古市雅子のレビュー一覧
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ネタバレ一冊前に読んだ「流浪地球」も相当最高だったけど、「老神介護」収録作の方が圧倒的に刺さった。特に「扶養人類」は今まで読んだ短編トップ5には確実に入るし、「彼女の眼を連れて」は当たり前のように泣いた。カポーティの「クリスマスの思い出」に匹敵する切なさと美しさだと思う(わかりにくい当社比)
老神介護
歳とった神様が人間に老後の世話をしてもらう話。最初は神様っていうスペシャルな存在を迎えるけど、特に役に立たないし養うお金嵩むしだんだん人間から文句言われたり追い出されたりして心痛むけど、これ超高齢化社会の風刺だよね...最後はなんかいい感じに宇宙にお見送りして、人間本当にちゃっかりしてるなと思う。
扶養人類
すっごかった。設定が面白すぎて筆舌尽くし難い。たった1人がその星の99%を所有する世界地獄すぎる。残りの20億人は空気も地面もその1人の所有物だから、吸ったり歩いたりするだけで窃盗や家宅侵入罪になるの極端すぎる。
お金や所有の価値について本当に考えさせられる話。主人公最初ハードボイルドなのに血が通ってて最後までかっこよくて好きだった。
白亜紀往時
白亜紀以前に恐竜と蟻が超高度文明を築いていた時も話。核所有国による国際的緊張の、地球が爆発するレベル版。異種の共生って難しい。
彼女の眼を連れて
「彼女」の、理解し難いほど情緒豊かに自然の素晴らしさを褒め讃えて涙する理由がわかった瞬間号泣。
地球大砲
劉慈欣先生は宇宙だけじゃなくて地中ロマンもめちゃくちゃハイセンス。自転のカーブ考慮したら中国から南極って一本のトンネルで繋がるんだけど、それを実現しようとした人類の投資が全く回収できずにむしろ取り返しのつかない環境負債を抱えるかたちで一旦クローズ。半世紀後宇宙に向けた大砲として再利用。人間のいいところと悪いところ全部詰め込んでる1話。
(引用)
知ってのとおり、あなたたちのこの時代において、教育は社会の下層の人間が上層に這い上がるための唯一の手段だ。(「扶養人類」)
「夕焼けがだんだん消えて、森に夜の帳がゆっくり降りてくるの。宇宙でいちばん美しいシンフォニーを聴いてるみたいな気分になる」彼女はうっとりと言った。正直、ぼくとしては億劫だったけれど、自分の不運を呪いながら、鉛のように足を引きずって、なんとか出かけていった。(中略)
「きみは平凡なものをとても大切にするんだね」
「あなたはどうして大切にしないの?生きるってそういうことでしょ」
(「彼女の眼を連れて」) -
Posted by ブクログ
ネタバレ最高すぎた。どの短編も読み応えすごい。宇宙に行きっぱなしじゃなくて、その前提があると人類はどんな社会になるか?どんな国際的な決定やルールが敷かれるか?科学はどうなるか?のifの設定が素晴らしいし、そこに登場する農村とかに住む普通の一般人視点が入ってくるかた読者を置いていかない。
流浪地球
太陽が膨張しはじめて、地球ごと太陽系から脱出しようとする話。
自転止めたりスケールがすごい。
太陽系からの脱出間際に、デマが回って科学者や献身的に人類の存続のために働いた人たちが殺されるのが悲しいけど人間らしくてリアル。
ミクロ紀元
大きいものが優れているとは限らない。
生き抜くための遺伝子操作を繰り返した結果、わずかな資源で生き延びれるよう人類が細菌サイズになった話。爆発とかより細菌戦争の方がグロい気がする。
呑食者
恐竜が実は白亜紀の絶滅前に氷河期から免れようと一部だけ宇宙空間に逃げてたかもしれない話。人間の狡猾さ、ずる賢さが宇宙上でも一級品ってことがわかる。最後奇跡的に残った数人の人間がとった選択にめちゃくちゃ痺れた。進化をもう一度蟻の時代からはじめるために、自分たち人間ができることを、こんなに迷いなく決められるかな。
呪い5.0
AIとIoTへの超皮肉ホラーコメディ。
インターネット黎明期に失恋した天才プログラマーが作ったウイルス「呪い1.0」が現代で街を一個滅ぼす話。劉慈欣先生本人が売れないSF作家として登場して世界を破滅に導いてしまうイタズラを酔っ払ってやってしまうのが面白い。機械に全てを任せる世界の怖さもあるけどとにかくめちゃくちゃギャグセンス高くて面白かった。
中国太陽
