あらすじ
【選考員満場一致!第11回ポプラ社小説新人賞を受賞した傑作小説】 惣菜と珈琲のお店「△(さんかく)」を営むヒロは、晴太、蒼と三人兄弟だけで暮らしている。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は元気に中学校へ出かける。 しかしある日、蒼は卒業したら家を出たいと言い始める。これまでの穏やかな日々を続けていきたいヒロは、激しく反発してしまうのだが、三人はそれぞれに複雑な事情を抱えていた―
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Posted by ブクログ
最近にしては珍しく一気読み。
おにぎりの話じゃなかった。
自分を自分として受け入れること。嫌だったことに向き合うのも、それを許すのも義務じゃなくて、自分が感じたままの気持ちを肯定するだけでいい。
マァずっと優子ちゃんがいい人すぎて。本当に。なんか焦点当たって欲しいというか報われて欲しいというか。
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喫茶ドードーみたいなほっこり系かと思って読み始めたら、割とヘビーな内容でびっくり。
個人的に、ハワイに迎えに行った優子が、自分の言葉を訳させる形でヒロの言いたいことを言わせている場面がジーンときました。
アロワナの空腹も、よかった。お腹が減るのって安心した時なんだなぁ。
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惣菜屋「△」を営む三兄弟、末っ子さんが中学卒業後は家を出ると言い出すが、彼彼女らにはそれぞれ抱える過去があった、、、というお話。
はじめどういう関係性なのかがわからず、物語が進むにつれ明らかになっていく展開。少し寂しいお話でもあった。
中盤までの家族のあれこれから一転、(意味がないわけではないが)場面変更したあたりで間延びというか冗長というか、を感じてしまったかと。
3人以外の周囲の人物とも、変に崩れない関係性、はよかったと思います。
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おいしそうなご飯もたくさん出てきて、読んでいてお腹が空く。
途中まで話を読んで、彼らの関係性がわかった時、タイトルの「つぎはぐ、さんかく」が腑に落ちた。確かに彼らの関係性は、普通の家庭を基準に考えたら少し異なるかもしれないけれど、私にとっては、紛れもなく彼らは本物の家族だなと思った。
すごく素敵なお話だったけれど、終わり方が気になるところで終わってしまって、蒼の進路はどうなったのかな、晴太は今後どうなるのかな、ヒロはどう自分を確立していくのかな、ヒロと花井さんの関係性はどうなるのかな、△はどうなるのかなと様々な疑問が残ったまま終わってしまい、なんとなく不完全燃焼?な感じがしてしまった。読者の想像による物なのか、続編があるのか、分からないが、これからもこの家族とお店を応援したいと思った。
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不器用ながらに3人で家族として暮らしていきたいっていうそれぞれの気持ちがとても丁寧に描かれていて読んでいて苦しくもなり…最後は風が吹いていったみたいにスッキリした終わりでよかった。それぞれが想い合っていて血のつながりなんて関係ないんだって思えるお話
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複雑な事情を抱えた三人、きょうだい三人でずっと一緒に暮らして行きたいと強く思う反面、自立しなければという気持ちとの葛藤が書かれている。三人を小さい頃から見守るお母さんのような優しい優子や気に掛けてくれる店の常連さんに見守られながら頑張っているヒロに感動した。
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なんとなくで読みはじめたら、あっという間に読み終わってた。
読み終わった後で、帯を小川糸さんが書かれていることを知り、自分の直感が正しかったのだと思った。
わたしの癒しの本がまた増えた。
