増田悦佐のレビュー一覧

  • クルマ社会・七つの大罪

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    今から11年前の8月に、私がずっと新刊が出るたびに追いかけている増田氏の書かれた増補改訂版です。奇しくも元版のレビューを11年前の今日に書いています。

    今年6月に改訂版が出るとネットで知って予約していましたが、ようやく届きました、この1週間は在宅勤務の合間をぬってこの本を楽しませてもらいました。

    コロナ騒動が始まる直前(令和2年2月上旬)に社会人になって2ヶ月目にしてローンを組んで買ったクルマから数えて、4台乗りましたが、ついに車を手放すことを決意しました。不便が生じたら買えばいいと思った決断でしたが、一向に不便を感じません。コロナのお陰で気晴らしには、一人ドライブよりも家の周りを1時間程度歩くことが健康的にも良いことがわかりました。

    さてこの本の内容ですが、元版では触れられていなかったポイントとして、電気自動車の行く末についても追加(8つ目の大罪)として書かれています。世の中、電気自動車や自動運転の議論が真っ盛りですが、私の知る限り、本でしっかり反論しているのは増田氏だけのように思います。私自身、自動車関連業界に勤務しているので、非常に参考となる考え方でした。

    以下は気になったポイントです。いつものことですが、増田氏の本は記すべきポイントが多いのですが、今回は改訂版であることから、追加された8番目の大罪について記したく思います。

    ・世界中の先進国でクルマが日常交通機関の王者を鉄道から奪い去った、東京と大阪という二大都市圏が高い鉄道依存度を維持しながら「高度消費社会」へと突入した日本経済が先進国では唯一の例外である(序章、p3)

    ・アメリカがなぜ大きく伸びたかというと、世界中から移民を受け入れ若く貧しく、しかしひたすら働く意欲だけは有り余るほど持った人達が大勢入ってくることによって内需主導で伸びてきかから。欧州の大国が軒並み植民地主義で外に出て行ったのとは対照的であった。さらに天然資源の埋蔵量の偏りと、科学技術の進展の絶妙なバランスによって、植民地帝国を樹立するのではなく、自国内のエネルギー効率の高さで世界の最先端を切り開く国に成長していった(序章、p36)

    ・石油さえ枯渇しなければ自動車文明は安泰だとも言い切れない重要な2つのポイント、1)自動車の販売台数が、原油価格が下がっても2016年の1755万台をピークに減少し続けている、2)成人一人あたりの年間走行距離は、2000年代半ばをピークにガソリン価格が下がっても減少し続けている(序章、p41)

    ・電気や水素で動かす車の最大の問題は、再生可能エネルギー源による発電も、電気・水素を動力源とした自動車も、化石燃料より遥かにエネルギーを浪費することである(8章、p319)あまりの高コストに悲鳴をあげて、世界一クリーンで安上がりなエネルギー源である「天然ガス」の積極利用に戻るだろう。その結果実現する社会は、多分現代日本の大都市圏がそのまま世界中に広がった姿に似ているだろう(p320)

    ・地上1.2-1.5メートルの所に設置された気温測定装置は、特に北半球の人口密集地帯や幹線道路沿いで顕著に上昇している。それは個人家庭に冷房が普及し、ほとんどの自動車に冷房が標準装備されただけで説明できる。温度を上げる技術はいろいろあるが、上げる技術は存在しない。温気を冷媒で固めて別の場所に置き換えるだけ、冷房が普及するほどエアコン室外機、自動車の排熱により薄皮一枚程度の気温は上がる、しかし、地上9-17キロに及ぶ対流圏全体や海水温が、地表の温度同様に温まり続けている兆候はない(p323)

    ・設備能力をフルに活かせると仮定すれば、太陽光発電や風力発電は安上がりである、太陽光は原子力の44%、風力は25%で済むことになる、だが原子力発電所の稼働率は90%、太陽光は9.5%、風力は16.6%である、稼働率や想定稼働年数を考慮すると、原子力は有利となる、太陽光なら原発の10.4倍、風力は3.4倍である(p325、326)

    ・天然ガス発電は現在存在するあらゆる発電法の中で一番一次エネルギー源から電力への変換効率(65%程度)が高い、複合発電である。これは、ガスタービンを回すときの排熱を水を沸騰させて蒸気タービンを回すために使って発電量を増やす方法である(p328)

    ・テスラが最近当期損益で黒字になったが、電気自動車を売るたびにエンジン車を一台売る権利をもらっているが、その権利を他の自動車会社に売っているから、本業が振るわない理由は、価格が高く、一回の充電での走行距離に誇大宣伝をしていて、しかも事故が起きた時の人体へのダメージが大きいから。総重量を抑えるために、本来なら堅牢な金属にしなければならない部品をプラスチックにして軽量化している(p333)

    ・クルマ社会が死滅するからといって、自動車という輸送ききのあり方全体が衰退するわけではない、シェアを拡大し続ける分野として、軽自動車・トラック・オートバイ・スクータといった、平和国家として再生した日本が守りつつけた分野で実用性を重視した分野である。大きく衰退するのは、自家用大型乗用車、アメリカのビックスリーが得意として、利益率が大きかった分野である(p337)

    ・ただし、トラック・二輪車・軽自動車部門を始めから持っていなかった企業や、系列化の他企業に移管してしまっていたり、部門丸ごと他の自動車メーカに売り渡してしまった企業の地位は下がるだろう。トヨタのトラックは日野からの技術導入だろう、日産は日産ディーゼルをボルボに売却、今はUDトラック、軽自動車はOEMにしてしまった。(p339)

    ・トヨタという会社はかなり運の良さに助けられた会社なのに世間では過大評価されている、かんばん方式がなぜ成立したかというと、東京・大阪圏で工場の新設・増設ができなかった時代に、名古屋の自動車会社だったから、名古屋周辺の広い道路を使って資材の搬入や製品の搬出が自由にできた要因が大きい。同様に浜松に本社のあったホンダ、スズキも極度に圧縮した在庫管理ができた。(p340)

    ・1950年代半ばでトヨタと日産の間で工場網建設の計画性に雲泥の差がついていた、日産は自由に主力工場の増設・下請け工場の結集ができなかった、その時点では数年の遅れで済むはずの差であったが、1959年に東京圏で、工業等制限法、1964年に大阪圏で、工場等制限法が施行されて、この二大都市圏で工場、大学の新増設が一切禁止された(p341)この法律が撤廃されたのは、2002年である(p357)

    ・営業の最前線では数値目標は非常に重要である、しかしトップがコミットメントしてはいけない、組織というのは、数値目標を掲げた途端、それを達成するためだけに突き進むことになる。短期的には効果があるかもしれないが、続くわけがない(p352)

    ・高度経済成長が、安定成長・低成長・ゼロ成長、そしてマイナス成長となった理由は明確である、それは経済成長の原動力とも言うべき「都市化」がストップしたから、三大都市圏への流入人口の激減した。本当に労働生産性を高めたかったら、人を生産性の低い地方に押し留める政策は取るべきではなく、人口移動奨励策とまではいかなくても、地方から三大都市圏への人口移動の邪魔をしない政策を取るべき(p363)車社会化した欧米では、道路渋滞がボトルネックとなって90%を超える人口都市化は非現実なのに対して、鉄道網がある、東京・大坂圏内ではその都市化にも十分対応可能である(p363)

