嵐山光三郎のレビュー一覧

  • 文士の料理店
    嵐山光三郎には「文人暴食」「文人悪食」という先行する好著があるが、この本は同じ食を扱っていても背景には店があるせいか、筆の勢いにはややためらいがあるようだ。 それでも、自分の好きな店などいくつか出てくるので、ほぅ、へぇ、といった感想を持ちながら楽しく読んだ。しかし、いちばん印象に残るのは火宅の人で知...続きを読む
  • 桃仙人 小説 深沢七郎
     誰かに対して心酔して師事することがあまりなく、描かれていた関係性が楽しそうで、羨ましかった。深沢七郎が魅力的だった。作品も面白そうだ。

     解説がたっぷりあって、ますます深沢七郎が気になったし、僕の表現もその影響下にあることを強く感じた。先日読んだ、尾辻克彦『肌ざわり』もモロに影響されているようだ...続きを読む
  • 漂流怪人・きだみのる
    面白いですが、辛く悲しい本です。
    「面白い」のは、こんなにもフリーダムに生きていた人がたかだか40〜50年程前にいたのか! という驚きと、その漂流生活ぶりのユニークさ。
    「辛く悲しい」のは、漂流者の唯一の弱点でもあった少女(実の娘)との別離と、その少女が辿った修羅の道。
    自由人だった筈の怪人が病に倒...続きを読む
  • 文人悪食
    『食』からすごくリアルな文人の人となりが明らかになるものだなぁと、楽しめた。貧乏なのに借金して牛鍋やらビフテキやら食べたり、同じく金のない同志にたかったり、酔うと正体をなくしてイメージぶち壊し。
    肺結核で夭逝の文人も、清貧に生きていたわけではなく結構破天荒で、もっと知りたくなる。
  • 文人悪食
    かの有名な森鴎外の「饅頭茶漬」をはじめ、教科書などでおなじみの「文豪」たちの食にまつわるエピソードを集めたもの。
    何も考えず笑い飛ばしながら読める本。

    飯テロになるかどうかは、個人による(何
  • 新廃線紀行
    <目次>
    第1章  北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線
    第2章  夕張鉄道
    第3章  くりはら高原鉄道
    第4章  仙北鉄道登米線
    第5章  東野鉄道
    第6章  筑波鉄道
    第7章  鹿島鉄道
    第8章  東武鉄道熊谷仙/西武鉄道安比奈線
    第9章  国鉄下川原線
    第10章  草軽鉄道
    第11章  信越本線...続きを読む
  • 山口瞳「男性自身」傑作選 熟年篇
    最近のエッセイは自分語りが多いけど、これは身辺雑記。
    自分の日常を書いているけれど、自分語りではない。
    この辺りの兼ね合いが、上手いなーと思う。

    絵画、俳句、将棋、相撲観戦など趣味が多才。
    国立市を愛している。
    酒のみで、偏屈で、愛すべきじーさん山口瞳。

    不器用で頭が悪いから、ガスの点火ができな...続きを読む
  • 文人悪食
    なにを好んだか、どういう場所へ行って食事をしたか、食の視点から明治の作家や三島由紀夫たちを斬っていく。
    その切り込み方や、豪快な文体で、伝記を読まなくても文豪たちの内奥がわかったような気になれる説得力がある。
    批評をこういう形でするのは面白い。
  • 文人悪食
    昔の文人たちは良きにつけ悪しきにつけ、個性が、アクが強い。今の小説家たち(文人、文豪と呼べる人は居ない気がする)は、お行儀が良すぎる。時代がそうさせてしまったのかもしれないけれど。
  • 文士の料理店
    この本には22人の文士とその文士が愛した22の料理店が紹介されている。単純なお店と料理の内容だけではない。
    作者が見、聞き、接した文士たちの性格から生き様まで。
    22店のうち私が足を運んだお店は3店。「文士の料理店」には期限がある、いつかは店を閉めるときがくる。
    早く他の店にも行ってみよう。
  • 文人悪食
    文豪と呼ばれた彼らはどのようなものを食べ、作品に影響していたのか。
    作家間のつながりもわかるので面白いです。
  • 文人悪食
    食にまつわる話はいい。わたしが好きな食本は高峰秀子「おいしいはなし」池波正太郎「散歩のとき、何か食べたくなって」内田百閒「御馳走帖」吉田篤弘「それからはスープのことばかり考えて暮らした」町田康「つるつるの壷」町田さんは天ぷらご馳走になるエピソードが秀逸。
  • 文人暴食
    読み終わって 題名が“暴食”なのに気がついた…なるほど。 文人は 一般人よりも遥かにエネルギーを持ってて、そのエネルギーに食われそうに(食われてるかも)なりながら 生きているのだなぁ〜
    と 少し呆れながらかんじる方もいた…恐ろしく 面白い。
  • 文人悪妻
    初めての文人シリーズですが、案外楽しめました。

    世の中には「良き妻であること」のみ向いてない女性がいることがよく判ります。
    きっとそのような女性ほど、人並み外れて魅力的なのでしょうね。
    規格外のバイタリティを持った女性列伝を読むと、人間の可能性の大きさを考えさせられます。

    いつになく筆者のコメン...続きを読む
  • 文人悪食
    色々な文人の色々な食のお話。参考文献数にただ唖然とするばかりです。文人の裏話的性格などが書かれているので、話を読んで、その著作を読みたくなる作家、こんな人だったのか?と、読まないでおこうと思う作家、色々な先入観が出てしまいます。これから読んでみるかと思っている作家さんが出てくる箇所は、もしかしたら読...続きを読む
  • 転ばぬ先の 転んだ後の「徒然草」の知恵
    兼好の名言集です。
    人生を生き抜くヒントがあります。
    学生時代には見向きもしなかった古典に対して、親しみを感じることができそうです。

    無常変易の移り変わり、つまり死と生の境界は、あるようでなく、始めも終わりもない (第91段)

    「無常とは、ひと言で言えば、死ということだ。死、あるいは死...続きを読む
  • 文人悪食
    いろんな作家について書かれているので、どういう作家について書かれているのかを把握して、それらの作家の書籍を読んでからこの本を読むともっと面白かったように思う。

    クオリティが高い感じがする。文人ってのはぶっとんでるなぁというのがよくわかった。そんな一冊。作者のドヤ顔がなんとなく浮かんでくる。とてもよ...続きを読む
  • 文人悪食
    文士の皆さん、どうしてこんなにも食にまつわるエピソードが豊富なのだろう。それが一番の謎。近代日本文学の有名どころをほぼ網羅しており、かつその一人ひとりがネタに事欠かないなんて。大抵の業界ではちょっとこうはいかないのでは。
    全編を通して、作家の食を作品に上手く絡めて描いている。読んだことのある作家が出...続きを読む
  • 高橋治のおくのほそ道ほか シリーズ古典(6)
      奥の細道は江戸時代に松尾芭蕉によって書かれた俳諧紀行文です。芭蕉は1683年、門人である曾良と共に江戸を出発し、関東・東北・北陸を経て大垣に至るまで旅を続けました。各地でよんだ句は50句にもなります。旅程は600里、5ヶ月あまりの旅でした。この奥の細道は芭蕉円熟期の代表作と賞されています。

     ...続きを読む
  • 悪党芭蕉
    現実の芭蕉はこんなもんだろう。俳聖として作られた虚像。後世に残る様な俳句を創るのだから両刀遣いが丁度かもしれない。