立花幸司のレビュー一覧

  • ニコマコス倫理学(下)

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    上巻では人柄に関す徳の話が続いたが、
    下巻では下記の内容でバラエティに富んでいる。
    6章「知的な徳」7章「欲望の問題」
    8~9章「愛について」10章「幸福論の結論」

    6章では魂自身の性向として
    「技術」「学問的知識」「思慮深さ」「知恵」「知性」
    の五つの性向に分けてそれぞれ解説している。
    正しい行動のためには「思慮深さ」が必要だが、
    「思慮深さ」は全てを支配下に置くわけではなく、
    各々の性向は別物であるという結論を出している。

    7章では抑制のなさと快楽を追及して、
    抑制の無い人の快楽には苦痛が伴うが、
    美しいものを愛したり、立派な行動をしたり、
    という快楽には苦痛が伴わないと結論を出してい

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    2020年06月27日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    アリストテレス先生「幸せって何だっけ」の巻

    「幸せとは何か?」というテーマの講義だが、
    早々に「徳に基づいた魂の活動」と結論を出している。

    徳とはある性向における中間性のことであるとし、
    例えば「勇気」なら超過すると「向こう見ず」になり、
    不足すると「臆病」中間が「勇気」であるとしている。

    「向こう見ず」は勇気に似ているが、
    必要の無い時は勇敢に振る舞い、
    本当に恐ろしいものに耐えられない。
    「勇気」は普段は穏やかだが、
    必要な時は恐れるべきものにも立ち向かう。
    「臆病」は恐れる必要の無いものでも恐れる。

    このように様々な性向に関して検証していっている。

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    2020年04月23日
  • 哲学史入門Ⅳ 正義論、功利主義からケアの倫理まで

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    「ケアの倫理」の章で、「人が正義を求めるのは、相手との向き合い方、自分との向き合い方が分からなくなったとき」というアリストテレスの言葉が刺さった。正しさを考えるよりも前に向き合い方を考えることは大切だ。

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    2025年11月10日
  • 哲学史入門Ⅳ 正義論、功利主義からケアの倫理まで

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    4冊目もとても読みやすく重要なポイントがまとまっているので、現代の西洋での倫理学を理解したい方には良い内容である。
    個人的には徳倫理学の章が興味深かった。カントなどの義務論は、行為の是非を問うが、徳倫理学は人格を問う。それはそうだと思うのだが、人格を重視するのであれば、例えば、西洋ではゲーテやシラーなど、教養を高める教育思想があるし、日本の報徳思想や心学など、人間性を高める伝統的教育がある。それらを学ぶことの方が有意義だと思えてきた。
    また、徳を重視し過ぎると軍国主義になるや、慰安婦の国家賠償の問題からケアを考えるなど、事実を無視した左翼思想が出てくるところは残念である。

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    2025年10月10日
  • 哲学史入門Ⅳ 正義論、功利主義からケアの倫理まで

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    面白かった。
    哲学の本を読んでると「そんなこと延々と考えてどないすんねん」と思うことが多いけど、まあ倫理学は考える価値があると思う。万が一、皆が納得できる形で正しさをルール化できたら、立法やらなんやらがすごくスムーズになると思うので。そんな夢を追って思考を深めているならカッコイイと思う。



    とはいえ、やっぱり倫理は何かしらの理屈で説明できるものではないのでは、というのが読み終わっての感想かもしれない。
    徳のある人物を目指す徳倫理学や、現場レベルの判断を問うケアの倫理は、結局「皆が心に手を当ててやっていくしかない」的な発想やと思うし、まあ実際そうよな、という気持ちもある。

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    2025年10月02日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    光文社古典新訳文庫でもこれだけ難しいか。哲学を読み解く力が未熟だと感じた。個人的には全てを読む必要はないと感じた。

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    2025年02月08日
  • ニコマコス倫理学(下)

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    アリストテレスの説明の仕方は、当時の文化、価値観に即したものであるが、読んでいくと、「現代と一緒じゃん」となる価値観がほとんどだ。「人は愛するよりも愛されることの方が嬉しいと思っている」とか「友人こそ最も重要である」とか。

    「もっとも」と言う単語を多用しすぎている気がしていて、何が最も(1番)大切なのかが明確になっていない。加えて、少し説明が細かすぎて冗長でもある。本書は哲学本と言うよりは自己啓発本に近いのかなと感じており、もし哲学本だとするならば、相当読みやすいなと感じた。

    「アリストテレスもそう言ってた」という引用の仕方で、自分の主張の正しさを補強するのもありなのかもしれない。

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    2024年06月14日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    批判を恐れずにいうならば、この本は「中間」が最も優れていることを丁寧に解説する本である。また、いくつかの徳(アレテー)が紹介されているのだが、その中でも最も素晴らしい徳は、正義の徳(アレテー)であると言う。それは、正義の徳だけが、自分だけでなく、他人に対しても適応されるからである。

    裁判や仲裁においても、その「中間」の美徳は採用されており、片方が一方に損害をもたらしたら、他方も同じ程度の損害を与えられることで、「中間」に戻すということだ。あらゆることがこの「中間」の考え方を適用できるのが興味深いところだった。