一番好きな短編。貧しい田舎から炭鉱、都会へと出稼ぎに行く少年が高層ビルの仕事について、そのまま人工太陽の清掃員になる話。物事は高いところから見ないと本当のことに気づけないは心理だと思う。人工太陽で異常気象や過酷な地域の天候を改善させる世界で、清掃員が自分の故郷の上に人工太陽が来た時その箇所を丁寧に掃除するっていうのが素敵だった。
山
設定が天才的で拍手すぎる。地球は外側に宇宙空間が広がっているけど、逆に固形の宇宙に暮らしてた知的生命が空間宇宙を見つける話。地球が属する空間宇宙ももしかしたら最果ては壁になっててその向こうは固形宇宙かもしれない。常識を疑う設定の思いつき方はさすが劉慈欣先生と崇めるばかりです。山があったら登りたくなっちゃう主人公もいいキャラクターだった。もし世界の前提が今と違ったらっていう思考実験をした時の細かさが本当にすごい。
(引用)
いまは人類にとって歴史上もっとも忙しい時代で、すべての人間がやってもやっても終わらないくらい仕事がある。おもしろいのは、地球上のあらゆる宗教が一夜にして影もかたちもなくなってしまったことだ。
人々はついに悟ったのだ。たとえ神さまがいたとしても、そいつはどうしようもないろくでなしだということに。(「流浪地球」)
「ええ、帰ってこられません、妻や子どもがいて、あたたかい家がある生活に満足し、俗世間以外のことは自分に関係ないと思っている人もいれば、たとえ命とひきかえにしても、人類がいままで見たことのないものを見てみたいという人もいます。わたしは、どちらの人の人生も経験しました。人にはそれぞれ、自分の人生を自分で選択する権利があるはずです。十数光年というはるか遠い宇宙鏡に乗って放浪する人生を選んでもいいでしょう」
(「中国太陽」) -
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何と言っても着想が良い。白亜紀にでっかい恐竜とちっちゃい蟻それぞれに知性があって共生関係を築いていたら。それだけで様々な想像が膨らむ。共生関係なのでお互いに利がないといけない。恐竜と蟻、それぞれ何が欠けていて、補う為に何を与え合うのか。こんなことは考えたこともないだけにワクワクする。まさか蟻が恐竜の医者になるなんて思いもしない。しかも体内に侵入しちゃうのだからぞっとしてしまう。恐竜は恐竜で文明発達の末にボタンひとつがモニターサイズのキーボードを叩くようになり、一戸建てサイズの車を乗り回すようになるのだから愉快だ。傍から見ているとかけがえのないはずの竜蟻同盟なのに、戦争になってしまうのはどう考えても悲しい。だけどその戦争の様子もそれぞれの戦い方がよく考えられていて感心してしまう。果たして戦争の末に彼らがどうなってしまうのか、最後まで興味が尽きない展開だった。
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我らが大劉、再びのバカSF炸裂。(←褒め言葉)
「流浪地球」と同時刊行された、劉慈欣のバカSF短編集です。(←褒め言葉)
劉慈欣のSFの特徴は、長編でも短編でも、笑える話でもしんみりする話でも、どこかに必ず「バカ」の要素が潜んでいることだと、鴨は思います。
この場合の「バカ」とは、頭が悪いという意味ではなくて、えっ、そんな発想、常人にはとても出せないけど!?という畏敬の念を込めた「バカ」です。代表作「三体」なんて、これ以上なくスケールの大きなバカSFだし。
本作「老神介護」も、人類を作った神様が宇宙船に乗って介護を要求しにきたり、中国から南極まで通じる巨大な穴をマントルもコアもぶち抜いて作ったり、その中を人間が行ったり来たりとか、もぅその発想だけ見たらバカそのものなんですけど、バカをキープしつつ見事なハードSFを成立させ、ついでに普遍的な詩情さえ感じさせてしまうという、とんでもない力技を披露しています。ちなみに、「流浪地球」に収録されている「呪い5.0」みたいな、本当の意味でバカなSFは本作にはありません(笑)
スケールの大きなバカSFを堪能するには最適の短編集です。が、鴨が一番感動したのは、巻末に収められているエッセイ「我々はSFファンである」。中国SFの現在位置と、それに関わる劉慈欣の覚悟がビシバシと伝わってくる名文です。SF者たるもの、すべからく読むべし。 -
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「三体」、「円」(短編集)ともにとても面白かったので、新年最初に手に取った本
面白かった!
