増田悦佐のレビュー一覧
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今から11年前の8月に、私がずっと新刊が出るたびに追いかけている増田氏の書かれた増補改訂版です。奇しくも元版のレビューを11年前の今日に書いています。
今年6月に改訂版が出るとネットで知って予約していましたが、ようやく届きました、この1週間は在宅勤務の合間をぬってこの本を楽しませてもらいました。
コロナ騒動が始まる直前(令和2年2月上旬)に社会人になって2ヶ月目にしてローンを組んで買ったクルマから数えて、4台乗りましたが、ついに車を手放すことを決意しました。不便が生じたら買えばいいと思った決断でしたが、一向に不便を感じません。コロナのお陰で気晴らしには、一人ドライブよりも家の周りを1時間程 -
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「官製相場」と言われる株高の一方で、一般家庭の家計は物価上昇で苦境に陥っている。
やせ細る一方の実体経済と活況を呈する金融市場との乖離。
こうしたアンバランスな経済状況は、日本がいま非常に不確実性の高い時期に差し掛かってしることを示す。
目一杯大きな視野から世界と日本の経済史を振り返ることで経済の原理、資本主義のカラクリ。
経済史をひもとけば、日本の進むべき道と私たちが今後生き残る術も見えてくる、ということで、
第1章 経済覇権を城壁のない都市が握った経済史の黎明期
第2章 16世紀以降は戦争とインフレ・デフレの関係で
経済史を総括できる
第3章 経済思想家は経済をうまく導いてきたのか -
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増田氏の本は毎回読んで多くのことを学ぶのですが、今回のテーマはアメリカ文明が今までのアメリカの繁栄を支えてきたと思われてきたクルマが普及したことで逆に衰退してしまったことを解説しています。
現在、中国やインドがクルマ社会に向けて成長しているなかで、鉄道が衰えていない日本(特に東京と大阪圏)には明るい未来があるという内容です。円高や株式低迷、国債の増加等、暗い話題が取り巻く中で久々に元気づけられた感じがします。
以下は気になったポイントです。
・世界中の先進国でクルマが日常交通機関の王者の座を鉄道から奪った、東京と大阪というに大都市圏が高い鉄道依存度を維持しながら高度消費社会へ突入し -
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日本史に何があったか?ではなく何がなかったか?という視点で語る比較文明論。
着眼点そのものが面白いのはもちろんですが、本書はそれに留まらず、ステレオタイプな日本史観の読み替えを行うことを目的とした非常に壮大な試みであると言えます。
多くの日本人は「日本は明治維新をきっかけに近代的な国家になった」という史観、あるいは(日教組の大好きな)「戦後平和憲法を掲げたことで日本は平和に経済発展することができた」という史観を疑うことなく信じていると思います。ところが、本書で語られるのは江戸時代からすでに欧米以上に近代的な国家を築いていた日本であり、縄文時代からすでに争いとは無縁だった日本です。
欧米至上主 -
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もう少しで30年になるでしょうか、この本の著者の増田氏が新刊が発行されるたびに、真っ先に読んでいます。今回は資産形成に特化した内容ですが、欧米と比較して日本の社会制度等が優れていることを、実際に誰でも入手できるデータを利用して、その入手先も示しながら解説してくれていて、読んでいて安心感を得ています。
そんな増田氏は、コロナが終息すると皆が理解するようになる数年以内に確実にやってくるであろう、株を始めとした多くの経済変動の中を耐えるにはどうしたら良いかのアドバイスを与えてくれています。
結論としては明確でした、通貨としては日本通貨で十分、乱高下している仮想通貨も面白いとのことでした。株はいず -
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戦後日本人が憧れた夢の国アメリカが、衰亡への道をたどっているということを、具体的な数値を示しながら論じている。
第1章 経済金融化の分水嶺は1974年
個人退職年金法の改正で金融市場にあぶれだした多量のマネーが、一握りの金持ちだけの国、あらゆる低次元の不正が横行する国となってしまった。
第2章 アメリカを衰亡に駆り立てる黙示録の四騎士たち
ということで、第一の騎士は貧困の構造化、第二の騎士は利権の横行、第三の騎士は自由の仮想現実化、第四の騎士は持続不能となったクルマ社会だ
として、具体的数値を示しながら縷々説明されている。
最近読んだ本では、ソ連のスパイがアメリカを混乱に陥れ、その間に共産革命 -
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米中没落を尻目に日本が反映するには理由がある ということを証明するため、著者は以下の章立てで語る。
第1章 なぜ、世界中で株価が乱高下しているのか
第2章 「宗主国なき植民地」経済、米中2大国
第3章 アベノミクスとはいったいなんだったのか?
第4章 完成された官製相場の終わり
第5章 21世紀最初の15年間とはなんだったのか?
