【感想・ネタバレ】3・11に勝つ日本経済のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2012年03月30日

欧米のマスコミの意図には日本への疑問と恐れ。そして嫉妬があると著者は言います。知的エリートの全くいない日本は確かに頼りなく見える。しかし何故か自分たちにはできない経済も文化も長い歴史ももつ国として動いている。地震にも津波にも放射能にも負けない一億数千万人の一般人は本当にすごいです

0

Posted by ブクログ 2011年07月25日

今ではもう改善されたと思っていますが、原発事故の安全性が国民に伝わっていなかった頃は、「日本は危険な国」という過剰報道が日本でもされていたと思います。

私もそのように信じ込まされていたのですが、最近読んだ副島氏の本によれば、地震が起きた直後に調査(支援という名目で)した米国とフランスによって、致命...続きを読む的な問題は無いという確認が爆発直後になされて、それを受けて日本の株式市場も値が戻ってきたとのことです。

このようなことは、ニュースや新聞を見ている限りでは理解することはできず、昨日(7月24日)お祭りのように、「デジタル化へ完全移行」という行事がなされましたが、今後メディアはどうなっていくのでしょうか。

さて、この本は、最近かなり多くの本を出版されている増田氏によって書かれたものですが、いつもながら的確な公開データを用いて、日本と世界各国との経済比較を、歴史的な背景も時には織り交ぜながら解説されているので、興味を持って読んでいます。

以下は気になったポイントです。

・今回の福島原発とスリーマイル島やチェルノブイリの事故との最大の相違点は、陣地の及び難い激甚な自然災害によって引き起こされた事故と、構造欠陥か、発電所要員の操作ミスが起こした事故との違いにある(p15)

・最重要事項である緊急時の運転停止は、きちんと行われていた、燃料棒の溶解が起きたとしても、運転風の原子炉が発電のために励起したエネルギーの送り出す大爆風をともなって放射能を大量かつ広範に散布するという事態は、絶対に起きなかった、これを即座に指摘したマスコミ報道は皆無であった(p16)

・オーストラリアの元ラッド首相は、2008年の在任中に対日戦勝記念日を制定した人で、現在は外相を務めている、日本在住のすべてのオーストラリア人に日本から逃げ出せと勧告した(p23)

・欧米人の感覚では、どんな事態に遭遇しても「我々は事態を掌握している」とウソをつき通せる人間を指導者の器として信頼するが、日本人は、あわてうろたえている説明こそ、「ウソをついていない」と思って信頼する(p26)

・ナメラレ甘く見られ、バカにされるポジションは、戦術的にはいろいろ不愉快、うっとうしいことが多いが、戦略的には非常においしい、やるべきことをできる範囲でやっていれば、それが鮮やかな奇襲攻撃に見えるので(p28)

・世界中どこでも支配階級は、大衆と違う言葉を使って知的能力を独占しようとする(p32)

・日本の大衆の豊かさは、江戸時代から欧州では王侯貴族にしか許されない特権的楽しみ(物見遊山、それで身を立てるつもりのない芸ごと・習い事に金をかける習慣)を持っていた(p34)

・欧米エリートの知日派は恐怖の第三段階に入っている、彼らは認めようとしないが、金融バブルで膨らませた張りぼて欧州経済より、日本経済の方が健全であることを理解している、知的エリートが無能で無策、無力な方が豊かで平等性の高い社会を築けることが本国の大衆に分かったら大変なことになる(p39)

・古来より大規模な遭遇戦の帰趨を決してきたのは、戦力の大小ではなく、逃亡兵の多寡で決まった、戦力は大きくても逃亡兵の多い軍は負けてきた(p44)

・アメリカは上位20%が1980年代から28年近くも経済成長による所得を独占してきた、下から80%はマイナス続きであった(p50)

・紀元1600年以降に限っても、日本列島では1世紀に1~2回の割合で、1万人以上の人命が失われる地震や津波が起きている(p54)

