紀田順一郎のレビュー一覧

  • 東京の下層社会

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    『ぼっけえ、きょうてえ』を読んだ後に読んだので、淡々と読めたけれど、凄まじいの一言。東京もこんなだったのか、と感じると同時に、現代社会でも一部「ネットカフェ難民」や派遣労働者問題があるように、この時代に戻りつつあるのかも?格差社会もどんどん進行したらいつかは戻る。ゾクッとしました。
    残飯にもランクがあること、近親相姦や強姦にあうのが当たり前の生活。工場での人間扱いされない労働条件。人がここまで蔑まれていた状況。どれも本当の日本の姿だったのです。今の自分の生活がいかに恵まれているのか、考えさせられる本ですね。

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    2009年10月04日
  • 日本賭博史

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    理性的存在である人間が不可知な未来に賭けるという行為が、生きる為に不可欠な事というのが、人間の社会性を形作る基の一つになっている?

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    2025年03月23日
  • 古本屋探偵登場

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    古書店の話で、本を探す探偵の話。
    事件的には面白かったんだけど、古書店ならではのことが難しかったのかきちんと理解できないまま読んでしまった。
    事件解決するとそういうことかぁ、とスッキリするんだけど

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    2024年11月22日
  • 古本屋探偵登場

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    本の街神保町で古書店を営む傍ら“本の探偵”を標榜する須藤康平。彼のもとに持ち込まれる怪しげな依頼を、仲間の協力と推理力でもって解決する「ワットオの薄暮」「書鬼」「無用の人」の3篇。

    “古本屋探偵の事件簿“との副題のとおり、本を探すことだけにとどまらず、殺人や放火まで絡んでしまうところがミステリの様相を呈する。
    古書蒐集家界隈の熱狂や儲けを生むための手管など、限りなく事実に近いらしい実情が知れるのも面白く、本好きと言っても読む人と古書を集める人は違う人種だな〜としみじみ思った。

    “古本屋探偵の事件簿”は長編もあるのでそれも読みたい。

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    2024年06月29日
  • 夜の蔵書家

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    復刻版<古本屋探偵の事件簿>シリーズ、分冊版の下巻。今作がシリーズ唯一の長編らしい。冒頭の案内文に『ロス・マクドナルドを彷彿とさせる傑作長編』とある通り、探偵役の須藤が関係者に聞き込みを繰り返し、徐々に真相へと肉薄する展開は正にハードボイルド黎明期の探偵小説を彷彿とする仕上がり。戦前から戦後にかけての【禁書本】を巡る時代背景を軸とした複雑な人間関係も本家以上に錯綜している。とある登場人物の独白で締め括る最終章には少々肩透かしを食らうものの、当時の出版業界を取り巻く過酷な状況を窺い知れる興味深い読書だった。

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    2024年01月10日
  • 古本屋探偵登場

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    ・紀田順一郎「古本屋探偵登場 古本屋探偵の事件簿」(創 元推理文庫)は旧版の一冊本を分冊にした書である。本書はその1、短編3編が入る。珍しく私は旧版を持つてゐる。買はな くても良いのだが、読み直すのならこの方がはるかに読み易いので買つた。そして読んだ。おもしろかつたのは言ふまでもない。この手の本を読むと私は愛書家ではないといつも思ふ。本好きではあるが決して愛書家ではない。第一、本の数が違ふ。 家の根太がどうのなどと考へることはない。最近は、新刊以外はwebで探すことが多い。以前は結構古書目録を見てゐた。ほとんど買ふことはないが、見るだけは見てゐた。言はば目の保養である。今でも古書目録を 請求す

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    2023年11月16日
  • 神保町の怪人

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    一話目をどこかで読んだ気がした…どこだろう?
    神保町は行ったことがあったので、あぁこういう空気だなぁこういうひとはいるだろうなぁと面白く読んだ。

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    2023年11月08日
  • 古本屋探偵登場

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    神保町に居を構える本の探偵・須藤の元に持ち込まれる三つの事件を収録した連作短編集。どうやら復刻版らしく、今作は1980年代前半の作品のようだが、当時の時代感による古臭さは殆ど感じなかった。本探しの依頼が思いも寄らぬ事件に発展する展開も実に興味をそそる。巻末の解説対談では今作に登場する愛書家達(古書マニア)のキャラクターは決して誇張したものではないと述べられているが、だとするとこの界隈には絶対立ち入りたくない。個人的には若竹七海さんの<女探偵・葉村晶>シリーズに通ずるものを感じ取ったので、続編も読むつもり。

