逢縁奇演のレビュー一覧
-
購入済み
絵のクオリティは高いし物語の題材も大抵の人が知っている都市伝説で分かりやすくて入り込みやすい
がっこうぐらしの焼き直しみたいなのを予想したけどちょっと違う感じ -
Posted by ブクログ
前巻にて史上空前規模の大決戦をやってこちらのメンタルをこれでもかと揺さぶってきたのだから、それを上回るのはそう易々とは出来ないだろうと思っていたのだけど、成し遂げてきたよこの作品…。本当に恐ろしい作品だよ……
能力を失い、それでも大切な人の名前を思い出す為に行動を始めた心葉が訪れたのはカウス・インスティトゥートへの短期留学ですか
臓物マンション事件の際に連携したシーンが有ったとは言え、全く別の学園へ移っての行動というのは世界観が広がるようで良いね。また、その流れで新たな土地やそこに住まう人々の特性まで描かれているとワクワク感も増してくる
…まあ、その初っ端に登場したダナエが濃いし印象も悪いという凄まじいキャラだったんだけども。勝手に暴走してドM妄想繰り広げる強者とか厄介すぎるわ
ダナエはさておき、カウスと言えば再登場が待たれていたのがレアだろうね。心葉と異様なまでに気が合って、近似次元では心葉の妻となった人物
ただし、現状では心葉とは親友ポジみたいな感じだから、何も起こらないかと思いきや、この巻を通して心葉を意識する描写がああまで増えていくとはね
きっかけが心葉を好きになるような何かが明確に生じたという類ではなく、近似次元の自分達を見て婚姻する可能性を知り、心葉に向けていた感情の見方が変わったというのが何か良いなと思ってしまったよ
この二人が結婚する未来が有ったとしてもそれは劇的な何かによって決意するものではなく、少しずつを積み重ねてのものであって欲しいと願ってしまうから
その意味では描き下ろしショートストーリーにて描かれた近似次元の心葉とレアの結婚描写はかなり納得できるものだったのだけど、彼らが辿り着く未来を想って少し悲しくもなってしまったのが辛かった……
てか、この巻で明かされた仮面・心葉が辿った運命が悲惨すぎて何も言えなくなってしまったよ…
前巻時点では桜次元の心葉とは違って絶望に染まってしまった存在と受け止めていたのだけど、むしろ絶望の中で希望を忘れず足掻き続ける超人、本質的には心葉のままだと感じられる人物だと理解できたね…
彼が話した事情は絶句せざるを得ないもの。もし世界を滅ぼす資格なんてものが有るのだとしたら、彼がそれを持ち得る点は疑いようがないと思わされる
自分の世界を助ける為によく似た世界を滅ぼす、大切な人達を取り戻す為に見知った人達を滅亡に追い遣る。仮面・心葉に突き付けられた絶望を理解できるなんて言える人間は居ないだろうね。だからこそ、彼の絶望と希望を邪魔できるのは並大抵の覚悟では不可能で
だから、桜次元の心葉だけが仮面・心葉を責める言葉を持ち合わせていて
心葉にとって仮面・心葉は有り得るかもしれない未来の姿。精一杯生きると決めて、夢を叶える覚悟を固めて、関わる人達を助け続けて
そうして辿り着く先が世界を滅ぼす人間だなんてあまりに救われない。心葉は未来に希望を抱き続ける為に絶望に身を浸す心葉許せない
けれど、仮面・心葉が桜次元の心葉の未来の姿で有り得るなら、今の心葉よりも絶望的な戦いを潜り抜けて来た歴戦の勇士とも言える
心葉は己の安全を蔑ろにして誰かを助けられるタイプだけれど、仮面・心葉は更にその傾向が強まっているね。無理が極まる身体を更に追い詰めて己を怪物化させるだなんて
彼を超える為には通常のレベルアップを行っても届かない。彼を超えるには彼が選ばなかった道を選ぶしかない
こういうロジックは理解できるけれど、心葉が手にした新たな力はとんでもないものだね!『noapusa』と根源にある願いは似たものながら、おぞましさと孤独に満ちていたあちらと違って『a Session』は尊い願いと温かみに満ちている。この能力ならば独りで戦うしか無い仮面・心葉を上回れると確信できる
ただ、こちらも別の意味で色々と不味い気はするよ!?
