蜂谷涼のレビュー一覧

  • はだか嫁

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     蜂谷涼「はだか嫁」、2012.4発行、連作6話。将軍家や大名家への献上品の残りを商う「献残屋(けんざんや)」である仙石屋に「丸々のはだかで来ておくれ」と舅左近・姑おりきにお願いされた美人のおしのの物語。子供ができず、亭主運平が外でこしらえた力平を自分の子として育て、勘当された亭主は家を出て浮気相手の家に。おしのは若女将から女主に。相撲取りの真似事である「柱への諸手突き」をしながら自らを鼓舞し、千石屋のために頑張るおしのの物語。

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    2021年03月28日
  • 小樽ビヤホール

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    戦前に、こんなにも女が自由だった時代があったのだなぁ、と素直に感動した。
    大正デモクラシーという言葉があるが、この物語の女主人公は本当に生き生きしている。

    昭和の敗戦が見えてきた時代に比べて小樽をはじめとする日本の貿易港が活況を呈していた明るい時代。

    物語中にもでてくるが、この頃の小樽は貿易と並んでニシン漁で栄えていた。
    ただし当時のニシン漁は豊漁なら大儲け、不漁なら破産、といったギャンブル性の強い事業だった。

    うちの祖母はニシン漁の網元で育ったお嬢様だったが、不漁により主人公と同じく家が破産、小樽のビリヤード場で働きながら莫大な借金を返済していた。

    なので、つましいながらも逞しく生き

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    2012年08月20日
  • 螢火

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    明治期の小樽を舞台とした連作短編集。染み抜きを生業とする主人公つるの元に持ち込まれる染みのついた着物にはそれぞれ人に言えない事情が隠されている。長屋に住む主人公の周辺の人々との交流を通した人情小説集。そして後半の2篇は怒涛の北海道開拓の歴史を描いた感涙の作品。

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    2011年08月19日
  • 舞灯籠―京都上七軒幕末手控え―

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    幕末のなかで男を愛することを知った女たち。
    時に気高く、時に嫉妬深く。
    時代小説としては、読みやすかった。

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    2016年04月22日
  • はだか嫁

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    面白い。
    タイトルの意味について理解は、難しくない。
    こんな境遇の、こんなに爽やかな主人公に、新しい巡り逢えたのは幸運。

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    2015年02月16日
  • 修羅ゆく舟

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    「小説新潮」に掲載されたものの単行本化。

    夫に死なれた沙穂は子供を連れて、夫の職場であり、
    年の近い叔母千種の嫁ぎ先でもある、蘭方医玄齋の
    診療所に寄寓して手伝いをしていたが、千草公認で
    密かに思いを寄せていた玄齋に抱かれ、妻妾同居し
    て玄齋の子を産む。

    玄齋は種痘を広めることに熱心で、幕府から頼まれ、
    蝦夷地を一周してアイヌに種痘を施したが、その途
    中で種痘の畑(保菌者)として連れて行った二人の
    息子を亡くす。
    誠意を尽くしてアイヌのエカシの信頼を得、事業を
    軌道に乗せる様は圧巻。
    小樽在住の作者ならではと思わせる。

    玄齋の留守中、千種と沙穂の妬み合いから、妊娠し
    た沙穂に対抗するため

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    2012年11月29日
  • 修羅ゆく舟

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    種痘を広めようと苦労している玄斉.夫を疱瘡で亡くした沙穂は玄斎の下で働いている.玄斎の妻 千草は沙穂の伯母だが、二人共が玄斎の子を産む.蝦夷地に種痘を広めるために玄斎は子どもたちを連れて赴くが、何人かは死んでしまう.玄斎の精力的な活躍と女達の妙な関係が面白い.

