菰野江名のレビュー一覧

  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    全然存じ上げなかった作家さんでしたが、可愛い表紙に惹かれて♡

    地域福祉課に赴任してきた青年の青葉が この人には会っておくといいと紹介されたのは豪邸に住む、老齢の桐子と百合子姉妹だった。
    来た事なんかないはずなのに なんとなくこの豪邸に懐かしさを覚える青葉。
    そんな出会いの後すぐ、桐子と百合子が2人揃って同じ日に亡くなっているのが見つかった。

    え?ミステリー?と思ったけど、そうではなかった。
    戦争孤児であった2人の人生を20年毎に 遡って紐解いていく物語。
    夢を追いかけて飛び出し、人の幸せのお手伝いばかりして生きてきた姉、決められた道でささやかな幸せを見つけ生きてきた妹。
    淡々と穏やかに

    0
    2025年10月15日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    戦争孤児で親戚中を転々とし、ひっそりと力を合わせてきた姉妹。
    世話をしてもらった家の障がいのある次男との結婚を促される姉、だがその代わりに妹が結婚することに
    姉は身代わりになった妹とその不幸から逃れる為に教師として自立しお金を貯めて理想の家を建てる事を目標とする。
    可哀想に思っていた妹は実は夫との生活の中で幸せも見出せるようになると、理想の家の為に走り続ける姉と歪みが…
    不遇な子供時代を取り戻す事が目的だった理想の家、と姉妹、その姉妹を取り巻く人々。
    それぞれにみんなが幸せになる事を目指し、思いを寄せて、妹の百合子の作るいなり寿司も良い味が出ていると感じた。
    姉の桐子、妹の百合子、タイプは違う

    0
    2025年09月25日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    2024年、豪邸に住む老姉妹。2人の死から物語は始まる。そこから20年、更に20年、又20年、と時代は遡り、姉妹の歴史が明かされる。幼い頃の数年の記憶や経験はその後の人生にかなりの影響を与えるんだなぁと、自分自身を振り返っても共感するところが多かった。けど、例え苦しい時代を共に過ごした姉妹であっても、人生はそれぞれ。環境や生き方が異なってしまえば、価値観も変化してくる。それでも姉妹それぞれがお互いを大切に思いながら、自分自身の幸せを模索していく。姉妹がお互いを思う気持ち、姉妹だからこそ言えない言葉、気持ち。姉という責任、妹という役割。あぁ、もどかしい。
    ご縁のあった親子が絡んで、とても興味深く

    0
    2025年09月15日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    すごいな。ファンシーな表紙、ミステリアスなあらすじから想像した何倍も重たかった。飛行機の中で暇つぶしに読んでたんだけど、もう中盤から数ページに1回涙が出てしまって全然進められなかったし。笑

    運命なんてクソ喰らえ、絶対この生き様を変えて高めて反撃してやる、と思い続けた姉/それもまた運命、巡り巡った気持ちと共に生きていくことを選んだ妹、でもどっちにも変わらず愛があり続けたんだと思うだけで胸がいっぱいになった。その糸がまた人を救って、誰かの運命を変えたり助けたりしたことも含めて、素晴らしい人間賛歌だと思った。

    飛行機と電車乗り継いで行った旅先の温泉に入ったあと、涼しい風にあたりながら地元のお店に

    0
    2025年05月09日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    読みやすい文体で、全体的に春の季節感が漂う心地よい空気感だった。

    自分自身と、人から見た自分と、身内から見た自分では、人格も行動の意味違ってて、それに人は付かないもんだよ、と前編を通してやんわりと断言された感じ。

    姉妹の想いは重なっていたのか、すれ違っていたのか。お互いを思いやり、同じ方向へ向かってはいたものの、その背景となる思考は想像できてなくて、でもできていないことも結局わからないままだったんじゃないかな、と、私は受け取った。

    作者が絶望を描きたかったのか、希望を残したかったのかわからないけど、状況だけがそこにあって、それをどちらと捉えるかは読者に委ねられている。
    読む人によって、視