    2021年9月12日作成

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    2021年09月12日
  • 不確実な未来を生き抜くための「経済史」

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    「官製相場」と言われる株高の一方で、一般家庭の家計は物価上昇で苦境に陥っている。
    やせ細る一方の実体経済と活況を呈する金融市場との乖離。
    こうしたアンバランスな経済状況は、日本がいま非常に不確実性の高い時期に差し掛かってしることを示す。
    目一杯大きな視野から世界と日本の経済史を振り返ることで経済の原理、資本主義のカラクリ。
    経済史をひもとけば、日本の進むべき道と私たちが今後生き残る術も見えてくる、ということで、
    第1章 経済覇権を城壁のない都市が握った経済史の黎明期
    第2章 16世紀以降は戦争とインフレ・デフレの関係で
        経済史を総括できる
    第3章 経済思想家は経済をうまく導いてきたのか
        経済学で言うべきことはアダム・スミスが
        言い尽した
        アダム・スミスのラデイカル精神はどこから
        来ているか
        アダム・スミスよりも権威主義だったマルクス
        マルクス経済学からなぜ卓見が生まれたか
        アメリカの大国化を予測したアダム・スミス
        <略>
        経済学者が「官僚統制型」を支持する理由
        <略>
        1930年代不況を深刻なものにしたのはGM
        国がお金を使った分だけ庶民の消費の余地が
        失われる
        企業の独占はなぜ市場に悪い影響を与えるか
        ケインズ主義と旧通産官僚にある共通の性質
    第4章 20世紀はばぜ金融業の時代になったのか
    第5章 アベノミクスでは日本経済は復活しない
    第6章 日本経済が今後その隠れた実力を発揮する方法

    というような内容です。
    最後の章で、「全生産要素」なる新たな観点の指標で、日本の未来は明るいということを予言している。
    日本経済復活のカギを握るのは、国民が勤労倫理の高さを持ち続けることが重要であるという主張でした。
    そして、日本は技術革新と効率性の追求が両立する国であると。
    全世界を見渡しても、それは、ドイツにもない日本だからの特性であるとしている。
    自分たちの職業が奪われないよう官僚と結託するエセ経済学者のわけのわからない学説にはくれぐれもだまされないようにいたしましょう(笑)・ 

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    2016年12月11日
  • クルマ社会・7つの大罪 アメリカ文明衰退の真相

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    増田氏の本は毎回読んで多くのことを学ぶのですが、今回のテーマはアメリカ文明が今までのアメリカの繁栄を支えてきたと思われてきたクルマが普及したことで逆に衰退してしまったことを解説しています。

    現在、中国やインドがクルマ社会に向けて成長しているなかで、鉄道が衰えていない日本(特に東京と大阪圏)には明るい未来があるという内容です。円高や株式低迷、国債の増加等、暗い話題が取り巻く中で久々に元気づけられた感じがします。

    以下は気になったポイントです。

    ・世界中の先進国でクルマが日常交通機関の王者の座を鉄道から奪った、東京と大阪というに大都市圏が高い鉄道依存度を維持しながら高度消費社会へ突入したのは先進国では唯一の例外、大衆社会か階級社会かの違いが起因している(p39、190)

    ・旅客輸送一人当りの消費エネルギー量(自動車)は1965年から2003年まで殆ど変わらず(600)に飛行機(1500→400Kcal)に抜かれた、これは渋滞増加による空吹かし増加、一人1台のクルマ保有のため、鉄道は変わらず50Kcal程度(p53)

    ・アメリカ路上走行において業務用車両は5%程度、欧州では10%、日本では30%(p69)

    ・誰もが楽しめるようなライブパフォーマンスが駅前広場を中心に繰り広げられている時代には、ラジオもレコードも普及しなかったのが事実、鉄道からクルマ社会に変わったときに、様々な階層の人達が集まる場がなくなって、文化や芸術が分化していった(p96、104)

    ・平和な社会に再適応できない兵士が増えた理由として、出征した兵士が帰るまでの、アメリカ人同士の共同体の中に、再吸収される時間的余裕が短くなってきたのが一因(p107)

    ・アメリカ国民全体の雰囲気を象徴していた歌手は、ビリー・ジョエル、ブルーススプリングティーン、マイケル・ジャクソン、シンディ・ローパー、マドンナあたりが最後(p111)

    ・1953年頃の自動車産業が栄える前は、自動車産業の経営陣でさえ、長距離出張には列車で出かけていた、第二次世界大戦直後に鉄道乗客数がピーク(10億人)(p147、151)

    ・史上最大の公共事業は、アメリカの州間高速道路建設である、ハイウェイが真ん中を突き抜けた街は死滅した(p151、153)

    ・フリーランチの本来の意味は、19世紀末から20世紀初において、昼飯どきに5セント払ってビールを1パイント頼めば、料理は食べ放題というサービスが由来(p165)

    ・子どもが自分の読みたい漫画を買いに行く自由のある社会か、買い物は常に大人が子供を連れて行くので大人が子供に読ませたい漫画を買い与えるかの社会の差が、両者の漫画の質の差に起因する(p173)

    ・一国の豊かさのピークは、一般大衆にどこまでぜいたくを許すかで決まってくる、イギリスは毛織物や綿製品により、アメリカはクルマ(p177)

    ・アメリカで市街電車が嫌われたのは、中産階級の人の妻や娘が、有色人種やギリシャ正教やユダヤ教等の人達と同じ車両に乗り合わせることであった(p180)

    ・あらゆる個人にT型フォード1車種を薦めることから、社名はフォード・モーター、あらゆる階層にマッチする製品ラインを準備することから、GMモーターズと複数形の名称(p187)

    ・日本人の摂取カロリーは、2008年にとうとう終戦直後(1900キロカロリー)を下回った(p226)

    ・植民地から金銀財宝を奪うのは支配階級たちの関心事であったのにたいして、スパイスを求めるのは大衆が共有していた関心事であった(p228)

    ・1930年代半ばまでは日本の自動車市場は世界でもっとも自由競争の原理を守っていた、横浜のフォード工場、大阪のGM工場で作られていた車で1930年の95%シェアを占めていた(p244)

    ・1960年代に日本車は性能の悪さは酷評されているが、堅牢性や耐久性の高さは例外なく褒められていた(p256)

    ・デミング流の品質管理がアメリカで受け入れられなかった最大の理由は、経営トップから工員まで平等に責任と権限を持たなければ品質管理ができないという主張から(p262)

    ・日本では単純工程をロボットに任せるが、アメリカではいままでの機能分担になかったような仕事を新しくやらせるためにロボットを使う(p286)

    ・エリートにとって生活水準格差が縮小することは、この世の終わりと思うほど辛いこと(p301)