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ちょっとわかったような、わからないような不思議な読後感。血縁の家族に恵まれなかった3人が強い絆で結ばれ、自分とは何か、家族とは何か、人生とは何かを、もがきながら探し続けているのかなと感じた。なにせ、中学生と二十代半ばの男女三人。直接的な血のつながりはないけれど、兄弟として身を寄せ合って生きてきた。三人の結びつきが強いがゆえに、その平穏な日常がいつ崩れ去ってしまうのかという怯え、緊張感が常に感じられる。家族って、毎日の生活を同じ空間ですごし、同じものを食べ、同じ部屋で眠り、思い出を積み重ねて出来上がってくるものだと思う。家族の愛情、思いやり、感情のぶつかり、いいことも悪いことも積み重ねて作り上げていくもの。血縁か血縁ではないかは関係なのではないかなとこの本を読んで感じた。
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きょうだい三人だけで暮らし、△を経営している。三人は複雑な事情を抱えている。
これと、柔らかそうな表紙と文字をみて、児童書だと思っていたら、複雑な家族関係と中3弟の進路など、決して軽い話ではありませんでした。
何か、為になったとか、心に響いたなどはありませんが、とにかく、花井さんとヒロのことがずっと気になって仕方ない。
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三人で暮らす晴太、ヒロ、蒼。蒼はまだ中学生で、晴太とヒロでちょっと食べることもできるお惣菜屋をやっている。しかし、この三人、なんだか事情がありそうで…。お惣菜として扱われる食品の丁寧な描写と、引っ込み思案と思われるヒロを軸に据えた語りで、三人の関係性や取り巻く状況がわかっていく。瀬尾まいこ、小川洋子、小手鞠るいあたりをぐるぐるっと混ぜたような内容でした。これがデビュー作みたいなので、これからもっと上手くなっていく方。楽しみな作家さんです。
主人公が守りたかったものは、時がたてばそれぞれの道に分かれるものなので、固執しすぎな印象受けたけれど、まあ、それだけのこどわりがあるっていうのも伝わっているので…あーでもなんか恋愛も中途半端だったしモヤモヤするー(個人的所感)。
少し大人の事情が理解できないと面白くないと思うので、高校生以上がオススメですが、小学生に読ませても特に問題なし。
Posted by ブクログ
3人で肩を寄せあって生きるきょうだいの葛藤と決断を描いたヒューマンドラマ。全10話。ポプラ社小説新人賞受賞作。
◇
街かどにある小さな惣菜屋。イートインコーナーがありコーヒーも飲めるこのお店を切り盛りするのは、24 歳のヒロという女性だ。コーヒーを点てたりヒロを手伝ったりするのが兄の晴太。2人には蒼という中学3年生の弟がいる。
実は3人には血の繋がりはない。そしてヒロだけ姓が異なる。そんな3人が家族として肩を寄せ合うように暮らしている。それはまるで、別個の端切れをつぎはぎして1枚の布に仕上げたような家族だ。
3人がそうなったのには複雑な理由があるのだが、今のままの関係ではダメだということに3人とも気づいていた。
ある日、中学卒業後は専門学校に進むため家を出たいと蒼が言い出し……。
* * * * *
「家族」とはどうあるべきなのか。考えさせられる作品でした。
3人は誰もが、他の2人を必要としています。それは間違いありません。
だから互いに思いやり合いながらひとつ屋根の下で暮らしているのです。その気持ちは美しい。けれど……。
親とのつながりが希薄なほど自分の立ち位置が覚束ないのでしょうか。
家族というものに対し、最も希求し、細心の注意を払ってでも保とうとしているのが親の顔を知らずに大人になった、最年長の晴太だったのが印象的です。
母親に捨てられたヒロも、3人で作る家族の形態が崩れることに、神経質なほどの恐れを感じています。
大切な家族だからこそ相手のことをきちんと理解したいと思って行動に出たのが、親の顔をよく知っている末っ子の蒼だったということが、説得力がありよかったと思います。
蒼に触発され、ヒロが、そして晴太が行動を起こし、心の内を吐露する。このクライマックスも感動的でした。
心に空虚を抱えたままでは自分というものが確立できません。
自分を確立できずして本当に家族を信じ思いやれるようにはならないのだなということが伝わってくる作品でした。
Posted by ブクログ
