櫻田智也のレビュー一覧
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エリ沢泉シリーズ、3巻。
まず最初に、読み方の注意!
とにかく目次どおりの並び順で読むこと!
時系列順に(何年も)経っており、1話目2話目の盛大なネタばらしがその後繰り広げられるので……!
わたしは短編集は好きそうなものから読んでしまうので、ものすごいショックを受ける羽目になりました。自業自得( ω-、)
昆虫探偵から、自然文化民俗全般にジャンルが広くなってきて、エリサワ探偵の心優しさもいっそう増している。
今巻は、著者が後書きでいわれているように、「事件が解決したあとの割り算の余り」が深く沁み渡ってくる佳品が多く、まさに今後のエリサワ探偵ものの在り方を堂々と示してくれている。
「自分が関 -
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ずっと気になっていたこのシリーズ。良いシリーズ作品に出会えた〜!虫が大好きで公園や山、虫がいるところに度々出現する主人公の魞沢泉。彼がいるところに殺人事件も度々発生する。どこか掴めない、不思議と憎めないキャラクターの彼が事件の真相を推理してしまうのだけど、とにかくこの魞沢泉が愛らしくて良い。見た目から30代半ばと描写されているけれど彼の言動から想像するのはもっと若く、ただの虫取り少年、という感じ。
特に「火事と標本」が好き。どのお話も人間の欲や傲慢さ、愛情が事件の裏側にあって心に沁みる物語でした。続編もまだ読めそうなので追っていくのが楽しみ。 -
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昆虫好きの青年・魞沢泉が主人公の連作ミステリー
最初の表題作「蝉かえる」でぐっと惹きつけられ、次の「コマチグモ」では、魞沢くんの立ち位置が面白いなぁと思う。
五話それぞれ独立したストーリーではあるが、連作なのでもちろん繋がっていて、最後には思わず涙が溢れてしまう。
魞沢くんがトボけたキャラなので、温かくふんわりとした一冊になっているが、けっこう切ないんだなぁ…
解説によると、前作の「サーチライトと誘蛾灯」と二冊で対になっているらしい。
これは合わせて読みたいな。
※心に残った言葉
「たしかに願わなくても明日はやってくるでしょう。でも、明日がくることと、ぼくに明日が あることは、同 -
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以前読んだ『蟬かえる』が良かったので、このシリーズ第一作、すなわち著者のデビュー作も読んでみた。
一話目の表題作に関しては登場人物たちのとぼけた感じが楽しく、謎解きよりも会話文の掛け合いのほうが印象に残ったけど、二話目以降はストーリーの凝り方が素晴らしく、どの作品もいち短編としてよく考えられていると思った。『蟬かえる』と本作の短編の内容が対になっているというのも読んで納得。
個人的な意見だけど、この主人公のほんわかキャラと殺人事件の組み合わせは別に悪いわけではないと思いつつ、日常の謎系のミステリにしたほうがより設定が生きる気がするんだけどどうだろう。 -
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良かった!!
ここのところ自分的に星3な作品続きで、趣向を変えて読んだ海外作家作品は途中で自分の最も苦手とする展開になり(現在積読)、期待もせず読み始める。
まず言いたいのは連作ミステリ第2弾と書かれていたのに気付かず購入し、読み始めてしまったが全く問題がないということ。そして、短編が5作収録されているが、最後の話でその全てが繋がって……ということでは無い。そこもありがたい。自分のペースで短編を細切れに読んでも、読む順番を変えなければ全く問題ない。普段こういう視点人物がコロコロ変わる作品は好みでは無いのだが、それでもこの作品は読みやすかった。誰かの人生という物語の中で主人公(というのはここで -
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Posted by ブクログ
昆虫好きの青年が旅先で遭遇する事件の謎を解く、連作短編ミステリー。シリーズ1作目。
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吉森は定年退職後、ボランティアでドングリ公園の見回り隊員をしている。
ドングリ公園は街の憩いの場だが、かつて複数のホームレスが住みつき、強制退去させるのに難儀したことから結成されたのが見回り隊である。
通常2人で見回るのだが、相方の都合が急に悪くなったため今夜は吉森だけ。こんなときに限っておかしな人間に遭遇する。
まさにラブシーンを展開せんとしている中年男と若い女のカップル。声をかけると男が声を荒げてきたので低姿勢でお帰り願った。
ホッとしたのも束の間。今度は外灯近くでテ