紀田順一郎のレビュー一覧

  • 古本屋探偵登場

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    時々見かける古本屋ミステリにこんな面白い元祖があったとは……もっと早く読んでおけば良かったな。紀田順一郎って神奈川近代文学館の艦長のイメージだった。神保町が少し分かるからさらに面白いのかな? 本屋探偵・須藤も良い。

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    2025年05月04日
  • 夜の蔵書家

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    このほんとであっ?たのめ?!めなこ!?こめいががく、かないりはつ、がんをなるかくりつりはこ?!?こけや、ここ、け、りゆうてや、こだまや、かねこ、みずほ、ほをにつがらないんは、がんに、なりたからわなむるで、がんになりえる、りえきや、たぬき、おひやらしよりいの、すこそきなあのくせに、なにたちぐせつかう、こて、たまどんをあげほそかわがらしやはいより、かばをかばさえゆりものをつかうがまあぶあのみのぐそひっかけてもよこやりいちかわよりほそいせしやしやわりよりちやわんめつきなおる?じやない、やまぬばいおん、くれえよくら

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    2023年11月30日
  • 夜の蔵書家

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    シリーズ4作目にして唯一の長編。主人公の須藤はあくまで古本の探偵であり人探しは専門外だが、敗戦後に地下出版を行い検挙され姿を消した謎の人物の生死を確認するよう依頼される。報酬に目がくらみ捜索を続けるうちに、その人物に徐々に魅力を感じるようになり⋯。猥褻な書物をなぜ危険をおかしてまで出版し続けたのか。戦時中から戦後にかけての人々の壮絶な生き様や愛書家たちの思いが交錯し、その思いが噴き上がるように猥本が世の中へと流通していったのだな、と本作を読み終わった今は感じます。

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    2023年10月15日
  • 古本屋探偵登場

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     1985年刊行の文春文庫版は読んでいたけれど、このたび1991年創元推理文庫版が分冊版でリイシューされるというので迷わず買いました。この『古本屋探偵登場』には、1991年の創元推理文庫版が刊行されたときに書かれたまえがきとあとがき、文春文庫版には未収録の『無用の人』、解説対談として瀬戸川猛資との対談が収録されています。成島柳北の『柳橋新誌』幻の第三篇が題材となっている『無用の人』、和本についての蘊蓄が楽しくてあっという間に読み終えてしまいました。解説対談も興味深く、行われた場所が山の上ホテルなのも、にやにやしちゃいます。

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    2023年10月11日
  • 飛ぶ読書室 この本がおもしろいよ

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    古今東西の厳選された名著が、堅苦しくなく紹介されている一冊。
    勘所をしっかり抑えた要約で構成されていますが、簡潔明瞭で大変読みやすく感じました。
    しかし何よりも、実際に手に取って読んでみたいと思わせる筆致が素晴らしいです。
    読書の道標となりました。

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    2020年05月16日
  • 東京の下層社会

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    さすがに紀田順一郎さん
    『日本の下層社会』(横山源之助)、『最暗黒の東京』(松原岩五郎)は何度も書棚から手にとっては戻し、戻しては手に取り、を繰り返していたのですが、ようやくそれらの一端に手を触れられた気がします。
     今からほんの百数十年前の文字を持たなかった(持つことが困難であった)人々の「暮らしぶり」にはずっと興味関心を持っていので貪るように読み進めてしまいました。
     ややもすれば「明治維新」とかなんとか、といった日の当たるところばかりが喧伝されてしまう世の風潮の中で、こういう「負」の側面にちゃんと光をあてて、歴史的史実を確認していくことは本当に大事だと思ってしまう。
     権威者(権力者)に

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    2020年01月28日
  • 東京の下層社会

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    福祉に携わる業務に就き、その参考になればと読み始めた。大きく3部構成になっており、最初は貧民街・スラムについて。次いで娼妓をはじめ身を売らねばならない女性たち。最後に明治から大正期にかけて過酷な労働・生活に晒された女工たちの真実が語られた。特に、女工たちの受けた仕打ちは、ナチスの強制収容所を彷彿とさせ、雇い主の非人道的な処遇に身も凍る思いだった。

