嵐山光三郎のレビュー一覧
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明治から大正時代の、今では文豪と言われる人々が、何者かになろうと模索しつつ温泉に浸かる話。たくさんの文士が登場してそれぞれがもちろん関連するので、そういう関係を見る楽しみもある。
へえ、と思ったのは、むしろ娘の幸田文かが語った姿しか見てないのでかつては風呂にも入っておらず垢だらけだった田舎者の幸田露伴とか、各国で女を探しているラフカディオ・ハーンとか(笑)。ハーンは東大で面白い講義をするのでかなりの人気があったそうで、それに負けていた漱石が人気ぶりを研究してやっと学生に振り向いてもらえたことなど。
漱石は英文学者なのでどうしても外国人教師から報酬が安い日本人教師に変わる端境期で、ハーンの後 -
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アウトローとはいかないまでも、アウトサイダー的な生き方をする文人に強く惹かれるのが嵐山。
ラブミー牧場に深沢七郎を初めて訪ねたのは1966年、嵐山24歳の時、深沢は52歳。深沢に心酔し、「オヤカタ」と呼ぶようになり、招集がかかれば駆けつけ、行動をともにするようになった。
しかし、このオヤカタはかなりヘソ曲がり。人の好き嫌いも激しい。それまで親しかった者を、理由も言わずに斬り捨てる。晩年にはそれがひどくなる。1985年、嵐山にもついにその時がやってきた。しかし、なにが悪かったのか。思い当たる節はいろいろあれど、なにが決定的にお気に召さなかったのか、それがわからない。
真夜中に急に思い立って、タク -
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きだみのる、77歳。雑誌『太陽』の編集部にいた嵐山光三郎は、きだの連載を担当する。この時嵐山は28歳。
漂泊の自由人、無類の知識人、食通。そして傲慢、不遜、自己中、老獪、猥談好きで女好き。行動派で、大型トラックまで乗り回す。まわりは振り回され、その傍若無人ぶりに辟易する。
私もきだの破天荒さは予想していたが、まさかここまでひどいとは思っていなかった。『昆虫記』や『気違い部落』で作り上げていたイメージは雲散霧消した。後半には、スキャンダラスなことがいくつも登場する。
この本の冒頭にある一枚の写真。きだや嵐山と一緒に写っているのは、半ズボンをはいた女の子、ミミくん、7歳。どこか妖しく明るい。きだを -
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文人たちの愛した料理と店を紹介している。
「店」を紹介するガイドブックではなく、「文人とその食」を紹介する。
1編ずつは短いが、文士の個性が余すところなく描かれていて、その作家をどう読もうか、という参考にもなる。
舌が肥えすぎ、店主や客を人間観察しすぎ、事情を察しすぎ、と感覚の鋭すぎる文士たちはしばしば「店から見れば、厄介な客」と書かれている。
・森鴎外は、書く気になれば『東京料理店案内』を出せるほど東京の料理店に精通していた。
ドイツで学んだのが衛生学だったので、食に影響した。
生ものを避けたのは知られているが、とろみのついた物には細菌が入りやすいとして、マヨネーズなども嫌った。
・夏 -
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以前ラジオに出演された軽妙な語り口を聴き、一度は手にしたい作家さんだと念じててやっと適いました。著者の母親ヨシ子さんは(現在102歳)62歳から俳句作りを始められ、その句を交え、起こるさまざまな出来事が綴ってあるエッセイです。(老母をカタカナでもじってあるのが彼らしい)ローボの日常を、平易な言葉で肩ひじ張らず日記の様に詠んでいらっしゃるヨシ子さんの句は、ヨシ子さんの心の動きに共感できるし、マイ母の心情もそんなものなのだろうかと推察しながら読みました。素直な俳句に、今にも詠めそうな気を起こさせてもらえます。ところが、ヨシ子さんの父は与謝野鉄幹・晶子が率いた「明星」に投稿していたと記述されていて、
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一椀に白魚の泣き声を聞く(小泉八雲)、牛鍋は不良のはじまり(坪内逍遥)、快男児、酒を飲めず(二葉亭四迷)、牛乳屋茶人(伊藤左千夫)、山奥の怪人はなにを食うか(南方熊楠)、筆は一本、箸は二本(斎藤緑雨)、一膳の赤飯(徳富蘆花)、牛肉か馬鈴薯か(国木田独歩)、獄中で刺身(幸徳秋水)、うどんと蒲団(田山花袋)、ココロザシ俳諧にありおでん食う(高浜虚子)、うまいもの嫌い(柳田国男)、酒を飲んで荒れる『赤い鳥』(鈴木三重吉)、咳の味(尾崎放哉)、公家トルストイ(武者小路実篤)、酒仙歌人の実像(若山牧水)、元始、女性は実に偏食であった(平塚らいてう)、天ぷら屋になりたかった歌人(折口信夫)、監獄料理(荒畑
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ビスケット先生(夏目漱石)、饅頭茶漬(森鷗外)、牛タンの塩ゆで(幸田露伴)、自己を攻撃する食欲(正岡子規)、萎びた林檎(島崎藤村)、ドブ板の町のかすていら(樋口一葉)、ホオズキ(泉鏡花)、『一房の葡萄』(有島武郎)、一汁一菜地獄(与謝野晶子)、最期に吐いた飯つぶ(永井荷風)、もの食う歌人(斎藤茂吉)、弁当行乞(種田山頭火)、金目のガマのつけ焼き(志賀直哉)、咽喉に嵐(高村光太郎)、幻視される林檎(北原白秋)、食うべき詩(石川啄木)、ヌラヌラ、ドロドロ(谷崎潤一郎)、雲雀料理(萩原朔太郎)、食っては吐く(菊池寛)、食魔の復讎(岡本かの子)、餓鬼道肴蔬目録(内田百閒)、鰤の照り焼き(芥川龍之介)、