白の聖堂や衣装はどう考えても結婚モチーフだし、発動対象が心を通わせた相手というのもアレだし、融合人格も見方によっては娘が生まれたようなものだし
そりゃ、レアだって「誰にでもしていい事ではないのよ」なんて注意するよ!まあ、でもそんなハチャメチャな新能力を受け容れられるからレアは心葉と融合できたとも解釈できるのだろうけども
前巻で暴れた『星のくじら』はヤバすぎると迷いなく断言できる存在だったけど、『線の人』も負けず劣らずといった印象
あまりに強すぎるから敗北を渇望する彼はあらゆる勝負を真剣に受け取らない。まるで遊んでいるかのように己に立ち向かう人間達を甚振るし、彼らの尽力を味わう為にわざと不利な状況に陥ったりする
何よりも彼が常識から乖離した存在だと理解させられたのはとある人物の名が明かされた瞬間か…。あれ、読んでいるこちらも一瞬「?」が浮かんで、暫くして『線の人』が何をしたかが理解させられる流れは恐怖そのもの。『星のくじら』が一瞬にして全てを滅ぼしてしまう存在なら、『線の人』は過去を操って一瞬すら磨り潰してしまう存在か
それだけに『灰色の少女』や巨匠が抱いた渇望が『線の人』を凌駕するシーンには心の底から震えてしまったよ!おまけに仮面・心葉の目的が明かされて尚の事震えてしまったよね…!
改めて仮面・心葉はあらゆる意味で未来の心葉なのだと感じられたよ……
失ってしまったものも有るけど、守れたものもある。特に今の心葉にとって自分の進む先を明示してくれたかのような仮面・心葉との対決は彼に大きな成長の余地を遺してくれたんじゃなかろうか
また、恋愛面で見るとこの4巻だけでレアが将来を約束されたメインヒロイン級の活躍を見せたのは驚きだったし、そんな二人を見て恋兎に鯉の予兆が訪れるのは注目したくなる
ただし、エピローグ部分で最も注視してしまったのは彼女の再登場と知らないあの子の出現だろうね
か弱い存在に成ってしまった筈のエリフが新たな能力やその頭脳に拠ってマフィアや魔術集団を支配するという展開は納得感が有るから受け容れ易かったものの、知らないあの子の出現は本当に驚かされたよ
『線の人』に手落ちが有ったのかそれとも奇跡が起きたのか?奈々の身に起きた異変共々今後のキーと成っていきそうだ
そういや、本作は容赦のない設定によって作り込まれた世界観が面白い作品なのだけど、今回訪れた『焚火の国』もナカナカのものだったね。物質の最小単位が素粒子ではなく焚火だなんてファンタジックで面白い
それは世界が意思を持っているようなものだから、その世界に受け容れられているかどうかが『焚火の国』でにおける生存確率が左右される
そう考えると、魔女が驚く程に心葉が焚火に好かれたのはどう解釈すればよいのだろうね?
