菰野江名のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
老齢の姉妹の人生を20年ずつ振り返って進む物語。
誰だって幸せになっていいはずなのに、どうしてそれを求めるのがこんなに難しいんだと、もどかしく苦しく感じながら読み進めた。
お互いを思いやりながらも、だんだんとすれ違ってしまう。
どちらも間違ってないのにどうしてゴールが違ってしまうのか。
いつの間にか2人の夢は1人の夢になっていた。
それがどうしようもなく切なかった。
けど、切ないけれど、悲しいことなのかな?
月日の流れとともに考え方や矜持、過去の捉え方などは変わるもの。
その時その時を2人は2人なりに一生懸命生きて、なりたかった自分を手の入れたんだと思う。
最後の章で笑い合う登場人物たちにそれが込められてると思った。
どう見えるかはともかく、これが2人の2人なりの人生でどちらもハズレなんかではない。
自分の努力次第で未来は良くできると、限られた範囲ではあってもその中で自由を楽しみ、今ある幸せを享受する百合子は柔軟で素敵だし、
理想の幸せを享受するために、完璧な自由と居場所を手に入れるために、日々を闘うように自分らしくまっすぐに生きる桐子は強くかっこよかった。
幸せは決まった形じゃなくていい。
ずっと追い求めるものだって、そのかたちを変えていいし、そぐわなくなっても変えたくなければ変えなくたっていい。
『間違いを許さないのではなく、どうしたら間違いじゃなくなるかを考える』
懸命に柔軟に自分らしく生きる尊さが詰まった物語だった。
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Posted by ブクログ
御殿のような大きな家の庭に立つ二人の女性が、暖かな春の陽射しの中、満開の桜を見上げている。
これは一瞬で目を奪われた表紙に描かれているイラスト。
二人の女性は香坂桐子と百合子、高齢の姉妹だ。
姉の桐子は元教師らしく厳しさがあり、妹の百合子は柔和でお茶目な雰囲気がある。
この見た目も性格も違う姉妹は、いったいどんな人生を歩んできたのだろう。
二〇二四年の初夏、二人の姉妹がこの御殿で同時に亡くなる場面から物語は始まり、時を遡って姉妹の過去が描かれていく。
戦後という時代背景もあり、辛く厳しい人生ではあるけれど、幸せになることを夢見て…
同じ夢を見ていた桐子と百合子はそれぞれの人生を歩み始めると、いつの間にかスレ違いが生じていく。
ぶつかり合い傷つけ合う事もあれど、根底には互いを思いやる優しさがあると分かる。
他人には理解されなくても、二人はそれぞれの方法で幸せに辿り着いたのではないだろうか。
プロローグがとても良かった。
最後まで読み終えてすぐにここに戻って読み返した文章がある。
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この家は、私そのものだ。
見てくればかり大きくて、偉そうで、でも中に住んでいるのは老いた女が二人だけ。
それでも他人は知らない。
私たちが、何を積み上げてきたのか。
この大きな家に守られるだけの力を得るために、どれほどの痛みを感じてきたのか。
そしてそこに、どれほどの幸福があったのか。
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私にも妹がいるが、離れて暮らす月日が長すぎてお互いをよく知らない。というのが正直なところかも。
妹の思う幸せとは何だろう?
じゃぁ私は?
百合子のように〝私は私の場所で〟
幸せを見つけるのが良いのかな(•ᵕᴗᵕ•)
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Posted by ブクログ
全然存じ上げなかった作家さんでしたが、可愛い表紙に惹かれて♡
地域福祉課に赴任してきた青年の青葉が この人には会っておくといいと紹介されたのは豪邸に住む、老齢の桐子と百合子姉妹だった。
来た事なんかないはずなのに なんとなくこの豪邸に懐かしさを覚える青葉。
そんな出会いの後すぐ、桐子と百合子が2人揃って同じ日に亡くなっているのが見つかった。
え?ミステリー?と思ったけど、そうではなかった。
戦争孤児であった2人の人生を20年毎に 遡って紐解いていく物語。
夢を追いかけて飛び出し、人の幸せのお手伝いばかりして生きてきた姉、決められた道でささやかな幸せを見つけ生きてきた妹。
淡々と穏やかに語られるけど、時代背景もあって決して穏やかではなかった二人の人生。
幸せの形は人それぞれだけど、桜の咲く豪邸で二人で過ごせた僅かな時間は やっと手に入れたかけがえのない幸せだったんだろうな。
ボキャブラリー少ないので 上手く言葉であらわせないのだけど、なんだか胸が熱くなってホロっときてしまった。
とても良かった♡♡
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戦争孤児で親戚中を転々とし、ひっそりと力を合わせてきた姉妹。
世話をしてもらった家の障がいのある次男との結婚を促される姉、だがその代わりに妹が結婚することに
