佐藤信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「日本古代史はこうだ」というのではなく、
「日本古代史はこのように構成されつつある」
という書です。
歴史とは新発見により変わります。
例えば、崇仏論争により蘇我氏と物部氏が戦ったと言われてきましたが、物部氏の中にも仏教を受容していた人がいた事が明らかになっているようです。
歴史像を具体的に再構成するのは一見地味ながらも、歴史学の醍醐味なのでしょう。
そうした作業に焦点をあてようとしたのが本書です。(2018年)
この古代史講義は他にも【戦乱篇】(2019年)、【宮都篇】(2020年)、【氏族篇】(2021年)とあります。
古代史の最新学説を知りたい方にはお勧めできるかも知れませんが、ハイレベルな前提知識が求められるように感じました。
私のようにあまり詳しくない人が読むと、「ちょっと難し過ぎてあまり楽しめない」という事になってしまうかも知れません。
逆に詳しい人は相当楽しめるのかも知れません。 -
Posted by ブクログ
日本古代史について、戦乱に焦点を当て、6世紀の磐井の乱から11世紀の前9年・後三年合戦までを別々の筆者によるオムニバス形式で扱う。
日本史は中学以来ご無沙汰なので、壬申の乱、アテルイ、平将門、源義家など点で主要人物、事象を抑えていたが、本書によって、飛び飛びではあるものの、古墳時代の王権から平安時代に至るまでの流れを大掴みに掴むことはできた。特に、国際情勢と絡めて書いてある磐井の乱、乙巳の変、白村江の戦い、藤原氏への権力集中につながる長屋王の変、橘奈良麻呂の乱、藤原氏仲麻呂の乱、応天門の変などは背景の理解や読み物としても面白かった。
一方、オムニバスなので、書き手によって読みやすさに違いがあり、例えば、菅原道真左遷事件や承平天慶の乱などは、史料や議論が多いこともあるのかも知れないが、学術的な記述も多く、読みやすかった前半と比べて、大掴みに理解するにはtoo muchで読みにくいなとの印象を持った箇所もあった。
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Posted by ブクログ
「歴史のアップデート」がこれほど刺激的だとは!
教科書に載っていた「定説」がいかに脆く、そしてエキサイティングに書き換えられているかを教えてくれる一冊です。邪馬台国の所在地論争から平安時代の国風文化まで、各分野のトップランナーたちが最新の考古学成果と文献調査を武器に、古代日本というドラマを再構成しています。
単なる知識の蓄積ではなく、「なぜその制度が必要だったのか」「当時の人々は世界をどう見ていたのか」という背景が論理的に解説されており、歴史が「点」ではなく「線」として繋がる感覚を味わえます。断片的な知識を、一つの「構造」として捉え直したいビジネスパーソンや教養派にこそ手に取ってほしい、知的な贅沢が詰まった講義録です。 -
Posted by ブクログ
政変の顛末
筑波大学教授、三谷芳幸 著。
筑波大学の授業科目「日本史概説I-a」(第1~8章)、「日本史概説I-b」(第9~15章)の教科書。
書き出しに「日本古代史像は、最近大きく変貌」と言うほど、そんなに変わってないじゃないか、と第一印象では感じたのが正直なところ。しかし読み進めて行くと高校では習わなかった情報が続々と出てきて印象も変わる。結局のところ古い時代はそう新しい史料は出てこないということか、時代が下った後半の章には新たな試みも多く、当時の気候や地球環境を推定して歴史に結び付ける考察など意欲的で興味深い。
各章でそれぞれの時代に起こった、○○の乱とか△△の変が取り上げられる。中学・高校の日本史では歴史語りの流れの中で、象徴的なターニングポイントとして学ぶものの、個別の事情や時系列まで詳しくは知らなかった。本書には前後の状況や周辺地域へ転戦する展開が描かれており、面的な理解ができるところが良い。
1章は15ページほどにまとめられ、テーマの導入に数ページ費やすことを考慮すると、肝心の新情報の記述が短いと言わざるを得ない。古代史像は読者がいつ学んだかによって違うはずで、この頃の教科書ではこう書かれていたけど…とか研究史や学校教育史を明示し丁寧に解説して欲しかった。
目次
1.邪馬台国から古墳の時代へ
2.倭の大王と地方豪族
3.蘇我氏とヤマト王権
4.飛鳥・藤原の時代と東アジア
5.平城京の実像
6.奈良時代の争乱
7.地方官衙と地方豪族
8.遣唐使と天平文化
9.平安遷都と対蝦夷戦争
10.平安京の成熟と都市王権の展開
11.摂関政治の実像
12.国風文化と唐物の世界
13.受領と地方社会
14.平将門・藤原純友の乱の再検討
15.平泉と奥州藤原氏