どれだけ焚火の修行をしてもそれが通じるのは『焚火の国』内部だけなのだから、その才能が外の世界で活きるとは思えない。けれど、焚火に好かれる素質はもっと深い何かと繋がっていきそうな…
また、もう一つ気になるのはメフの回想に登場した髑髏仮面についてか
使用する能力や発言からあれは言万心葉で間違いないと思うのだけど、今回活躍した仮面・心葉とは結びつかないような…
もしかして今後も近似次元の心葉が様々に登場する可能性があるのだろうか?近似次元なのだから似た存在が居るというのは判るのだけど、様々な次元の心葉が幾度も物語に絡んでくるならば、『言万心葉』という存在そのものに只ならぬ何かを感じてしまうんだけどな…… -
Posted by ブクログ
世のファンタジー作品には世界を滅ぼす大敵が登場するなんて珍しい展開ではないけれど、今作で登場した『星のくじら』ほどヤバい奴はあまりお目に掛かれないかも…。光速の1298乗の速度で次元を破壊する終末とか何……
基本設定として本作は緩やかに滅びへと向かっているのだけど、この巻で登場した終末は明確すぎる程の滅びだね。そもそも、『星のくじら』の存在を知らせてきた少女からして、地獄を呼び込む終末を持っていた。自分により悲劇が巻き起こり殺されると判っていたのに知らせに来たわけだし
緩やかな滅びやいずれ来る滅亡を少しでも遅らせる事を目的に終末停滞委員会は活動している。そう考えると、『星のくじら』という絶望的な滅亡に対して諦めるなんて選択は存在せず、全生命を掛けて抗うという話になってくるのだろうね
面白い、というかそう展開するのかと驚かされたのは『死霊次元』からの攻撃が最も激しい日本政府や黒の魔王と協力する事になった点か
特にラスボス候補にも思える黒の魔王と協力体制を築けた点は難敵とぶつかる上では何よりも頼り甲斐が有る。ただ、裏を返せばそうした存在と協力しなければどうしようもなかった相手とも言えるんだけど
ここで印象的とも言える点は『死霊次元』の側とて余裕がある訳では無い点だろうね
彼らとて『星のくじら』による滅亡に直面している。それを知っているから、自分達の次元を生き永らえさせる為に他次元に侵略している
後に明かされるけど、彼らの次元とて緩やかな滅びを迎えている。それでもささやかな祝福を何とかして守る為に大勢の他者を犠牲にするのも仕方ないとなってしまうのが哀しい
また、そのような目的で行動し始めたのに最後の手段として守るべき祝福を犠牲にしてまで侵略しなければならなかった彼らの行為からは滅亡を前にすれば手段なんて選んでいられないのだと教えてくれるね
ならば『死霊次元』に対抗する心葉達も手段を選んでいられない
以前に対立した者達も、所属が全く異なる者達も遮二無二死力を尽くす。誰もが余裕など持てないし、誰もが諦めるなんて許されない。その様は壮絶と表現する他無い
また、そこに人間以外の者達も参戦するのは総力戦の印象を強めているね。日本古来の異常現象または終末と呼べる百鬼夜行が日本を守る為に戦うなんて興奮させられる
けど、鬼やら天狗やらより恐ろしい終末が跋扈する本作の世界観において、彼らが無力な存在とされてしまうのは寂しいけれど納得できる話で。だとしても、既に滅びを迎えた妖怪達が自分達を残す為に滅びゆく世界で戦う姿は美しく思えたよ…
終末停滞委員会も人間達も百鬼夜行も総力戦で滅びに挑んでいる。それでも抵抗が結実するまでに多くの犠牲が出るのは避けられない。だからって『死霊次元』のトップに接触した上で『星のくじら』討伐を提案するなんて予想外だったけど