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    2024年06月12日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    幸せを得る方法や、そのために必要なアレテーについて書かれている。
    この本は道徳の頂点にいると思う。価値観などのエッセンスが全て記載されている。多分、2割くらいしか理解出来ていないが、色々な本を読み進めたり、経験をする事で身になっていくのだろう。

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    2024年05月05日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    ・アリストテレス先生の倫理学の講義を受けている気分になる。
    ・2300年前の人が書いた講義ノートを読み解くってすごい体験だな。
    ・「幸福とは何なのか」ではなくて、「幸福でいるためには何をするべきか」についての本だった。すごく実践的。
    ・ちょうど良いところを維持して、やるべきことをやる暮らしこそが幸福、っていう内容かなー。
    ・第五巻『正義について』が難しかった...。「不正」とかの用語のニュアンスがよく分からない。
    ・下巻もがんばろ。

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    2023年09月23日
  • ニコマコス倫理学(下)

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    幸福(エウダイモニア)に至るための知的なアレテーの解説含めた人柄のアレテーとの関係、そして社会的動物としての人間関係のあり方としての友愛(フィリア)と、人間の欲望を制御するための意志の持ち方をを踏まえたうえで「幸福とはどのような状態を指すのか?」を提示した著作。

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    2021年11月27日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    まず驚いたのは、これが紀元前に書かれた?ものであること。そして、倫理観や人生観について、紀元前も現代も大差がないことを実感した。特に第一巻から第三巻については、人格主義の重要性を唱えるコビー博士の7つの習慣の原型を感じた。
    人生におけるアレテー(徳)の重要性と中間性について、その価値観の洞察がすごいと思った。
    第一巻  幸福とは何か
    第二巻  人柄のアレテーの総論
    第三巻  アレテーの観点からみた行為ので構造、および勇気と節制のでアレテー
    第四巻  いくつかの人柄のアレテーの説明
    第五巻  正義について

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    2019年11月29日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    昨年末に出たばかりの新訳と知り、興味をひかれ手に取った。翻訳は基本的に新しければ新しいほど良いと思っているが、それにしても本書の訳文は平易な言葉で書かれており、驚くほど読みやすい。訳注も、原語の意味や文脈によるニュアンスの違い、本文での訳し分けなどについて丁寧に解説されており、本文の理解にとても役立つものになっている。

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    2016年06月05日
  • ニコマコス倫理学(下)

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    ネタバレ

    上巻は「人柄の徳」の説明で終わったが、下巻はもう一つの徳「知的な徳」の分類と説明から始まる。そして幸福と善に関連して愛や快楽の問題に取り組み、観想的な生活を称揚する結論で終わる。
    「究極の目的はそれぞれの事柄を理論的に考察して認識することではなく、むしろそれらの事柄を実践することなのである」とアリストテレスが述べているとおり、あくまで徳を実践することにこだわった内容になっていてすごく地に足がついている感じ。この印象は下巻でも一貫していた。しかし徳を身につける方法は全くお手軽なものではなく、幼少から習慣にして地道にコツコツ頑張るしかないというもので、自己啓発的な読み方を寄せ付けないところがある。

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    2024年07月09日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    ネタバレ

    さすが光文社の古典新訳、とても読みやすくて解説も丁寧で助かった。
    アリストテレスは最高の善=幸福とは何か、と問いを立て、「徳に基づく魂の活動(徳を身につけ、優れた活動を行うこと)」と定義する。さらにそこから、徳とは何か、という問題に入っていくのである。徳を「知的な徳」と「人柄の徳」に二分し、「人柄の徳」を習慣によって身につく「中間性を示す選択を生む性向」であると定義して、実際の個々の徳がどんなふうに「中間性」を示しているのか考察していく(例えば、勇気は臆病と向こう見ずの中間である)ところまでが上巻。
    相変わらずひたすら分類と考察を繰り返していくことに終始していて、アリストテレスって感じがする。

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    2024年06月25日
  • ニコマコス倫理学(下)

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    小川の推薦本である。訳は平易で読みやすいがわかりづ以来ところがある。解説が非常に丁寧なので、解説を熟読してから本文を読むとよいと思われる。

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    2022年12月10日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    「善」とは、単なる信条ではなく実際の行為であり、善いことを行為する事こそが善いことである。そしてその行為は、「性向」として、本人がそれを望むがゆえに積極的な態度で行われる必要がある。善きことを「適当な程度」に望む性向が「徳」。例えば、過剰な勇気は蛮勇であり、過少な勇気は臆病であるように。言ってみれば、徳は中庸と呼べる行き方、態度に関わる性向と言えるか。テキトーにやる、のでなく、適当を見極める、なので、非常に能動的かつ精神を働かせる形ではあるが。
    個人的に興味深いのは、キリスト教が支配的になる以前は、こうしたバランスを取る事を良しとする生き方が称賛されていたのだ、ということ。アウレリウスの自省録

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    2022年10月03日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    これは講義録の底本になっている。簡潔な叙述が延々と続く。もはや理解できない。ので、またいつか読み直す。

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    2024年07月22日
  • ニコマコス倫理学(上)

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    アリストテレスの哲学
    真実は、善と悪を見分けることができる賢慮を持って実践することで近づくことができる。

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    2018年09月28日