【感想・ネタバレ】こちら、終末停滞委員会。3のレビュー

あらすじ

光速の1298乗の速度で宇宙を轢き潰す、最強最悪の“終末”がやってくる。終末停滞委員会は仇敵・黒の魔王と手を組み、東京防衛の総力戦に挑む――!
生徒会長・エリフと行動する事になった心葉は、奇しくも日本へ。彼の胸に去来したのは、とある幼馴染の記憶で……?
――絶望に中指立てる少年少女の、史上最大の戦いが今、始まる!

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Posted by ブクログ

世のファンタジー作品には世界を滅ぼす大敵が登場するなんて珍しい展開ではないけれど、今作で登場した『星のくじら』ほどヤバい奴はあまりお目に掛かれないかも…。光速の1298乗の速度で次元を破壊する終末とか何……


基本設定として本作は緩やかに滅びへと向かっているのだけど、この巻で登場した終末は明確すぎる程の滅びだね。そもそも、『星のくじら』の存在を知らせてきた少女からして、地獄を呼び込む終末を持っていた。自分により悲劇が巻き起こり殺されると判っていたのに知らせに来たわけだし
緩やかな滅びやいずれ来る滅亡を少しでも遅らせる事を目的に終末停滞委員会は活動している。そう考えると、『星のくじら』という絶望的な滅亡に対して諦めるなんて選択は存在せず、全生命を掛けて抗うという話になってくるのだろうね

面白い、というかそう展開するのかと驚かされたのは『死霊次元』からの攻撃が最も激しい日本政府や黒の魔王と協力する事になった点か
特にラスボス候補にも思える黒の魔王と協力体制を築けた点は難敵とぶつかる上では何よりも頼り甲斐が有る。ただ、裏を返せばそうした存在と協力しなければどうしようもなかった相手とも言えるんだけど

ここで印象的とも言える点は『死霊次元』の側とて余裕がある訳では無い点だろうね
彼らとて『星のくじら』による滅亡に直面している。それを知っているから、自分達の次元を生き永らえさせる為に他次元に侵略している
後に明かされるけど、彼らの次元とて緩やかな滅びを迎えている。それでもささやかな祝福を何とかして守る為に大勢の他者を犠牲にするのも仕方ないとなってしまうのが哀しい
また、そのような目的で行動し始めたのに最後の手段として守るべき祝福を犠牲にしてまで侵略しなければならなかった彼らの行為からは滅亡を前にすれば手段なんて選んでいられないのだと教えてくれるね

ならば『死霊次元』に対抗する心葉達も手段を選んでいられない
以前に対立した者達も、所属が全く異なる者達も遮二無二死力を尽くす。誰もが余裕など持てないし、誰もが諦めるなんて許されない。その様は壮絶と表現する他無い
また、そこに人間以外の者達も参戦するのは総力戦の印象を強めているね。日本古来の異常現象または終末と呼べる百鬼夜行が日本を守る為に戦うなんて興奮させられる
けど、鬼やら天狗やらより恐ろしい終末が跋扈する本作の世界観において、彼らが無力な存在とされてしまうのは寂しいけれど納得できる話で。だとしても、既に滅びを迎えた妖怪達が自分達を残す為に滅びゆく世界で戦う姿は美しく思えたよ…


終末停滞委員会も人間達も百鬼夜行も総力戦で滅びに挑んでいる。それでも抵抗が結実するまでに多くの犠牲が出るのは避けられない。だからって『死霊次元』のトップに接触した上で『星のくじら』討伐を提案するなんて予想外だったけど
あまりに常識から外れた存在過ぎるから倒せるなんて全く想像していなかったけど、確かに恋兎なら無理を通せる可能性があるのか