あまりに常識から外れた存在過ぎるから倒せるなんて全く想像していなかったけど、確かに恋兎なら無理を通せる可能性があるのか
そのように、『桜次元』全ての命運は恋兎に託すしか無いと思わせられていたからこそ、あの入れ替わりには本当に仰天させられたよ……。そうか、心葉のあの能力って叙述トリックに適してるんだ…と妙な納得をしてから、事態の深刻さと云うか悲惨さに思い当たる程の驚愕…
でも、不思議とこの展開は納得してしまうんだよね。恋兎は誰にも出来ない偉業を成し遂げられるかもしれないが確実に犠牲になる。そのような悲しい別れを心葉が許容する筈がなく
恋兎が居ないと気付いた瞬間に彼の心から迷いは無くなったのだろうなと思えるから
そうして心葉がギリギリの綱渡りをしているのだと判明すると、誰も彼もが同じように命尽きる寸前で戦っている事も見えてくる
でも、そんなの迫りくる滅亡を少しでも遅らせる為に戦う終末停滞委員会にとって当たり前の風景で。『死霊次元』や『星のくじら』という勝利の目が無さそうな相手を前に一歩も引かず己の限界を削り出すようにして抗い続ける戦士たちの様子には感極まる思いでしたよ……
いわば誰も彼もが同じ立場、同じ境遇に居る
だからこそ皆が挫けそうになったその瞬間に皆を元気づける歌声を世界中に届かせたmALEEaの絶唱に、そして笑顔を受け取った皆が最奥の力を振り絞って不可能をぶち破る展開はもはや何事にも代え難い尊い光景であるように思えたよ…
第1巻で登場した時点から「もしかして…?」と思わせていた髑髏仮面だけど、やはり正体は彼でしたか…。まあ、正確には本人ではないようだけど
近似次元からやってきたと云う彼。こちらの心葉のように蒼の学園ではなくカウス・インスティトゥートに属していた感じなんだろうか?それならば蒼の学園を恨むのも少し判るような気がするけど、所詮それは別次元の話。髑髏仮面がわざわ『桜次元』にやってきて恋兎を始めとする蒼の学園の邪魔をする理由って無い気がするんだけどな…
それとも心葉という存在はあらゆる次元を滅ぼしてしまう存在にでも成るとでもいうのだろうか?
心葉は助からない筈の状況で助かった、助けてくれた大切な人を忘却の彼方に置き去りにして
奇跡は偶然起こったのではなく、修羅に堕ちる覚悟を以て成立した。ならば助けられた心葉も同じように修羅道を進んで大切な女の子を取り戻さなくてはならない
この覚悟がもしかして近似次元の彼が警戒する心葉の危険性へと繋がっていくのかな……?
いやはや、何をどう考えてもとんでもない展開になってきましたよ
てか、心葉を愛する女の子達の想いは重いね、激重だね -
ネタバレ 購入済み
今巻も描かれるべき事項を削ぎ落としつつ、主要登場人物の関係性やら終末との向き合い方やら色々と詰め込まれていて、レビューを書こうにも言葉が溢れてしまって綴りきれない…。
エリフ生徒会長と寺で一緒だったみっちょんが同一人物で、それが故に言万心葉の銃痕は消滅し、エリフの存在も消滅したかと思いきや、ラファエル・ガルシアの下に記憶を失い現れるとは…。
途中まで綺麗に完結かと想い読み進めたが、髑髏の仮面の男と合わせて続編があるのだろうか…?
それにしても、ヴィジュアルの判らないキャラが多過ぎで…、、、 -
ネタバレ 購入済み
宇宙空間の創世や終焉を科学的に論じようとすると、何だか胡散臭い宗教観が混じってしまうような気もするが、安定し物理法則が成り立っている世界が崩れる時と言うのは得てしてそんなものかも知れない…。
今回最後の敵となった前世界の守護者は、ビッグバン以前から継いできた者たちなのか?
