笹原千波のレビュー一覧

  • 風になるにはまだ

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    繊細で優しく、美しい、人が人を想う気持ちに満ちた物語。
    ・地の文が図抜けて上手い。作者の観察眼がすごい。
    ・嫌なやつに固執しない。殊更に書き立てないのがいい。
    ・単身赴任でフルリモートっていう働き方の人は、情報人格の人の気持ちがよく分かるかもと思った。
    ・情緒も風情もなく言うと、片道切符の異世界転移モノ(前の世界と通信はできる)。

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    2025年08月17日
  • Genesis この光が落ちないように

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    SF短編アンソロジー

    今回が最後のGenesis、以後は紙魚の手帖に移行するそうです
    海外作品ばかり読み耽っていた時期に、日本SFを読みたいと創刊号を手に取りました
    以来ここで何人もの推し作家様と出会い、珠玉の作品の数々を拝読いたしております
    自分の人生の一部であるこのアンソロジーが終了するのは少し寂しい気持ちです
    深く感謝申し上げます


    『風になるにはまだ』
    第13回創元SF短編賞受賞作品

    肉体を持たない“情報”として生きている女性が、現実の身体を1日借りるお話です
    情報化の女性視点で久しぶりに生身を持った感覚は、まるで自分が体現しているように冴え、没入します
    是非皆さま体感なさって下

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    2022年12月03日
  • 風になるにはまだ

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    SF作品と思って読み始めたが、
    読み心地や読後感はむしろ純文学に近いものだった。

    電脳世界に意識を移して生き続ける、という設定はありふれたものだが、
    そこで永遠の命を生きるのではなく、
    「散逸」という概念を取り入れているのが新しい。

    SF的世界観を背景に、純文学的に人の心の営みを描く、
    という潮流は今後もますます強くなりそう。

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    2025年10月12日
  • アンソロジー 舞台!

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    自分が舞台に上がるなんて、とんでもないけど、
    袖幕は好き。
    バレエをやってた娘の発表会で
    一度だけ袖幕に関われて、とても充実してた。
    ゼロから何かを作り上げる歯車、
    として機能出来る自分が、
    すごく誇らしく嬉しく、楽しかった。
    だからダンス・デッサンの瀬木さんに一番共感した。
    バレエ衣装作成の、宝石さがしも好きだけど。
    だいたい全般、肯定的な物語ばかりで、
    安心して読めるアンソロジーでした。

    2.5次元舞台を観に行きたくなった。
    見たことないけど。
    その前に、推し活出来てる人たちが、
    そもそも羨ましいかも。

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    2025年10月04日
  • アンソロジー 舞台!

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    【日常の中にいる、クララとドロッセルマイヤー】

    ミュージカル、2.5次元、バレエ、ストレート・プレイ……様々な舞台を題材に描かれた5編が収録された短編集である。

    ただ、「華やかで遠く感じる『舞台』というその空間は、自分という役を生き、誰かの人生に思いを馳せる私たちにとって、意外に身近な場所なのかもしれません。」という扉に書いてある触れ込みって、読んでみたら結局、3編目の白尾悠「おかえり牛魔王」だけの話なんとちゃうのん?と感じた。

    毎日定時で退社する、社内の人付き合いも忖度もへったくれもない後輩の派遣社員、桐ヶ谷を探るうちにその演劇の指導者しての並々ならぬ実力に触れ、自らも演劇に助けられた

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    2024年07月15日
  • アンソロジー 舞台!

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    舞台をテーマにした5作の短編。
    舞台を見る人なら、いろいろとわかる!と思うことあって楽しく読めると思う。

    『ここにいるぼくら』
    2.5次元舞台に出演することになった主人公。しかし、その役はシリーズもので、彼はいわゆるキャス変だった。
    いやー、2.5のキャス変は私も経験あるからわかるなー。(見る側だよ、もちろん)演者側からの立場として読んでて面白かった。

    『宝石さがし』
    バレリーナと衣装デザイナーの話。
    舞台の衣装って、いろいろなことを考えて作られているのと同時に、演者にとってはその役になるために、舞台に立つ上ですごく大切なんだなって感じた。2人の関係性がとても素敵だった。

    『おかえり牛魔

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    2024年05月16日
  • Genesis この光が落ちないように