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    2012年11月16日
  • はだか嫁

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    はだか嫁って聞くとドッキリしますが、裸一貫と同じようなニュアンスの言葉のようです。
    お話は黒船来航の少し前~篤姫が徳川家に嫁いでくる直前くらいでしょうか。仙石屋を支える嫁おしのが主人公。
    1章からおしのさんが理由あって女主人になるという衝撃的な展開で、どんどん引き込まれて行きました。
    今後おしのさんがどのように幕末~明治維新を乗り越えていくのか、続編を期待します。

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    2012年05月13日
  • はだか嫁

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    書店で書名にひかれ購入。はじめてよむ作家。
    はだか嫁とは何の嫁入り支度もせず嫁ぐこと。主人公はそんなはだか嫁おしの。おしのは夫が外でうませた子を育て大店の献残屋をまもる。将軍の側室との深交など登場人物も多種で、そこに生じるさまざまな出来事を女主人としておさめてゆく。ときどき弱気をみせるがそこがとても人間的。総じて腹が据わってカッコがいい主人公をがんばれ!と応援しながら読み終えた。

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    2012年05月05日
  • 舞灯籠―京都上七軒幕末手控え―

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    明治初期の北海道を舞台に描くことが多かった蜂谷涼さんの新作は京都の祇園を舞台にした連作短編集。京都上七軒の屋形に務める芸妓の梅嘉・梅乃、そして舞妓の小梅。仕事故お座敷には壬生浪も来れば薩長の者も来るし、坂本龍馬も梅嘉の客であった。小梅の友人千代。梅嘉の友人ちとせ。この五人が五人、皆想い人を巡って別の道を歩もうとする。激動の時代に生きた男に命がけで惚れた女たちの哀しい物語。連作短編ならば時代はあまり動かないのが普通だけれど、1866年から1869年までをダイナミックに描いたのが特徴。

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    2011年08月19日
  • 月影の道 小説・新島八重

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     会津の什の掟、卑怯な振る舞いはしない、弱い者をいじめない、・・・、ならぬことはならぬものです。徳川家にひたすら尽くしてきた会津に生まれた山本八重の生涯。落城、漂白を経て、新島襄との出会い。新しい時代の生き方、新しい夫婦の在り方を築かれました。 蜂谷涼「月影の道」、小説・新島八重、2012.10発行。

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    2021年04月22日
  • へび女房

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     蜂谷涼「へび女房」、2011.1発行。へび女房他3話、連作なのかそうでないのか・・・。明治維新の元勲などと関係する女性の話。黒田清隆、榎本武揚、森有礼、伊藤博文、ル・ジャンドル、エルウィン・フォン・ベルツ・・・。薩摩の印象は、会津との関係であまり良くはなかったですが、この本を読んで、黒田清隆、森有礼、そして薩摩の印象がより悪くなりました。史実に沿ってるかどうかはわかりませんがw。なお、鹿児島出身の友人、長く交友を深めています(^-^)

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    2021年04月15日
  • 月影の道 小説・新島八重

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    大河を見た人は違和感かも。
    どーーー見ても八重さんは綾瀬はるかじゃないです。
    その風貌に加えて男勝りの体格とパワー、闘う女の称号を欲しいままにする姿は、どちらかというと南海キャンディーズ・しずちゃん(笑)
    むしろ最大のライバルであり盟友である竹子さん(細身の楚々とした色白美人)が綾瀬はるかなら納得いきますが。
    でもしずちゃん大河主演はサプライズにも程があるだろうし、仕方ないのか。

    本日(1/7)時点で大河は第1回の放送が終わったばかりですが、幼少期の八重さんの描き方も男勝りというキャラクターの根幹は共通するものの、細部は大河とかなり違っています。
    小説ではいかなる人生の転機を迎えようと会津人

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    2013年01月07日
  • 舞灯籠―京都上七軒幕末手控え―

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    北野天満宮を東に行くと物語の舞台の上七軒はすぐだ。
    時代は幕末、佐幕だ勤王だと日々緊迫していくなか、行方しれずになったり、命を落としたり、翻弄される男達にまた翻弄される上七軒の芸妓たち。
    潔いというか、あっぱれと言うべきか、実在の人物も登場させて、よりリアリティに進んでいく物語に、いつしか引き込まれていく。
    上七軒は老舗の和菓子屋さんがあったり、昔の建物を利用した飲食店が軒を連ね、今も十分に昔のおもかげを彷彿とさせる情緒あふれる界隈だ。天満宮の梅ももう見頃だろうし、都おどりもはじまる。

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    2012年03月07日