シッダールタムカジーのレビュー一覧

  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    「ある特定の果物(きのこだったりもする)だけを食べれば、がん(どこのがんか特定もしない)が消滅」、みたいな、素人目にみても無茶苦茶なタイトルや帯が付いた本、雑誌が、大手を振って、書店に並んでいる現状において、「がんリテラシー」というのは非常に重要だと思う。
    本書は、その観点から、とても大切な「教科書」のひとつになるのではないか。

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    2014年09月14日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    ネタバレ

    そして下巻はがんの予防、そしてついに来ましたがんのメカニズム解明。

    細胞分裂の開始と終了を司る遺伝子が変異するのが原因、てことで分裂のアクセル踏みっぱなし、かつブレーキが壊れた状態になってまうらしい。そりゃワサワサ増えるわな。。。で、その遺伝子を標的にした、副作用の少ない分子標的薬がついに出回り始めました、という現状でこの大作は締めくくられとります。

    最後まで読んでふと思ったのが、実は"がん"って病気とは違うんとちゃうか、と。もちろん発がん物質のような外部要因もあるけど、普通の細胞分裂でもDNAのコピーミスが発生して、そこからがん、ってのも確率的にありうる話やからなあ。

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    2014年02月28日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    実は4000年の昔からあったけど、ほとんどの病気を克服して寿命が延びだしたとたん、やな感じに存在感を増してきた、がんと人間のお話ですよ。

    で、上巻はがん治療と、社会運動について。原因とメカニズムがなかなか解明できないので、ほんの30年ほど前までは力押しの治療がメインで、効果の割には患者さんの負担が大きかったそう。将来悪くなりそうなところ含めガッツリ摘出してまうか、命の限界まで抗がん剤を投与して、正常な細胞もろともがん細胞を焼き尽くすか。これはキツかったやろうな(-_-;;;

    著者は現役バリバリの腫瘍医さんやけど、書いた理由が2つあるらしく、
    ①患者さんから受けた「がんとは何か」という質問に

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    2014年02月25日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    主にアメリカにおけるオンコロジーの発展を物語として読ませてくれます。トピックごと、章ごとに時代が行きつ戻りつするのがやや難点ですが、それでも、とてもおもしろい。少なくとも、血液内科医、臨床腫瘍医は必読です。

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    2014年01月24日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    下巻は、予防の占める割合が多い。特に、喫煙と発癌の関連が今まで感じていたよりもはるかに強いことを知らされた。
    その差の原因は政治的な情報制御としか考えられず、自分で情報収集しなければならないことを痛感した。
    癌がいずれ克服されるというような薔薇色の夢は描けないが、個々の癌に対して治療法がみつかって行くことには率直に感動させられる。

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    2014年01月17日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    癌の治療と原因・仕組の探求の歴史がまとめられていて、大変よかった。
    上巻は、後から無意味とわかった治療の歴史が多くの部分を占めるため、痛々しい。

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    2014年01月17日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    とんでもなく面白かった。
    疫学的、分子生物学的、
    腫瘍遺伝学的アプローチのお話もわかりやすく、
    他分野でもそうだが、
    科学の進歩と人類の探究心のすごさを思い知った。

    2011 年 ピューリッツァー賞一般ノンフィクション部門受賞作品。

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    2014年01月02日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    がんはどうやってできるのか?最初のヒントは1775年のロンドン。クライミング・ボーイと言う煙突掃除夫に陰嚢がんが多発した。チムチムチェリーはすてきな歌だが実態は病気の温床だった。1761年素人科学者のジョン・ヒルは噛みタバコが口腔がんなどを引き起こすと発表した。タバコの消費は増え続け1855年頃クリミア戦争を契機に爆発的に拡がった。イギリス、フランス、ロシアの兵士が紙巻きタバコの習慣を持ち帰り、アメリカにも伝播した。1870年に一人当たり年間1本未満だったアメリカのタバコ消費量は30年後にはアメリカ全体で35億本のタバコと60億本の葉巻を消費した。しかしタバコと発がん性の関係が調査されたのは1

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    2013年12月17日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(上)人類4000年の苦闘

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    紀元前2625年頃活躍した古代エジプトの偉大な医師イムホテプの教えた書と言われるパピルスの写本には48の症例がのっている。その一つが乳がんで「治療法はない」この後がんは古代医学史から姿を消した。次に現れたのは紀元前440年頃、ヘロドトスの「歴史」にペルシアの王妃アトッサの同じく乳がんの記述が出てくる。アトッサはギリシャ人の奴隷医師に摘出手術をさせどうやら成功したらしい。故郷に帰ることを願う医師の訴えを聞きアトッサはギリシャを攻めるよう夫に進言し、ギリシャ・ペルシア戦争が勃発した。

    がんの歴史の特徴は古代にはほとんどがんが見つかっていないことだ。しかし、がんが文明病だとは言えない。平均寿命の伸

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    2013年12月16日
  • 病の皇帝「がん」に挑む(下)人類4000年の苦闘

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    ネタバレ

    ガンがエジプト/ペルシアなど古代文明で認識(ペルシア王妃が乳がんを切除)されて、そのかにのような固さ、広がった形からcancerと名付けられてから、現代までの経緯を著者自身の臨床経験と交えて熱く語る今年一番の力作。
    特に20世紀は寿命が伸び、タバコなどの発がん性物質もより一般化して来たガンの世紀となった。一方治療も手術は過激ともいえる、できるだけ切除する方法、化学療法は大量のカクテル療法を行い、正常細胞を死ぬまで追い込むあるいはがん化させるリスクを十分冒して対抗した。その背景は、遺伝子に異変を引き起こすガンの仕組みが明らかではなく、対処療法にとどまったことだ
    21世紀の後半にかけて
    1.増殖シ

