高田侑のレビュー一覧
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『うなぎ鬼』然り、タイトル名が惹き付ける力ってやはり重要である。今回のこの『家政婦トミタ』、見るからにパロディ感満載で嘲笑しながらも中身とのギャップに期待しながら手に取る。美人家政婦トミタさんが、ある一家に雇われ(意図的に潜入)その家族に復讐するというお約束的な話で、そんなに捻りも無く余りにもストレートなサスペンスホラーに若干肩透かしを喰らうがこの人の筆力でまたまた一気読み。復讐の動機がイマイチはっきりしないのと、投げっぱなしで終わったオチは続編への伏線としか考えられない。因みにオイルマッサージが本編のピークだった殿方は少なくない筈だ。
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職場に嫌気がさしていた一郎はある日偶然旧友の牛木と再会する。牛木に誘われ一郎は彼の仕事の手伝いを始めるのだが……
本のオビなどで「読後感最悪!」という煽り文句が使われるようになって2,3年くらいたったように思いますが、この本はそうした本たちの最悪とはまた一線を画す終始イヤーな雰囲気を感じました。
なんでそう感じるのだろう、と自分なりに考えてみると、作品のリアルさがその理由かな、と思いました。主人公の現状に対する不満の感情、また彼のおかれている環境自体が現代社会のどこかに実際にありそうで他人事と一概に思えませんでした。だから、彼が甘い話に乗っかりそのまま、ズルズルと悪い方、悪い方へと転 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1作目の「てのひらたけ」、2作目の「あの坂道をのぼれば」はとっても良かった。3作目の「タンポポの花のように」は面白くなくて(ここを読んでいるとき、ショックなことがあって気持ちが明後日の方向にあったためかもしれない)、4作目の「走馬灯」もあんまり面白くなかった。どのストーリーもネタとしては新鮮味はないのだが、描写がうまかったり、オチに対する期待感を煽る展開があったりと、わくわくさせる魅力が詰まっている。そして、どの作品もちょっともの悲しく哀愁がある。「解説」にも書かれているが、どの作品にも救いがある。人間味がある点が本小説の魅力のように感じた。