姉は身代わりになった妹とその不幸から逃れる為に教師として自立しお金を貯めて理想の家を建てる事を目標とする。
可哀想に思っていた妹は実は夫との生活の中で幸せも見出せるようになると、理想の家の為に走り続ける姉と歪みが…
不遇な子供時代を取り戻す事が目的だった理想の家、と姉妹、その姉妹を取り巻く人々。
それぞれにみんなが幸せになる事を目指し、思いを寄せて、妹の百合子の作るいなり寿司も良い味が出ていると感じた。
姉の桐子、妹の百合子、タイプは違うけれど二人とも好き。好きなお話でした。 -
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2024年、豪邸に住む老姉妹。2人の死から物語は始まる。そこから20年、更に20年、又20年、と時代は遡り、姉妹の歴史が明かされる。幼い頃の数年の記憶や経験はその後の人生にかなりの影響を与えるんだなぁと、自分自身を振り返っても共感するところが多かった。けど、例え苦しい時代を共に過ごした姉妹であっても、人生はそれぞれ。環境や生き方が異なってしまえば、価値観も変化してくる。それでも姉妹それぞれがお互いを大切に思いながら、自分自身の幸せを模索していく。姉妹がお互いを思う気持ち、姉妹だからこそ言えない言葉、気持ち。姉という責任、妹という役割。あぁ、もどかしい。
ご縁のあった親子が絡んで、とても興味深く読みました。じんわり温かな気持ちになれる作品でした。良かった。
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ネタバレ夜にうまく眠れない内海文乃は、24時間やってる保育園に保育士として転職し、
そこで出会う子どもたちと保護者と先生方、そしてシングルで育ててくれていた父が亡くなってから後見人としてかかわってきた、父の恋人の杏子さんとの話。
舞台が新宿のど真ん中の保育園(認可)で、
預けに来る親は、夜職の人も多く、泊まりの子どももいる。泊まりは「ほしのこ組」で、朝の7時が限度。
でも迎えにこない親もいたりする。
アシュリーちゃんは夜に何度も目が覚めて夜泣きを繰り返すが、コンビニ深夜バイトを減らしてくれない。
どうにか、アシュリーちゃんを寝かせてあげたい。
橋場祥くんの母が医者で,父が看護師。両方いそがしすぎて、息子の幼稚園のケアがたいへん。今後ますます仕事が忙しくなりそうなので、父親がぱっと預けて、パッと帰れる、荷物もほとんどいらない無認可保育園に転園を考えてるという。ただ、場所によるが無認可保育園の現状は惨憺たる現状がある。本当にそこに入れるのが祥君のためなのか?
真栄城成也の母も朝なかなか迎えにこない。7時を過ぎて、園長が一旦自宅に連れて朝ごはんをたべさせてまた園に戻していたりした。
ある時,本当に迎えにこない。まさか,置き去り・・・?
どうやら、祥くんには兄がいた。祥くんが生まれてすぐに父親の怠慢で幼児の兄はベランダから落ちて死んでしまった。夫婦はその後離婚し、母が祥を育ていた。母は、長男が亡くなった悲しみからまだ抜け出せないでした。次男の成長よりも、長男への想いが強くて・・・・
最後は内海文乃自身のはなし
後見人として育ててくれた杏子さんの元を離れて社会人として暮らしているが月に一度、杏子さんとあったりしていた。そして、杏子さんは文乃と一緒に暮らそうという。
恋人だった父の娘にずっと縛られている杏子さんを解放してあげた方がいいのでは?彼女は自分といると、「恋人の忘形見を育てる私」を演じなくてはいけないのでは?
そんな時、杏子さんから自分の母子手帳を渡された。1歳半の時に亡くなった母の文字。細かく書かれた記録。これをなぜ杏子さんが?
って話です。
新宿の夜間保育園、めちゃ需要がありそう。
と思ったら、無認可の託児所的なものは多々あるらしい。が、中には劣悪でただ預かってるだけ、夜中に泣いたらベッドごと(寝返りもできない保育器みたいなやつ)外の廊下に放り出す、的なところもあったり。
そして法外なお値段。
それでも,預けなくては生きていけない親たちがいて。
認可保育園のルールを守れない親もいて。
親は大変だと思うのと同時に、
親ガチャってあるよなーとも思ってしまった。
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Posted by ブクログ
新宿で泊まりで子供達を預かるつづきの保育園。
主人公の保育士は昼間に別の保育園で働いていたが、夜うまく眠れなくなり退職し、つづきの保育園に転職する。
夜間働く保護者達の事情はそれぞれに違うが、変わった人たちではなく、普通に現代社会にいる人達。
保育士の立場から子供のことを考えると親に要求したいことが出てくる。しかし、園は親の気持ちに静かに寄り添っている。
保育だけでなく、支援をする上での、限界や正論と支えたい気持ち、その両者で揺れ動く支援者が抱える葛藤が上手く描かれていた。
でてくる登場人物がみなチャーミングで、圧倒的な現実、子育てをする大変さを風穴を開けてくれる。読めて良かった。
私も時に眠れないことがあるので本に寄り添ってもらいました。作者の他の作品も読みたい!