江崎貴裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
データ分析やモデルについて俯瞰して書かれており、概要を広く理解できます(個々のお話はそんなに深くはないです)。
また、モデル作成時の注意点やノウハウも載っているので、データ分析や機械学習に携わる方にお勧めです。
文中で "If all you have is a hammer, everything looks like a nail" という諺が紹介されていました。
ハンマーしか持っていない人にとっては全ての問題が釘を打つ問題に見えてしまうというバイアスのことを表しているそうです。
そういう意味でも、広く知っておくことは大事なのかもしれません。
本文のデザインも、今まで読んだ技術解説書には無いくらい読みやすかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生成AIを、制度層•モノ層•サービス層•情報層のさらに上の知能層のインフラとして捉えて、過去のインフラ化が社会をどのように変容させていったかを踏まえて、未来を予測している。
インフラ化により、供給量は使い果たされる、認識・価値観・行動様式の不可逆に再構成される、二極化と構造的格差が拡大する。
そのような世界で生き抜くために、生成AIを前提にルールを再設計して、AIを使って価値を生み出す側に回らなければならない。
最近うすうす感じていたが、誘発需要の法則により、生成AIが知的作業の所要時間を大幅に短縮しても、人間に余暇がもたらされず、解放された時間はより高度で複雑な別の作業や検証プロセスで埋め尽くされ、社会全体の業務密度とスピードが加速するという点が興味深かった。 -
Posted by ブクログ
仕事でいつも触れてはいるのに、
相変わらず機会音痴でパソコン作業も苦手。
自分で考えることも得意でない。
でも頑張ってAIに頼りながら仕事を進めることで、以前より格段に仕事がしやすくはなっている。
自分がNPC(ノンプレーヤーキャラクター)化しつつある自覚、なくもない。
セレンディピティ(偶然の幸運)、恥ずかしながら初めて知った。
大事にしたい。自分で考えて行動した先にしか本当の手応えや達成感を感じられない。
*自分で思考し、葛藤し、独自の答えを導くというコストをAIに委ねた結果、個人の行動がシステムの最適解に従うだけの「予告可能な行為」に置き換わる。意思決定の当事者から外れた人間は、何が起きても同じ行動を繰り返す傍観者になる。
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* 「無駄な偶然」や「意味のある失敗」が排除されてしまう。
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Posted by ブクログ
みんな!気をつけて!
この本、後で読み返そうと思ったところに付箋を貼っていくと、気づけば全ページに付箋を貼っていて「いや付箋の意味わい!!」ってなるぞ。
恐ろしい子・・・。
東京大学先端科学技術研究センター特任准教授。
東大の博士課程を特例により1年短縮して収めたという知性の化物。
江崎貴裕さんによる知的興奮が詰まった本です。
数理モデリングを専門とし、それを使った物流サービスを提供する会社も経営している著者が、インフラの歴史と構造を紐解きながら、新たに生まれた知能のインフラ「AI」がもたらす世界を予想する。
みんな大好きAIの話は言わずもがななんだけど、その前の、
インフラとは何者で、どんな変化を社会や人間の認知にもたらすか。
という話がめちゃくちゃ面白いです。
インフラは人間の認識を変え、価値観を変え、社会構造を変える。
そしてAIは知能のインフラとして、初めて世界に「蛇口をひねれば知能が使える」という状況を作った。
ではこれからの世界はどのように変わるのだろうか?
ちょっと付箋が多すぎて要点が絞れていないので、
気になったトピックを中心にメモ。
■ 時間、距離、空間の認知を変えたインフラ
・電気が睡眠を変えた。人は元々分割睡眠を行っていた。
いつも夜中に目が覚めてしまう人っていると思うんですけど。
寝なきゃ寝なきゃと思ってもどうしても目が覚めてしまう。そんな方に朗報です。それって正しいことみたいですよ。人間は元々分割睡眠をしていて、夜中に一度起きて、談笑したりお茶をしたりして、再び朝まで眠るというサイクルで暮らしていたそうなんです。
しかし、電気というインフラが行き渡ることで、外が暗くなったら照明をつけて過ごし、寝るときには消す、という習慣が生まれた。
これにより朝と夜の境界が明確になり、夜は寝るもの、朝は起きるものという認知に変化していき、元々行っていた分割睡眠の習慣が薄れていったと考えられるそうです。
どうりで夜中に目が覚めるわけだ。自分が初老だからかと思ってた。
誰が初老だって?