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    2017年09月07日
  • 東京の下層社会

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    もともと、神保町の救世軍に関する新聞記事を目にして、この本を手にしたのですが、内容、慄然とすべきものでした。貧困がもたらす人間というもののありようが淡々とした筆致の中に余すところなく描き出されていると感じました。特に吉原の娼婦たちや女工の悲惨さは読むに耐えぬ。

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    2015年01月07日
  • 東京の下層社会

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    貧困にあえいでいるのは、努力しなかったからだ――

    そんな言いように腹が立ってしかたがなかったのに、それにどう反論すればよいのか、わからなかった。
    また、私自身も心のどこかで、もう少し一生懸命働けば苦労しなかったんじゃないの、と思っていた節があったのだとおもう。

    そもそも、貧困とは何なのか。なぜその暗い穴に陥ってしまうのか。
    本書を読んで、ようやくその答えが見えてきた。

    まずもって貧困とは当人の如何なる性質に寄るものではなく、ひとえに外因性、それは景気とよばれたり、資本主義だったり、病気だったり、ほんの小さな不幸の積み重ねだったり、また、無知によるものだったりする。

    誰だって貧乏暮らしは

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    2013年08月29日
  • 東京の下層社会

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    ネタバレ

    スラムの生活については、まぁそんなに驚くことはなかったけど、女工や花街の生活の悲惨さは、中々現代のイメージからは想像に難いだろうな。

    教科書では、工場制手工業はポジティブな意味合いで表現されていたと思うが、そこに江戸時代までの家長制度が持ち込まれ、それこそ悲惨な状況に陥っていたとは知らなかった。

    明治から昭和初期の下層民の生活について知るにはいい本。また読み返したい。

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    2013年08月04日
  • 東京の下層社会

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    明治前くらいから、昭和初期くらい?の時代について。当時の作家が小説に描かなかったような、貧困に苦しむ人々の生活についてなど。
    東京の東のほう
    売春婦と女工について。

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    2011年01月12日
  • 飛ぶ読書室 この本がおもしろいよ

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    良い本。こういう本が読みたくて探している時に出会えたのでまた感動もひとしおです。

    「中学受験 進学レーダー」という雑誌に「このほんがおもしろいよ」という題で連載していたものを纏めた一冊なのですが、まず第一にすごく子供(特に対象であるところの小学生)に向けて書いてあるんだよねえ。でもちっとも子供騙しじゃなくて、子供だからと言って容赦もなくて、ありふれた言い方だけど大人が見ても読みたい!と強く思わせてくれる紹介の仕方なんです。

    それもその筈、ここに紹介されている本はどれも著者が少年時代に読んで面白かったものだそうで、紹介がまた絶妙。正直あらすじの纏め方とか文章能力はフツーなんだけど、紹介する本

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    2010年08月24日
  • 東京の下層社会

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    明治から戦前の昭和初期まで、スラム街などで暮らさざる得なかった人々の実態を伝える良書。つい「最近」まで、日本はこんな状態にあったのか、と驚き、また哀しく・せつなくなります。

    この本、スラム街に住んだ人々や、公娼・私娼や女工となった女性らの暮らした世界を膨大な資料から描いています。描かれる暮らしぶりは、あまりにも悲惨で人々が、その環境下で生きていられたというのが信じられないほどです。
    知らない日本がこの本の中にはあります。

    ただ、この本にあることは単なる「昔話」ではないと思います。この貧富の差が激しかった時代は、「格差社会」などと言われる現代と共鳴しています。
    読むことで「今」を知ることにも

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    2009年10月04日
  • 東京の下層社会

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    当時の貧困層の様子が生々しく描かれており、如何に自分が生きるこの世が恵まれているかを再認識させられてしまった。貧困の根本にある他者に対する想像力の欠如は現代に通づる課題であり、大局観を持って世の中を見ていくことが必要だと思った。