終末を制さないと世界が終わる。
その為には終末も利用しなければ手に負えない。
そんな世界でも青春したい、ラノベの主人公のような…って、
一言では表せませんが次巻も期待です。 -
Posted by ブクログ
表紙の奈々の可愛さにやられつつ、あらすじ文のトンデモ具合に興味を惹かれた今巻。読んでみれば、一人の少女が神にも届く大望を掲げ、そして人類へと単身挑む物語と思えましたよ…
前巻にて決死の覚悟で手にした『線の人』対策は一旦後回しでとんでもない事態の対応へ
人類に奉仕するというか人類幸福の為に自身を蔑ろに出来るアメリアが至ったのは人類の強制進化か。厄介な点は果たしてアメリアの遣っている事は悪なのかとすぐに断ぜられない点だね。Corporationsでの振る舞いから判るように、彼女の行為は多数にある程度の幸福を届けつつも不幸も齎してしまうもの。Corporationsでは貧富の拡大という結果を示したものの、全人類を同化出来るなら貧富も強弱も存在しなくなる
けども、いずれ来る終末に対して抗い続けると決意した者達の集まりが終末停滞委員会なわけで。己の意思を放棄する遣り方はそもそも受け容れる余地なんて無かったわけだ
この点は本作のテーマ性の一貫が見られて良かったな
ただ、それでもアメリカを支配しつつあるアメリアが強大で打倒し難い存在である点は変わりない。そこで恋兎を派遣するのは納得できるとして、そこにサンタ・クロースも混ぜるんだ!?ほんとに、トンデモ展開ですよ……
だとしても、終末停滞委員会側が不利な事は変わりない。アメリアの支配とは体制の支配ではなく、そこに住まう人々の共生であり同時により良い世の中への変質を見せつけられる。終末停滞委員会として譲れない矜持はあるけれど、個人単位の幸せをこれでもかと見せられれば流石に決意は揺らぐ。倒す覚悟が薄れそうになる。時には銃弾よりも厄介と言える相手
だから心葉達はアメリアのお膝元に潜入しつつ、何とかして彼女を打ち破る道を様々な意味で見つけないといけないのだけど……
そこで奈々に授けられた隠れミッションが心葉をオトすハニトラなんだ!?世界終末寸前で実行されるのが『神流奈々・らぶらぶちゅっちゅ作戦』なんだ!?これ考えたシグリッドは本気で馬鹿なんじゃないのって思ってしまうよ!
まあ、心葉が持つ『a Session』がそれだけアメリアを上回る鍵となるのは判るんだけどねぇ……
と言っても、ここ最近の巻では表紙になったキャラがメインヒロイン級の扱いをされる事が多かったわけだから、今巻も奈々が表紙になった時点でそういう展開は期待していた。けど、これまでのヒロインとは少し異なるアプローチが取られた印象
心葉って過去があまりに壮絶だから、その壮絶さに負けないとか寄り添ってくれるとか、つまりは心葉を包み込む事で彼から好かれ、彼を好くようになる構図が見られたのだけど、奈々はそういった要素には当て嵌まらないね
奈々っていわば重さが無いんだよね。心葉に人生を捧げたLunaやエリフ、異なる世界で心葉と家族となったレアやニャオ・リンは人生が心葉と結び付く要素を持つ。けど、奈々はそこまでの覚悟は無いし、向ける気もない。ただ、好きになっても良いかな?な好印象を持つ心葉に対して普通の手順で好き合う関係になろうとしている
それはいわば普通のラブコメだよね。思えば、二人の始まりは奈々の入浴を心葉が覗いてしまったなんて普通のラブコメみたいなものだったし、今巻も『らぶらぶちゅっちゅ作戦』がバレて、擦れ違って、傷付けたくなくて衝突するという普通のラブコメみたいな展開
勿論、その中には自分の全てを心葉に明かす覚悟を奈々が見せるシーンなんてのも在るけれど、彼女は等身大に心葉へ寄り添おうとしている。そうした等身大さは壮大な物語がなくても心葉を好く人はいるかも知れないという証明でもあって
「君に幸せにしてもらわなくていいから。勝手になるもん、そんなん」という台詞は人と好き合う状態を重々しく捉えていた心葉の心を軽くするものだったんじゃなかろうか
