あらすじ
昨今の研究の進展を受けて、かつての古代史の通説は覆され、学校教科書での古代史の記述も様変わりしつつある。大化の改新は645年のクーデタではない、「聖徳太子」は廐戸王でありその役割は限定的であった、東北の城柵は行政官庁だった、などはその一部である。そこで15人の研究者が集い、古代史の最新の研究成果と研究動向を一般読者にわかりやすく伝える。一般読者が誤解しがちな点やかつての教科書で書かれていたために広まっている誤解などを正す、最新・最良の入門書。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
教科書(中学レベルで構わない)の「次」に読むことで効果を最大限に発揮して、読者を歴史"学"に誘う最適な入門編。
こういう考古学的な発見が、あるいはこういう文献解釈があって、こういう議論がされて、で今はこう考えるのが主流的だ、という学説が固まるまでの流れも含め、読み物として面白く、そのくせ非常に読みやすい。
また、各章末で紹介されている参考文献(ブックリスト)が比較的新しい本・今でも手に入りやすい本で固められているのも、良い。
Posted by ブクログ
古代史の最新の研究成果と研究動向を15人の研究者がわかりやすく伝える本。
教科書や入門書で古代史の基本をおさえた上で、より詳しく古代史を学びたい方は、次のステップとして本書を読むことをおすすめします。
Posted by ブクログ
邪馬台国から平安時代までの期間を対象に、最新の研究動向までを踏まえた紹介がなされた本。高校から知識のアップデートをしてない分野だったので非常に興味深く読めた。資料に基づく実証的な記述が多く、信頼のおける内容だと思う。
Posted by ブクログ
古代から平安時代までの有名なトピックを取り上げている。あくまで概説と有力な通説を示しているだけだけど、各章の最後に参考文献と一言コメントが書いてあって、そこも役に立つ。詳細はそっちの文献を読めということなんだろう。この本だけでは物足りなさが残るけど、入り口としてはとても良い感じ。
たった一冊で古代から近代までの日本史をすべてカバーすると息巻いていた作家さんが滑稽に見えるとかそういう話はあまりしないでおこう。
Posted by ブクログ
「一万円札は聖徳太子」の世代が学んだ古代史の知識は現在ではもはや通用しない。IT業界と同じくらいのスピードで、最近の古代史は調査・研究が進み、見直されている。本書は15人の歴史学者たちがそれぞれの得意分野において最先端の古代史を説く。
聖徳太子は凡人だったことと蘇我一族の国家への貢献度アップはもはや常識だ。そして、日本書紀で大化の改新の記述が実は大幅に書き換えられていたこと、藤原道長の全盛期は摂政・関白就任時ではなく「内覧」という地位であったことなどなど。変わりゆく古代史の「イマ」を知ることは楽しい。
Posted by ブクログ
歴史のあらゆる出来事について、広く専門的に解説している ちくま新書歴史講義シリーズの古代編。本書では、古代(邪馬台国から平安時代)までの出来事をわかりやすく紹介しています。
ただし、ある程度歴史の知識がないと読みにくく、高校の日本史は抑えていることが前提で、その内容をより深く掘り下げるような内容となります。
また、このシリーズ全般で、各章をより深く学ぶための参考文献が紹介されているため、興味のある内容についてはこちらの参考文献も併せて読むことで知識の掘り下げができます。
【こんな人におすすめ】
古代史について中級者程度の本を探している
Posted by ブクログ
サブタイトル「邪馬台国から平安時代まで」のとおり、最新の知見に基づき15の講義形式で読むことができた。日本の統治が、大王から天皇へと移行し、制度が成熟していく部分は人物相関がやはり複雑だった。平城京が、唐の長安城の1/2モデルで、都建設に対する唐の許認可があったという説は興味深い。各講の末尾には参考文献として文庫・新書から学術専門書まで紹介されているのも良い。通史的な本書を受けて、興味をそそられた時代の書籍を読んでいきたい。
Posted by ブクログ
邪馬台国から奥州藤原氏まで最近の研究の知見も交えて俯瞰。古代史は新たな歴史的史資料が発見されるとそれまでの説がドラスティックに塗り替えられることを実感。
Posted by ブクログ
「日本古代史はこうだ」というのではなく、
「日本古代史はこのように構成されつつある」
という書です。
歴史とは新発見により変わります。
例えば、崇仏論争により蘇我氏と物部氏が戦ったと言われてきましたが、物部氏の中にも仏教を受容していた人がいた事が明らかになっているようです。
歴史像を具体的に再構成するのは一見地味ながらも、歴史学の醍醐味なのでしょう。
そうした作業に焦点をあてようとしたのが本書です。(2018年)
この古代史講義は他にも【戦乱篇】(2019年)、【宮都篇】(2020年)、【氏族篇】(2021年)とあります。
古代史の最新学説を知りたい方にはお勧めできるかも知れませんが、ハイレベルな前提知識が求められるように感じました。
私のようにあまり詳しくない人が読むと、「ちょっと難し過ぎてあまり楽しめない」という事になってしまうかも知れません。
逆に詳しい人は相当楽しめるのかも知れません。
Posted by ブクログ
