭博の様々な側面が見えてくるのが面白かった。

    例えば、博打と競技には明確な違いがないという点。
    何らかの競技が博打化するのは言うに及ばず、その逆の例も多い。
    例えば弓、相撲、茶道など、現代の競技や文化にも、元は博打というものがたくさんある。
    そして同時に、競技として(もしくは博打として)成り立たせるために適切なアレンジがなされる。
    こういった人間の創意工夫は、実に興味深いものだ。

    また人々の博打熱と、社会の安定が連動している点も注目したい。
    概ね世が乱れるほど、人は博打に希望を見出し、かつ短絡的な勝負を好むようになる。
    逆に社会が安定すれば、博打熱は下火になり、ギャンブルよりもゲーム性を求めるようになる。
    なぜなら他に面白いことも、金を稼ぐ方法も、いくらでもあるからだ。

    歴史上ほとんどの国家は、博打を禁止、もしくは制限しようとしてきた。
    しかしそれでも博打が途絶えることはなく、新たな博打が生み出されている。
    きっと人は心のどこかで、博打を求めているのだろう。

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    2026年03月22日
  • 日本賭博史

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    理性的存在である人間が不可知な未来に賭けるという行為が、生きる為に不可欠な事というのが、人間の社会性を形作る基の一つになっている?

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    2025年03月23日
  • 古本屋探偵登場

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    古書店の話で、本を探す探偵の話。
    事件的には面白かったんだけど、古書店ならではのことが難しかったのかきちんと理解できないまま読んでしまった。
    事件解決するとそういうことかぁ、とスッキリするんだけど

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    2024年11月22日
  • 古本屋探偵登場

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    本の街神保町で古書店を営む傍ら“本の探偵”を標榜する須藤康平。彼のもとに持ち込まれる怪しげな依頼を、仲間の協力と推理力でもって解決する「ワットオの薄暮」「書鬼」「無用の人」の3篇。

    “古本屋探偵の事件簿“との副題のとおり、本を探すことだけにとどまらず、殺人や放火まで絡んでしまうところがミステリの様相を呈する。
    古書蒐集家界隈の熱狂や儲けを生むための手管など、限りなく事実に近いらしい実情が知れるのも面白く、本好きと言っても読む人と古書を集める人は違う人種だな〜としみじみ思った。

    “古本屋探偵の事件簿”は長編もあるのでそれも読みたい。

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    2024年06月29日
  • 夜の蔵書家

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    復刻版<古本屋探偵の事件簿>シリーズ、分冊版の下巻。今作がシリーズ唯一の長編らしい。冒頭の案内文に『ロス・マクドナルドを彷彿とさせる傑作長編』とある通り、探偵役の須藤が関係者に聞き込みを繰り返し、徐々に真相へと肉薄する展開は正にハードボイルド黎明期の探偵小説を彷彿とする仕上がり。戦前から戦後にかけての【禁書本】を巡る時代背景を軸とした複雑な人間関係も本家以上に錯綜している。とある登場人物の独白で締め括る最終章には少々肩透かしを食らうものの、当時の出版業界を取り巻く過酷な状況を窺い知れる興味深い読書だった。

