あらすじ
日本外交よ、中国の恫喝に屈するな!
櫻井よしこ氏絶賛!
「国益の前に立ちはだかる勢力と果敢に闘った、あっぱれな外交官の血風録」
かつて毛沢東は「政権は銃口から生まれる」との名言を残した。
中国共産党は「力」の信奉者であり、「民主」「平和」といった理念は通じない。
とりわけ習近平政権では、外交にかかわる党幹部が公式の席で日本を含む西側陣営を罵倒、攻撃することが常態化している。
それに対して、日本政府は何ら手を打てずにいた。
いわゆる「チャイナスクール」と呼ばれる親中派外交官らは、逆に中国におもねるような行動をしていたほどだ。
だが、2023年までオーストラリア大使を務めた山上信吾氏は、中国からの恫喝に敢然と立ち向かった。
日米豪を結束させ、中国に対抗する安全保障枠組み(クアッド・日米豪印戦略対話)のために奔走する。
中国は山上大使にありとあらゆる攻撃を仕掛ける。
発言の揚げ足取りや人格攻撃、いわゆる「歴史カード」を持ち出した牽制、さらには親中派ジャーナリストを使ってのネガティブキャンペーン……。
だが、山上大使は売られたケンカには「倍返し」で応じる。
反撃の方針は、「冷静かつ客観的な視点からの反論で、オーストラリアの一般国民を味方につける」「相手(中国)と同じレベルの土俵には乗らない」。
剛毅な姿勢は次第に評価され、豪州政府内に共感が広がっていく。
最後に、「国際社会で通用する人間であるための心がけ」をわかりやすく提示してくれる。
政府だけでなく、民間レベルでも中国による圧力や恫喝にたじろいでしまう日本人が多い中、中国に負けないためのお手本ともいえる作品である。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自分は外交について「日米」「日中」は身近だったが「日豪」については今まで意識したことがなかった。日本とオーストラリアで「中国問題」に対する意識を丁寧に摺合せを行ってきた筆者。日々、台頭してゆく中国に立ち向かうための重要なポイント。「歴史カード」を振りかざす中国に果敢に立ち向かうための重要なポイント。それは「中国と同じ土俵に乗らない」こと。見るべき相手は中国ではなく、任国であるオーストラリア。中国に対する意見、立場を日豪で共有して、大所高所に立つ。中国だけに目を向けるのではなく、「オーストラリア駐日大使」の立場で戦ってゆく。山上大使の果敢な行動に心打たれた。
いつか「カウラの地」に立ってみたい。
Posted by ブクログ
外交官の真の仕事はなんぞや。
外交官に求められる資質はなんぞや。
その答えが新書一冊に詰まっている。
そして、中国の「戦狼外交」への処方箋も
答えが分かってるんだから、実践しろよ、外務省!!
Posted by ブクログ
著者山上信吾氏の2020年12月から2年4ヶ月間の駐豪大使としての奮闘の記録。
事なかれ主義に陥ることなく、特に中国の脅威に日豪で連携して対応すべく、現地マスコミ、政界に積極的に露出、交流し、我が国の主張を浸透させ、地位を高めた功績を自負をもって語る。
親中派、媚中派は我が国に限らず、豪州にも他国にも存在するし、本国外務省の腰の据わらなさは甚だしい。
著者が繰り返し、思考停止、怯惰を指摘する所以だ。
規律の弛緩と錬度の低下、国家を背負う官僚としての意識の低下、狭隘な視野なども指摘されているが、他省庁を含む官僚全体に当てはまらないだろうか。
中国の浸透力、影響力は侮れないが、昨今の戦狼外交に見られるように決して外交上手ではない。
外務省若手の士気向上には待遇改善も大切だが、外交官としてのやり甲斐の方が遥かにもっと深く大切だと著者は説く。
本邦外交当局の使命感、士気の向上を期待したい。