横山啓明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ恐怖の帝王キングが手加減なしで描く光なく真っ暗な物語。
恐怖の物語に帰還した巨匠の最新作。
「1922」
1930年、8年前に息子と共謀し妻を殺害した男の告白文という形で物語は進行する。
1929年といえば大恐慌の年であるため、それより少し前のアメリカ中西部を舞台としている。
農地を大企業に売ろうとする揺るぎ無い決意の妻の殺害を、土地に深い思い入れのある男は企てる。
妻を殺害後古井戸に遺体を棄て、企業の弁護士や警察の追及からなんとか逃れたものの、
その罪悪感は二人の人生を追い詰めていく……。
「因果応報」とはこのことだが、展開がまったく読めない。
「公正な取引」
所謂「悪魔との取引」をテ -
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スティーヴン・キングは『ペット・セメタリー』のあとでちょっと方向転換をしてしまい、ハッピーエンド志向とか、ゾロアスター教ふうの「善悪二元論」が前面に出されたりとか、あるいはそろそろ創作上のアイディアのパワーが弱まってきたようにも思える。かつてほどの「ベストセラーメーカー」ぶりはもう影が薄く、人々にも飽きられてきたかもしれない。
しかし彼の小説に出てくる「いかにもアメリカ人的な」モノローグの粘りが私は好きで、それはドストエフスキーや太宰治にも比較すべきものだと考えている。彼のスプラッタ趣味には共感というものは感じないが、物語をとおして「内面」のうねりを形成してゆく手腕は、文学的価値をも持っている -
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ネタバレキングの新作!恐怖の四季、真夜中4分過ぎに続く第3中編集。読むのがもったいなくて、下巻が出るまで積ん読してました。
1922。結構長い作品。ひたすらじわじわと、妻を殺した男が狂って行く様を、彼の視点で語る作品。いやー滅入るわー( ;´Д`)。全く状況が改善される見込みがなく、どこまでもずぶずぶ落ちていく状況がわかっているのに、やめられない止まらない。読後感よくないのがわかってるのに、惹かれて読まされちゃうのは、何でなんだろう。キングの魔法。ネズミ怖いっ。
公正な取引。古典的素材である「悪魔との取引」を、キング流にアレンジした短編。どんなどんでん返しが?と思ったら、意外にあっさり終わったなあ -
Posted by ブクログ
ネタバレ詐欺師の過去を持つ元敏腕弁護士エディーがロシアンマフィアに娘を人質に取られ法廷内に爆弾を持ち込む役を押し付けられる。
マフィアのボスはこれから始まる裁判の原告で、そこで証言をしようとしている内情を知る証人を爆破しようとしているのだ。
いきなりフルスピードで始まるスリリングな展開。
なんとか第一幕をしのぎきり、機を見て反撃に出ようとする最中にぼんやりと浮かび上がってくる不自然な状況。
何か裏がありそうだが、いまいち捕まえきれず、もんもんとしながらも状況を打破しようとするエディ。
非常に引き込まれる語りだったのだが、もったいぶって引っ張った割にありがちな結末で、それはがっかり。 -
Posted by ブクログ
ジャック・ケッチャムが油多め、麺硬めなら、スティーブン・キングは、何もかも普通で頼んで出てくる王道のストーリーテラー。例えが下手くそ?いや、ジャック・ケッチャムに嵌ると、何故かスティーブン・キングに戻りたくなる。旨いのは分かりながら、身体に悪い気がして…。
本作は農園における、ある一家を巡っての人間ドラマ。勿論、ホラー風味である。ちょっと怖さが足りないかなー、という感じ。幽霊が何でも知っているという設定は、罪悪感に脅える人間の心理的な理由によるものだろうか。その推測が成り立つとしても、その幽霊を見た人すら知らぬ事を、幽霊が知っていたとしたら、どう説明できるだろう。何か、我々は幽霊を神の如く時