この本でも、ミクロ視点とマクロ視点の切り替えが毎回実に鮮やか
ホラーが苦手なので、タイトルからしておどろおどろしい「呪い5.0」は読み始めるのに心構えが必要だったんだけど、ホラーどころかコメディ…?で面白かった!…と書きたいけど書けないような…
突然の九州シリーズ創始者のひとりがモデルになってる登場人物とか、やっぱり面白いといえば面白いかな
(九州シリーズは、ドラマ「九州縹緲録」と「斛珠夫人」視聴済)
1番好きなのはこれ!って即答できないくらいどれも面白かったけど、あえて選ぶなら中国太陽…いやミクロ紀元…やっぱり選べない!
解説もとても良かった
次は「老神介護」を読む
こちらも楽しみ -
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ネタバレ我らが大劉こと劉慈欣、バカSF炸裂。
いやもう、読みながら「バリントン・J・ベイリーみたいだな・・・」と、我ながらちょっと極端だなぁと思える感想を抱きながら読んだんですけど、あとがきで大森望氏が正にその通りのことを書いていて、決して極端な感想ではなかったのだな、と安堵しましたヽ( ´ー`)ノ
とにかく針の振り切れまくった作品ばかりで、その振り切れ具合に大笑いさせられつつも、根底に重厚なハードSFの骨格があり、そのどこかに豊かな詩情とペーソスを感じるのが、さすがの大劉節です。
・・・とまとめたいのに、それを妨げる「呪い5.0」の破壊力といったら(笑)作中に「SF作家の劉慈欣」が登場してSF超大作「三千体」を刊行する、という、どこからどう突っ込んでいいのかわからなくなるほどのはっちゃけっぷり。でも、ちゃんとSFしてるんですよー皆さん。置いていかれないように注意しましょうねー。
「三体」シリーズとは別の意味で、ぶっ飛ばしてる短編集です。同時に角川文庫で発売された「老神介護」も超楽しみ! -
Posted by ブクログ
目次
・老神介護
・扶養人類
・白亜紀往事
・彼女の眼を連れて
・地球大砲
劉慈欣の書くSFのテーマって、どことなく懐かしさを感じるのはなぜだろう。
『老神介護』は、最初こそ神様のみすぼらしさと情けなさに、にやにやしながら読んでいたのだけど、最後まで読むと『三体』と地続きのテーマであることが分かった。
続編と言える『扶養人類』に至っては、まんま『黒暗森林』なのである。
ところで、以前から私は、中国における神様の存在について知りたいと思っていた。
日本だと、日本古来の神様のほかに外国からやってきた神様も、えらい人間または恐ろしいことをしそうな人間も亡くなると神様になる。
たまには生き神様までいる。
悟りを開いて生き仏になる人もいるが、仏様も神様に内包されることがあるので、たいていのすごい存在は神様足りうると考えられる。
しかし中国の神様って、よくわからない。
神仙と言って、神様と仙人がいて、厳密には違う存在らしいのだけど、文献によって神様だったり仙人だったりするから混乱する。
西王母ですら、女神・女仙って書かれてるんだもの、
で、『老神介護』を読んで、やっぱり中国の神様って、万物を創設したとて、たいして尊敬されてないんだなあと思った、という話。
好きなのは『彼女の眼を連れて』。
読みながら、高校生の時に好きだった森下一仁のSFを思い出して、ジーンと胸が熱くなったのに、本人は書きたくて描いた作品ではないと後日語ったそうで、ちょっとがっかり。
『地球大砲』もまた、『彼女の眼を連れて』の続編。
劉慈欣は、エピソードを、硬軟硬軟と続けていく傾向があるのだなあ。
どちらも好きだが、やわらかいエピソードにSF味を感じると、なんか嬉しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・流浪地球