そのように、『桜次元』全ての命運は恋兎に託すしか無いと思わせられていたからこそ、あの入れ替わりには本当に仰天させられたよ……。そうか、心葉のあの能力って叙述トリックに適してるんだ…と妙な納得をしてから、事態の深刻さと云うか悲惨さに思い当たる程の驚愕…
でも、不思議とこの展開は納得してしまうんだよね。恋兎は誰にも出来ない偉業を成し遂げられるかもしれないが確実に犠牲になる。そのような悲しい別れを心葉が許容する筈がなく
恋兎が居ないと気付いた瞬間に彼の心から迷いは無くなったのだろうなと思えるから

そうして心葉がギリギリの綱渡りをしているのだと判明すると、誰も彼もが同じように命尽きる寸前で戦っている事も見えてくる
でも、そんなの迫りくる滅亡を少しでも遅らせる為に戦う終末停滞委員会にとって当たり前の風景で。『死霊次元』や『星のくじら』という勝利の目が無さそうな相手を前に一歩も引かず己の限界を削り出すようにして抗い続ける戦士たちの様子には感極まる思いでしたよ……

いわば誰も彼もが同じ立場、同じ境遇に居る
だからこそ皆が挫けそうになったその瞬間に皆を元気づける歌声を世界中に届かせたmALEEaの絶唱に、そして笑顔を受け取った皆が最奥の力を振り絞って不可能をぶち破る展開はもはや何事にも代え難い尊い光景であるように思えたよ…


第1巻で登場した時点から「もしかして…?」と思わせていた髑髏仮面だけど、やはり正体は彼でしたか…。まあ、正確には本人ではないようだけど
近似次元からやってきたと云う彼。こちらの心葉のように蒼の学園ではなくカウス・インスティトゥートに属していた感じなんだろうか?それならば蒼の学園を恨むのも少し判るような気がするけど、所詮それは別次元の話。髑髏仮面がわざわ『桜次元』にやってきて恋兎を始めとする蒼の学園の邪魔をする理由って無い気がするんだけどな…

それとも心葉という存在はあらゆる次元を滅ぼしてしまう存在にでも成るとでもいうのだろうか?


心葉は助からない筈の状況で助かった、助けてくれた大切な人を忘却の彼方に置き去りにして
奇跡は偶然起こったのではなく、修羅に堕ちる覚悟を以て成立した。ならば助けられた心葉も同じように修羅道を進んで大切な女の子を取り戻さなくてはならない
この覚悟がもしかして近似次元の彼が警戒する心葉の危険性へと繋がっていくのかな……?
いやはや、何をどう考えてもとんでもない展開になってきましたよ

てか、心葉を愛する女の子達の想いは重いね、激重だね

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2025年01月21日

ネタバレ 購入済み

今巻も描かれるべき事項を削ぎ落としつつ、主要登場人物の関係性やら終末との向き合い方やら色々と詰め込まれていて、レビューを書こうにも言葉が溢れてしまって綴りきれない…。
エリフ生徒会長と寺で一緒だったみっちょんが同一人物で、それが故に言万心葉の銃痕は消滅し、エリフの存在も消滅したかと思いきや、ラファエル・ガルシアの下に記憶を失い現れるとは…。

途中まで綺麗に完結かと想い読み進めたが、髑髏の仮面の男と合わせて続編があるのだろうか…?
それにしても、ヴィジュアルの判らないキャラが多過ぎで…、、、

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

光速の1298乗の速度で宇宙を回遊しながら破壊する、最強最悪の「終末」が刻一刻と迫ってくる。終末停滞委員会は仇敵である黒の魔王と手を組み、東京防衛の総力戦に挑む。生徒会長エリフと行動することになった心葉は奇しくも故郷である日本へ。そして幼馴染の記憶。そこで別次元からの猛攻を食い止める。今回も内容盛り盛りで楽しかった!特に百鬼夜行は胸熱で、私にグサグサ刺さりまくりでしたw。今までSFにはあまり触れてこなかったから想像が及ばない場面も多々あったけど、キャラが活き活きとして面白かった。このシリーズ、会話のカッコ内で「くす。」って笑うのがちょっと違和感がある。

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2025年02月07日

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