・日本の農業は、ひんぱんに雑草を除去しなければ満足な収穫が得られないが、その反面、よそよりもまめに草取りをすれば、同じ気象条件でも同じ種をまいても収穫量で差をつけることができた(p57)

・日本の海岸線の長さは、インドネシア、ロシアに次ぐ、世界第三位(p60)

・関東大震災後に整然たる碁盤の目に仕切った道路網が江東区内でできたが、いまだに自然発生的な盛り場が育ちにくくなっているという弊害がある、都市密度が低すぎてスカスカの街並みばかりになった(p69)

・緊急時に非難しやすいことを重視した街並みとは、伝統が生き続けにぎわいの絶えない街とは正反対にある(p70)

・日本の天然ガスの利用技術(パイプラインでなく超低温で液化して、超低温のまま特殊保冷装置をもった大型タンカーで運ぶ技術)や重質油の利用技術は世界の先端である(p75)

・大震災後に光明を見出すことができる発展として、1)石炭・重油・天然ガスを燃料とする火力発電所の新増設が解禁、2)地熱、潮流、海水温度差発電の検討、3)超電導の実用化、がある(p76)

・横幅の広い人口ピラミッドになるのは乳幼児期で間引かれ、少年期、青年期、壮年期で間引かれて、天寿を全うできない人が増えるから(p85)

・日本の失業率は、全体(5.1%)や若年層(9.3%)と欧州や米国と比べてかなり低い(p86)

・スウェーデンでは毎年の所得は国が税金や社会保険料をたっぷりと取り立てて再配分することで同水準になるように調整されている、昔から資産を蓄積してきた家系では相変わらず金持ち、貧乏な家で生まれて最終的に高給取りになった人は不幸なはず(p97)

・日本の租税負担率:23%、社会保障負担率:17%であり、合計で40%程度であり、はるかに均整のとれた配分、欧州は軒並み50%以上(p100)

・現在の日本は省エネ技術が進んだこともあるが、今どきの147ドル(1バレル)は、1970年当時の40ドルほど高くない(p108)

・日本の輸出依存度は15%程度で小さいが、貿易収支は中国に次いで2位、これは製品価格自体は小さくても高い付加価値が詰まっているので、黒字には大いに貢献する輸出品目が非常に大ことを意味する(p111)

・経済損失とは、特定の瞬間に数えた資産(ストック)がどう変化したかということ、生産とか所得はフローの概念で一定時間にどれだけ作ったか使ったかという概念で両者を混同すべきでない、つまり経済損失が即GDP減少につながるわけでない(p116)

・日本経済の粗貯蓄率は27%(1998~2008の平均値)で、先進国では一番高い、個人家計から預貯金として銀行が集める資金量は少なくなっても、民間企業は自己資金で投資継続が可能(p121)

・東アジアで輸出主導の高成長が続いている諸国は、ほとんど例外なく、対世界の貿易黒字が伸びるほど、対日貿易赤字も増えている、中国インドネシアは数年前までは例外であったが最近は変わった(p147)

・大阪万博の来場者数:6421万人という記録は上海万博に抜かれたが、国民人口比:0.5は抜かれないだろう(p174)

・東ローマ帝国が西ローマ帝国崩壊後に1100年以上も存続した最大の理由は、西ローマでは貨幣改鋳が進んで悪性インフレが頻発したのに対して、末期に至るまでは東ローマ帝国ではほとんど改悪がなかった(p183)

2011/7/25作成

0

Posted by ブクログ 2011年06月01日

ずっと追いかけている増田さんの新刊。
内容としてはお馴染の日本=大衆文明国家論になります。
内容自体はいつも通り逆説的で面白いのですが、震災を受けて急遽出版されたものなので、既刊の評論の繰り返しも多く、新味はあまりありません。

0

「ビジネス・経済」ランキング