『さんかく』というお惣菜とランチを出す飲食店を営んでいる三兄弟。主に食材の調達とコーヒーを出す兄の『晴太』と調理担当の姉『ヒロ』。年の離れた中学生の弟『蒼』が、進学せず家を出ると言い出し、ヒロは激しく動揺する。
親に捨てられた血のつながらない三人が肩を寄せ合うように家族として暮らしている、閉じた世界。自分の会社の都合で子どもを放ってお金だけ出すような兄弟の父親、ハワイ生まれで日本人との間に子どもをつくり、日本に置き去りにしたヒロの母親。その反動か、家族と呼べる兄弟に執着しているようにみえるヒロ。あまりにも不安定な彼女に初めは戸惑いながら読んでいた。
もがきながらもそれぞれのやり方で、しっかりと自分で立とうとする三人にエールを送りたい。
Posted by ブクログ
07月-10。3.0点。
20代男女、中学3年生の共同生活。惣菜屋を営む。
複雑な関係性だが、仲良く暮らす。中学3年生の男の子が進路に関して。。。
ほのぼの物語。
Posted by ブクログ
お惣菜屋を営む三人兄弟のそれぞれの自立のお話。いつまでも同じでいたくても、時は流れ、状況は変化していく。
悩みながらも自分の在り方と、家族の形を見つけていく三人を応援したくなる。個人情報ゆるゆるな施設や、あまりにも良い人すぎる優子さんの人物像など違和感のあるところも多々あったが、読後感は良かった。
Posted by ブクログ
色々訳ありな3人が一緒に暮らしている。
いつこの生活が崩れてしまうか恐れているかのように暮らしている。
でも最後にはずっと抱えていたモヤモヤも晴れたし、恐れるような事態にはならないことを知る。
良かった良かった。
だけど、最後の最後に転勤して行ってしまった『花井さん』の存在は気になるな。
Posted by ブクログ
「さいわい住むと人のいう」がとても良かったのでこちらも読んでみたけど、うーん。
途中まで背景が全然わかんないし、わかった後もイマイチ乗れない。
ヒロの蒼に対する執着はどこから来るんだろうと思ったら、なるほどそーゆーことか。
と、思うんだけどどうにも。
優子もなんかいい人すぎるし、みんなフワフワしてる気がした中、唯一花井さんだけが外から彼らをみてる人なので地に足がついてる気がした。
Posted by ブクログ
血の繋がりが無くても家族に成れるってこと?
ヒロ、晴太、蒼の3人は全く血の繋がりはないが、3人が肩寄せあって家族を作り上げ暮らしている。
それぞれが三角形の頂点、一人でも欠けたら三角形が成り立たない、3人が3人とも他の2人を求めて、三角形が壊れないように生きている。
底に流れているテーマは理解できそうな気がするが、ヒロの設定にどうも違和感があってスッキリ読み進めなかった。
ハワイが必要だったのだろう、でも晴太との出会いからして唐突。
優子さんの存在もあまりにもいい人すぎる。
何か隠された関係があるのかと思ってしまった。
一番できた人は蒼の父親だったりして。
お金で解決しようとしてはいるが、ちょっとしたきっかけでも壊れてしまうかもしれない3人を一番大事な経済的支援で支えたのだから。
Posted by ブクログ
兄の晴太と「△」(さんかく)という小さな飲食店を営むヒロ。晴太とヒロと弟の蒼の3人で暮らしている。晴太の淹れるコーヒーとヒロの作る惣菜に固定客も付き、なんとか店も軌道に乗った。ある日、中学3年生の蒼が家を出て専門学校に進学すると言い出して…。
晴太と蒼と3人で暮らす生活が崩れることを恐れるヒロ。外に出て世界を広げるべきだと考える蒼。見守る晴太。家族に捨てられて家族になった3人。一緒に居続けるにはどうしたらいいのか。悩む様子が難しい。ドラマのようだ。
回想されるヒロの学生時代は楽しいものではなかったようだった。吃音などで喋ることが難しかったのかなと思っていたが、読み進めて納得。晴太と蒼もだが、ヒロにも結構な過去があった。
晴太と蒼とヒロ、そして見守る優子。前を向いた結末で、花井さんと何か始まるのかなと思わせるところで終わりだった。
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設定に少し違和感を感じつつも。
美味しいお料理が出てくるお話は好き。
ヒロの、蒼に対する感情が
自分が子に対する感情と少し似ていて嫌悪感と共にハッとさせられた。
途中いくつかあった気になる伏線は回収されず、あれれ?と拍子抜けしたけど全体的に3人を応援したくなり後味は悪くない。
Posted by ブクログ
