嵐山光三郎のレビュー一覧
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『作家にとって、食とは何か?食と作品どのようなかかわりがあるのか?』その疑問に鋭く迫った異色の作家、文学論です。読むもここまで調べたなぁという作者のの執念に思わず脱帽してしまいました。
この本は『文人悪食』の続編になります。37人の文士・作家の食癖がこの本には取り上げられているんですけれど、「文人悪食」に取り上げられている作家たちにも負けず劣らず、一様に皆、個性的過ぎる食生活を送ってらっしゃったのですね。それにしても、古今東西の文献を調べ尽くして、それを一冊の本に纏め上げる。作者の執念めいた仕事に今回改めて読み直して、ただただ、脱帽するばかりでございました。
自分が気に入っているところは出 -
Posted by ブクログ
『作家は何を食べて作品を書いてきたのか?』作家における食と作品をの関係をつづった本の第一弾です。どれもみんな個性的な方が多くて圧倒されます。
これと続編である『文人暴食』の二つは札幌にいたころ、ずいぶんと読んだものである。この話は思い出すのも正直つらいのだが当時、僕は本当に食うにも事欠いた生活を送っていたので、せめて想像の中ではたらふくめしを食いたいというほんとうにほんとうに切実な日々が背景にあったというのが実情だが、なるほど、「食と文学」という視点で作家を見ると、これほど奥が深いのかと、この記事を書くために今回また読み返してそう思った。
たとえば、谷崎潤一郎なんかはその見栄えや文体とおり -
Posted by ブクログ
単行本が上梓されたのが1999年、すでに一度2002年に新潮文庫が出ていますが、再文庫化ということで、ともかくあの名作『追悼の達人』が帰ってきました。
病気や死がテーマの宮澤賢治や安部公房などの文学作品を、『病いの人間学』(1999年)で鮮やかに私たちの目の前で私たちの日常的に役立つように説いてくれたのが立川昭二でした。
あるいは追悼=死者を思って悲しみにひたるということなら、吉本隆明が『追悼私記』(1993年)という、美空ひばりや手塚治虫からミシェル・フーコーや昭和天皇への自分が書いた追悼文を集めた本を出していますが、それなら負けじと、わが鶴見俊輔も『悼詞』(2008年)というバートラン -
Posted by ブクログ
自分では手に取らない本、というのがあります。
見た目と言うか、雰囲気と言うか、オーラと言うか。
私は自他共に認める乱読タイプで、広く浅くたくさん読むほうなんだけど、それでも、しらないうちにある一部分、まったく手付かずにすごしてしまったことに気付くことあります。
例えば、この嵐山光三郎の『文人悪食』はそんな私の手に取らないっぽいにおいのぷんぷんする本です。
人に紹介してもらわなかったら、手に取らなかった確率99パーセント。
だけど、うんとよかったです。
森鴎外や夏目漱石から林芙美子、坂口安吾など、近・現代を代表する作家の食生活、食癖からその素顔を垣間見よう、というような趣旨の本で