平山令明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ匂いのする分子について以前から興味があり、自分で香料を合成してみたいという願望もあったため、分離、精製、抽出、合成の解説をとても楽しく読めた。意外と専門的で、大学で初めて習うような化学の用語が解説ありで使われている。(旋光性、ラセミ体、フリーデルクラフツ反応など)
低分子であるほど匂いを感じやすいが持続性が弱いなど、分子量と匂いの感じ方の関係の説明にはなるほどの連続だった。CO2の超臨界状態を用いた抽出方法が画期的で印象に残った。匂いを感じる鼻のメカニズムを解説していた章は自分にはとても難しかったため、もう一度読み返したい。
普段好んでいるムスクの香りが、且つては動物由来の香料であったとか、初 -
Posted by ブクログ
おそらく多くの人は、生涯の間に一度は薬を飲んだことがあるだろう。では、こうした薬はどういう仕組で身体に効果をもたらしているのだろうか。
本書では、主に身体の中の酵素などに焦点を当てつつ、薬のどのような性質により、体内のどの酵素とどうやって結びつくのかなどを簡潔かつわかりやすく解説しています。
ただし、分かりやすいとは言え薬の効果をきちんと理解するためには最低限の分子生物学の知識が必要であり、高校程度の分子生物学については理解しておかないと読み進めるのはやや困難かもしれません。
【こんな人におすすめ】
薬がどのように効くのかに効果がある人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ熱力学の第二法則=エントロピーは必ず増大する、は別格に確からしさが確認されている法則。=自然の状態ではどちらの方向に向かうのか、を教えてくれる。
情報エントロピー=取り得る状態の数。
エネルギー保存の法則=熱力学の第一法則。エンタルピーは変わらない。=特定の系の総エネルギー。熱エネルギーと力学的エネルギーの和。
エントロピーは、系の熱量を温度で割ったもの。
第二法則は、不可逆的変化であり、様々に表現される。低温から高温に熱を移せない=一つの熱源から熱を吸収して仕事に変えることは不可能=トムソンの原理。
赤インクを一滴水の中に入れると、赤インキ分子の取り得る場所は、水の中全体に広がる=場合の数が -
Posted by ブクログ
2000年に出版されロングセラーとなっていた旧版の新訂版。高校卒業以来何十年も分子式に触る機会のない僕だが、著者の語り口はどこか当時の教師のそれに似て懐かしく、なんら引っ掛かることなく読み進めることができた(決して今風の文体ではないが)。
副題に「電子を見れば化学はわかる」とある通り、化学反応における電子の振る舞いを中心に解説が進められていく。第4章までの理解のしやすさは特筆もの。原子核が電子を共有し強い結合をなす「共有結合」、電子が一方の原子核から他方に供給されて結合する「配位結合」、イオン化傾向と電子親和力から生じるクーロン力による「イオン結合」…全て電子の「ペアになりたがる」「自由 -
Posted by ブクログ
借りたもの。
香り成分を化学的に分析し、その種類・効能について簡単にまとめた本。新書判ながら内容は充実していて、わかりやすい。
香りの分類、分子構造からその“正体”を突き止めようとする。同じ分子でも異性体により香りが変わってしまうなど、今まで化学に携わっていなかった私には、非常に勉強になる。しかも理解しやすい!
芳香療法(アロマセラピー)関連の本では感覚的に書かれることを突き詰めている。
ホリスティック医療――芳香療法などで――ナチュラルで身体に良いものというイメージもある。しかしそれは誤解で、(致死性はもちろん無いが)香り分子の毒性についても言及。
「化学物質を取り扱っている」ということを念 -
Posted by ブクログ
大学時代は一応理系だったのと、化学の基礎知識もあるので、流石に化学反応まで詳しくはないけれど、読んでいて面白かった。
以下、気になった内容。
プルースト効果という、香りにより記憶を思い出す効果は、実際に神経が嗅覚の場合、ダイレクトに脳の記憶を司る海馬や扁桃体に繋がるため起きる
アビセンナがアラビアで錬金術をしている中でバラからバラの香りを取り出す方法を見つけた、これがいまの水蒸気蒸留法
ドルトンの分圧の法則で、沸点が高い成分も水蒸気蒸留法にて分圧が効き、100度でも蒸発する事を応用
香料をとれる動物は四種のみ
マッコウクジラ、ジャコウジカ、ビーバー、ジャコウネコ
マッコウクジラはアンバ -
Posted by ブクログ
むしろ化学を「暗記もの」と考えたことがないので、タイトルには逆の意味で驚く感じ。
それはともかく、原子の話に始まって高校で学ぶ無機化学の基礎をわかりやすく教えてくれる。わかりやすさのあまり「これだけで良いの?」と逆に疑問・不安を感じてしまうほど。
あるいは「イオン」など、基本的な概念についても非常にわかりやすく書かれていて、そうした基本知識を把握するための入門書としても使えると思う。
さらに無機化学と有機化学を繋ぐ第十章「有機化合物における酸化還元」もよくまとまっていて、自然に有機化学への興味がわいてくる。
個人的に高校の化学というのは出だしから躓きやすさ満載だと感じるけれど、基本的事