嵐山光三郎のレビュー一覧
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日本の名だたる文豪たちを”食事”というキーワードから徹底的に掘り下げ、彼らの人間性、そして作品への影響を綴ったエッセイ、というよりも一種の文学批評にすら思えてくる力作。
取り上げられるのは夏目漱石に始まり、三島由紀夫に至る37人の文人。日本の文学史を彩る超重要人物ばかりであるが、作品だけでは見えてこない人間としてのリアルな生きざまが垣間見れて純粋に楽しく、感嘆させられる箇所が多い。
一言で”食事”といっても文人たちの嗜好性は本当に千差万別である。谷崎潤一郎のように美食を愛したものもいれば、泉鏡花のように病原菌など生ものへの恐怖から大根おろしですら煮込む(!)もの、森鴎外のように饅頭をご飯の -
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ネタバレこの本を手に取ったとき、私は入院中だった。緊急入院だったので必要最小限の私物しか持って行っておらず、家族も仕事等で面会に来れない状況だったので、病院の売店で何か読む物はないかと探したのだが、なかなかピンとくるものがなく、正直、ないよりはまし程度で購入したのである。
ところが、いざ読み始めてみると、面白くてどんどん読み進めていた。芭蕉が「何のために」東北へ赴いたのかというのは、中学の時の国語の授業で「奥の細道」を読んだ時もちょっと疑問に感じていたところはあったので、最近言われている「芭蕉隠密説」はなるほどと思うところがあったのだが、この本はもちろん単なる都市伝説などではなく、嵐山先生は芭蕉の作品 -
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面白いですが、辛く悲しい本です。
「面白い」のは、こんなにもフリーダムに生きていた人がたかだか40〜50年程前にいたのか! という驚きと、その漂流生活ぶりのユニークさ。
「辛く悲しい」のは、漂流者の唯一の弱点でもあった少女(実の娘)との別離と、その少女が辿った修羅の道。
自由人だった筈の怪人が病に倒れ、最愛の娘にも会えずに終焉を迎え、娘の養父の手で死後醜聞にまみれ、娘は娘で実父を全否定する養父に反発して、図らずも実父と似た道行きを辿って行きます。
彼らに対する著者の筆致から深い愛情を酌み取るとともに、人間は完全に世間のしがらみからは自由になれないのだと、寂しさを覚えた一編でした。
なお、それは -
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<目次>
第1章 北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線
第2章 夕張鉄道
第3章 くりはら高原鉄道
第4章 仙北鉄道登米線
第5章 東野鉄道
第6章 筑波鉄道
第7章 鹿島鉄道
第8章 東武鉄道熊谷仙/西武鉄道安比奈線
第9章 国鉄下川原線
第10章 草軽鉄道
第11章 信越本線
第12章 富山地方鉄道射水線
第13章 のと鉄道能登線
第14章 名古屋鉄道三河線
第15章 南海電鉄天王寺支線
第16章 三木鉄道
第17章 国鉄倉吉線
第18章 琴平電鉄塩江線
第19章 西日本鉄道宮地岳線
第20章 国鉄佐賀線
第21章 島原鉄道
第22章 鹿児島交通枕 -
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ネタバレ最近のエッセイは自分語りが多いけど、これは身辺雑記。
自分の日常を書いているけれど、自分語りではない。
この辺りの兼ね合いが、上手いなーと思う。
絵画、俳句、将棋、相撲観戦など趣味が多才。
国立市を愛している。
酒のみで、偏屈で、愛すべきじーさん山口瞳。
不器用で頭が悪いから、ガスの点火ができないなんて書いていて、「あはは…」と笑って読んでいたら、戦時中、軍隊にいた彼の体験が書いてあった。
子どもがいじっていた不発弾が爆発して、家族全員が血まみれになって軍医に治療してもらいにきた。
その光景がずっと忘れられず、爆発物を異常に恐れるあまりガスの点火ができない。これは戦争ん後遺症だろうと言う。