結局、第5章で、増田節が炸裂するのだが、縄文時代の12000年の世界の歴史で稀有な平和時代を経験した日本人のアイデンティティ。
そのよさに自信を持っていい。
安倍ちゃんみたいな何をするか解らない政治家が一番あやういと(笑)。
曖昧模糊というスタイルを貫けるかどうかで -
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ここ数年、アメリカ経済や社会に対して懐疑的な内容を書かれてきた増田氏ですが、この本はそれらの集大成と言えるものかもしれません。
私が感じたこの本の特徴は、アメリカは昔からそのような国だったわけではなく、この数十年間に完全に変わってしまったのだということを、すべてデータを根拠に論じています。
彼のポイントは、1970年後半にアメリカで決定された年金改革や学費ローンには免責を認めないという制度を部分的に導入したのが、今の格差にもつながっているということです。
アメリカはインフレ経済が続いていますが、その中でも、医療・教育関連の料金はこの数十年間で驚異的に上昇しているのが起因している様ですね。 -
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アベノミクスを中心とする、経済に関する、お決まりとされていて殆ど議論されない7つの前提について、豊富な資料・統計・図表を駆使してユーモラスではあるが、危機感と怒りを持って反証していく経済解説書。
具体的には、
1. 「インフレ」は貸し手(一般国民の貯蓄)に不利で、借り手(国・一流企業・金融機関)に有利。
2. 「円安」は、支払額は増えて、買えるモノやサービスは減少し、貿易赤字拡大と日本経済の縮小均衡を招く。
3. 「マネタリスト」は、歴史的事実を入れ替えて理論を構築している。
4. 「ケインズ政策、ケインジアン」のエリート意識と、「有効需要」の中の利権配分システムの危険性。
5. 「労働市場自 -
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増田氏の本はもう何年も追いかけていますが、この本は中国に関する彼の最新本です。彼の本の特徴は、その気になれば誰でも手に入れることができる一次データを解析している点で、自分で作成された図も多く登場します。理系の論文を読むことに慣れてきた私にとっては、グラフで著者の考えを理解することができ、読んでいて楽しいです。
この本によれば、リーマンショックの2009年以降から、かなり無理をして成長している中国は、いずれ、バブル崩壊となるとしています。私もこの数年の中国の鉄鋼生産量や、資源や食料の消費量の変化は異常だと思います。
私が高校生の頃に「ソ連が崩壊する」と言われた時には、誰も信じていま
せんでし -
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ネタバレ現時点(2013.4)では、アベノミクスは成功を収めつつあり、消費税増税の条件であるGDP年率2%を達成する勢いです。増税の判断は、2013.4-6月の四半期のデータで、参議院選挙後の2013.10になされるそうですから、GWを過ぎて選挙までは、久々に日本全体が良い雰囲気に包まれるような気がしています。
本屋さんの新刊本を見ても、アベノミクスを礼賛する本で満載です。その中で、行きつけの本屋さんで私が見るところでは、アベノミクスに明確に反対しているのは、この本だけのように思います。またその著者の増田氏は、この数年読み続けている方なので、目に飛び込んできました。
アベノミクスが成功したかどうか -
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現在の金相場高騰はバブルではないという論理的な説明がされていて面白かったが、でも、やはりバブルの可能性はないのかという疑念は完全には拭えなかった。1、ゴールドの工業原材料としての需要はほぼ安定してある。2、金銀比価でも過去5800年にわたってゴールドが銀に対してほぼ一貫して割高になってきた。6000年も続くバブルはない。3、例えば80年の物価水準での1オンス=850ドルという金額に到達するには、現在の物価水準だと2000ドル強まで上昇する必要があるというふうに、不換紙幣の増刷によりゴールドの実質価格は下落してきた。4、70年当時の金価格/米国のマネーサプライを100とすると80年は800近くに
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ネタバレおすすめ度:85点
「アメリカという国をクルマという視点から一刀彫」。アメリカはなぜここまで落ちぶれたのかを著者は見事な切れ味でさばいている。
7つの大罪は以下の通り。
1.エネルギー・スペースの浪費
2.行きずり共同体の崩壊
3.家族の孤族化
4.大衆社会の階級社会化
5.味覚の鈍化
6.自動車産業の衰退
7.統制経済への大衆動員
1から5までは、グイグイ読ませる、新鮮な刺激的視点。納得させられる。6,7はやや強引か。
罪の意識なく結果として、アメリカを衰退させたということであり、大罪という言葉はふさわしくなく、7つの皮肉ともいうべきか。
題名は「大罪」という言葉を消して、「ア -
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増田氏の本はよく読むのですが、彼の本の中で「ゴールド」に関するコメントを見ることがよくあり、彼が「ゴールドの価格」についてどのような考え方を持っているのか気になっていました。
このたび、彼がそれをテーマにした本を出したので、興味を持ちました。
金はインフレ、デフレ時においても、みんなが金融危機に直面して自分が使っているお金の価値に疑問を抱き始めたら、必ず価格が上場する金融資産である(p19)というのが結論のようです。
将来、円高になる、円安になるという議論がありますが、金の価格自体が上昇するのであれば、どちらに転んでも資産的には他のものに比較して有利であると認識しています。
金積