市川沙央のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小川哲著『嘔吐』(文芸誌GOAT Vol.1収録)
遅ればせながら『宇垣・片桐の踊る!ミリしら会議』でGOATを知り、Vol.1&2を購入。その中の『嘔吐』がとにかく衝撃だった。
テーマは「愛」なのに「嘔吐」?と思いきや、読めば納得。
これは“推しへの愛”を描いた物語。でも、ただの美談じゃない。
最初は語り手に共感すら覚えた。
けれど、じわじわと距離感がズレていく違和感。
少しずつ歪んでいく気持ち悪さと、応援がいつの間にか自己正当化にすり替わっていくリアルさ。
「こういう人、ネットにいるよな…」と他人事のように読んでいたけど、どこかで自分にも刺さる。
終わり方もさすがのひと言。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
読んでいる間に、主人公と著者本人を重ねて理解してしまうあまり、主人公に反感を覚えることに罪悪感を覚えるような不思議な感覚だった。
主人公の中絶したいという感覚や、性的な関心の大きさに引いてしまうところがあったし、違う惑星に住む人のような違和感を覚えたり、苛つく部分もあった。不思議の国のアリスのような。でも、この作者が書いてくれなかったら、この世界があったことに気づけなかったのだし、怒りを感じることも目論見通りなのかもしれないわけだから、書いてくれたことに感謝したい。
お話自体の話を考えるならば、主人公以外の登場人物の造形がやはり少し弱いだろうと思った。それから、エンディング -
Posted by ブクログ
全部読み切り短編というのが、すごくいい。
今までの文芸誌は、連載ばかりなので、なんだか蚊帳の外感があって、書い続けないと仲間に入れてあげないよーと言われてるみたいで寂しさを感じることしばしば。
しかも豪華ラインナップに、いいの?この値段で?と問いたくなる。赤字だよね。
ともあれ、西加奈子「デヴィアン」市川沙央「音の心中」小川哲「嘔吐」をまずは読む。
全部面白い!
小川哲は、朝井リョウと仲良しになって影響受けてるような笑。
西加奈子も仲良しの村田沙耶香となんか似てるような。
互いに影響しあって、短編だから、肩の力を抜いて自由に書いてる感あり。
葉間中顕「五十歳,ロスジェネ、ギバー落ち」も -
Posted by ブクログ
本作の文庫版には、作者と文学者との往復書簡も掲載されています。そのなかで作者は次のように言います。
「ある一面では弱者であっても、別の一面では強者である――このようにして強者と弱者の相対性を自覚することは、誰であろうと必ず持つべき観点であり、現代の社会に広がる意識の分断に呑まれないためにも効果的な処方箋せんだと思っています。何よりも大事なこととして、こうした思考法を自己正当化のために用いるのではなく、相互理解ということを忘れないでほしい、絶対に諦めないでほしいと私は思います」
障がい者が住むグループホームを舞台とした本作。そのように限られた空間においてはケアする者とケアされる者とのあいだ、