高橋和夫のレビュー一覧
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チュニジアに始まったジャスミン革命が各国に飛び火し、世界情勢が予断の許さない状況になっている。こんなとき、該当国に関する、最近の書物に注目してみると、その書物自身も予断の許さない状況になっていることが良くわかる。このような変革を、どの程度事前に予期できていたかという、インテリジェンス能力が明るみに出てしまうのだ。
例えば、『チュニジアを知るための60章』という本。「政治外交と経済政策」という章を見ると、以下のような記述。
現在のチュニジアの安定が、ベン・アリー政治の強権的政治の産物としても、経済的豊かさを享受できる市民生活が営まれていることは認めなければならない。社会の安定は、欧州からの観 -
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これは素晴らしい。今のイスラエルとハマスの問題について理解を深めたいのならば、入門編としてオススメできる内容。非常にわかりやすかった。
大づかみに、パレスチナというのは土地である、という解説から。「イスラエル」という国と「ガザ地区」と「ヨルダン川西岸地区」。この3つがパレスチナという土地を構成していると。パレスチナにある「シオン山」、その山の上の都市「エルサレム」。「自分たちの国をつくろう」と移住してきたユダヤ人の運動を”シオニズム”と呼ぶが、これは「シオン」と「イズム」を掛け合わせた言葉。この辺は、基本的な内容で、知っている人も多いと思うが、このレベルから解説してくれる。
シオニストたち -
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たまたま二週間ほど前に、同じテーマに関する著者の「生」講演を夫婦二人で聴いて来たばかりだったこともあり、その復習も兼ねて読んでみた。講演内容ともピタリとシンクロし、まさにハマス、イスラエル、パレスチナ、ガザの「今」を解説する極めて時宜を得た学びに繋がった。
先ず何よりも、分かり易い。
パレスチナ問題には予てから人並み程度の関心は持って来たつもり。いろんな本や記事も読んで来たが、どれも今一つ「すとんと腹に落ちる」感触が得られなかった。
それに対し、本書は初めて「すとん」と落ちた。細切れにしたテーマの切り口や語り口が巧みなこともあるだろう。これならば中高生でも十分に咀嚼出来る解説になっているのでは -
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恐らくとてもわかりやすくかかれているんだろうが、やはり他国の宗教問題は中々難しい…。一言で言い切れない過去がある。まずは国の位置を確認するところからスタート。
イスラエルとパレスチナ。ジェノサイドの悪夢…。ただの民族浄化では終われない。様々な国々が複雑に絡み合う。果てなき因縁の始まりや、紛争の根本を考えなければ。
ーメモー
イスラエルはユダヤ教
パレスチナはイスラム教
"パレスチナという土地"にあるのは、イスラエルとガザ地区とヨルダン川西岸地区
エルサレムという土地
PLOとイスラム急進派「ハマス」=パレスチナ
ハマスは言う、パレスチナの完全解放と。 -
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イスラエル、パレスチナが最近話題になっていて気になり、読んだ。
ざっくり中東でなんか戦争してんだなーてことしか知らず、イスラエルとパレスチナの違いも知らなかったため、とても勉強になった。
ただ、10年くらい前の本なので、最新の情勢をまとめたものも読みたいところ。
読んで思ったのは、イスラエルとパレスチナ、どちらが正義でどちらが悪と簡単に断ずることはできない問題だということ。
民族主義による迫害や、イギリスの三枚舌外交が諸悪の根源だと思うが、今更そんなことを引き合いに出してもしょうがないしな。
日本人は基本単一民族の国だから感覚が分からないけど、いろんな民族が一つの国で和解し合うことはできない -
Posted by ブクログ
パレスチナへのイスラエルの侵略の中、数年前の本だけど、パレスチナ問題におけるイスラエルの傍若無人ぶり、アメリカのユダヤロビーの強さ、イスラエル建国時のイギリス、フランスの酷さ、とりわけイギリスの諸行。パレスチナ難民を嫌がるアラブ諸国。イランとの関係。本書は数年前なのでアメリカの新しいユダヤロビーであるJストリートにアメリカ政治を変える希望を託しているように感じるけど、今だにアメリカはユダヤロビーに支配されていて拒否権を発動する。
パレスチナ問題はパレスチナ国家ができない限り解決しないけれど、イスラエルが既成事実を作ろうとしているので、仮に無理矢理つくったら今度はイスラエル人が強制的に移住させら -
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イラクやシリア、サウジアラビアを国もどきとする表現は他の本でも読んだ。確かに、原油利権で国民をコントロールしながら、しかし、実際には、宗教だけではなく、民族、聖地なども含めて複雑な成り立ちを持つ国境線は確かに一筋縄では言い表せない。こうした複雑な構造をもつ中東から、自国のエネルギー自給の目処が立ったために急速に興味を失ったアメリカ。日本は、信頼をベースに外交をすべきであると結ばれるが果たしてどうか。脱化石燃料が進む中で、価格調整が為される、日本はもう少し、狡猾な外交をしても良いのではないだろうか。
本著は、イスラム教の解説から中東国の歴史、成り立ちを分かりやすく解説してくれる良書である。 -
Posted by ブクログ
霊界との交信、千里眼によるストックホルム大火の体験など、オカルト的な逸話に事欠かない異端の思想家の解説書。彼をオカルティズムの始祖としてのみ理解するのではなく、その科学者・技術者としての側面から、カトリック・プロテスタント双方に対する激しい攻撃に基づき「新しい教会」を構想する神学者としての側面まで、彼の思想体系のエッセンスを抽出している。もとが新書ということもあってか、現代の様々な学問や文学に彼が与えた影響を強調したり、直接の影響はなくとも実質的な先駆者として扱ったり、儒教や仏教と彼の教えの共通性を仄めかしたりするなど、スウェーデンボルグの現代日本的意義を強調しすぎているきらいはあるものの、『