食べ物系の話は、とにかく癒されますね。
設定としてはなかなかありえない環境なんだけど、それでも3人が信頼しあって、お互いを大切に想う気持ちはとても沁みます。
そして、3人を見守る大人たちもいいですね。
謎の小出し加減がうまいなと思いました。
Posted by ブクログ
出だしはほのぼのした仲良し家族ものかな、と思ったら、そうではなかった。厳しい出生、生い立ちを超えて、大人になりかけてる三兄弟。寄り添うという以上に、いわば依存しすぎでもある現状からの脱皮、自立というようなものがテーマだと思う。事情はだんだん明らかにされる。読み進めてすぐに、主人公ヒロのグジグジした感じに、正直、イライラした。ハワイで生まれたという言葉の壁もあり、内向するのは仕方ないのはわかってきた。何かと力になってくれる優子さんの存在が、物語の後半になるに従って、大きくなる。血のつながりはなくても、家族と呼べて、支え合って日々を重ねていけるという確かな愛の物語だ。
Posted by ブクログ
惣菜と珈琲のお店「△」を営むヒロ、晴太、中学生の蒼の3人兄弟。今の生活が続いてほしいと願うヒロだが、蒼が卒業後に家を出ると言い出しー。
第11回ポプラ社小説新人賞受賞作。
冒頭から食べ物の描写がすごく上手で惹きつけられました。
今の生活が変わることをヒロはひどく恐れていて、3人の背景が徐々に明らかになっていく。
ほんわかグルメものではなく、事情がありそうな様子。
どんなに気持ちが強くてもお金がないとどうにもならない悔しさにやきもきするも、真っすぐに育った蒼を見てると2人と暮らしてきたのは間違ってなかったと感じられた。
Posted by ブクログ
完読です。
ほのぼのした本ですが、設定や環境はなかなか重い話でした。
血の繋がり無しでハワイ生まれも混じり、片親もいて進学も混じりその中で、日々を頑張って生きている物語で少し考えさせられたかな。
産みより育ていやここでは育ちか 育ちなんですね。
同じ著者で別の本を読んでみようと探したがなかった。まだデビューしたばかりで本はないんですね。でもいきなり賞を取るなんて期待の小説家なんですね。期待してます。
Posted by ブクログ
こういう食を扱うお話が大好きで手に取りました!
3人とも色んな過去を持っていて、ヒロ、アオ複雑だな〜
いざ"ヒロ"に行って自分を捨てた母に会いに行ったヒロ。お母さんは優しく迎えてくれたあの感じが私も苛立ちというか、悲しみを感じた。
忘れてほしくないんよね、その子供を捨てた過去を。
だけど、3人で暮らし始めた時、ヒロ達は学生だし、生計立てられるようになった後もアオ中学生だし。設定がすこしめちゃくちゃ?なような、、?
でも読んでよかったです!!
Posted by ブクログ
親に捨てられた子供たちが一緒に暮らす物語。
一言で言うとそうなんだろうけど。。。
晴太君、ヒロと蒼と暮らし始めた時期、未成年だったのでは?出来るのかな?未成年だけで暮らすのって。。しかも蒼君は赤ちゃん?幼児だったよね??ますます分からない。。。そこでとてもモヤモヤ。そして、ヒロが自分を日本に置いて行った母親に会いにハワイに行って、ご飯食べるとこもなんかモヤモヤ。。今どき?なんだろうか?希薄さを感じてそこはあまり感情移入出来なかった。
でも出てくるご飯は美味しそうでワクワクしたり、かっこいい常連さんとヒロの恋路にヤキモキしたり、ヒロってハーフっぽいのかな?『私、日本人に見えますか?』ってあれはどんな気持ちで聞いたのかなーとかいろいろ想像して楽しい本でした。
続編がありそうなので、期待したいです。
Posted by ブクログ
コーヒーと惣菜を提供するお店「△」を営む三兄弟。仲の良い兄姉弟だけど、なんだか距離感がちぐはぐな雰囲気を感じる。
3人の生い立ちを知る頃には、その理由が明らかになるのだが、それまでのヒリヒリした不穏な空気や疾走感がたまらなく良くて、一息で読んでしまった。
仲間に入れて欲しいから、誰かを守ることを決めた。
一緒にいたいから、一緒に守ろうと決めた。
一見不純に見える動機でも、その行為が確かに蒼を守っていたのだと分かる。
そしてそれを受けての、
「3人の生活を守るために、いったん距離を置く」決意をした蒼が愛おしい。
晴太とヒロの、あの時からの決意が、ちゃんと報われて良かったと、胸が熱くなった。
本物の家族じゃなくても、それ以上に家族。
そんな関係性が、ずっと続きますように。