・ミクロ紀元
・呑食者
・呪い5・0
・中国太陽
・山
『三体』シリーズで壮大な世界を見せてくれた劉慈欣の短編集。
『三体』のなかでも、歴史小説風、ゲームの世界風、恋愛小説風等、様々なテイストがありましたが、短篇集はそれをもっと純度を高くしたような感じでした。
『流浪地球』は、ぜひ萩尾望都のマンガでも読みたい。繊細な心理描写と、茫漠たる世界。
断片的だけど萩尾望都の絵が脳内に浮かんでくるの。
『ミクロ紀元』は、フレドリック・ブラウンをマンガ化した波津彰子かなあ、坂田靖子かなあ。
現実を淡々と受け入れるか、飄々と受け入れるかで、読者の受け取り方も変わってきそう。
『呑食者』の、こういう展開は初めて読んだような気がする。
そうか、こう来るのか。
『ミクロ紀元』といい、これからの世界は、小さいことはいいことだ(省エネだ)になりそうだ。
もしかするとユーモアSFなのかもしれないけれど、一番怖かったのは『呪い5.0』。
世界中がインターネットで繋がれ、データがクラウド上に置かれ、AIがプログラムを自動生成できる時代…って今じゃん!
悪意を持った誰かが巧妙にその悪意をプログラミングすれば、あとは自動的に悪夢が増殖していく。
怖すぎる。
”いまの車はすべて自動運転で、インターネットが運転手だ。乗客はタクシーに乗るときにクレジットカードを読み取らせる。このとき、「呪い」2.0の新機能は、クレジットカードから乗客の名前を読み取る。(中略)殺す方法は枚挙にいとまがない。もっとも簡単なのは、タクシーを建物に衝突させたり、橋から転落させたりすることだ。”
これで2.0。
4.0になると、医療データを改ざんして、違う薬を(何なら毒を)処方する。
または治療しない。
メンタルを刺激して、自ら命を絶つ後押しをする。
そして5.0は…怖い!
逃げ場なしです。
『中国太陽』は、『三体』のエピソードに組み込まれてもおかしくないね。
中国の片田舎で、ろくに学校にも行けなかった青年が、徐々に活躍する場を広げていく話。
人生の目標その1――まずくない水を飲み、金を稼ぐ
人生の目標その2――もっと明るく、もっと水がうまい街に行って、もっと金を稼ぐ
人生の目標その3――もっと大きな街に行き、もっと大きな世界を見て、もっと金を稼ぐ
人生の目標その4――北京人になる
人生の目標その5――宇宙に飛んで太陽を拭く
人生の目標その6――星海を航行し、人類の目を再び深宇宙に向けさせる
主人公の水蛙(シュイワー)と一緒に、わくわくしながら世界の広がりを楽しんだ。
この話、好きだなあ。
『山』は、一番SFの魂を持った作品と思いました。
高みを目指すことなく、発展はない、と言われると、高所恐怖症の私としては人類の皆さんに「ごめんなさい」というしかないけど。
でも、「知りたい」「見てみたい」という欲が、科学や技術や文明を進歩させてきたということには同感です。
だからといって、山には登りません。 -
Posted by ブクログ
恐竜と蟻のSF。恐竜好きなので表紙に惹かれた。『三体』は勇気がいるので、その前にこの本が読みたかった。
白亜紀末期、恐竜と蟻が互いに協力し、高度な文明を発達させていたとしたら…。
ティラノサウルスの歯に詰まった肉をたまたま蟻たちが掃除したことからはじまる。
こういうとんでもない発想大好きだー。
竜蟻サミットの様子を想像すると可愛い。
次第に両者に亀裂が生じていく。
読み進めていくうちに、「あれ?これってもしかして⁉」となる。
エピローグも良かった。
これからは蟻を見る目が変わるかも笑
やっぱりSF好きだー。
次は『三体』にもチャレンジしたい!