    0
    2025年05月01日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    ただ誰かが不当な扱いを受けていることが許せないのかな
    と言ったお母さんの言葉に納得した。
    自分が常に不当な扱いを受けてきたから、たたかってきたから、自分と同じような扱いを受けている人を見ると、我慢ならなかったのかなと思った。
    自分を貫き、自分のお城を持った桐子さん。外からではなく、桐子さんの若い時の視点、百合子さんの視点と移り変わりながら語られていく。
    複雑な気持ちや、2人の気持ちが、いい感じに絡んでいる。
    知的障害者の息子と、お世話している女の子と結婚させようと思う吉沢家にびっくりしたが、これは時代だからか?よくあったことなのかな?話の本質ではないがびっくりした。

    0
    2025年04月24日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    幸いって何だろう。
    こんなに長いあいだ、ひとつの信念に向かって突き進めるものなのか。
    最近、遡ってゆく物語に惹き込まれる事が多くて、今回も途中でえっとなり、前に戻ってそうゆう事かと納得。
    桐子の強さと精神力、百合子の寛容さに救われた人々。
    とても魅力的な姉妹のお話でした。

    0
    2025年04月16日
  • つぎはぐ、さんかく

    Posted by ブクログ

    最近にしては珍しく一気読み。

    おにぎりの話じゃなかった。
    自分を自分として受け入れること。嫌だったことに向き合うのも、それを許すのも義務じゃなくて、自分が感じたままの気持ちを肯定するだけでいい。

    マァずっと優子ちゃんがいい人すぎて。本当に。なんか焦点当たって欲しいというか報われて欲しいというか。

    0
    2025年03月09日
  • つぎはぐ、さんかく

    Posted by ブクログ

    弁当やを営む3人の兄妹が主人公。3人でうまく家庭を回しているが、進路などでぶつかったり。ほのぼのだけど成長もあり、面白かった。

    0
    2024年02月13日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    戦争孤児の姉妹の物語。
    厳格な姉と素直な妹。時代が違えば屈託のない人生が送れたであろう二人。でも、苦労の多い人生が幸せではなかった、とは言い難く。厳しい生活ゆえに得られた幸せというものが丁寧に描かれており、じわじわと胸に迫ってくる。現代でもDVに苦しむ女性を描き、時代が変わっても女性を取り巻く困難に目を向けている。しかし、作中の人物に語らせているように、フェミニスト的な視点ではなく、不当な扱いを受けている人がいることが許せない。という根源的な感情から物語が出発している。そして最後にはかっこいい生き様だった。と二人の生き方を肯定しており、読後感もよい。
    時間の切り取りも上手く、読み応えのある作品

    0
    2025年11月26日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    2人姉妹の人生に寄り添った物語。

    桐子さんと百合子さんは、お互い相手のしあわせを願いながらも、きちんと自分の人生を生きていたと思う。
    自分が生きている日常は、自分で気づいていないだけで、ちょっとしたしあわせの積み重ねで成り立っているのかもしれない。

    青葉くんととこんな繋がりがあったんだと、とても気持ちが暖かくなった。

    0
    2025年10月10日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ


    豪邸で静かに暮らし、同じ時期に亡くなったふたりの高齢女性。
    幼い頃は戦争孤児として辛い生活を送った姉妹でもありました。その体験が、姉の幸せを頑なにして、妹は姉の頑なさが枷でもあり励みでもあり。
    それぞれの「幸せのかたち」を描く優しい物語です。

    さいわい住むと人のいう―空の彼方ではなく、積み重ねてきた日々の足元にこそ幸せはあったのだと、静かに気づきます。

    0
    2025年09月06日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    読み終わって
    なるほどそういう作品構造なのか‥時系列で話が進まなくてもより物語が立体的に構成されていて感心した。確かに人生まっすぐな時の流れで生活してるけれど、頭の中では、あっあの時のはこれか?とかいまさらながらあのことはどういう意味だったのだろうと、時間が過去と現在、未来、行ったりきたりしながら思考しつつ生きている。顔、性格、しぐさ、生活習慣全てに過去と本人が願う未来が錯綜し現れてる。浮遊する時間を楽しめる作品でもあった。

    0
    2025年08月28日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    初めての作家さんです。

    淡々と進んでいく日常の中で
    大きなお屋敷に住む二人の女性
    桐子さんと百合子さん姉妹の一生のお話です。
    二人は
    3歳と1歳で戦争孤児になり、
    親戚や知り合いの方々の家を転々としながら、いつか二人の家を持とう。それを目標に頑張って日々を生きていました。
    その夢を叶える背景には
    二人それぞれの人生模様もいろいろあり、いろいろな葛藤がありながらもお互いを思いやり、貫いていく信念があり、
    それぞれの形を作っていく。

