あらすじ
借金で首が回らなくなった倉見は、借金の取り立て会社に身請けされることに。ある時、社長から小さな漁師町の水産加工場へある物を運ぶよう命じられる。だが、何を運ぶのかは、決して教えてもらえない……。
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疑心暗鬼に陥った主人公が、ディスコミュニケーションに陥り、沼にどっぷりとハマってしまう話。『鬼』の正体のミスリードというかなんというか…それがなかなかに良かった。人の狂気だけでここまでホラーに仕立て上げている作者の手腕には脱帽である。
本作はザ・ヒトコワ!な作品であり、幽霊やら呪いやら怪異やらに疲れた私の脳に新鮮な風を吹き入れてくれた傑作である。
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人間心理の描写が鋭く、疑心や弱さといった人間の負の部分に関して鋭く突っこんだ作品。角川ホラーだがうなぎのような鬼が出てくるような突飛な内容ではなく、人間社会の裏側に半歩足を突っこんだ主人公が猜疑心を持ちながらも巻き込まれていく展開はスリリングでどんどん感情移入させられた。
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ホラー小説好きなくせに、高田侑さんの作品ってあんま読む機会なくて、これずっと昔読んだ記憶があるんだけど、内容忘れたので再読。
面白かった。
事実をどう見るか、見えているものが真実とは限らない。
そんな背筋がゾワリとする不気味さを上手く物語で表現していると思う。
美味しい鰻、高級品で食べられたら嬉しいな > うなぎはタンパク質ならなんでも食べるから海外では死体処理に使われることもある細切れにして餌に混ぜちまう
安くて大盛りのホルモンがおすすめの小汚い居酒屋 > 女将の男がヤクザ者でそいつが仕入れてくるどこぞの得体の知れない肉を使っている
一見天使のような見た目の可愛い女子高生 > ウリやってるすれた子(学校すら行ってない)
こんな風にこの小説には舞台となる場所や人物の裏の顔や事情が常に見え隠れしている。本当なのかな…。でも、そんなことあるわけが…。
少し前に都市伝説でコンビニのチキンは骨がないから「ぞぬ」という工業生産された食用生物の肉を使っているという話や、ケンタのチキンは足が6本に改良された鳥だなどの話が流行して、薄気味悪いなと感じていたが、この作品を読んでいる間その時の感情に近いものがあった。
舞台となる新宿や新大久保、少し郊外のさびれた工業地帯、そこに住む影のありそうな人々。全体的に不安定で薄気味悪いのだ。
さらに決定的な恐怖のトリガーとして、ネタバレになってしまうが「死人からメールが届く」という小技も効いている。
全体的に暗めでアウトローで地獄をのぞいているかのようなゾワゾワ感のある話だが恐怖描写に緩急もついているので、サクサク読める割に満足感も◎。
これこそ「コスパのいい小説」と言えるのではないだろうか。
高田侑さんの他の作品もぜひ読んでみたい。
Posted by ブクログ
借金返済のために、裏稼業に足を染める勝。
運び屋としての仕事をしてから、少しずつ平穏な日々が崩れていく…
ストーリー展開自体はとても面白く、最後の終わり方も不気味で面白いが、もうひとひねりあると良かったなと思う。
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小説があると知らずに、マンガを読んだのが最初。
ちなみにマンガもそれぞれの雰囲気にあっていて面白い。
内容を知った上で読んでみたが、鬼畜系のこの感じ嫌いじゃない。
いや~しばらくは鰻いらないや。
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いやぁ、恐ろしい物語だった。ホラーとあるが、ホラーとノワールが混ざったような話。
借金で追い詰められた勝は、裏の世界に生きる千脇という男に拾われる。勝の192㎝112㎏というガタイに惚れたのだ。
千脇の元で裏稼業をして借金を返済していく勝。そんな勝に黒牟という街での仕事が回ってきた。鰻の養殖場に60㎏ほどの荷物を運べというのだが、中身は教えられないと言う。そこから勝の妄想が走り始め・・・。
というような内容で、グロい描写も結構出てくる。でも、エピローグが一番怖かったかな。心理的に。勝はいつまで恐怖に怯えていなければならないのだろうと。改めて悪いことはするもんじゃないなと思わされる。
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一気に読んでしまった。疑心暗鬼の物語。主人公の経歴や職場の雰囲気があれやから、それも仕方ないんやろーけどね。登場人物には良い人だけどどうしようもない人が多い。
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高田侑さんの骨太な文体が好きです。ぞっとするほどリアルで、たまらなく不気味な街『黒牟』、着実に緊張感を増していくストーリー。高田さんってそっちの人なの?と思ってしまうほど説得力のある『怖さ』がどっさり詰まってます。面白かった……
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借金で首が回らなくなった主人公が、怪しげな仕事を紹介される。じわじわと破滅の道に足を踏み入れていくのから目が離せない。はっきりしないことばかりなのが、恐怖を増幅させる。
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裏稼業の社長に拾われ、なんでもすると誓って生きている主人公。元来気が弱い人間なものだから、少し怒られても泣いてしまう情けなさ。その人物設定があるからこそ、豹変した時の主人公が一番不気味だった。グロ描写もあるので読む人を選ぶ作品だと思う。とにかく、主人公にも一切同情できない。胸糞悪い話。だが、それが良い。
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タイトルと表紙絵のインパクトが凄すぎてホラー期待度が高まるのを抑えきれない。ところが実際読むとおどろおどろしい怪奇ホラーでは無く、実話ナックルズ的な裏社会を舞台にした何ともおぞましく不気味でダークな話。果たして何が『うなぎ鬼』だったのか?という疑問符は残るが、それ以上にヤバい仕事に関わる人間達の描写が非常にスリリングで終始、心がザワザワしながら読み進めた。この筆者の文体はなかなか面白い。アウトローな闇社会で罪を罪と思わず生きても必ずツケは回ってくる。読後、陰湿でいつまでもモヤモヤとした余韻を引き摺った。