市川沙央のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全部読み切り短編というのが、すごくいい。
今までの文芸誌は、連載ばかりなので、なんだか蚊帳の外感があって、書い続けないと仲間に入れてあげないよーと言われてるみたいで寂しさを感じることしばしば。
しかも豪華ラインナップに、いいの?この値段で?と問いたくなる。赤字だよね。
ともあれ、西加奈子「デヴィアン」市川沙央「音の心中」小川哲「嘔吐」をまずは読む。
全部面白い!
小川哲は、朝井リョウと仲良しになって影響受けてるような笑。
西加奈子も仲良しの村田沙耶香となんか似てるような。
互いに影響しあって、短編だから、肩の力を抜いて自由に書いてる感あり。
葉間中顕「五十歳,ロスジェネ、ギバー落ち」も,どこかで読んだようなテーマだけど、軽く読めた。
既視感あるけど、作家たちが実は書いてみたかったもの、というハードルの低い短編が多いなと思う。(悪口ではない)
一般の文芸誌はそこのところは、厳しそうだけど、それだけに全体に肩の力が入っていて小難しくてハードル高い作品がズラリ。で、なんかしんどい。
その点、初心者向けで、読書の裾野を広げようとしてるこの雑誌なら許されるというか、むしろ積極的にキャッチーな短編を載せていこうということなのかな。
こちらも肩の力を抜いてパラパラ読めるのでいい雑誌だ思う。読めなかったところがあっても,このお値段なら惜しくないし!
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Posted by ブクログ
ネタバレ100Pに満たない、とても短い話だった。背骨が極度に湾曲している重度障害者の釈華が、ある日男性ヘルパーの田中に、自分のSNSの発言を見られていたことが発覚する。釈華は1億5500万(田中の身長)で田中の精子を買い、フェラをする。最終的に釈華は田中に殺されたことが、田中の妹視点のエピローグで語られる、という話。
この作品は重度障害者の作者が書いた作品だ、という前提があって読んでいたため、読んでいて罪悪感を感じた。健常者に対しての憤り、やるせなさ、その他もろもろの感情が迸っているように感じられた。自分が重度障害者だからこそ書ける自虐的な描写も多く、私小説のような感じもあった。社会に対して、健常者に対しての作者の叫びを文章にまとめたような作品だった。 -
Posted by ブクログ
『ハンチバック』を読んでまず感じたのは、これは重度障害者の日常を描いた小説ではなく、「自分の人生を、自分の意思で選ぶ権利」を描いた作品だということだった。
主人公の井沢釈華は、先天性ミオパチーにより人工呼吸器を装着し、介護施設で生活している。身体の自由は大きく制限されている一方で、知性に富み、ネットを通じて文章を書き、自らの思考や欲望を率直に発信している。物語は施設での生活や周囲との関わりを描きながら進んでいくが、焦点が当てられているのは障害そのものではない。身体的な制約を抱えながらも、一人の人間として何を望み、どのように生きたいのかという切実な問いである。
この作品が描いているのは、「障害があっても前向きに生きる」という感動の物語ではない。社会が無意識のうちに障害者へ向けている視線や、「こうあってほしい」という期待そのものへの鋭い問いかけである。釈華は決して聖人ではなく、自分の欲望も怒りも皮肉も隠さない。その姿は、ときに読者を戸惑わせる。しかし、その違和感こそが、この作品の核心である。私たちは障害者を「守られる存在」や「純粋な存在」として見たいのではないか。その見方自体が、一人の人間としての複雑さや自由を奪ってはいないかと突きつけられる。
印象的だったのは、釈華が語る願いが、どれも特別なものではないことだった。恋をしたい、性を持ちたい、子どもを産みたい、自分の人生を自分で決めたい。それは多くの人にとって当たり前に認められている願いである。しかし、身体に障害があるというだけで、その願いはしばしば語ることさえ許されない空気がある。読んでいて何度も考えたのは、自由とは「何でもできること」ではなく、「何を望むかを自分で決められること」なのではないかということだった。この作品は、その最も根源的な自由について考えさせる。
終盤まで読んでも、この作品は読者を安心させる答えを用意しない。涙を誘う演出も、分かりやすい救いもない。それでも強く心に残るのは、釈華が最後まで「一人の人間」として語り続けるからである。その声は障害者を代表するものではなく、誰にも代弁されることのない、一人の個人の声として響く。だからこそ、この作品は社会問題を描いた小説にとどまらず、人間の尊厳そのものを問い直す文学になっている。
『ハンチバック』は、障害と向き合う物語ではない。他人が決めた「幸せ」や「生き方」を拒み、自分自身の人生を自分の意思で選びたいという切実な願いを描いた作品である。読み終えたあとに残るのは、障害への理解が深まったという満足感ではない。自分はこれまで、誰かの人生を無意識のうちに「こうあるべきだ」と決めつけてはいなかっただろうかという、鋭く静かな問いだった。 -
Posted by ブクログ
こんなにぶん殴ってくる小説は初めてです。
過去に特別支援学校教員をしていた私は、人より障害に対して理解も知識もあるつもりでいました。が…
紙の本好き〜とか呑気に思っててすんません…
生きづらい世の中だわ〜とか思っててすんません…
その学生のように、肢体不自由の知識なくてすんません…勉強し直します…
もうやめて…と思いながら読んでました。主人公の不自由さに心痛いし、主人公の言葉はグサグサと健常者の端くれである私の心を刺してくるし…ってか抉ってくるし。
「日本では社会に障害者はいないことになっている」
→他国で暮らして見てきたわけでもないからなんとも言えないけど、昔ドイツに行ったときは日本よりバリアフリーが進んでいて、車椅子の方も一人で出歩いている印象だった。障害者団体の募金活動も見た。国連からインクルーシブ教育しろって言われてるし、日本は確かに遅れているのかも…
「障害者も産む側であることを公的に許してやろう」
→優生保護法の廃止も、他国に比べて日本は多分遅いよね?96年て、私普通に生まれとる…
「許してやろう」の一文も、国としては不本意だが、国連に指摘されたから仕方なかったんだろう、みたいな、市川さんの蔑みのようなものを感じるんだよなぁ。
最初にページ開いたときは18禁小説買ったかと思ったけど、ちゃんと純文学でした。
私のような、自称“障害者に理解あります”人間は心して読んでください。ボコボコにされますんで。 -
Posted by ブクログ
面白い作品、いまいち私には合わなかった作品、いろいろあって楽しかった。
「嘔吐」がとてもよかった。
本文に書かれていないところまで想像ができて、視点を移すことができて、面白かった。
ただ、気持ちの良い話ではない。
市川沙央さんの「音の心中」がよかった。
痛み・ゆがみを描くのがうまい。
対談が面白くない。
「ポルト」の良さが全く分からない。
読みにくい。
苦痛だった。
佐原ひかりさんの「出せなかった手紙」が切ない。
「チキンピアノ」の描写にひっかかる部分が多い。
言葉の繰り返しが多く、多少の矛盾した表現も含まれていて、気になる。
それでも、最後はよかった。
特別受賞作、なるほど。
「そんなに好きってわけでもない友達」
気持ちが悪い作品。
つまらない人間関係。
でも、心の隙や寂しさにつけこまれることって、多いよね。
ちゃんと独りでいることができる、ということは、とても大切なことだよな、と再確認できた。
【memo】
・ムカサリ絵馬(山形県)