    ・トラック、二輪車、軽自動車を始めから持っていなかった企業は今後厳しい、具体的にはトヨタや日産、ホンダやスズキは生き延びる(p329)

    2010/09/12作成

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    2012年04月18日
  • 奇跡の日本史 「花づな列島」の恵みを言祝ぐ

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    日本史に何があったか?ではなく何がなかったか?という視点で語る比較文明論。
    着眼点そのものが面白いのはもちろんですが、本書はそれに留まらず、ステレオタイプな日本史観の読み替えを行うことを目的とした非常に壮大な試みであると言えます。

    多くの日本人は「日本は明治維新をきっかけに近代的な国家になった」という史観、あるいは(日教組の大好きな)「戦後平和憲法を掲げたことで日本は平和に経済発展することができた」という史観を疑うことなく信じていると思います。ところが、本書で語られるのは江戸時代からすでに欧米以上に近代的な国家を築いていた日本であり、縄文時代からすでに争いとは無縁だった日本です。
    欧米至上主義の歴史観を離れて眺めることで、日本の素晴らしい文明が見えてきます。

    本書の核心となる着想は防壁に囲まれた城塞都市を築き争いの絶えなかったヨーロッパと壁のない街に暮らし紛争とは無縁だった日本の違いです。同じ着眼点の大石久和『国土学再考』を読んで感銘を受けた方なら共感できると思います。大石氏は悲観的でしたが、増田氏は超楽観的なのが両者の大きな差でしょうか。

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    2010年12月29日
  • クルマ社会・7つの大罪 アメリカ文明衰退の真相

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    同じ著者による『日本文明・世界最強の秘密』の姉妹編とも言える評論。両方読むとより理解が進みます。

    アメリカのクルマ社会が文明にどのような変化を及ぼしたか、そしてなぜアメリカはクルマによって没落していったかを論じています。増田氏お馴染のエネルギー効率史観、エリート社会の欧米と大衆社会の日本といった主張も織りまぜつつ、車を切り口としてここまで多彩で広範な文明論が語れてしまうことに驚きました。
    まさに「車を見れば世界が見える」。

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    2010年09月05日
  • やはり金だ

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    もう少しで30年になるでしょうか、この本の著者の増田氏が新刊が発行されるたびに、真っ先に読んでいます。今回は資産形成に特化した内容ですが、欧米と比較して日本の社会制度等が優れていることを、実際に誰でも入手できるデータを利用して、その入手先も示しながら解説してくれていて、読んでいて安心感を得ています。

    そんな増田氏は、コロナが終息すると皆が理解するようになる数年以内に確実にやってくるであろう、株を始めとした多くの経済変動の中を耐えるにはどうしたら良いかのアドバイスを与えてくれています。

    結論としては明確でした、通貨としては日本通貨で十分、乱高下している仮想通貨も面白いとのことでした。株はいずれ大暴落するので買い時が難しいとのこと、そのようなお金があるのであれば「ゴールド」を買うべきだそうです。

    また、この部分が興味深かったですが、そのような余裕資金がない人(特に若い人へのアドバイス)には、しっかり働いて「稼ぐ力」を身につけることへ投資することが1番のようです。娘達の就職活動を見ていても、私が行った30年前とは全く異なっています、それなのに大部分の会社のトップは、まだ頭の硬い人たちがいるので入社後も大変かもしれません。

    戦後直後に中小企業だった会社が成長したように、今は、大きな会社よりも未来を見つめている会社の方が働き甲斐があるのかもしれないと思いました。この本を読んで色々と考えさせられることがありました。

    以下は気になったポイントです。

    ・世界各国がますます統制経済の色彩を強めてしまうのか、自由競争の市場経済を取り戻せるかは、ビットコインが定着するにかかっている(p6)

    ・金の比重は19.5、水より20倍重いので、金1グラムは縦横2ミリずつ、奥行き5ミリの小さな棒が、1平方メートル以上に広がる(p25)さらに、金は熱伝導性、電気伝導性が高いので、他のところから入り込んだ熱エネルギーを自由に自分の中に貯め込んだりせずに、すぐに別の場所に送り出してしまう(p36)

    ・2009年にアメリカのサブプライムローンバブルに端を発した国際金融危機がどん底まで深刻化した、その年を境に世界中の中央銀行が金準備を増やすようになった(p41)人類が掘り出して精錬した金(16.5万トン)のうち、所在がわからなくなった分はたった2%程度に過ぎない、金がいかに大事にされきたか、他の物質と化合することが少ないことを証明している(p44)

    ・独立戦争直前頃から南北戦争当時までのアメリカ、ペンシルベニア・ケンタッキー・テネシー州では、ウイスキーが貨幣として通用していた。保存状態が悪いと酢になってしまうワインと違って、比較的長い間同じような品質を保つウイスキーは、多くの銀行が紙幣を発行していて信用度に極端な違いがあったドル札よりも信頼のおける交換手段であった(p47)

    ・1913年から1ドルの価値がどれだか下がったか、1970年には25セント分の価値はあったが、現在では3セント程度。米ドルが不換紙幣になってからの50年間で、8分の1に価値が減ってしまっている(p55)

    ・現在の「金融緩和バブル」はもうすぐ終わり、今後少なくとも6−7年は投資より資産防衛に徹するべき時期である。そういう環境においては、多少の価格変動には目を瞑って、金を買って持ち続けることが最良の戦略である。ただし、金本位制が導入されて、しかも数年間続いてしまうと、金の資産価値はかなり下落する(p59)固定相場になったら、金の購買力はインフレとともに下落するので(p110)

    ・ウズベキスタン政府は、小さな金箔を透明フィルムに封入して、これが純度99.99%の金であることを政府が保証する、というQRコードをつけて重さに応じた価格で流通させる計画がある(p60)

    ・金はそろそろ底打ちするだろうと思うときに下がり続け、もう反落するだろうと思うときにさらに値上がりする、厄介な価格形成をする。金は本当に転換点が予測しにくい値動きをする商品である。なので、投資対象として金を売買することは勧めない(p77)

    ・2016年頃から外国人投資家が売りに入っても日経平均は下がらないどころか上がり続けている、これはひとえに日銀が日経平均連動型の日本株ETFを買っているから(p91)

    ・スコットランドは独立国であったが、17世紀半ばにイングランドに借金を立て替えてもらった代償として、まだイングランド王国と名乗っていた頃の大英帝国に吸収合併されてしまった(p94)

    ・ビットコインが金融の歴史に果たした最大の功績は、デジタル空間に記録を残しながら無名性を維持できる取引の場を設定したこと(p106)

    ・ロックダウンを実施した地域の方が感染者の増加率が低いという実証的データはない。一方、ロックダウンが特に中小零細サービス業の営業拠点に壊滅的な打撃を与えていることについては豊富な実証データがある。これは世界経済全体を破滅の淵に追いやっていると言っても過言ではない(p121)感染経路に関する実証研究(ニューヨーク)によれば、80%以上がホームパーティでの感染であり、レストラン感染は1−2%に過ぎない(p122)