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    2024年01月10日
  • 古本屋探偵登場

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    ・紀田順一郎「古本屋探偵登場 古本屋探偵の事件簿」(創 元推理文庫)は旧版の一冊本を分冊にした書である。本書はその1、短編3編が入る。珍しく私は旧版を持つてゐる。買はな くても良いのだが、読み直すのならこの方がはるかに読み易いので買つた。そして読んだ。おもしろかつたのは言ふまでもない。この手の本を読むと私は愛書家ではないといつも思ふ。本好きではあるが決して愛書家ではない。第一、本の数が違ふ。 家の根太がどうのなどと考へることはない。最近は、新刊以外はwebで探すことが多い。以前は結構古書目録を見てゐた。ほとんど買ふことはないが、見るだけは見てゐた。言はば目の保養である。今でも古書目録を 請求すれば送つてくれるはずだが、私は見ない。webでより安い本を探す。本書で問題になるやうな限定版の類には興味ない。言はば安物買ひである。こんなわけで私は愛書家とは言へない。ただし、「愛書家とか蔵書家とはいっても、普段はごく普通の人たちなんですね。」(解説対談「『本の探偵』と愛書奇譚」362頁)とか、愛書家は「まあ、フェティシズムの一種ということなんだろうけれど。」(同前)とかの瀬戸川猛資の言がある。これからすれ ば、愛書家といつてもごく普通の人であるのに、「現実生活とはおよそ無縁なものに、とほうもない情熱と精力を傾ける」ところがあるといふ点は、私にも似たところはあると言へよう。
    ・巻頭の「殺意の収集」の依頼人津村恵三は、「本探しの極意は熱意ではない、殺意だと思います。」(22頁)と言ふ人である。これが私家版2部のうちの1部を入手したといふことから物語は始まる。「カンと殺意」(29頁)で見つけた私家版はいかなるものかといふのを、書肆・蔵書一代といふ古書店主の須藤康平が推理する物語である。津村はサラリーマンで「要領がよく、言動にムダがないという感じで(中略)いつも整然とした話し方に感心させられ」(17頁)るやうな人である。およそ「殺意」を抱いた愛書家とは見えない。「無用の人」の依頼人尾崎朋信は「銀行の人」(293頁)で、「おれのポストは重要な、忙しい仕事なんだ」(349頁)と自ら言ふ人であるから、こちらもそんな愛書家とは見えない。ところ が「書鬼」の依頼人風光明美の祖父となるとさうはいかない。 本は「それはもうものすごいものです。そのころだって、書斎から廊下へ、玄関へとあふれて いて云々」(191頁)と明美が言ふほどである。しかも身分を明かしていない須藤に、「本を盗みに来おったのだろう」(259頁)と言ふほどに本に対する執着がある。本を動かされたらその場所が分かるかとの問には、「『わかる』言下に答が発せられた。」(同前)といふほどであるから、並みの者ではない。明るくして顔を見れば「人間の顔だろうか。」(264頁)である。従つて書鬼、正に書鬼である。こんな愛書家、蔵書家が出てくる本書で最も気になつたのは次の言葉である。「蔵書一代…人また一 代…かくして皆…共に死すべ し…」(140頁)「書鬼」の蔵書は“紙屑”として「一切合財処分」(同前)されてしまつ た。一軒の家ほどの大量の蔵書も本人以外は無用の長物であつた。津村や尾崎の蔵書、それもかなり高価な限定本の類らしい、も同じ運命をたどるのであらう。何でもさうだが、いかに重要なものであれ、その持ち主以外には無用の長物である。津村の商品たる古書とて同じこと、津村の後にどうなるかは分からない。作者自身「それが結局、本書のテーマになってるということでしょうね。」(374頁)と言ふ。いかにも紀田順一郎らしい。さういふところが好きなんだよなと言つておかう。

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    2023年11月16日
  • 神保町の怪人

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    一話目をどこかで読んだ気がした…どこだろう?
    神保町は行ったことがあったので、あぁこういう空気だなぁこういうひとはいるだろうなぁと面白く読んだ。

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    2023年11月08日
  • 古本屋探偵登場

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    神保町に居を構える本の探偵・須藤の元に持ち込まれる三つの事件を収録した連作短編集。どうやら復刻版らしく、今作は1980年代前半の作品のようだが、当時の時代感による古臭さは殆ど感じなかった。本探しの依頼が思いも寄らぬ事件に発展する展開も実に興味をそそる。巻末の解説対談では今作に登場する愛書家達(古書マニア)のキャラクターは決して誇張したものではないと述べられているが、だとするとこの界隈には絶対立ち入りたくない。個人的には若竹七海さんの<女探偵・葉村晶>シリーズに通ずるものを感じ取ったので、続編も読むつもり。

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    2023年10月29日
  • 東京の下層社会

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    ネタバレ

    貧困層の生活について。後半は娼婦について書かれていて幅広いジャンルの貧困について書かれているかと思い込んでいたため割とざっくりしているんだなと思った。

    昔はありとあらゆる概念がなく余裕もないので貧困層を切り捨てるのは当たり前のことなんだと思った。倫理観もなく人権もない。ようやく栄養学というものを知った程度。この状態から今の現代社会までよく進めたと感心するし少しづつ世の中は良くなっているんだなと思った。

    他の国ではある残飯屋も昔日本にあったのは納得できる。ただ近親相姦や強姦が日常茶飯事で親子が夫婦になることもあったと書いてあるけど本来の夫婦は離婚するということなのか戸籍がめちゃくちゃなのかそもそもないのかよく分からなかった。深掘りして知りたいところだった。

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    2022年05月25日
  • 東京の下層社会

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    職場の先輩からお借りしました。
    資料として読んでいたのですが、ついこの間まで日本はこんな感じだったのだなぁ…と驚くことしきりです。
    今も、労働力は使い捨てみたいなところもありますが、この頃はもっとひどく、寧ろ人間扱いされてないです。
    前半はまだどうにか、でしたが、もらい子殺しくらいから辛く、娼婦・私娼・女工はしんどかったです。夢に見ました。
    働いても働いても楽にならない。搾取される生。
    福祉についてはまだまだ充分でない気がしました。