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    2023年04月01日
  • 東京の下層社会

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    ネタバレ

    明治維新は我が国において「革命的」なできごととしてしばしば喧伝される。大局的には欧米列強に比肩する歴史的転換点であろう。この歴史的事実が放つ光が大きければ大きいほど、まばゆい光に隠されて見えなくなることも多いのではないだろうか。

    『東京の下層社会』はタイトル通り、革命的なできごとが放つ光に隠されて、あまり語る者の多くない場所を手燭の光を灯すようにしてかき集めた当時の社会ルポである。この分野の記録はそう多くないだけに、記録的価値は高い。著者は先人の手になる記録を参照しながら検証を進めているが、その記録が貧民窟(スラム)に暮らす人々に紛れ、実体験をもとに描かれたものだけに今読んでも臨場感はいや増

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    2020年09月24日
  • 東京の下層社会

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    明治から終戦までのスラム街や娼婦達の生活についての解説書。
    前半は松原岩五郎の『最暗黒の東京』などを引用し、木賃宿や長屋で暮らすスラムの貧民たちの生活が描かれている。
    『最暗黒の東京』は、書かれている内容は興味深いのだが、いかんせん文語で書かれており、読解に手間がかかるのでこの本で解説されているのはありがたい。

    しかし、後半からは娼婦と女工の生活に移ってしまうので、雑多な社会の状況が描かれているのは前半までなのが残念なところ。

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    2019年10月27日
  • 東京の下層社会

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    明治~昭和の大戦中までの、東京周辺の貧困層の生活と、娼婦や女工の経済的および社会的な立場というものを、過去の文献から解説する論文。

    東京墨田区あたりの長屋もしくは木賃宿に住む労働者は、風呂にも入れない劣悪な生活をしていたことを、新聞社の記者が変装してレポートする。また、私娼や紡績工場の経営者はヤクザまがいの立ち回りをして、女性たちを逃げられない様がんじがらめにした挙句、ボロ雑巾のように利益を吸い上げていく。

    新潮45という、悪趣味な雑誌に載せていたレポート記事だけあり、残飯をすするような嫌悪感を抱かざるをえない表現がたくさん出てくる。しかし、単なる一次的なインタビューや、過去の論文の丸写し

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    2017年12月01日
  • 江戸川乱歩随筆選

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    この随筆集を読んで、江戸川乱歩がますます好きになった。乱歩の関心の広さ、率直な態度、ミステリに対する愛情に心を打たれる。文章も格調高くて、読み応えがあった。私もミステリが好きなので、乱歩がミステリへへの情熱を語った「枕頭風景」のような随筆を一番面白く感じた。同性愛の嗜好をあっけらかんと述べる随筆があることに驚いた。戦争中にそんな文章を発表するのは勇気を必要としたと思うが、乱歩はさらりと書いている。江戸時代に、自らの命を絶った少年の墓を、乱歩が訪ねたことを情感あふれる文章で記した「もずくの墓」が私のベスト。

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    2017年04月13日
  • 東京の下層社会

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    東京の下層社会の様子を様々な資料を基に説明している。
    胸の悪くなるような描写も多々ある。
    驚かされるのは、この下層社会の様子は戦前まで日本中いたるところにあったということである。
    そして、我々はそのことを忘れている。または知らない。ということである。
    格差社会・社会保障費の増大が問題となっている現在一読の価値はある。

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    2012年12月24日
  • 東京の下層社会

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    過去の東京に存在した恐るべき貧困の実相を探るのが本書の目的である。帝国主義の時代を脱していなかった当時の国際社会にあって、日本政府が福祉政策に舵を切れなかった事情については、ほとんど考察と言える考察はないが、むしろそういった考察があっては、スラムの実態に対する切込みは甘くなる。本書は、その意味で、贅肉をそぎ落としたスマートなつくりになっている。
    本書に描かれたスラムの実態は、現代人の感覚からすると、およそ想像もつかないほどひどい。「残飯」の流通一つとっても、考えただけで吐き気を催すほど。もらい子殺しや娼婦、女工の虐待など、現代社会のどんな凶悪事件と比べても、その残虐性、凶悪性は比類なきものがあ

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    2012年12月19日