    ・2007-2027年の21年間が、通常なら10年に一度起きるか起きないかの危機が、2−3年毎に起きる長期不況の時期となる、その終末店にいたるアメリカ経済衰退の経路としては、株式市場の閉店セールに過ぎない大手企業の自社株買いのための内部留保が底をつくのが大体2027年頃であった。今まではこのような平和な衰弱過程をイメージしていたが、今では違うイメージである。多大の経済的犠牲と人命の犠牲を払ってでも、巨大資本に権力が集中している時代から、経済権力が希薄化する時代への転換を阻止しようとしている。大都市中心部に住んでいた金持ちが、郊外や地方、海外へ移住している(p125)

    ・再生可能エネルギーによる発電、電気自動車、水素燃料車の開発に便乗した分野での投資ては、全て数年でエネルギー効率の悪さによって、撤退せざるを得なくなる袋小路であろう、これが判明するのに6−7年かかる(p126)

    ・投資を避けるべき重要なポイント、1)一度過ぎ去ってしまえば戻ってこない時間の損失が大きい、2)製造業からサービス業へ移行するので、投資から得られる収益も確実に低下する、3)アメリカで製造業主導経済を守ろうとする過剰投資、重複投資を推進して中小零細サービス企業潰しを図っている。今後6−7年は経済が混乱して金融市場は暴落する(p130)

    ・アメリカ政府の連邦準備制度の金準備は8134トンであり、ドイツの2倍以上あるが、その大部分は強制的に国民から買い上げたものである、この買いが終わった直後に政府は固定相場を1トロイオンス35ドルに引き上げて(20ドルで国民から購入)評価益を出した、ルーズベルト大統領令により、1933.4.5に金保有宣言を禁止、5月1日までに政府に売却することを命じた(p162)

    ・イギリスでは、12ペンスが1シリング、20シリングが1ポンド、さらに1ポンドとほとんど同じ価値のギニーは21シリングであった。ギニーは、芸術作品、書画骨董、古銭、切手、著名人のサイン入り蔵書など、専門家の鑑定なしに円滑な取引ができない商品はビニーで価格表示をした。5%の上乗せがあるということである(p207)

    ・金貨としては、純度が高くて刻印される図柄が安定している、オーストラリアのハーモニー金貨、カナダのメイプルリーフ金貨(純度99.99%)が良い。重さも全部1トロイオンスにしておくて、1個当たりの時価の目安もつきやすく、平積みもしやすく便利である(p207)

    ・どんな世の中になっても絶対にしない投資は、自分の労働力、消費力を高めるための人的資本への投資である。毎年着実に稼ぐ力を5%ずつ向上していったら金融資産でかなり大きな利回りを達成するより生涯所得は大きくなる。高齢化による劣化に耐えうる人的資本を若いうちから培っておくべき。効率が悪いのは、高学歴を取得して安定して高収入が得られる著名大企業に入ること。(p218)

    ・すでに金融資産をお持ちの方は、なるべく金に換えるか、円の現金で持つようにする。まだ持っていない人は、人的資本の拡充に注ぐ。その人的資本は、企業は組織の中でしか発揮できない技能や知識の習得より、企業や組織に頼らなくても発揮できるものに振り向けるべきである(p228)

    2021年3月6日作成

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    2021年03月06日
  • 夢の国から悪夢の国へ―40年間続いたアメリカン・バブルの大崩壊

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    戦後日本人が憧れた夢の国アメリカが、衰亡への道をたどっているということを、具体的な数値を示しながら論じている。
    第1章 経済金融化の分水嶺は1974年
    個人退職年金法の改正で金融市場にあぶれだした多量のマネーが、一握りの金持ちだけの国、あらゆる低次元の不正が横行する国となってしまった。
    第2章 アメリカを衰亡に駆り立てる黙示録の四騎士たち
    ということで、第一の騎士は貧困の構造化、第二の騎士は利権の横行、第三の騎士は自由の仮想現実化、第四の騎士は持続不能となったクルマ社会だ
    として、具体的数値を示しながら縷々説明されている。
    最近読んだ本では、ソ連のスパイがアメリカを混乱に陥れ、その間に共産革命を起こすというシナリオがかつてあった。
    オバマ政権になり、連邦政府職員の増大、高給取り化による財政の混乱、行き過ぎた原理主義などなど。
    第7章ではかくて地上最大の軍事帝国は滅亡する となっている。
    いくら他人事であり、アメリカさんの事であるとは言え、読めば気が滅入る内容だ。
    はたして、アメリカは立ち直るのか、きちんとした情報に接しながら見守っていきたいものである。

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    2016年12月30日
  • 不作為で勝ち残る日本経済 米中没落を直視すれば、復活の条件が見えてくる

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    米中没落を尻目に日本が反映するには理由がある ということを証明するため、著者は以下の章立てで語る。
    第1章 なぜ、世界中で株価が乱高下しているのか
    第2章 「宗主国なき植民地」経済、米中2大国
    第3章 アベノミクスとはいったいなんだったのか?
    第4章 完成された官製相場の終わり
    第5章 21世紀最初の15年間とはなんだったのか?

    結局、第5章で、増田節が炸裂するのだが、縄文時代の12000年の世界の歴史で稀有な平和時代を経験した日本人のアイデンティティ。
    そのよさに自信を持っていい。
    安倍ちゃんみたいな何をするか解らない政治家が一番あやういと(笑)。
    曖昧模糊というスタイルを貫けるかどうかです(大笑)。

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    2016年05月27日
  • 夢の国から悪夢の国へ―40年間続いたアメリカン・バブルの大崩壊

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    ここ数年、アメリカ経済や社会に対して懐疑的な内容を書かれてきた増田氏ですが、この本はそれらの集大成と言えるものかもしれません。

    私が感じたこの本の特徴は、アメリカは昔からそのような国だったわけではなく、この数十年間に完全に変わってしまったのだということを、すべてデータを根拠に論じています。

    彼のポイントは、1970年後半にアメリカで決定された年金改革や学費ローンには免責を認めないという制度を部分的に導入したのが、今の格差にもつながっているということです。

    アメリカはインフレ経済が続いていますが、その中でも、医療・教育関連の料金はこの数十年間で驚異的に上昇しているのが起因している様ですね。それらの変化に対応できる人達が、アメリカの経済の主導権を握っているようです。


    この本のタイトルにあるように、アメリカが崩壊に向かっていると、今回の滞在(2014.6)では感じませんでしたが、米国企業に勤務している私にとってはアメリカにはさらに頑張ってほしいと感じました。

    以下は気になったポイントです。

    ・アメリカ社会が問題となったしまった出発点は、1974年の個人退職年金の改正であった、金融業界にとっては稼ぎやすく、それ以外では暮らしにくい社会になった(はじがきp3、p7)

    ・現代アメリカを悲惨にしている制度・政策のすべては、現実主義的な改良・改善の努力の積み重ねで生まれたもの、個別の政策は誠実に「良かれ」と思ってやったことだが、その累積効果はどんでもなく意図とかけ離れたものになった(はしがきp4)

