田中道昭のレビュー一覧
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470ページを超える新書にしては厚い本でしたが、中身も実に熱い。
「自動車」というものの在り方が大きく変化する真っただ中の現代から2022年を見据えて、従来の自動車メーカーの枠を飛び越えてIT、電気、通信、電力・エネルギーと多数の関連する領域について詳細に展望が述べられています。
トヨタ自動車の豊田章男社長が「勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬか」とどこかのイベントで発言されたのは知っておりましたが、それが決して誇張ではないことが理解できたような気がいたします。
さて、2022年。自動車はどのように代わっているのでしょうか?
付箋は31枚付きました。 -
Posted by ブクログ
フィジカルAIって、ロボットなどを動かす知能だとばかり思っていたけれど、それだけではなくてデジタルツインで現実世界を再現して、そこでモデルを回して最適解を得る、みたいな使い方があるんだということを学んだ、ほえ〜となった
WFMを握っているのはNVIDIAと、世界一企業は伊達じゃないんだな。
そして、その頭脳の領域で日本は戦略的高地を得られなかったとしても、大地・OS・身体のところで、フィジカルAIが動くための条件を設計する立ち位置を得るチャンスがあるという。
いかに日本のこれまでの技術が結集して素早く動けるかが肝だと思うし、それを期待していきたいですね。
最後の企業一覧の部分については、そこまで具体的なフィジカルAIの事例が出ることもなく、本当にできるのかしら?とはなったかな。もっとフィジカルAIについて具体的な動きがある企業が増えていったらいいね! -
Posted by ブクログ
⚫️工場と物流:フィジカルAIとの相性の良さ
そもそもCADデータベースで設計運用されているので、digital twinとして作成
運用がしやすい。その上、生産ラインは物理的に変更しようとすると時間・コスト
がネックとなる中で、digital twin上でシミュレートできることは価値が高い。
Teslaは製品ではなく工場を差別化要素にした。ごく僅かな商品差別化で削り合う
よりはその根幹となる工場を科学(速度、効率、密度、継続学習、DTによるAgility
するほうが持続的な経営優位性になるということ。製品の改善は表層であり、工場
の改善は深層。1台の車を改善するのかすべての根源を改善するのか。
※依存関係の削減・並列処理などもそう。プロセスが複数依存関係にあるほど当然
遅延影響は大きくなる。
⚫️フィジカルAIの構成
■第1層:世界基盤モデル(WFM)。NVIDIAが提供。現実世界の物理法則や因果関係
を組み込んでいる。フィジカルAIにとっての”大地”のような位置づけ。ここは差別
優位性にはなりづらいもの。当然NVIDIAとしては盤石な優位性につながるが、
P-AI企業が作り込む必要なし。
■第2層:デジタルツイン。現実世界をそのまま写し取り仮想的に試行錯誤を繰返し
実施。NVIDIAも”Omniverse"という基盤を提供。
■第3層:産業OS。工場には工場の、物流には物流の、医療には医療の固有ルールが
ある。安全基準、工程順序、品質管理、責任の所在など”現場の作法”をAIに理解し
準拠させるための仕組み。
■第4層:現場運用。オペレーションだけでなく”学習-->進化”のサイクル(資産化)
の主体にもなる。
⚫️テスラの工場変革における”思考プロセス”
①要件を問う:Make he requirements less dumb。誰がこの仕様を決めたのか、
を問い直し、不要な制約を破壊する
② 工数を減らす:Delete the part ofr process。最良の部品は”存在しない部品”であ
あり、最良の工程は”削除された工程”である。
③シンプル化・最適化:Simplify or optimize。削除しきれなかったものだけを最適化
する。多くの企業はこのステップを最初に行うから失敗する。
④サイクルタイムを短縮する:Accelerate cycle time。すべてが簡素化された後に
初めてスピードを極限まで上げる。
⑤自動化する:Automate。最後に自動化する。不完全な工程を自動化することは、
単に”エラーの速度を上げる”ことに過ぎない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレフィジカルAIが台頭した中で日本企業がどのようなポジションで生き残っていくか指南している
テスラやエヌビディアなどの米国、中国のAIロボット企業とどう差別化するか?
日本の半導体メーカー、FAメーカーの強みをどう活かすか、企業だけではなく日本としてのビジョンが問われるだろう
参考としてエヌビディアのビジョンが以下のとおり紹介されている
computer is data
計算によってデータと経験を生成する
AI becomes agentic
AIは行動する主体へ
目標を与えられると、自ら状況を理解し、計画を立て、現実世界で行動し、その結果を次の判断に反映させる
AI learns laws of nature
物理法則まで学んでしまったAI
大自然のルールそのものを知能の内部に取り込み始めた -
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フィジカルAIは現場が学び続けるという構造転換である。AIが主語ではない、現場が主語。
フィジカルAIの4レイヤー。今後はどこで競争するかを決める時代になった、と書かれているが、後の章では別の4レイヤーとなっており、筆者も整理できていない模様。
計算エネルギーインフラ
世界基盤モデル
デジタルツイン (世界基盤か産業OSに入れるか?)
産業OS
現場運用
これらがフィジカルAIの本質である、というのが本書のメッセージ。巻末の企業リストは参考になる。
本書で提示されたどのレイヤーでも日本の企業が活躍していることを考えると、これから日本の時代が来ても良いように思える。問題は、トッププレイヤーがいないということか。誰かがルールを決め、日本企業はその枠内で頑張っているという構造。頑張れニッポン! -
Posted by ブクログ
本書は「GAFA・BATHがなぜすごいのか?」を、田中道昭氏が孫子の兵法を戦略分析に応用した『5ファクターメソッド』なる手法で各社を網羅的に分析し、ベンチマークにしてビジネスに活かす為の参考書の様だ。
『5ファクターメソッド』とは「道・天・地・将・法」という要素から分析する手法で、それぞれ「道(企業のビジョン・ミッションなど)」「天(ミッション実現のためのタイミング戦略)」「地(事業領域など)」「将(トップのリーダーシップ)」「法(事業構造・収益構造など)」の要素を指すものだ。
まとめとして、企業のミッションと経営者のリーダーシップを重要視しており、各社を「顧客志向」「社会問題解決志向」「新たな価値提供志向」「技術志向」に分類している。
また、今後のメガテック企業への逆風は、データ規制、デジタル課税、地域経済への影響、巨大になりすぎて企業自らがコントロールできなくなる、国策などが考えられる、と論じ、「日本のDX化」についても問題提起している。
本書は2019年の内容なので、現時点で世の中は当時より急速に変化していると思うが、各社の『5ファクターメソッド』の要素分析と著者の考察、併せてROA(純資産利益率)で各社をマッピングして分析した結果が興味深く感じた。また、各企業のミッションやビジネスモデルに触れることができた。日々の学習や仕事に応用していく考え方もできると思う。