笹原千波のレビュー一覧
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SF短編アンソロジー
今回が最後のGenesis、以後は紙魚の手帖に移行するそうです
海外作品ばかり読み耽っていた時期に、日本SFを読みたいと創刊号を手に取りました
以来ここで何人もの推し作家様と出会い、珠玉の作品の数々を拝読いたしております
自分の人生の一部であるこのアンソロジーが終了するのは少し寂しい気持ちです
深く感謝申し上げます
『風になるにはまだ』
第13回創元SF短編賞受賞作品
肉体を持たない“情報”として生きている女性が、現実の身体を1日借りるお話です
情報化の女性視点で久しぶりに生身を持った感覚は、まるで自分が体現しているように冴え、没入します
是非皆さま体感なさって下 -
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【日常の中にいる、クララとドロッセルマイヤー】
ミュージカル、2.5次元、バレエ、ストレート・プレイ……様々な舞台を題材に描かれた5編が収録された短編集である。
ただ、「華やかで遠く感じる『舞台』というその空間は、自分という役を生き、誰かの人生に思いを馳せる私たちにとって、意外に身近な場所なのかもしれません。」という扉に書いてある触れ込みって、読んでみたら結局、3編目の白尾悠「おかえり牛魔王」だけの話なんとちゃうのん?と感じた。
毎日定時で退社する、社内の人付き合いも忖度もへったくれもない後輩の派遣社員、桐ヶ谷を探るうちにその演劇の指導者しての並々ならぬ実力に触れ、自らも演劇に助けられた -
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舞台をテーマにした5作の短編。
舞台を見る人なら、いろいろとわかる!と思うことあって楽しく読めると思う。
『ここにいるぼくら』
2.5次元舞台に出演することになった主人公。しかし、その役はシリーズもので、彼はいわゆるキャス変だった。
いやー、2.5のキャス変は私も経験あるからわかるなー。(見る側だよ、もちろん)演者側からの立場として読んでて面白かった。
『宝石さがし』
バレリーナと衣装デザイナーの話。
舞台の衣装って、いろいろなことを考えて作られているのと同時に、演者にとってはその役になるために、舞台に立つ上ですごく大切なんだなって感じた。2人の関係性がとても素敵だった。
『おかえり牛魔 -
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ネタバレどの話も設定が面白く、ワクワクしながら読めた。
◆天駆せよ法勝寺
最初から世界観に驚愕させられ、そのままの勢いで最後まで読み切ってしまった。最後、大人が大人であるがため苦渋の選択し、それでも前へ進まないといけないのに対して、主人公の意識が子供から大人へと変わる様子が危うげながらも、頼もしく清々し感じられた。世界観は奇抜だけど、共感できる。
◆家の外なくしてみた
扉や窓の外が家の中と繋がっている設定は四畳半神話大系と似ているかと思ったが、こちらはだいぶポップ。2人の会話が丁寧なのにテンポが良くて読みやすかった。
◆この光が落ちないように
これも世界観がすごい。
「感情は火と同じ。」と、感情の否定 -
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ネタバレ【収録作品】近藤史恵 「ここにいるぼくら」/笹原千波 「宝石さがし」/白尾悠 「おかえり牛魔王」/雛倉さりえ「ダンス・デッサン」/乾ルカ 「モコさんというひと」
どれも舞台に引きつけられる人たちの話で悪意を持つ人が直接的には出てこないのがよかった。
演じるほうの覚悟も描かれていて、トップスターでないからこその葛藤と矜持がいい。トップスター側も、互いへのリスペクトと舞台への愛情が感じられる話ばかりで、これが現実ならいいのにね…… でも、舞台を見る側としては、そういう人間性を信じたいところもある。
「ここにいるぼくら」【2.5次元×俳優】メインキャラの一人が病気で無期限療養に入ることになり -
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GENESIS(創元日本アンソロジー)シリーズが今回の五集目で最後になるという。いや~、実にもったいない、このシリーズとても気に入っていたのになぁ~。特に、表紙の絵(カシワイ作)が好きで毎回楽しみにしていた。まあ、社の方針だからしょうがないのかもしれないけど。私以外の人にはあまり好評ではなかったのだろうか。売り上げも伸びなかったのかな。
最近、帯の呼び込み文句が派手なものが多く、ちょっとこの傾向を懸念していたのだが、この本も首を傾げた。「日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編」って、ちょっと誇大広告でしょう。この6人のうち3人(宮澤・水見・空木)しか知らない。私も最近のSFを勉強して