    ・1970-2012年の42年間で、名目GDPは20倍、金融業を除く企業の利益総額は18倍、金融業は41倍であり、名目GDPの2倍を上回るペースで成長した、この利益成長が勤労者の取り分を圧迫していた(p30)

    ・アメリカはつぎはぎだらけの医療保険制度、高齢者向けメディケア・貧困層向けのメディケイド・企業の支援する医療保険・民間医療保険の4本立て(p62)

    ・1998年の段階で、住宅ローンの約15%がサブプライムだったが状況が一変するのは、貸し手側がリスクをずっと抱え込まずにすむように債権自体を証券化して、住宅ローンをまとめて大きな束にして売り買いする市場を拡大させたことにある(p65)

    ・住宅金融に特化した不動産担保証券化商品は、2001年の1兆ドルから、1.44兆ドル、2.13兆ドルと拡大した、これは年間発行高(p67)

    ・借り手の信用特性に応じて上手に切り分けることは本当に行われていたのか、2013年の年末に、JPモルガンが 1.3兆円の巨額の和解金を払わされている(p68)

    ・不備な書類(お互いのサインが無い等)を根拠に差し押さえしても、差し押さえを受けた所有者は住宅ローンの残高を一銭も払わずに裁判所で所有権を認めてもらえるだろう(p73)

    ・アメリカの住宅ローン残高も徐々に減少しているが、これは完済というよりも貸倒償却による減少額が多い(p78)

    ・ごく少数だが、4大資格をとった連中が大学卒業と同時に自己破産申請して学費ローン完済を回避した事例がでてきたので、学費ローンだけは自己破産しても免責されないことになって今に至る(p98)

    ・大都市でこそ儲かるビジネスをできている金持ち達が、自分たちの結成した豊かな自治体を豊かにするためには税金を払うが、ビジネス拠点である都会には税金を払わないというタダノリをしている(p107)

    ・インフレは、自由に借金をすることができない庶民から、借金し放題の連中への所得移転である、一方デフレは借金税である(p114)

    ・マネーサプライを増やそうとしても、国民が必死に抵抗して貨幣の流通速度を抑えることによってマネーストックの激増を回避してインフレの到来を防いでいる(p118)

    ・アメリカは今、肥大化しすぎた金融業界が経済全体の失速を招くのが先か、巨大化しすぎた産業・官僚・軍事複合体が自滅を招くのが先かというところまで来ている(p132)

    ・アメリカは金融業界において、日本のそろばんや電卓の早打ち名人はほとんどいなくて、IT革命前は帳簿処理は人海戦術でこなしていた。そこへコンピュータが普及したので、単純作業に特化した人達を大幅に削減できた(p145)

    ・若年層から仕事を奪ったとされる中高年齢者のうちでも、55-64歳の人達は、勝者とは言い切れない状態で自分の労働を切り売りしている(p152)

    ・2008年の価格で実質化したアメリカの平均時給の推移は、1972年に20.6ドルであり天井を打っていた、バブルといわれた1990年後半でも1979年の18.76ドルを超えられない(p158)

    ・現在30歳以下の女性から生まれる赤ちゃんのうち半分以上は婚外子、出産後の離婚もふくめると3人のうち一人が父親のいない家庭で育っている(p189)

    ・工業製品の代表例である新車価格は、1978-2013年までで 2倍弱(95%)だが、医療費は 7.1倍(613%増)、大学授業料は 11.4倍(1140%)である(p199)

    ・学士号取得以上の学歴での失業率は、全体(10%)の半分程度(5%)(p203)

    ・学生ローンは、1995年の 14→163億ドル(1.6兆円)へと激増している、学費ローン残高が個人会計に占める割合は8%(9000億ドル)であり、クレジットカードローンを超えた(p206)

    ・学生ローンは延滞が270日になると、サリーメイは自動的に債権をGRCへ移譲、その瞬間から元利以外に返済総額の25%を回収料、28%を手数料として借り手から徴収する、当人の承諾なしに雇用企業から直接給料の一部を回収できる(p216)

    ・オバマ大統領への大口献金者の一角を、アメリカ連邦政府が占めている、62万ドルの第4位、1位から順に、CA大学、マイクロソフト、グーグル、ハーバード大学(p268)

    ・アメリカは肥満人口と収監人口(成人31人に一人、通常賃金の10分の1)に関して、他の追随を許さない独走態勢を築いている(p279,286,288)

    ・タバコはニコチン中毒患者の安定需要があるので値上げしても需要量が変化しない、ところが大麻は合法化すると大麻の市場が大きくなり、税収増につながらない(p300)

    ・低カロリー食品は、高カロリー食品のジャンクフードにくらべて、だいたい量も少なく値段も高い、同カロリーを摂取する費用を比べたら、8-10倍になるだろう(p309)

    ・支出1ドルあたりで摂取できるカロリーベストテンにおいて、1位はピザハット(376)、2位はバーガーキング(338)(p310)

    ・奴隷制において平和に合衆国を脱退して奴隷制の存続を認めるアメリカ連邦を結成しようとした南部諸州は、南北戦争において全領土を占領されて強制的に合衆国内にとどめ置かれた(p323)

    ・ガソリン価格は第一次世界大戦のころ(1918)でさえ、1ガロン3.5ドル払っていたので、まだまだ上昇する余地はあるだろう(p344)

    ・アメリカ全体の石油使用量は 2005年をピーク(一人当たりの走行距離のピーク)にかなり減少している、これは平均時給でかえるガソリン量が、2002年の10.5→2012年の5.1ガロンに減少していることも一因、若年層の免許取得率が 80→70%割れも起因(p347,356)

    ・自動車とは、ふつうの世帯が保有している自動車が動いているのは1年のうちで10日分で、あとはどこかに置かれているだけ(p351)

    ・1950年に185万人で頂点に達したデトロイト市は、直近では70万人にまで減少、特に1994-95年に100万人を割り込んでからの下げ方がきつい。製造業雇用者は、29.6→2.7万人となった(p364)

    ・新生GMは、繰延税金資産を454億ドル(4.5兆円)引き継がせてもらった、これにより収益があがっても税金を払わなくてもよいという会計処理(p371)

    ・全米大都市中で人口喪失率の最上位15位がいつから減少したかをみると、1930年代(ニューアーク、オハイオ州ヤングスタウン)1960年からはバーミンガム、ニューオーリンズ、オハイオ州デイトン、ミシガン州フリント等、メインは1950年代から(p376)

    ・経済的に繁栄している州も、困窮している州も、貧富の格差が大きい。貧富の格差が大きいトップ25の市は、デトロイト以外は、ほとんど経済的に繁栄している市である。ニューヨーク州のジニ係数は0.502、ニューヨーク市は0.543(p379)

    ・今やFEDは、世界最大の米国債の保有者であるとともに、60倍を超えるレバレッジ(自己資本に対する借入比率)で運営されている。60倍のレバレッジとは、1.7%(1/60)の含み損が生じただけで債務超過になるということ(p395)

    ・2009年以降において、最初の4-5か月は在庫がさばけていたが、その後の景気回復は、半分以上が在庫の増加(p417)