邪馬台国から平安時代までと副題にある通り、複数の研究者が最近の古代史の動向を整理した本。古代史の学び直しのために読んだが、特に考古学の成果を取り入れた見解は興味深かった。かつて教科書や受験勉強で仕入れた知識を更新するにはちょうど良い。各章の末尾に、さらに深く学ぶための読書案内があるのも良い。
Posted by ブクログ
古代史の最近の研究成果、動向を15のポイントにまとめて伝える良書。興味を持ったテーマを更に楽しめるよう参考文献もしっかり備わりおトクな一冊。ただ、参考文献記載書籍を何冊か購入してしまったので、罪作りな一冊でもある。
Posted by ブクログ
筑波大学教授、三谷芳幸 著。
筑波大学の授業科目「日本史概説I-a」(第1~8章)、「日本史概説I-b」(第9~15章)の教科書。
政変の顛末。
書き出しに「日本古代史像は、最近大きく変貌」と言うほど、そんなに変わってないじゃないか、と第一印象では感じたのが正直なところ。しかし読み進めて行くと高校では習わなかった情報が続々と出てきて印象も変わる。結局のところ古い時代はそう新しい史料は出てこないということか、時代が下った後半の章には新たな試みも多く、当時の気候や地球環境を推定して歴史に結び付ける考察など興味深い。
各章でそれぞれの時代に起こった、○○の乱とか△△の変が取り上げられる。中学・高校の日本史では歴史語りの流れの中で、象徴的なターニングポイントとして学ぶものの、個別の事情や時系列まで詳しくは知らなかった。本書には前後の状況や周辺地域へ転戦する展開が描かれており、面的な理解ができるところが良い。
1章は15ページほどにまとめられ、テーマの導入に数ページ費やすことを考慮すると、肝心の新情報の記述が短いと言わざるを得ない。古代史像は読者がいつ学んだかによって違うはずで、この頃の教科書ではこう書かれていたけど…とか研究史や学校教育の時系列を明示し丁寧に解説して欲しかった。
目次
1.邪馬台国から古墳の時代へ
2.倭の大王と地方豪族
3.蘇我氏とヤマト王権
4.飛鳥・藤原の時代と東アジア
5.平城京の実像
6.奈良時代の争乱
7.地方官衙と地方豪族
8.遣唐使と天平文化
9.平安遷都と対蝦夷戦争
10.平安京の成熟と都市王権の展開
11.摂関政治の実像
12.国風文化と唐物の世界
13.受領と地方社会
14.平将門・藤原純友の乱の再検討
15.平泉と奥州藤原氏
Posted by ブクログ
愛国心をくすぐる古代史でもなく、物語でもなく淡々と進むので、読み物としては楽しくないかもしれない。
ただ最近は愛国心をくすぐるような本ばかり読んでいたので客観的にみる意識に戻る事ができた。
Posted by ブクログ
自分の知識が不足していて十分に咀嚼できていないところが大だが、歴史学の思考過程も含めて伝えたいという編者の思いもあり、その部分のわくわくは伝わった。古代史の世界は文献だけでなく考古学的な知見も活かしての研究が今後も進められていく、その中で今後も発見があるのだろうと思わせてくれる。
Posted by ブクログ
万葉集を理解するにあたり、和歌が歌われる背景となった古代歴史について復習したく読んだ。最初に戦乱篇を手に取ったが正直全く分からず、まずは全体的な歴史を復習しよう…とこちらから読むことにした。
卑弥呼の時代から奥州藤原の時代まで、政治や歴史的出来事の話だけでなく文化や貿易、地方政治、宮都事情まで幅広くカバー。教科書ではなかなか地方政治まで詳しく勉強しないのではないだろうか?(もう覚えてないけど)
1講あたり15〜20ページ前後で概要が書かれており、参考文献も豊富なため、本書で足りない部分は参考文献で補えそう。知識欲求の強い読者にも親切だ。
1講あたりのページ数が少ないとはいえ、入門編ではないため内容は簡単とは言えない。自分の頭で噛み砕いて読み進める必要があるので読むのに時間がかかった。
本書は、日本古代史を発掘調査や多様な歴史史料からわかる最新の情報や新しい解釈を教えてくれる。
個人的には、藤原仲麻呂の乱と桓武朝の政治、地方社会の話が興味深かった。
Posted by ブクログ
新書ではあるけれど、なかなか骨太な一冊。基礎知識がないとしんどいかも。かつて受験で日本史選択した人は楽しめる。今って薬子の変とは言わないんだなあ。個人的には12章の国風文化が面白く読めた。
Posted by ブクログ
邪馬台国から古墳の時代が読みたくて借りたが、知ってた範囲のことしか記載無く、俺的には若干期待外れ。
しかし平安時代の考察はなかなか。
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章 邪馬台国から古墳の時代へ
第2章 倭の大王と地方豪族
第3章 蘇我氏とヤマト政権
第4章 飛鳥・藤原の時代と東アジア
第5章 平城京の実像
第6章 奈良時代の争乱
第7章 地方官衙と地方豪族
第8章 遣唐使と天平文化
第9章 平安遷都と対蝦夷戦争
第10章 平安京の成熟と都市王権の展開
第11章 摂関政治の実像
第12章 国風文化と唐物の世界
第13章 受領と地方社会
第14章 平将門・藤原純友の乱の再検討
第15章 平泉と奥州藤原氏
<内容>
最新の研究成果を交えて、古代史をわかりやすく説いた本。非常にポイントを整理して説明してくれているので、授業などでうまく利用できそうな構成と内容である。