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    2013年11月03日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

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    遺伝子、ゲノムの解読が終わり、Crisper CAS-9でゲノム自体の編集ができるようになったとしてもまだまだ未解明なことがたくさんあるんだなと。

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    2025年09月23日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 上

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    遺伝子、生命をめぐる壮大な歴史と発見をなぞる本。形質がどのように遺伝して、発現するのかを解き明かした科学者たちの歴史。

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    2025年09月14日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

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    「私たちは何者か」――その問いにゲノムが静かに応える。シッダールタ・ムカジー『遺伝子 親密なる人類史〈下〉』は生命の設計図をめぐる旅の後半を描く。遺伝子の異常が病を招くことが明らかになる一方で診断や治療に革命が起きた。癌、難病、心の病にさえゲノムの声が届くようになった今、私たちは神の領域に触れつつある。だがその先に待つのは恩恵か傲慢か。科学の力をどう生かすかは私たちの選択に委ねられている。

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    2025年07月15日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 上

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    私たちは何者か――その問いに遺伝子の歴史が応える。シッダールタ・ムカジー『遺伝子 親密なる人類史』は生命の設計図をめぐる壮大な物語だ。メンデルの豆から始まり、DNAの二重らせん、遺伝病の闘い、ゲノム編集へと科学は進化してきた。だがそこには希望だけでなく差別や優生思想の影もあった。遺伝子は未来を拓く鍵であると同時に私たちに謙虚さを求める鏡でもある。人類の歩みと向き合い命の深さを見つめたい。

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    2025年07月14日
  • 細胞―生命と医療の本質を探る― 下

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    上巻を読み終えてから、下巻のレビューを書くまでに時間が空いてしまった。読むのに時間がかかったのではなく、単に私がサボっていただけだ。下巻も面白い。生命を「分割可能な最小の単位=細胞」として捉えたとき、身体という複雑な現象をどこまで理解できるのだろうか。引き続き、そんな問いに挑んでいく。

    CAR-T療法やiPS細胞の可能性と限界、CRISPRを用いた遺伝子編集技術など、「細胞」における最先端の医療事情に触れながら、他方でテクノロジーへの盲目的な礼賛に陥らず、倫理的な側面との葛藤を描く。ここからメモ書きを振り返りながらとしたい(期間があくと記憶が曖昧になるので)。

    ― 生物学では、「器官」とは

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    2025年07月07日
  • 細胞―生命と医療の本質を探る― 上

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    余談だが、ドラゴンボールのセルの名前の由来は「細胞」であり、人間たちを吸収していくキャラクターとして、文字通り「セル=細胞」を体現していた。キャラ設定がストーリー開始当初からの登場人物たちの要素を組み込んだ悪役だったから、私はアニメ界のメタ的なポジションとして、セル画が語源だと思い込んでいた。

    「細胞」は、すべての生物を構成する基本単位であり、細胞膜で囲まれた細胞質と、その中に含まれるDNAやRNAなどの遺伝物質、タンパク質、その他の分子で構成されている。

    本書は、この「cell(細胞)」にまつわる歴史、哲学、倫理、そして未来を描き出す。冒頭のドラゴンボールのセルとは関係ない。何となく私が

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    2025年06月29日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

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     下巻では、1970年以降から現在までの科学研究や遺伝子に関する医療その他の技術の進展が描かれる。

     第四部は、人類遺伝学が語られる。
     妊娠中絶の合法化と遺伝子解析技術の発展により、人間に対する新しい種類の遺伝的「介入」、つまり新しい形の「優生学」が登場する。ただ、疾病遺伝子を見つけるためには、まずは遺伝子のゲノム上の位置を突き止めなければならないが、1970年代当時にはその技術は欠けていた。様々な苦労を経て、ハンチントン病を引き起こす遺伝子、嚢胞性線維症の原因遺伝子が特定されるなどして、1990年代前半には、遺伝子の地図が作られ、遺伝子が単離され、解読され、合成され、クローニングされ、組

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    2024年09月08日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

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    上巻はダーウィン、メンデルから遺伝子組み換えや遺伝子クローニングまで、これまでの歴史を振り返っていたが、下巻は遺伝子診断、遺伝子治療の未来について展望を語る。
    人間の特性のほとんどが、複数の遺伝子と環境の複雑な相互作用の結果であり、すべての遺伝性「疾患」はゲノムと環境のミスマッチによる。病気の解決のために遺伝子を変えるより、環境を変える方が簡単な場合が多い、という著者の主張に納得。

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    2022年10月16日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 下

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    ヒトゲノム計画の完了を経て、遺伝子診断や遺伝子治療など現在に至る現況。科学的な解説のみならず社会科学的な観点からも大きな紙幅を割いて論じている。文庫版解説では社会的大問題となっている新型コロナウィルスとPCR検査、ワクチンといったタイムリーな話題の解説もあります。

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    2021年03月11日
  • 遺伝子‐親密なる人類史‐ 上

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    まだ遺伝子という概念が存在していなかったダーウィンの時代から、1900年代後半に至るまでの遺伝学の通史。メンデルのエンドウの研究やワトソン・クリックのDNA二重らせんモデルなど、これまでポツンポツンと理解していたエピソードが、線として繋がり語られていく。上質な講義を聴いているかのようだった。

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    2021年03月10日