山上信吾のレビュー一覧
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ネタバレ自分は外交について「日米」「日中」は身近だったが「日豪」については今まで意識したことがなかった。日本とオーストラリアで「中国問題」に対する意識を丁寧に摺合せを行ってきた筆者。日々、台頭してゆく中国に立ち向かうための重要なポイント。「歴史カード」を振りかざす中国に果敢に立ち向かうための重要なポイント。それは「中国と同じ土俵に乗らない」こと。見るべき相手は中国ではなく、任国であるオーストラリア。中国に対する意見、立場を日豪で共有して、大所高所に立つ。中国だけに目を向けるのではなく、「オーストラリア駐日大使」の立場で戦ってゆく。山上大使の果敢な行動に心打たれた。
いつか「カウラの地」に立ってみたい -
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読み進めるにつれ、タイトルにある日本外交の劣化に関して、焦燥感とやるせなさ、絶望感だけが募る。
著者の山上氏は、駐オーストラリア全権大使であったが、上司に対しても物言う姿勢から外務省内では異端であった。外務省組織内の多くが事なかれ主義と保身に明け暮れ、政治家も含め、日本の国益を守るという高い職業意識が希薄である、もしくは皆無である事が様々な事例と共に指摘されている。
本書の構成は、問題点がまず上げられ、その背景が語られ、更に解決策の提言がなされている。問題点だけ論うだけだれば単なる文句を言っているだけという事を著者も意識しているのであろう。しかしながら、山上氏のような気骨があり全権大使まで -
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山上信吾氏の書籍を始めて拝読した。
日米、日中、日ロの外交を中心に日本の首相、政治家、外務省の
弱腰な姿勢、国際感覚の欠如、政と官の不健全な結びつき、などに対して、
外交官として豊富な実績を持つ経験者として信頼性ある立場から鋭く指摘、批判をしている。
対米姿勢に関しては、東京裁判を受け入れた経済重視の勢力が保守本流となっており、
歴史認識を含めて丁寧に日本のあるべき姿を模索する保守層が排除されていることへの懸念にも言及していた。
この論点は大切で、反米・親米という線引きをしている限り日本の対米姿勢のあるべき姿は見えないと感じた。
対中外交に関しては、媚中の勢力への懸念を強く示している印象。 -
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戦う外交官山上信吾と民間人でありながら豪州での慰安婦像設置を防いだ山岡鉄舟の対談。
官、民の違いはあるが、現地で体を張って国益を守ろうとした2人の実経験に基づく指摘や問題意識は鋭く、重い。
山上氏の著作にもあるが、海外に必要以上に忖度する、事なかれ主義の政治家や外務官僚たちが如何に日本の国益を損ねているか。
外交、安全保障、インテリジェンスの三位一体の核となる対外情報機関の設置、セキュリティ・クリアランスの拡充・徹底、政治家・公務員の帰化歴を含む身辺調査の徹底など両氏の指摘は我が国の外交的独立を維持するためには喫緊の課題だが、残念ながら現石破政権には全く期待できない。 -
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著者山上信吾氏の2020年12月から2年4ヶ月間の駐豪大使としての奮闘の記録。
事なかれ主義に陥ることなく、特に中国の脅威に日豪で連携して対応すべく、現地マスコミ、政界に積極的に露出、交流し、我が国の主張を浸透させ、地位を高めた功績を自負をもって語る。
親中派、媚中派は我が国に限らず、豪州にも他国にも存在するし、本国外務省の腰の据わらなさは甚だしい。
著者が繰り返し、思考停止、怯惰を指摘する所以だ。
規律の弛緩と錬度の低下、国家を背負う官僚としての意識の低下、狭隘な視野なども指摘されているが、他省庁を含む官僚全体に当てはまらないだろうか。
中国の浸透力、影響力は侮れないが、昨今の戦狼外交 -
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読んでいて気持ちいい。
気持ちいくらいの、外務省のクソっぷり。
媚中がテーマでそこは外務省だけではないのだが、本来国益を背負って外国と対峙すべき部署の、仲良くなりたい、嫌われたくない、外交とはこちらが譲ること、なんでもあげるから嫌いにならないで、「私を」好きでいて的な言動の数々。
財務省ほど解体しろとは言わないが、ガラガラポンする必要があるという。
ほんまそんな感じ。
引くばかりで相手に合わせるのは、もはや、相手国の外交官である。
出世もわかる。
自分の生活もわかる。
だけど、ここでそんな奴がいたらあかん。しかも、帰化人かなんか知らんが、半島統一のために頑張りますとか言ってる奴もいるって -
Posted by ブクログ
前オーストラリア大使だった著者が、外務省入省後40年経ち退官したことを契機に外務省のインサイドから実名を挙げて外務省を劣化させる原因ないし傾向を告発する。
在外公館での経験がほとんどないよう本省ばかりのような官僚が幅を利かせることは正に外交の最前線と日本を断絶ないし国益を損ねる危険性を高めるもので改善してもらいたいものだ。
ただ著者の歴史観がやや独善的な点も見られるが、オープンな議論を拒絶しない職場の土壌の大切なことには賛同する。
普段あまり関心のない外務省についての書物なので興味深く読んだが、森次官とは相当長い間確執があったことは野次馬的に(モーレツ主義からスローライフ的な時代的な変化もふま -
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元在豪大使の苦言と提案。
政治家とかこういう方々の本に共通の、俺はそうじゃなかったんだ、俺は全てを見通しているんだ的なちょっと上からの感じが鼻につく部分は否めないのだけど、しょうがあるまい。
ロビイングができず発信ができず、内向き仲良しサークルでナワバリ意識と事なかれ主義の外務省。
安倍元首相のロシア対応を諌められんかったのかというのは同感するところはあるが、ハナから信用されてなかったのだろう。
内政の失敗は内閣を破壊するが、外政の失敗は国を滅ぼす。
この言葉を噛み締められない人間は、外務に関わるべきではない。
やはり、外務省だけは別採用の方がいいんじゃないかね。特に、大使とか在外公 -
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「劣化」とあるが、筆者も書くように、真珠湾攻撃の宣戦布告を遅延させた野村駐米大使を始め、外務省の不手際、国益意識の低さは以前からつとに指摘されてきた。
本書の第一部の指摘は尤もなものばかり。
第二部、第三部は筆者の思い入れの強さのあまり筆が滑っていると感じる箇所もあるが、外交を司るはずの外務省職員が、外交官ではなく単なる公務員となっているような印象を受ける。
日常業務や省内政治に精一杯で、国を代表し、他国と国益を巡ってのギリギリの交渉を行う余裕や覚悟を持てないということか。
基本的な語学力不足、自国や赴任先の社会・文化・歴史に対する理解不足、赴任先で有効な人脈を作れない、自国の利益に沿っ