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Posted by ブクログ
職場に嫌気がさしていた一郎はある日偶然旧友の牛木と再会する。牛木に誘われ一郎は彼の仕事の手伝いを始めるのだが……
本のオビなどで「読後感最悪!」という煽り文句が使われるようになって2,3年くらいたったように思いますが、この本はそうした本たちの最悪とはまた一線を画す終始イヤーな雰囲気を感じました。
なんでそう感じるのだろう、と自分なりに考えてみると、作品のリアルさがその理由かな、と思いました。主人公の現状に対する不満の感情、また彼のおかれている環境自体が現代社会のどこかに実際にありそうで他人事と一概に思えませんでした。だから、彼が甘い話に乗っかりそのまま、ズルズルと悪い方、悪い方へと転落していくのも他人事だから、フィクションだからという割り切りが上手いことできずに自分の感情も引っ張られていったのかな、と思います。読んでいてなんとなく新潮文庫の『凶悪』を思い出しました。
文章も巧いんだろうな、と思います。読んでいて終始イヤーな気分で、その感覚は読み終えてからもしばらく続きました。いつもなら面白い本を読んだ後は、その本の余韻にしばらく浸っていることもあるのですが、この本に関しては読み終えると「なにか明るくて笑える本を読んで気分を変えないと」と強迫観念にとらわれてしまい、すぐに奥田英朗さんの伊良部シリーズの『空中ブランコ』を読み始めてしまいました(苦笑)
じっとりとした嫌さを楽しみたい、という人にはおススメの小説です。
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