    2014年6月8日作成

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    2014年06月09日
  • 中国自壊―賢すぎる支配者の悲劇

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    戸籍制度 格差社会 資源浪費バブル

    GDP の内訳 一党独裁 裸官 ジニ係数

    所得配分

    党軍幹部、資本家、都市戸籍、農村戸籍、黒子、少数民族

    平和的政権交代

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    2014年02月26日
  • 経済学「七つの常識」の化けの皮をはぐ アベノミクスで躍り出た魑魅魍魎(ちみもうりょう)たち

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    アベノミクスを中心とする、経済に関する、お決まりとされていて殆ど議論されない7つの前提について、豊富な資料・統計・図表を駆使してユーモラスではあるが、危機感と怒りを持って反証していく経済解説書。
    具体的には、
    1. 「インフレ」は貸し手(一般国民の貯蓄)に不利で、借り手(国・一流企業・金融機関)に有利。
    2. 「円安」は、支払額は増えて、買えるモノやサービスは減少し、貿易赤字拡大と日本経済の縮小均衡を招く。
    3. 「マネタリスト」は、歴史的事実を入れ替えて理論を構築している。
    4. 「ケインズ政策、ケインジアン」のエリート意識と、「有効需要」の中の利権配分システムの危険性。
    5. 「労働市場自由化」という改革論者の誤謬をアメリカの分析から検証。
    6. 「少子高齢化」は経済成長を促進する社会で、若い人口が多いとよしとされる国の悲惨な実態と展望。
    7. 「独占や寡占」への産業構造への変換の利権構造と危うさ。
    と言った具合に、現在、ほぼ定説とされている事項に反論・反証を加えている。
    個々の判断は、読者にゆだねられるが、顛末は近い将来歴史が証明することになる。
    果たして結果は・・・。

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    2013年09月23日
  • 中国自壊―賢すぎる支配者の悲劇

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    増田氏の本はもう何年も追いかけていますが、この本は中国に関する彼の最新本です。彼の本の特徴は、その気になれば誰でも手に入れることができる一次データを解析している点で、自分で作成された図も多く登場します。理系の論文を読むことに慣れてきた私にとっては、グラフで著者の考えを理解することができ、読んでいて楽しいです。

    この本によれば、リーマンショックの2009年以降から、かなり無理をして成長している中国は、いずれ、バブル崩壊となるとしています。私もこの数年の中国の鉄鋼生産量や、資源や食料の消費量の変化は異常だと思います。

    私が高校生の頃に「ソ連が崩壊する」と言われた時には、誰も信じていま
    せんでしたが、その後にその信じられないことが起きました。中国の崩壊がいつになるかわかりませんが、それを延命させるとすれば、この本でポイントと私が思った「身分差別:都市戸籍と農村戸籍そして無戸籍(1958年導入、p295)」がいつまで維持できるかにかかっているようです。

    農村地区において、一人っ子政策を大目に見て二人目まで許容していたのが、この制度を維持する奥の手という考え方(p5)には、目からウロコでしたが、中国の賢人たちが知恵を絞っている様子がわかりました。これがソ連とは明らかに異なっているポイントですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・中国の高級官僚たちは現時点で、逃げ支度をほぼ完了している、証拠は、1)少なくとも家族の一人が海外の生活拠点を確立している人間は9割以上、2)海外への不正送金が10年間累計で 250兆円以上、2位のメキシコの6倍以上(はじめにp5、p235)

    ・八○后世代という特別呼称が成立したかは、1979年に一人っ子政策が中国全土に強制されてから生まれた世代、甘やかされて育ってきたこの世代で離婚率が30%に達している(p4)

    ・農村戸籍の人は一人目が女の子の場合は、二人目を持てる例外がある、これは農村戸籍者を多数派にしつづけるためという政治的理由(p5)

    ・GDP 1%を成長させるのに必要とする鉄鋼消費量は毎年増えて、2011年は 1996年比較で7倍、中国以外の国は鉄鋼消費量を絞りながら経済成長を維持している、高くなった素材を投入できるのは中国が統制経済である証拠(p15、18、19)

    ・中国の工業部門に占める外資系企業の割合は、2007年で従業員30%、輸出は57%、国有企業は1999年において従業員70%強でありながら、生産額は30%を切っている(p23、34)

    ・中国共産党が、都市住民と農村住民の身分を固定化したのは、国共内戦に勝利してから(p41)

    ・海岸沿いの東部地方と、内陸の中部・西部では、経済発展のペース異なる、東部の農村戸籍のほうが、中西部の都市戸籍者よりも高い生活水準(p43)

    ・ソ連の粗鋼生産量は当時2-3位だったアメリカや日本の5割増しであったが、中国の場合は2位の日本の5-6倍、これは意図的に経済資源を浪費しながら支配階級にとっての利権を維持する政策がもたらした(p66)

    ・最近、中国ではエネルギー資源を買い切れなくなってきているので、中国の貿易港に入港してから引き取り拒否されている、そのため石炭価格が急落している(p71)

    ・一人の労働者がどの程度の資本装備を使って働いているかを比較すると、日本は中国に16倍の差(日本は32万ドル)、日本は2011年の世界エネルギー消費量の3.9%でGDP 8.6%程度を算出、世界平均の半分の消費量ですんだ、これは中国の4分の1(p86、105)

    ・中国では、あれだけ高度成長が続きながら、中国企業の自己資本利益率はインフレを割り引く実質ベースでは、過去5年間一貫してマイナス、とんでもない話(p94)

    ・現在の中国は、低賃金の強みではなく、投資の拡大で成長を確保している、本来なら償却年限がきていない資本設備まで廃棄して新しい機械を導入している(p103、104)

    ・ジニ係数の比較において、アメリカは全世帯、中国は都市戸籍をもった住民のみ、母集団が違う、中国もアメリカも、保有資産の世帯平均値が、中央値の6倍、平均値が中央値の6倍になるには、合計7人と考えた場合、1人が持っている資産は、残りの人の36倍の資産を持っていることになる(p124,132,135)

    ・アメリカでは、1999年には時給で14ガロンのガソリンが買えたが、今はたったの5.1ガロン、10年間で約3分の1になったのが、アメリカ社会の現状(p129)

    ・中国では都市戸籍保有者の場合、「高考:センター試験に相当」において自動的に50点加算される(p137)

    ・中国製品の輸出不振は、世界経済の貿易の低下ではなく、中国製品が
    他国の製品に負けているから(p149)

    ・沿岸部において、地域の住民の60%は都市地域に住んでいるが、都市戸籍を持っているのは40%、残りは都市で生活している農村戸籍(p158)

    ・日中韓の要素コストシェアを見ると、1)日本は、中間財に付け加える付加価値が韓国・中国よりも大きい、2)日本は、付加価値のうち8割を労働がとって資本は2割、中国は資本が6割もとっている(p182)

    ・日米欧中国の中央銀行の総資産推移を見ると、米国は2008年後半、中国と欧州は2006年くらいからずっと伸びてきている、中国は2002-12年で9倍(p266)

