市川沙央のレビュー一覧
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ネタバレハンチバック(作中ではせむしとも)とは、先天性ミオパチーによる重度障害で背骨がS字に湾曲した状態を意味するらしい。
障害を抱える女性の生活が描かれる。
ハンチバック以外にも、マチズモ(健常者優位主義)、インセル(不本意な禁欲主義者)、きょうだい児(障害や難病のある兄弟姉妹)、プロチョイスとプロライフ(中絶における母体の選択権と胎児の生存権どちらを優先するかの立場)、インターセクショナリティ(複数のアイデンティティが組み合わさることによって起こる差別)など、知らない単語がたくさん出てきた。はっきり言うと、私が健常者で当事者じゃないから深く考えたことがなかった。
作者自身が先天性ミオパチーを -
Posted by ブクログ
ネタバレ率直な感想、小説としてはかなり好きな部類。
100ページ足らずの文章の中にいくつもパンチラインが記されていて常に私に問いかけてくる。
先天性ミオパチーと呼ばれる重度障害を患う釈華が「健常」と「障害」という視点から生活、社会…さまざまなのに斬りかかるような文面が面白い。覚悟を持ってはっきり言うと自らを「せむし」と表現するだけあってすべての物事に対して捻くれていて、それでいて人間味があるところが他の小説とは一線を画すところ。
例えば、弱者を自認する介護スタッフ、田中に対して「うわあ、やべえ奴だ。」と言い切ったり。
だけど、個人的にはあとがきの往復書簡は微塵もささらず…。障害者と健常者に線を引い -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
読んでいる間に、主人公と著者本人を重ねて理解してしまうあまり、主人公に反感を覚えることに罪悪感を覚えるような不思議な感覚だった。
主人公の中絶したいという感覚や、性的な関心の大きさに引いてしまうところがあったし、違う惑星に住む人のような違和感を覚えたり、苛つく部分もあった。不思議の国のアリスのような。でも、この作者が書いてくれなかったら、この世界があったことに気づけなかったのだし、怒りを感じることも目論見通りなのかもしれないわけだから、書いてくれたことに感謝したい。
お話自体の話を考えるならば、主人公以外の登場人物の造形がやはり少し弱いだろうと思った。それから、エンディング -
Posted by ブクログ
全部読み切り短編というのが、すごくいい。
今までの文芸誌は、連載ばかりなので、なんだか蚊帳の外感があって、書い続けないと仲間に入れてあげないよーと言われてるみたいで寂しさを感じることしばしば。
しかも豪華ラインナップに、いいの?この値段で?と問いたくなる。赤字だよね。
ともあれ、西加奈子「デヴィアン」市川沙央「音の心中」小川哲「嘔吐」をまずは読む。
全部面白い!
小川哲は、朝井リョウと仲良しになって影響受けてるような笑。
西加奈子も仲良しの村田沙耶香となんか似てるような。
互いに影響しあって、短編だから、肩の力を抜いて自由に書いてる感あり。
葉間中顕「五十歳,ロスジェネ、ギバー落ち」も -
Posted by ブクログ
本作の文庫版には、作者と文学者との往復書簡も掲載されています。そのなかで作者は次のように言います。
「ある一面では弱者であっても、別の一面では強者である――このようにして強者と弱者の相対性を自覚することは、誰であろうと必ず持つべき観点であり、現代の社会に広がる意識の分断に呑まれないためにも効果的な処方箋せんだと思っています。何よりも大事なこととして、こうした思考法を自己正当化のために用いるのではなく、相互理解ということを忘れないでほしい、絶対に諦めないでほしいと私は思います」
障がい者が住むグループホームを舞台とした本作。そのように限られた空間においてはケアする者とケアされる者とのあいだ、