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    2019年05月19日
  • 翼のある言葉

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    近代史や書誌をテーマとした評論家で、読書論等の多数の著書を発表している紀田順一郎が、古今東西の書物の中から、「翼のある言葉」(=ドイツ語で“Geflugeltes Wort”。時と場所を超えて胸に飛び込んでくる言葉)を集め、その作者と原典を含む解説を加えたもの。
    シュテファン・ツヴァイク『人類の星の時間』より~「一つの国民の中に常に無数の人間が存在してこそ、その中から一人の天才が現れ出るのであり、常に無数の坦々たる世界歴史の時間が流れ去るからこそ、やがていつかほんとうに歴史的な、人類の星の時間というべきひとときが現れ出るのである」
    ソロー『森の生活(ウォールデン)』より~「目を内に向けよ。そうすれば心のなかに無数の領域を見つけるだろう。まだ発見されていない領域を。そこを旅し、自分の宇宙誌の大家になれ」
    『フランクリン自伝』より~「人間の幸福というものは、時たま起るすばらしい幸運よりも、日々起って来る些細な便宜から生まれるものである」
    ほか、『論語』、セネカ『人生の短さについて』、シェイクスピア『ハムレット』、ゲーテ『ファウスト』、ホイジンガ『中世の秋』、フランクル『夜と霧』、岡本太郎『今日の芸術』、小林秀雄『私の人生観』、坂口安吾『堕落論』、カレル『人間この未知なるもの』、サン=テグジュペリ『人間の土地』、『老子』、谷崎潤一郎『文章読本』、『ラ・ロシュフコー箴言集』、アラン『信仰について』、宮本常一『萩の花』、陶淵明『田園の居に帰る』、モア『ユートピア』、南方熊楠『上松蓊宛書簡』、ミルトン『失楽園』、古今亭志ん生『なめくじ艦隊』、吉田健一『乞食王子』、などから、81の名言が紹介されている。
    読書家として有名な著者ならではの、名言集としても読書案内としても楽しめる一冊。
    (2006年2月了)

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    2016年01月15日
  • 東京の下層社会

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    戦前の東京はスラムが其処彼処にある場所だとは知らなかった。
    現代の日本の豊かさを実感した。

    解説にある貧困とは差別の問題であり想像力の欠如であるという言葉は妙に納得するところがあった。

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    2015年01月19日
  • 東京の下層社会

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    明治から昭和初期にかけての東京の貧民・貧困を概観する。横山源之助「日本の下層社会」や森光子「光明に芽ぐむ日」など、当時の実態を克明に記した一級の資料を参照し、貧民たちがどのような環境に置かれていたのか、行政や資本家、社会運動家は彼らにどのような対応をしてきたのかを明らかにする。
    そうして見えてくるのは、当時の貧困の、現代のそれとは比較にならないほどの過酷さ。極めて過酷な労働、飢え、病。衣食住のすべてが満たされないことが常態化した生活。
    こうした人々が、東京には少なくない数存在していた。有名な三大貧民窟だけでそれぞれ数千人の貧民が住み、それ以外大小合わせて100以上もの貧民窟があった。
    さらに、行政や社会の貧民・貧困に対する意識もまた、貧民を貧民のまま置くことを選んだ。彼らにとって貧民とは、救うべき対象ではなく怠惰により身を持ち崩した自業自得の人々でしかなかった。そうした無関心・無理解が貧民に対する放置を持続させた。
    こういう貧困者への無関心・無理解が現代日本にも繋がっているかと思うと興味深い。生活保護叩きは記憶に新しいし、貧困者への行政援助に対する許容度が先進国では有意に低いことも有名な話。実感値でも統計値でも、貧困者に厳しいのが日本人の実状なんだろう。そういう心性は、100年前から変わらないということだろうか。

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    2014年12月06日
  • 東京の下層社会

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    東京オリンピックの頃までは「乞食」とか「偽傷痍軍人」とかを普通に見かけた。当該書では戦前まで存在していた「貧民窟」までを主に取り扱っていた。そこが今イチ食い足りない。
    あのmarginalの存在が消えたとは思われない。

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    2013年03月01日
  • 第三閲覧室

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    ネタバレ

    全体的に古くさいし、ミステリとしてはなんじゃこりゃ?な感じですが。
    その古くささ、というか古びた匂いが本書の魅力だと思います。
    「本」にまつわる話が意外に面白くて、結局最後までちゃんと読んでしまった。
    ていうか、それのみ?(^_^;)

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    2012年03月25日