江崎貴裕のレビュー一覧
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ゆるコンピュータラジオ繋がりで江崎先生を知り、その秀才ぶりに興味を惹かれる。そんな数理モデル分野最前線の方が著した本書は、一般向けのルールデザイン本である。
ルールが破綻するそれぞれの原因を4章に分け、豊富な実例にて平易な説明に落とし込んでくれてる。
ルールを破綻させないための著者の提言として、チェック機能の重要性を説く。具体的には「適応的制度設計」という手法。認知バイアスによって人は一度策定したルールは絶対のものであると勘違いしやすい。内的外的要因でルールは機能しなくなったり陳腐化するという事実を知っておくべきだ。
正しいデータの収集とルール策定までに至る論拠の蓋然性も見逃せない。一見 -
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デジタルデータの可視化手法の手数を増やすことで、データ分析の実力をさらに上げるべく購入しました。
本書は様々なデータを可視化する手法が記載されていますが、常に目的意識が明確に与えられたうえで説明されています。多様な可視化手段を分類・説明するにあたり「目的」ベースで分類されていることで、本書は教科書として理解しやすく、なおかつリファレンスとして利用しやすくなっていると思います。単にmatplotlibの使い方をまとめたようなものではありません。可視化されたデータを解釈する際に注意すべきことも随所で言及されており、データ分析の一工程としての可視化を広く勉強できることができると思います。
特に -
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プライベートでも仕事でも、何らかのデータを解析する必要がある場面は結構あります。データを解析する際には、必ず何らかの数理モデルを仮定して分析を行うことになると思います。本書は、現代で用いられている非常に広範で多様な数理モデルに関して(かなり)網羅的にその特徴や概要を示して読者に明解な見通しを与える本です。
例えば誰かが何らかの(典型的には理工系の)大学の学科で何らかの学問を学ぶとして、数理的なモデルをデータにあてはめて現象を理解するというのはかなり普遍的な試みであると思います。簡単な例では、データの平均や分散を求めるというのもその一例にあたると思います。各分野しか知らなければその知識はその -
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特に例がわかりやすく、とても勉強になりました。
データ分析において、気を付けなければならない点が上手くまとまっていると感じました。
間違った解釈をしないための本です。
・選択バイアスの例
第二次世界大戦中、帰還した多数の爆撃機の損傷跡の分布について分析した。
米軍は、攻撃を多く受けた個所を補強すべきと結論付けた。
しかし、統計学者は損傷が少ない箇所を補強すべしと主張。
何故かというと、得られたデータは攻撃を受けても帰還できた機体に限定される。
撃墜された機体のデータは含まれない。
損傷がない箇所は、そこに攻撃を受けると致命的だということを示していると。
・マシュマロテストの真実
有名な実験 -
Posted by ブクログ
本書では、数理モデルの全体像、数理モデルの具体例、数理モデル使用前後のプロセスについて解説されている。以下、本書の内容を簡単に要約する。
○ 数理モデルの分類方法
§ 目的による分類
□ 生成過程を知りたいときは理解指向型モデル、未知データの予測をしたいときは応用志向型モデル
§ 現象の確率的なばらつきに基づく分類
□ 決定論的なダイナミクスには微分方程式、ばらつきが大きい時は確率モデル
○ 数理モデルの具体例(マルサスモデル、自己回帰モデル、状態空間モデル、PCA、ニューラルネットワークなど基本的なモデルも網羅的に書かれているが、ここではなるほどとなったもののみ抜粋)
§ 待ち行列理論
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Posted by ブクログ
データ分析やモデルについて俯瞰して書かれており、概要を広く理解できます(個々のお話はそんなに深くはないです)。
また、モデル作成時の注意点やノウハウも載っているので、データ分析や機械学習に携わる方にお勧めです。
文中で "If all you have is a hammer, everything looks like a nail" という諺が紹介されていました。
ハンマーしか持っていない人にとっては全ての問題が釘を打つ問題に見えてしまうというバイアスのことを表しているそうです。
そういう意味でも、広く知っておくことは大事なのかもしれません。
本文のデザインも