始まった戦争は壮絶の一言。相手方が仕掛けを終えたフィールドで戦うようなものだからどうしたって不利は承知と成らざるを得ない。恋兎だけでなくサンタ・クロースすら容赦なく劣勢となる状態なら決死の潜入すら無に帰しかねない
それでも戦い続ける彼女らの覚悟が良いね。勝つと信じているから戦うのではなく、勝つと信じる人が居るから戦い続ける。それはサンタ・クロースの魔法に通じる概念だ
勝利の委託を信じての戦い。アメリアは人類から幸福の願いを委託されたから全てを同一化しようとして、心葉は仲間達からアメリアを倒してくれると信じられたから一番大事な役目を託されて
だからこそ、託された二人には共通項が浮かび上がってくるわけだ。『a Session』って最高の相棒と心がシンクロした際に出来る奇跡と思っていたんだけど、同じ志しを持つなら敵とでも共奏できるのか
その共奏は同じになる、というより主体をどちらが取るかの決闘。けど、アメリアほど強くはない心葉の限界もアメリアほど大きくはなくて。あれだけ食べた、あれだけ自分を喪った。それでもアメリアには届かなかった。それはどれだけ多くを救いたいかの差だろうか……
だと言うのに、あれだけの怪物となってもアメリアは結局全てを救うなんて出来やしないという限界にぶつかってしまったのは果たして哀しいと表現して良いのか悪いのか…
全てを救えず誰にも救って貰えなかった哀れな少女は最後の最後、サンタの魔法に包まれて逝った。それは彼女とてサンタ・クロースの奇跡を信じる幼い少女だったという証であり、純粋に彼女が皆の幸福を願っていた証とも言えるのかな…
何か大層な事が起きたけれど、結局何も起きていなかったよう元通りになった今回の騒動。渦中にて気になる要素があるとしたら、やはり恋兎が心葉にどのような感情を向けているかという点だろうか?
奈々と心葉の睦み事を目撃して逃げ去り、全てがアメリアになった世界で心葉と交際し。思えば『残響の残骸』では心葉が恋兎に惹かれ告白するなんて展開もあった
それを思えば、恋兎の中で芽生えつつ在る感情は割と実を結びそうな気もするけれど、逆に通常時だと一切心葉への感情を認めようとしない理由が気になってくるかも
今の段階だと心葉に好きになって貰おうと努力する奈々の方が大きくリードしているのかな?
現時点ではあまり心葉のタイプに引っ掛かっている感じはしないけれど、心葉と好き合えるよう努力する様は純粋に好感を持てる
但し、ダナエが言うように、裏で策略的に恋模様を考えている奈々こそ最も彼女の魅力が詰まっている気もするけどね。ただ、こういった面を心葉に見せるのは当分先だろうなぁ
今はまだ、デートの為に10時間フライトを実行できる行動力と淡い恋心の行く先を見守りたいと思いますよ
そういや、心葉がアメリア支配下のアメリカに潜入するとなった時、Lunaが一切抗議しないというか「自分も付いてく!」と言わなかったのは意外だし、なんなら秘密裏に同行しているんじゃないかと思っていたけど、全くそんな事無かったね
一応帰還後の会話にはある程度の湿度が見られるけど、その程度とも言えるし
やはりLunaが手に入れた銃痕の能力が関係し、彼女を安定化させたと言うべきなんだろうなぁ……。今回のLunaは重い行動は取ってないけど、それが逆に重さを感じさせてくれますよ…
ラスト、驚きの人物が物語に絡みだすと知れると共に、“クゥ”と呼ばれた人物のフルネームが明かされる事で更なる疑問が沸き起こって、本作の奥深さを思い知らされた気になりますよ
早く続きが読みたくなるね -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回もシリーズらしい壮大なスケールと濃密な設定を存分に楽しめた一冊だった。冒頭から「アメリカ合衆国陥落」という衝撃的な展開で一気に物語へ引き込まれ、「今回はどこまで話が広がるんだ」とワクワクが止まらない。世界が激変する中で描かれる戦いや駆け引きは、終始緊張感に満ちていてページをめくる手が止まらなかった。