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    ネタバレ

    どの話も設定が面白く、ワクワクしながら読めた。
    ◆天駆せよ法勝寺
    最初から世界観に驚愕させられ、そのままの勢いで最後まで読み切ってしまった。最後、大人が大人であるがため苦渋の選択し、それでも前へ進まないといけないのに対して、主人公の意識が子供から大人へと変わる様子が危うげながらも、頼もしく清々し感じられた。世界観は奇抜だけど、共感できる。
    ◆家の外なくしてみた
    扉や窓の外が家の中と繋がっている設定は四畳半神話大系と似ているかと思ったが、こちらはだいぶポップ。2人の会話が丁寧なのにテンポが良くて読みやすかった。
    ◆この光が落ちないように
    これも世界観がすごい。
    「感情は火と同じ。」と、感情の否定

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    2023年04月30日
  • Genesis この光が落ちないように

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    一つ一つが癖のあるSF。
    「風になるにはまだ」は、この短編集を読もうと思ったきっかけだった。人の意識をアーカイブ化する技術は新しい哲学を生む土壌だろう。果たしてどこまでが自分なんだろうか?データは欠損しないのか?いつまで持つのか?色々考えると面白い。

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    2022年11月19日
  • 風になるにはまだ

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    ネタバレ

    【収録作品】
    風になるにはまだ
    手のなかに花なんて
    限りある夜だとしても
    その自由な瞳で
    本当は空に住むことさえ
    君の名残の訪れを

    生身の身体で生きることが難しい事情を抱えた人々が、〈情報人格〉として仮想世界で暮らせるようになった近未来を描く。
    そちらを選択する人としない人、当事者と周囲の人、散逸の恐れと非現実的な行動の可能性、それぞれについて描きながら、近未来への希望をつなぐ物語。

    死とは何か。
    仮想空間で生き延びるというのは、優秀な第三者の善意による管理あってのこと。その前提が危うく思われてしまう。

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    2025年10月31日
  • 風になるにはまだ

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    ネタバレ

    身体はなくとも、情報人格として、少しでも生きてさえいればいいのだろうか。それとも、死や痛みが伴っても、現実世界に存在しているからこそ意味があるのだろうか。この価値観は個人によって大きく異なるのだろう。
    こんな世界はありえない、とも言えないような、今から程遠くない未来が描かれているようで、少し恐怖や不安を覚えた。私の想像力が欠けているため、なかなか物語の世界に入りこめない箇所もあったが、人としての生き方や死に方を考えさせられる内容だった。

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    2025年09月10日
  • アンソロジー 舞台!

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    2.5次元舞台の話が特に興味深い。見たことないので、勝手に若手イケメンが売りなのかと思ってたけど、キャラに寄せるスタッフさんや自分を出さずになりきるキャストや、ちゃんと見てくれるファンたちでいい舞台が作られてるのね。

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    2024年08月11日
  • アンソロジー 舞台!

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    舞台をみるのは、好き。舞台に立つ人。みる人。支える人。いろいろな視点から見れて興味深く読んだ。舞台は同じ空間と時間を共有できて、あっという間に同じ世界につれていってくれる。舞台を見に行きたくなる。

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    2024年06月18日
  • アンソロジー 舞台!

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    舞台にかける役者たちの情熱が美しく微細に書かれて、芸術的な短編集だった。
    個人的には2.5次元の裏話のようなエピソードが興味深かった。

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    2024年05月25日
  • アンソロジー 舞台!

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    ネタバレ

    【収録作品】近藤史恵 「ここにいるぼくら」/笹原千波 「宝石さがし」/白尾悠  「おかえり牛魔王」/雛倉さりえ「ダンス・デッサン」/乾ルカ  「モコさんというひと」

    どれも舞台に引きつけられる人たちの話で悪意を持つ人が直接的には出てこないのがよかった。
    演じるほうの覚悟も描かれていて、トップスターでないからこその葛藤と矜持がいい。トップスター側も、互いへのリスペクトと舞台への愛情が感じられる話ばかりで、これが現実ならいいのにね…… でも、舞台を見る側としては、そういう人間性を信じたいところもある。

    「ここにいるぼくら」【2.5次元×俳優】メインキャラの一人が病気で無期限療養に入ることになり

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    2024年04月26日
  • Genesis この光が落ちないように

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    GENESIS(創元日本アンソロジー)シリーズが今回の五集目で最後になるという。いや~、実にもったいない、このシリーズとても気に入っていたのになぁ~。特に、表紙の絵(カシワイ作)が好きで毎回楽しみにしていた。まあ、社の方針だからしょうがないのかもしれないけど。私以外の人にはあまり好評ではなかったのだろうか。売り上げも伸びなかったのかな。

    最近、帯の呼び込み文句が派手なものが多く、ちょっとこの傾向を懸念していたのだが、この本も首を傾げた。「日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編」って、ちょっと誇大広告でしょう。この6人のうち3人(宮澤・水見・空木)しか知らない。私も最近のSFを勉強して

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    2023年05月17日