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    2023年10月29日
  • 東京の下層社会

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    ネタバレ

    貧困層の生活について。後半は娼婦について書かれていて幅広いジャンルの貧困について書かれているかと思い込んでいたため割とざっくりしているんだなと思った。

    昔はありとあらゆる概念がなく余裕もないので貧困層を切り捨てるのは当たり前のことなんだと思った。倫理観もなく人権もない。ようやく栄養学というものを知った程度。この状態から今の現代社会までよく進めたと感心するし少しづつ世の中は良くなっているんだなと思った。

    他の国ではある残飯屋も昔日本にあったのは納得できる。ただ近親相姦や強姦が日常茶飯事で親子が夫婦になることもあったと書いてあるけど本来の夫婦は離婚するということなのか戸籍がめちゃくちゃなのかそ

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    2022年05月25日
  • 東京の下層社会

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    職場の先輩からお借りしました。
    資料として読んでいたのですが、ついこの間まで日本はこんな感じだったのだなぁ…と驚くことしきりです。
    今も、労働力は使い捨てみたいなところもありますが、この頃はもっとひどく、寧ろ人間扱いされてないです。
    前半はまだどうにか、でしたが、もらい子殺しくらいから辛く、娼婦・私娼・女工はしんどかったです。夢に見ました。
    働いても働いても楽にならない。搾取される生。
    福祉についてはまだまだ充分でない気がしました。

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    2019年05月19日
  • 翼のある言葉

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    近代史や書誌をテーマとした評論家で、読書論等の多数の著書を発表している紀田順一郎が、古今東西の書物の中から、「翼のある言葉」(=ドイツ語で“Geflugeltes Wort”。時と場所を超えて胸に飛び込んでくる言葉)を集め、その作者と原典を含む解説を加えたもの。
    シュテファン・ツヴァイク『人類の星の時間』より~「一つの国民の中に常に無数の人間が存在してこそ、その中から一人の天才が現れ出るのであり、常に無数の坦々たる世界歴史の時間が流れ去るからこそ、やがていつかほんとうに歴史的な、人類の星の時間というべきひとときが現れ出るのである」
    ソロー『森の生活(ウォールデン)』より~「目を内に向けよ。そう

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    2016年01月15日
  • 東京の下層社会

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    戦前の東京はスラムが其処彼処にある場所だとは知らなかった。
    現代の日本の豊かさを実感した。

    解説にある貧困とは差別の問題であり想像力の欠如であるという言葉は妙に納得するところがあった。

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    2015年01月19日
  • 東京の下層社会

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    明治から昭和初期にかけての東京の貧民・貧困を概観する。横山源之助「日本の下層社会」や森光子「光明に芽ぐむ日」など、当時の実態を克明に記した一級の資料を参照し、貧民たちがどのような環境に置かれていたのか、行政や資本家、社会運動家は彼らにどのような対応をしてきたのかを明らかにする。
    そうして見えてくるのは、当時の貧困の、現代のそれとは比較にならないほどの過酷さ。極めて過酷な労働、飢え、病。衣食住のすべてが満たされないことが常態化した生活。
    こうした人々が、東京には少なくない数存在していた。有名な三大貧民窟だけでそれぞれ数千人の貧民が住み、それ以外大小合わせて100以上もの貧民窟があった。
    さらに、

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    2014年12月06日
  • 東京の下層社会

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    東京オリンピックの頃までは「乞食」とか「偽傷痍軍人」とかを普通に見かけた。当該書では戦前まで存在していた「貧民窟」までを主に取り扱っていた。そこが今イチ食い足りない。
    あのmarginalの存在が消えたとは思われない。

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    2013年03月01日
  • 第三閲覧室

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    ネタバレ

    全体的に古くさいし、ミステリとしてはなんじゃこりゃ?な感じですが。
    その古くささ、というか古びた匂いが本書の魅力だと思います。
    「本」にまつわる話が意外に面白くて、結局最後までちゃんと読んでしまった。
    ていうか、それのみ?(^_^;)

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    2012年03月25日
  • 東京の下層社会

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     貧困が再び現在進行の問題として可視化される以前の時期に、近代日本の貧困・貧民に関する「忘れられた」記録や調査を発掘した功績は称賛に値するが、細部に誤りが少なくない(東京養育院の設立時期の誤認とか治安警察法と治安維持法の混同とか)のが残念。

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    2022年03月01日