・エレベーターができる前、高層階は貧困層の場所だった。
いまでこそ高層階は富裕層の居住区ですが、これはエレベーターがあって初めて成立するもの。エレベーターが発明される前は、富裕層はアクセスの良い下の階に住み、貧困層が苦労して階段を上がり、屋根裏などの上層階に住んでいたようです。いまと価値観が真逆ですね。高層階のインセンティブは全て技術インフラがもたらしたもの。本来、人は地面から遠く離れて生きるべきじゃないんだ。
土に根をおろし風と共に生きよう。種と共に冬を越え、鳥と共に春をうたおう。(天空の城ラピュタより、ゴンドアの谷の歌)
・音楽の長さを規定したCDの規格。
IT技術が発達する前、音楽の長さはいまよりもずっと長く、多様でした。音楽に触れようと思うと、どこか社交場に出かけていって、腰を据えて聞くものだった。しかしレコードが発明され、音楽を家に持ち帰れるようになるとその環境が激変。生活の中で音楽はどんどんコンパクトになっていきます。
例えばCDの規格はベートーベンの第九が入る長さを基準に作られたそうですが、逆に言えばこれ以上長い音楽を人間は聴かなくなったということ。さらにポータブルプレーヤーで音楽を持ち歩くようになると、ながら聴きが基本になり、音楽自体もより短く、抑揚のはっきりしたものへと変わっていきました。
いま僕らが聴いている音楽は一曲だいたい3分程度にまとまっていますけど、これは音楽プレーヤーというインフラによって外から規定されたものということですね。
・電車が時間の認知を変えた。
待ち合わせをする時、昔はもっとずっとおおらかでした。もちろん時間の概念はありましたが、だいたい、このくらいの時間にそのへんにいること。が待ち合わせの基本で、早めに行って待つのが当たり前でした。しかし電車の普及がこの習慣を変えたと言われます。決まった時間に必ず来る電車というインフラが生活導線の基盤として定着することで、時間というものは皆に等しい基準で流れていて、それにぴったり合わせて行動するべきだという認知が定着していきました。それまでは遅刻の概念ってあんまりはっきりしてなかったんでしょうね。
■ 供給が増えると需要も増える。人は供給を決して余らせない。
インフラと人間の関係の特徴として、「供給が余らない」ということがあるそうです。
かつてニューヨークで車が普及し始め、道路の整備が追いつかず渋滞に悩まされていた時、渋滞緩和を目的に橋を増やしたところ、むしろ車の需要が喚起され、渋滞状況が悪化したということがありました。需要のあるインフラを整備し供給すると、人は余剰分をすべて使い切ってしまう傾向があるという事がわかります。
これは、我々がAIによって仕事が効率化された分、余った時間でまた同じような仕事をしてしまい、結局楽にならない。ということと同じですね。
■ 前半のまとめ
音楽の長さが揃っていくように、皆が決まった時間に寝て決まった時間に起きるように、インフラには対象を均質化させる力があります。
知能のインフラであるAIもおなじく、思考や価値観を均質化させていく。
既に世界は、英語圏で作られたAIの意思決定に頼ることにより、思考パターンが欧米的価値観に寄ってきているという研究結果も示されます。
我々は無自覚にAIインフラがもたらす認知の変化にさらされている。
それは既に起きていて、今後の我々の世界に大きな影響を及ぼすかも知れない。それを分かったうえで進もうね。
というあたりが概ね前半の内容で、まだまだ序盤でこの濃度。
後半は、じゃあどうすればいいか。そんな産業にどんな変化が起きそうか。AIに奪われない仕事はなにか?人間の価値はどこにあるのか?などが紐解かれていきます。
ただもう、ちょっと、付箋の数が多すぎてここからは写経になっちゃいそうなのでこの辺で踏みとどまることにします。
読んだらきっと、誰かと話したくなるはず。
書いたばっかりなのにもう話したいもん。
ぐぎぎぎ・・・。 -
Posted by ブクログ
ゆるコンピュータ科学ラジオを聞いて買ってみました。
インフラはこれまでも我々の振る舞いに大きな影響を与えてきたわけですが、AIエージェントの登場によって我々はどういった振る舞いをするようになるのかという触れ込みに惹かれて買ってみましたが、期待通りの内容でした。
個人的には仕組みが人にどういった影響を与えるかというのは自身にも影響があり興味もある箇所なので、この本はめちゃくちゃ付箋貼りました。
個人的には、AIエージェントが出てくることでNPC化する人ってそれまでもそうありたかったがすぐに聞ける先が無かった人なんじゃないかという気がしたりしますね。なので、そうなることはあまり不幸な話ではないのではないかという気がします。
図も豊富なので難しかったのかもしれないですが、線引いたり、メモを残したりし易いので個人的には電子版が欲しかったです。 -
Posted by ブクログ
データサイエンティスト、またデータを扱うことに関係するすべての人におすすめ。
内容はある程度数学(中学ー高校)がわかっている人向けではあるが、それを除けば本当に誰でも読める。というかその部分を飛ばしてでも、読み進めていくことさえ可能である。本書では、データを解析する前にまずそのデータの収集プロセスが正しいか、またバイアスを回避(認識)できているか に始まり、正しい解析手法、間違いやすい解析プロセスを初学者にもわかりやすいように教えてくれる。
因果関係があるかどうかを判断する基準=Hill's criteria は有効なので論文を書くときとかにうまく引用して使いたい -
Posted by ブクログ
江崎貴裕さんの著書2冊目。
こちらは前回の『数理モデル』よりもグッと分かりやすかったです。データを解釈する時に気をつけること、データ分析でできないことを入門書として解説してくれています。
データ分析をする人は全員目を通しておくべきかもしれませんね。
データ分析系の本を読んでいるとまあまあ内容も被っていると思いますが、個人的には「変数データの振る舞い」「多変量データを解釈する」はあまり解説している本も少なかったので、ありがたかったです。(もちろん詳しい解説書はありますが、入門書の位置付けではあまり見ない)
『数理モデル』ももう一度読み直そうと思います。 -
Posted by ブクログ
数理モデルに関する書籍で知っていた著者であることと、そうした数理的思考の社会への応用に関心があったため本書を手に取りました。
本書はルールを設計する際に考えるべき点や、あるいは人がルールに対してどういう行動をするかなどに関して読みやすい形式で概説した書籍です。「数理モデル『思考』で」とあるように、実際に数理モデルをもとに説明するのではなくて考え方のベースに添えるに留まっており、広い幅の読者を想定しうる本だと感じました。また、多くの部分で良く陥る失敗パターンをもとに良い考え方が導入されており、人間をそれなりに長い年数やっている方には理解しやすいと思います。
ルールの作り方に関し非常に読みやすい本ではありますが、「数理モデル」要素が若干薄いことと、設計に関する方法論があまり具体的ではない点はやや少し気になりました。