特に印象的だったのは敵勢力の描き方。単なる悪役ではなく、それぞれに譲れない思想や正義があり、「もし立場が違えばこちらを応援していたかもしれない」と思わせる厚みがある。だからこそ対立に重みが生まれ、ただの勧善懲悪では終わらない面白さがあった。
そして毎巻楽しみにしているヒロインも期待以上の魅力。物語のシリアスさの中でしっかり存在感を放ち、キャラクター同士の掛け合いも心地よい。スケールの大きな世界観と魅力的なキャラクターが高いレベルで両立した、シリーズファンなら大満足の一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズが積み重ねてきた「日常と終末の境界」を、これまで以上に静かで、しかし確かな重みをもって描き切った一冊だと感じられる。
派手な展開や過剰な説明に頼ることなく、登場人物たちの選択や沈黙、そして揺れる感情そのものが物語を前へ押し出していく構成は、シリーズ中でもとりわけ成熟した印象を受ける。
本作では、何気ない日常の描写が丁寧に積み重ねられる一方で、その背後に常に「終末」という避けがたい現実が影を落としている。その対比が鮮やかであるがゆえに、登場人物たちが守ろうとするものの尊さが、読者の胸に静かに沁み込んでくる。
とりわけ主人公の内面描写は深く、迷い、立ち止まり、それでもなお選び取る覚悟が、言葉少なに描かれることで一層の説得力を持って迫ってくる。
また、シリーズを通して築かれてきた世界観は本巻でさらに厚みを増し、「終末停滞」という概念そのものが、単なる設定ではなく、人間の生き方や時間の在り方を問い返す装置として機能している点が印象的だ。SF的な要素と感情のドラマが無理なく融合し、物語に独特の静謐さと緊張感を与えている。
大きな声で語られる物語ではない。
しかしだからこそ、読み終えたあとに残る余韻は深く、確かだ。
世界が終わるかもしれない状況の中で、それでも「今」を生きることの意味を問い続ける本作は、シリーズの一里塚として、そして一つの物語として、強い完成度を誇る一冊である。 -
購入済み
何度も意味不明に感じそうになるけど、ギリギリ着いていけるのは文章構成力の力なのか?
その上で、疾走感も桁違いだけど、続刊があるとして果して付いていけるのか… -
Posted by ブクログ
ネタバレ光速の1298乗の速度で宇宙を回遊しながら破壊する、最強最悪の「終末」が刻一刻と迫ってくる。終末停滞委員会は仇敵である黒の魔王と手を組み、東京防衛の総力戦に挑む。生徒会長エリフと行動することになった心葉は奇しくも故郷である日本へ。そして幼馴染の記憶。そこで別次元からの猛攻を食い止める。今回も内容盛り盛りで楽しかった!特に百鬼夜行は胸熱で、私にグサグサ刺さりまくりでしたw。今までSFにはあまり触れてこなかったから想像が及ばない場面も多々あったけど、キャラが活き活きとして面白かった。このシリーズ、会話のカッコ内で「くす。」って笑うのがちょっと違和感がある。
-
ネタバレ 購入済み
う~ん、面白いんだけど、ヴィジュアルの判らないキャラがかなり多いからなのか、設定は裏で細かくあるんだろうけど理解が小難しいからなのか、なかなか読書速度を上げられない作品でした。
アニメ化されたらきっと観る事になるのだろうが…。
第3巻が既に刊行されているので、取敢えずそこまでは読んでみようかと考えてますが、果して感想がどう変わるのか…。
本作の主人公、言万心葉だった筈ですが、恋兎ひかりの圧倒感にそれ以前の内容を塗りつぶされてしまったような…、結末を知り全てのキャラのヴィジュアルが判明した上で改めて読んでみたいが -
Posted by ブクログ
