市川沙央のレビュー一覧
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『オフィーリア23号』と表題作の2作が入った短編集です。
やっぱり純文学って難しーと思いながら読みました。でも、難しいけど面白い。市川さんの高い知性と教養とブルジョワジーさを感じました。
『オフィーリア23号』の主人公の那緒はミソジニストであり、オットー・ヴァイニンガーという差別主義者のハンガリー系ユダヤ人の生まれ変わりなのだと嘯く大学生です。
恋人であり劇団で主演俳優をやっている和人から、三島由紀夫の『憂国』のリアル映像化を持ちかけられます。本番行為ありで、その無修正動画をpornhubにアップしようというのです。
女性である那緒がそこまでミソジニーに染まっているのは何故…??と思いながら読みました。そもそも、今の時代にミソジニストの女性を主人公にするなんて、すごい挑発的というか思い切ったことをするなぁ…と。
しかし、最後まで読むと、那緒のミソジニー思考は母への嫌悪感と罪悪感に強く関わっているのだと納得しました。父親から殴られる母を助けなかった自分を正当化するための手段だったのではないか。「女は愚かで性欲以外でものを考えられない」から、殴られて当然なのだと思い込もうとしていたのだろうか。 -
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やっと読み終わった。読むのに随分時間がかかった。
GOATはさらさのエッセイ目当てでmeetsを買った時に一緒に買って、先にmeetsを読んだんだけど、そっちもいまいち刺さらなくて、でも買ったからとりあえず最後まで目を通そうと思って最後まで読んだけどやっぱり刺さらなくて。
何だろう、テーマが「愛」だから合わなかったのかな。
50にして絶賛厨2病発症中なもんで「愛」というものがなんか説教臭く感じちゃって。
とりあえず収録された中では「違う海にいる」が一番心に残った。他人の新築の家で一番風呂泥棒(そんな発想がなかった。最高にクール)をすることに、思想を持って取り組む主人公がよかった。そして給湯器のリモコンのあの何とも言えない陽気な音が設定で消せることを知った。早速消した。ありがとう。麻布競馬場。 -
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ハンチバックを書いた市川沙央さんにしか描けない作品を読みたくて。
楽しい時間が過ごせる本じゃないから⭐️3つだけど、この本でしか感じられない気持ちの分⭐️2つをプラス
「ああ、きれい」と誰もが感じられる印象派の絵画ではなく、「何故、こんな気持ちになる絵を観に来たんだろう?」と自分に問いかけながら現代抽象画の展覧会に居るような気持ちで1作目を。
会場から出て一息つくように、一晩おいてから2作目を。
「お兄ちゃま」が「お姉ちゃま」になり、理解し合えない家族の日常が続く。
家族でも理解し合ってはいないように、同じ社会で暮らしていたって理解はしていない。
自分以外の世界を知ろうとできるか。
「心地よさ」は「慣れ」と自分にとっての「あたり前」
ジャガーやグアムのコンドミニアムにも慣れている人といない人、心地よさと違和感があるように。
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新しい文芸誌
表紙可愛い。
キャラクター(表紙の子)可愛い
毎刊テーマが決まってる(今回は愛)
紙の本の価値について熟考されている。
紙という素材にもこだわっている
識字困難な人も読める対応をとっている
ジャンル多彩
投稿作家多彩
等々とにかくてんこ盛りに盛りに盛った体制に携わった人たちの鼻息が聞こえそう。
値段が510円ってのが安すぎて気になるけど、四方八方から手にとって貰えるような配慮なのかも。頑張って欲しい。
とにかくビックリするくらい沢山の作家さんが投稿してるのに驚いた。業界のことはわからないし、小説しか読まないけど売れっ子作家さんがずいずいと並ぶ様は圧巻。一月に数冊読む位の自分だけど、お、この人の本他にも読んでみようかな。とか、え、こんな物も書くのか。とか気付きはめちゃくちゃあった。あと合間に挟まれる座談会的なのも(例えば哲学とか)へーーみたいな腑に落ちあったり。作家さんによる短歌合宿とか(おもしろい!)モー色々がてんこ盛りの忙しい誌だったよ。巻末に識字困難者のための本についてがあってこれは興味深かった、シリーズ化されてるのかも、、、。
こういう鼻息荒い新しい文芸試、長く続くことを祈ります!!
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市川沙央さんの「ハンチバック」以来の新作には二つの中編が収められており、いずれもある意味特殊と思われそうな家庭環境が影響しているように感じられました。
一つ目の「オフィーリア23号」、タイトルは本編を読めば何となく想像できそうな中で、三島由紀夫の生き様や、オットー・ヴァイニンガーの「性と性格」を引っ提げたミソジニーに、『まともな人間は戦争で死んだ』等々、多くの刺激的な言葉が登場するけれども、あまり不快とは感じなかったことが印象に残り、それは登場人物達がそれぞれに何派であるとか信念や持論のようなものを唱えていても、その人自身の本質は見えてこなかった点にあるのではないかと思い、そこには誰かの言葉に縋らないと不安でならないという潜在的意識や、人間の本質というのは当然自分自身の中にあるはずだと信じながらも、時には自ら選ぶことのできない家族という檻に囚われてしまうこともあり、そんな嘆きを訴えていたのではないかと思ったのは、主人公那緒が自分自身と葛藤する中で何度も登場する言葉が、『塵』『空白』『不在』『断片』だったことも、きっとあるのではないかと思う。
二つ目の表題作「女の子の背骨」、このワードが本編に登場するのが意外なところからという点には、こうしたエピソードもあるのだということを痛感することによって、人それぞれが抱える事情には想像も及ばないような部分もあるんだよという、そんな決して目には見えない痛みを、姉妹共に生まれつき筋肉の病気を持つ、十歳(?)のガゼルの視点で展開していることには胸が痛む思いとなりそうなところを、シニカルで乾いたユーモアまで感じさせる点が独特。
本書では、前作「ハンチバック」のような、市川さん自身の叫びが潜まれたような鬼気迫るものを感じず、寧ろ、一歩引いた視点で物語を創作しましたという印象が強かったが、そうした中でも物語に於ける一つ一つのエピソードを詳細に書かれていることには、まるで市川さんから、「こんな人生も、もしかしたらあるのかもしれないということを想像できますか?」と問われているようで、衝撃作というよりは、そうした伝えたい思いを確かに受け止めましたという読後感でした。 -
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芥川賞を受賞した『ハンチバック』から2年振りとなる第二作品集。「オフィーリア23号」 と「女の子の背骨」の2篇を収録している。
「オフィーリア23号」は、哲学者オットー・ヴァイニンガーの生まれ変わりと称する女子大学院生が、恋人の劇団主宰者と共に三島由紀夫の「憂国」を無修正ポルノとして映像化しポルノサイトで配信しようとする話。ぼくは『ハンチバック』のレビューに「文学的になんちゃら」と偉そうに書いたが、本作のほうがよほど純文学っぽいなと思った。芥川賞候補になるかはわからないが。
「女の子の背骨」は、難病を患う主人公とさらに症状の重い姉の家族を描いた作品。
両作品とも一読してすんなりと腑に落ちるというものではなかった。