    なんだか、人物像も周りの景色も素敵なお屋敷の様子も、
    ドラマや映画のワンシーンを見ているかのような、そんな気持ちに何度もなりながら読んでいました。
    私は、戦争は知

    0
    2025年08月20日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    幼い頃戦争で両親を失い、親戚の間を転々とした姉妹がいつか一緒に住むことを夢見た終の棲家。

    姉は教師となり、妹は世話になった親戚の精神薄弱な息子の妻となり20年間を別々に過ごす。
    長女であることを強いられた姉は、妹との約束を果たすべくひたすら働きひたすら蓄財に励む。
    一方の妹は障害を抱える夫との生活に小さな幸せを見出す。

    妹の夫が死に、還暦を過ぎて姉が建てた夢の一軒家に同居する二人。
    全く別の人生を送ってきた二人にとって同居が本当に幸せなのか、との問いは切実だった。
    同居した20年間に、姉を頼ってくる人々に妹は姉の教師としての人生を想い、姉を支え日々の家事をこなす妹に姉は主婦としての妹の人生

    0
    2025年08月01日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    桐子と百合子の過去を遡っていった先には、戦争孤児として寄り添りあいながら、何軒もの親戚の家を居候して生き続けた姉妹の姿があった。孤児であるが故に意図しない形での結婚を強いられた百合子が夫であり知的障害者の洋次に慈愛の気持ちを持つようになっていく一方、桐子は、勤勉に教職に励み豪邸を建てるまでになるが、気持ちは百合子を背負って戦火を彷徨っていたのかもしれない。戦後復興を果たしていく日本社会の構図の変遷の中、2人の心の変遷も対照的だった。戦後の変遷を生き切った2人は晩年、DVなど今の日本社会下で喘ぐ人達を救う。

    0
    2025年07月29日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    戦後間もなくからのふたりの姉妹の物語。
    大きなお屋敷に住む高齢のふたりの姉妹を市役所の職員の青年が挨拶に訪れたところから物語が始まる。
    この姉妹はどうやら二人きりだとはわかるが、なぜそうなったのか、彼女達の人生に何があったのか、登場人物の過去に坂戻って明らかにされていく。
    何とも遣り切れない事実が見えてくる。
    特に妹百合子の人生は、どう言っていいのかわからない。でも本人は結果として幸せな人生だったと悟る。
    そして姉の桐子の人生も壮絶だ。何か楽しいことはあってのだろうか、と心配になってくる。いつも背筋を伸ばして、誰からも後ろ指を差されないように必死で生きてきたように見える。
    この姉妹の行き着く先

    0
    2025年07月26日
  • さいわい住むと人のいう

    Posted by ブクログ

    ⭐︎4か5迷うところ。
    淡々としているので、圧倒的に面白いって感じではないけど、読みやすく情景が浮かびやすいので、登場人物に1番近い場所で見守っているような。

    幸せについて考えさせられる。
    置かれた場所で自分なりの幸せを見つけることも大事で、他人がどう思うかは関係ないなと思う。
    そして、自分がこれだ!って思ったら、すぐ行動できるようにしておきたいな、とも思った。

    0
    2025年07月10日
  • つぎはぐ、さんかく

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    喫茶ドードーみたいなほっこり系かと思って読み始めたら、割とヘビーな内容でびっくり。
    個人的に、ハワイに迎えに行った優子が、自分の言葉を訳させる形でヒロの言いたいことを言わせている場面がジーンときました。
    アロワナの空腹も、よかった。お腹が減るのって安心した時なんだなぁ。

    0
    2025年06月15日
  • つぎはぐ、さんかく

    Posted by ブクログ

    惣菜屋「△」を営む三兄弟、末っ子さんが中学卒業後は家を出ると言い出すが、彼彼女らにはそれぞれ抱える過去があった、、、というお話。

    はじめどういう関係性なのかがわからず、物語が進むにつれ明らかになっていく展開。少し寂しいお話でもあった。

    中盤までの家族のあれこれから一転、(意味がないわけではないが)場面変更したあたりで間延びというか冗長というか、を感じてしまったかと。

    3人以外の周囲の人物とも、変に崩れない関係性、はよかったと思います。

    0
    2025年06月06日