    ・中国での実質の潜在消費者は都市戸籍を持っている4-5億人、農村戸籍者はいつまでたっても日本製品の消費者になれない、4億程度であれば ASEAN、トルコ、西アジアにもある、過去15年の日本の対外直接投資をみれば、日本は中国からASEANへの乗り換えが順調に進んでいるのが分かる(p275)

    ・主要商品の消費量が人口に比例するとすれば、中国の消費量は20%程度のはず、それが、セメント53%、鉄鉱石48%、石炭47%である(p283)

    ・蘇州程度の中規模都市でも、下に直轄市をもっている、下の直轄市は蘇州市に税金を上納しなければならないにもかかわらず、こうなっているのは、蘇州市に直属する市の市民は、蘇州市の戸籍が持てるから(p293)

    ・鉄道が航空機に対する利点(乗り降りの区間を自由に選べる)を活かすための条件として、1)かなり狭い帯状の地域に人口密度の高い都市が繋がっている、2)沿線人口が高速鉄道の最寄駅に出てこれるような鉄道網が存在していること(p323)

    2013年7月7日作成

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    2013年12月15日
  • 経済学「七つの常識」の化けの皮をはぐ アベノミクスで躍り出た魑魅魍魎(ちみもうりょう)たち

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    ネタバレ

    現時点(2013.4)では、アベノミクスは成功を収めつつあり、消費税増税の条件であるGDP年率2%を達成する勢いです。増税の判断は、2013.4-6月の四半期のデータで、参議院選挙後の2013.10になされるそうですから、GWを過ぎて選挙までは、久々に日本全体が良い雰囲気に包まれるような気がしています。

    本屋さんの新刊本を見ても、アベノミクスを礼賛する本で満載です。その中で、行きつけの本屋さんで私が見るところでは、アベノミクスに明確に反対しているのは、この本だけのように思います。またその著者の増田氏は、この数年読み続けている方なので、目に飛び込んできました。

    アベノミクスが成功したかどうかは、数年後には誰の眼にも明らかになりますが、現時点で判断するのはとても難しいです。タイムマシンの無い今の私には、両者の意見をよく聞いて自分なりに判断して行動するしかなさそうです。

    長年低迷していた日本株価が昨年の総選挙後に急上昇したのは、私も実感しているところですが、バブルもかすかに記憶している私は、この状況がいつまでも続かないと確信しています。今後も、文字として残る本等の情報を頼りに日本の行く末を考えていきたいと思いました。

    この本においても彼が強調しているのは、デフレ経済は庶民の味方、インフレは借金のできる富豪や大企業に有利である、というポイントです。インフレ経済が進むと、アメリカのように益々格差が進むとしています。世の中では、「デフレはダメ」という雰囲気ですが、果たしてどうなのでしょうか。

    以下は気になったポイントです。

    ・インフレとは貸し手から借り手への所得や富の移転、貸し手から借り手へ「インフレでおカネの価値が目減りした分は、返却不要というメッセージ」である(p9)

    ・アメリカで平均以上の家計金融資産を持っているのは全人口のたった1.5%(p23)

    ・原油価格が上がったのではなく、米ドルの価値が下がっただけ、1000バーレルの原油を買うために必要な金の重さは、過去60年間にわたり、60-80トロイオンスである(p32)

    ・年率2%で上昇し続ければ、1世代という32年間でほぼ倍増する、2%成長を支持する人は、父母の世代より2倍の名目取得が稼げるという自信があるということ(p36)

    ・アメリカは学費の高さも貢献して、いまだに労働力人口の2-3割程度しか4年生大学卒業資格を持っていない、高卒者の大学進学率は7割だが、多くは2年生のコミュニティカレッジ(p39)

    ・貨幣の流通速度(世の中に出回っているお金を一定期間内にお金を一定期間に何回転させるか)は、個人や企業がいつ、どこで、どの程度お金を払うかで決まってくる、政府や中央銀行が管理できない、2009年の5.3回転から2012年の3.9回転へ減少(p56,110)

    ・日本のGDPに対する最終消費財のシェアはGDPの14-15%なので、輸出全体の15%程度なので、2.1%程度に過ぎない(p83)

    ・急激に進む円高の中で輸出増加を達成できた理由は、交易条件を低下させることができたから、だが輸入はまだ22%しか円決済になっていない(p93,139)

    ・円安は輸出振興というプラス効果よりも、輸入物質全ての値上がりで貿易赤字を拡大するというマイナス効果が大きいという事実を指摘する人は少ない(p121)

    ・アメリカでデフレが経済規模縮小につながった最大の理由は、ガリバー寡占企業のGMが自社だけの都合で自由に生産量を削減できたから(p164)

    ・2004-07の3年間でアメリカでは純資産中央値は、17.7%上昇して12.6万ドル、2010年には38.8%減少して、7.7万ドル(p194)

    ・アメリカ人のほぼ2人に1人は、政府の財政援助を受けている世帯に属している(p195)

    ・施行能力のない中小企業が名目だけの元請となって、実際の工事は大手建設業者に丸投げすることを「上請け」という(2012年で56.3%)、これは官公需法があるため(p220)

    ・新潟市が金沢市や富山市より人口が少なかったのは、江戸幕府が、大きな政治勢力が台頭しないように、意図的に天領と小藩領を入り乱れさせたから(p225)

    ・現在のアメリカの雇用者数は、4100万人分も低い、その乖離は1999年頃から始まっている(p247)

    ・アメリカの私立大学の学費が上がったのは仕方ないが、2002-10年の間に、公立大学の学費が、0.9→1.5万ドルになったのは金持ちしか大学へ行けなくなったのを意味する(p269)

    ・インドで問題が深刻化したのは、1750年代にイギリスがフランスとの植民地獲得戦争に勝った結果として、イギリス東インド会社がムガール帝国からベンガル地方一帯の徴税権を獲得してから、住民は租税負担が4倍となり、住民の3分の1が餓死した(p303)

    ・生まれた子供がほぼ全員成人する国だったら、合計特殊出生率:4ということは、1世代毎に人工が倍増するはず(p311)

    ・インドでは発電された電力が消費者につくまでに、送電・配電線網の30%以上が消えてなくなる(p340)

    ・鉱石運搬用の超大型ダンプトラックを完全無人化に成功したのは、コマツが世界で初めて、この部品は国内工場(小山・大阪・栗津)から供給される(p377)

    2013年4月28日作成

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    2013年04月28日
  • 危機と金(ゴールド)

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    現在の金相場高騰はバブルではないという論理的な説明がされていて面白かったが、でも、やはりバブルの可能性はないのかという疑念は完全には拭えなかった。1、ゴールドの工業原材料としての需要はほぼ安定してある。2、金銀比価でも過去5800年にわたってゴールドが銀に対してほぼ一貫して割高になってきた。6000年も続くバブルはない。3、例えば80年の物価水準での1オンス=850ドルという金額に到達するには、現在の物価水準だと2000ドル強まで上昇する必要があるというふうに、不換紙幣の増刷によりゴールドの実質価格は下落してきた。4、70年当時の金価格/米国のマネーサプライを100とすると80年は800近くに上昇し、本書執筆当時は260ぐらい。80年の基準に追いつくには金価格は3912ドルまで上がる必要がある。5、米国中の銀行の総貸出高に対する金価格からしてもゴールドは大幅に過小評価されている。80年を基準にするなら現在はオンス4925ドルぐらいあってもいいはず。こうしたことから総合的に金価格はまだまだ上昇余地が大きいとしている。