第1巻でメインヒロインと結ばれ、これ以上無いヒロインが出来上がってしまうとその後の物語で主人公が他の女の子とお近付きになる展開は微妙に難しかったりするのだけど、Lunaは心葉の唯一無二だし結構重いタイプでありながらこの巻ではあまり出しゃばっていないね
というより、彼女は心葉が学園生活を心の底から楽しみたいと願っていると知っているから、自分の存在によって彼の学園ライフが崩れる事を望んでいないというか
そもそも、1巻が終末に近づく世界と心葉が向き合い、掛け替えのない相棒と出会うまでの物語だとすれば、続く2巻は学校生活に彼が馴染む物語だったと言えるのかな
だからか心葉はクラスに配されてすぐに友人が出来るし、反発が有った委員長とも和解のきっかけが生まれる
それは転校先での生活と考えるとチョロいものかもしれないけど、これまでの人生が辛く苦しいものだった彼にとってはこれくらいの方がバランスが取れていると思えるね
また、それとは別方面で彼の人間関係も進展してる。というかエリフが驚きの告白をしてみせたというか⋯⋯
彼女は超常的な学園の生徒会長に相応しい威厳と覚悟を持ちながら、1巻では心葉に初心な乙女の側面を見せた。それはギャップのある表情だったけど、それを深堀りする情報が明かされるとは思わなかったよ⋯
この作品って底知れない人物がそこかしこに跋扈しているけれど、彼女もその例に漏れないタイプだったようで
この巻におけるメインイベント『天空競技祭』は名称の通り、天上人に拠る規格外のイベントに思えたね。まあ、心葉達以外が何をしていたかがあまり描かれなかったのがちょい物足りなかったけども⋯
ただ、その分だけ恋兎チームの活躍は素晴らしいまでに描かれていたけど
一対一によるCorporationsとの決闘は迫力あるものばかり。メフも小柴も頑張ったし、ウーは超常者の在り方とは何なのかを示してみせた
対峙したCorporationsの能力者も魅力的な人物ばかり
それだけに人々を魅了する力とは別種の能力を発現させた心葉の変容にどのような反応が正しいか判らない⋯
1巻終盤で結実した心葉とLunaのコンボ技は正しく少年漫画的な熱さが有った。これぞ、独りでは満足に戦えない同士が互いを補う事で生み出す最高の在り方に思えた
けれど、心葉の銃痕はあまりにおぞましい。これを主人公の在り方と言って良いのかすら迷う
そりゃコピー能力者なら古今東西居るけども、自分という存在を喪失させてまで相手に成り変わるなんて尋常じゃない。そんな在り方を認めて良い筈がない
でも、それが主人公であるならば私達読者は否が応でもそれと向き合っていかなければいけないわけだ⋯
そしてもう一つの異常さを見せつけたのが恋兎だね
彼女は1巻時点で誰よりも秀でた強さと形容されていたし、その実力の片鱗は描かれていた。ただ、他に魔王なる存在が居た為に恋兎を異常な存在とまでは思わなかった
けれど、ケイトリンが必死の策を以て用意した舞台をたった独りで切り抜けてしまうなんて本当に予想外でしたよ⋯。本人的にもキツそうだったから途中で誰かの助けが入るものかと⋯
でも、彼女は勝ってしまった。必死の舞台を特にこれといった信念も無しに生き残ってしまった
彼女が最後に示した異常性。能力使用状態でRANK1なら、全てを解放した恋兎は終末が近づく世界にとって敵となるのか味方となるのか⋯
気になるのは各実力者達が抱く渇望か⋯
終盤に判り易く示されたアメリアを始めとし、本作において他より秀でた実力を持つ者達はその渇望も狂ったように飛び抜けている
ウーも恋兎もエリフも気安く触れたら地獄を見てしまいそうな想いをその身に抱いている
だとしたら、化け物になるかもしれない渇望を抱き、魔王に魅せられ魔王を魅了する心葉はこれからどのような終末を世界に示す事になるのだろうね⋯
そして、その時に彼の傍らにLunaは居るのか、誰よりも強い恋兎はどうするのか
物語が何処へ向かっているのか気になってくる2巻でしたよ