Audibleにて。 -
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ネタバレ・あらすじ
三体作者による短編SF集。
5つの短編が入っていたけどどれも面白かったし、要素要素に三体と通ずるものがあった。
特に好きだったのが扶養人類と彼女の眼を連れて、の二篇。
老神介護→地球文明を作った20億柱の神が宇宙船に乗って地球にやってきた。目的は地球人とともに地球で老後を過ごすこと。全世界で神を扶養するための法律が制定され各家庭で1柱の神と同居することになるが、両者の関係は徐々に悪化していく。
扶養人類→老神介護の続編。神がいなくなって三年。神が作った地球型文明の兄、第一地球の人類が地球へ移住にやってきた。
そんな中滑空という殺し屋は社会的資産液化委員会という世界の大富豪で構成された委員会の人間に3人の人間の暗殺を依頼される。
白亜紀往事→6500万年前の白亜紀には高度な文明を持った恐竜文明と蟻文明があり、双方は相互補完関係にあった。だが恐竜同士の対立から恐竜文明vs蟻文明に発展。そして白亜紀が終わるまで。
彼女の眼を連れて→宇宙空間での生活が当たり前になった時代。休暇を地球で過ごす為にとある女性の目(センサーグラス)をつけてタクラマカン砂漠へいく主人公。
地球大砲→人工冬眠から目覚めた沈は、地球環境を破壊した「南極裏庭化計画」の責任をとれと理由もわからないまま奈落の底へ落とされる。
彼女の眼を連れて、とクロスオーバーしている?作品。
・感想
老神介護→ひとだけでなく文明、恒星、宇宙ですらいずれ滅び(死)へと向かっていく。それは神ですら逃れられない真実。
創造主という意味での神ではあるけど、よくある万能の存在ではなくSF的捉え方での「神」の存在が面白かった。
あと兄文明である第一〜第三人類文明の辿った経緯は完全に黒暗森林理論で三体の要素を感じた。
扶養人類→神が警告した第一地球文明の宇宙船に乗っていた人類は第一地球から逃げてきた人々だったという真相が面白かった。たった一人の富裕層、世界が一人の人間のものになってしまったディストピアもの。
その理由も技術の発展に伴う富の集中、加速する格差という「なんだかあり得そう」なところが怖く感じたり。
滑空という暗殺者のキャラクターも良かった。
白亜紀往事→抑止力の必要性は理解してるけどエスカレートしていくのではないかという恐怖はある。
文明が発展していくためには「好奇心」や「欲」が必要ではあるけど、欲がエスカレートし暴走、制御できなくなってしまうことの危険性などを描いた作品なのかな。
彼女の眼を連れて→読後感が切なくてすごく良かったー。この話が1番好きだった。宇宙の果てではなく地球の中心に取り残された一人の女性の物語。
もし自分がこんな環境に置かれたら当然発狂してしまうわ…
地球大砲→まさかこの話で落日6号(彼女の〜の女性が乗っている地層探査船)が出てくるとは…!そこに繋がるとは!!
ただ一人地球の中心に残された女性の孤独も少しは慰められてたのかな。
人工冬眠から目覚めた主人公の沈が、中国から南極を貫くトンネルに落とされながら真実を語られるっていう設定が面白い。
でもどの被害者も逆恨みなんじゃないか?って感じがした。
確かに最初の事故の被害者が沈淵を恨むのは理解できるけど…。
沈淵が晩年トンネルを行き来しながら娘に語りかけてたっていうのがまた切なかったな。
どの話も面白かったし、作者の他の短編集も読んでみよう。