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    2012年06月05日
  • 3・11に勝つ日本経済

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    欧米のマスコミの意図には日本への疑問と恐れ。そして嫉妬があると著者は言います。知的エリートの全くいない日本は確かに頼りなく見える。しかし何故か自分たちにはできない経済も文化も長い歴史ももつ国として動いている。地震にも津波にも放射能にも負けない一億数千万人の一般人は本当にすごいです

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    2012年03月30日
  • クルマ社会・7つの大罪 アメリカ文明衰退の真相

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    ネタバレ

    おすすめ度:85点

    「アメリカという国をクルマという視点から一刀彫」。アメリカはなぜここまで落ちぶれたのかを著者は見事な切れ味でさばいている。
    7つの大罪は以下の通り。
    1.エネルギー・スペースの浪費
    2.行きずり共同体の崩壊
    3.家族の孤族化
    4.大衆社会の階級社会化
    5.味覚の鈍化
    6.自動車産業の衰退
    7.統制経済への大衆動員
    1から5までは、グイグイ読ませる、新鮮な刺激的視点。納得させられる。6,7はやや強引か。
    罪の意識なく結果として、アメリカを衰退させたということであり、大罪という言葉はふさわしくなく、7つの皮肉ともいうべきか。
    題名は「大罪」という言葉を消して、「アメリカ文明衰退の真相~クルマで一刀彫~」といったほうが本著を正しく表現しているように思う。

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    2013年10月28日
  • 奇跡の日本史 「花づな列島」の恵みを言祝ぐ

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    著者様の震災後の日本への経済評価を改めて見たくなりました。賛否はあるかもしれないけど、ばっさばっさ切り捨てていくような文章は、胸をすくようで面白かったです。日本に生まれて、日本人で本当に良かった。あと宗教対立のあまりの残酷さにびっくりです。

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    2011年10月21日
  • 危機と金(ゴールド)

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    最近の金価格の上昇が気になり、勉強のために読むことに。金投資に関する本なのかと思って買ったら、金本位制や不換紙幣、為替などの話題にもちゃんと触れられており、改めて通貨とは、紙幣とは何か?ということを考えることができた。

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    2011年09月20日
  • 危機と金(ゴールド)

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    増田氏の本はよく読むのですが、彼の本の中で「ゴールド」に関するコメントを見ることがよくあり、彼が「ゴールドの価格」についてどのような考え方を持っているのか気になっていました。
    このたび、彼がそれをテーマにした本を出したので、興味を持ちました。

    金はインフレ、デフレ時においても、みんなが金融危機に直面して自分が使っているお金の価値に疑問を抱き始めたら、必ず価格が上場する金融資産である(p19)というのが結論のようです。

    将来、円高になる、円安になるという議論がありますが、金の価格自体が上昇するのであれば、どちらに転んでも資産的には他のものに比較して有利であると認識しています。

    金積立を始めた20年ほど前は、毎年のように金価格が下落し、「お金をどぶに捨てているようだ!」と落胆したものでしたが、現在は我慢し続けていて良かったと思っています。

    また、この本では金価格の予想だけでなく、金の歴史についても解説されていて興味を持てる内容でした。

    以下は気になったポイントです。

    ・貨幣には3つの機能がある、1)交換機能、2)価値の尺度、3)価値蓄蔵の手段、である(p4)

    ・2010年の1ドルの価値は、1913年の1ドルから、0.045まで下落、逆に言えば、1913年の1ドルには、いまの22ドル以上の価値があった(p6)

    ・歴史的にみても、金の値上がり率がインフレ率を上回っている、殆どの場合、インフレ率より2.4倍以上の値上がり益が出ている(p9)

    ・アメリカが誕生して240年になるが、持続的なデフレは3回しかない、1814~30年、1864~97年、1929~33年、その間、金価格のみ上昇した、2008年のサブプライムローン・バブル崩壊以降、4度目のデフレに突入しそうな気配(p15)

    ・1871年という大昔を起点=100として指数化すると、140年のあいだ、商品の実質価格は、傾向的にはあがりもせず下がりもしていない、つまり商品はインフレヘッジには不適切(p33)

    ・株、債券、商品といった伝統的な金融商品が苦戦すればするほど、金が光り輝く、トロイオンス当たり金価格を、長期債価格で割った数字である、金の対国債倍率は、1996~2004年の3.5倍以内を抜け出して、2010年末には11.3倍になった(p36)

    ・最近の金価格の上昇は、世界中の政府や中央銀行が急激に貨幣供給を増やしていることを反映した金高に過ぎない(p52)

    ・消費者物価指数で実質化した金価格は、1971年=100とすると、最近でも600程度、最高価格の900に達していない(p55)

    ・日本ば金本位制を採用できるほどの金準備を持てたのは、日清戦争に勝って、巨大な賠償金をもらえることになり、それをほぼ全額ロンドン渡しの金地金や英ポンドで受け取ることで、金準備が280トンも増えたから(p104)

    ・戦争に勝利して賠償金として金地金を得た例は他にもある、普仏戦争においてプロイセンがフランスより、ナポレオン戦争でイギリスがフランスより等(p104)

    ・1929年直後に、1ドル=3~4円相当が適正レートと思われていた時期に、1ドル=2円という高レートで金本位制に復帰したので、日本から大量の金の流出(殆どがアメリカ:609トン)が起きた(p107)

    ・デフレ自体には経済成長を阻害する作用はないが、経済が事実上の独占企業によって牛耳られている世界では、デフレになると極端な生産制限が実施されて経済が委縮する(p132)

    ・米ドルの価値は、63年間で約9分の1になっている、金ベースの物価水準は60%以上下がっている、つまり、金の価値は同じ63年間で1.6~1.7倍に上がっている(p187)

    ・江戸時代の鎖国(アジアでは朝鮮、欧州ではオランダにパートナー限定)がうまくいっていたのは、オランダ船が中国やインドから調達して中継貿易というかたちで供給する文物を日本が高く買ってくれて、差額は金銀地金で決済してくれるといううまみのある貿易で、オランダの海軍力が強大だったころは、他の艦船は入り込めなかった(p203)

    ・世界中どこへ行っても、いま金を買おうとすれば、1980年1月の水準より高い価格でしか購入できないが、日本円の持ち主はずっと割安な価格で購入可能、これが強みなので円高のうちに金を買い込んでおくべき(p208、242)

    2011/7/18作成

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    2011年07月18日
  • クルマ社会・7つの大罪 アメリカ文明衰退の真相

    Posted by ブクログ

    アメリカ文明が衰退していく理由がはっきり分かる様な説明に驚かされた。強みの部分が弱みに変わる過程が描かれていて、感心した

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    2011年04月24日