深井龍之介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ元はpodcastの番組で、書籍化したのがこちらの本とのこと。
リベラルアーツとは何か、なぜ今の時代に必要かを説くところから始まり、
新たな視点や思考法を手に入れるため、物理学から始まり、宗教などあまり馴染みのない学問も含め、様々な学問での考え方を専門家との対談の中で紹介していく形式になっている。
どの学問もわかりやすく語られていて面白かったが、個人的には特に文化人類学と教育学の章が興味深かった。
この本だけで教養が身につくわけではないが、こういう考え方、捉え方もあるのだと、視野を広げるきっかけになると思う。読み物として面白かった。 -
Posted by ブクログ
物理学、文化人類学、仏教学、歴史学、宗教学、教育学、脳科学。それぞれの専門家との対話を通じて、同じ世界であっても、立つ場所によってまったく違って見えることが平易な言葉で語られていく。対話形式であるため、専門的なテーマでありながら読み進めやすい点もこの本の良さだと思う。
正しい視点を一つ身につけることではなく、自分の視点も数あるうちの一つにすぎないと気づかされる。
物理学は物事を原理から捉え、文化人類学は自分たちの常識を異文化との比較から相対化する。歴史学は過去を異文化として想像し、仏教は自分の認識や執着そのものを疑う。さらに脳科学の視点に立てば、私たちが見ている世界さえ、脳による推論の結果にすぎない。
各章の内容は異なるが、通底しているのは「自分が見ている世界を、そのまま世界そのものだと思わない」という態度なのだと思う。
仕事に置き換えても示唆は多い。組織の常識、業界の慣習、評価制度、成功の定義。普段は前提として疑わないものも、別の視点から見れば、特定の時代や文化の中で成立している一つの仕組みにすぎない。視点が増えることで、相手の言動を個人の性格だけに帰属させず、背景にある構造や文化から捉える余地も生まれる。
自分の答えをいつでも疑い、必要に応じて更新できること。変化が激しく、多様な価値観を持つ人と共に生きる時代において、その柔らかさこそが教養なのだと感じた。
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▼個人的に印象深かった点(感想)の候補
・教養とは、知識の量ではなく「物事をどこから見るか」という視点。
└正しい答えを一つ覚えるのではなく、歴史ならどう見えるか、人類学なら、科学なら、と視点を切り替えられること。それ自体が変化への強さになる。
・視点が増えると人生のオプションが増える。
└一つの価値観しか持っていなければ、その世界でうまくいかなくなった瞬間に行き詰まる。別の見方ができれば、「合わない自分」ではなく「合う場所が別にある」と考えることもできる。
・定期的に「思考OS」をアップデートする。
└社会の価値観も常識も変わる。今の自分が先進的だからといって、5年後、10年後もそうとは限らない。これは結構怖い。
・学者にとって、分からないことこそ面白い。
└分かることではなく、分からないことに興奮する。仕事でも「正解を知っていること」より、「まだ解けていない問いを見つけられること」の価値は大きいのかもしれない。
・圧倒的な知識と経験を積み重ねた先に「直感」が残る。
└直感はロジックの反対ではない。大量のデータや経験が身体化された結果として出てくるもの。経験を積むことの意味を少し違って捉えられた。
・「理解する」の意味は、学問によって違う。数学は分類、物理学は予測、工学は実装。
└仕事でも「理解しました」と簡単に言うけれど、分類できただけなのか、先を予測できるのか、実際に再現できるのか。この違いは結構大きい。
・自分たちがAであるなら、not Aを知らなければAそのものも理解できない。
└自分や自社の「普通」を理解するには、その外側を見る必要がある。比較対象を持たずに自己理解することは、案外難しい。
・文化人類学は、当事者でありながら観察者でもある。
└組織の中にどっぷり入りながら、「この集団では何が評価されるのか」「なぜこの行動が当たり前なのか」と一歩引いて眺める。この姿勢は仕事でもかなり使えると思う。
・人の言っていることだけをデータとして信じない。
└インタビューだけではなく、実際に何をしているかまで観察する。
・地位も評価も会社もお金も、永遠に自分のものではない。
・短期の一回勝負では裏切ることが合理的でも、無限ゲームでは協力する方が合理的になる。
・世界を客観的に見ているつもりでも、脳は外界をそのまま見ているわけではない。世界を推論している。
└同じものを見ているから同じ世界を共有している、という前提自体が少し怪しい。視点の違いは思想以前に、認知のレベルからある。 -
Posted by ブクログ
・AI登場後の知的生産上の差別化の源泉は、「1.アジェンダの設定」「2.仮説の構築」。正解を出すよりも、問いの質の差になる。
・現在の世界は「正しさ」そのものが断片化している。様々な「正しさ」が存在し、普遍的な規範を存在しなくなってきている。
・「問を立てる力」「前提を疑う力」は、経営課題の整理に直結する。ビジネスパーソンには「複数の視点を獲得することが重要であり、それこそが人文知(リベラルアーツ)である。
・産業では過剰供給されると何がおこるかというと、ボトルネックが隣の工程に移動する。いま過剰供給されているのはAIの能力。
・いまボトルネックとなっているのは、「おもしろい問を立てる能力」「出した解を実行する能力」。「正解を出せる人」を相変わらず求めているが、それはもはやボトルネックではない。
・ホモサピエンスは、基本的に儀式をしないと集団での合意形成ができない。そのコンセンサスを得るために、ものすごいコストを人類はかけてきた。昔は占い儀式であり、今はコンサルフィー。それができる人が、その社会で最も高い報酬を得ている。 -
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山口周さんと深井龍之介さんの対談本。なのでもし音声で聞けるならそれが一番読み(聴き)やすいように思う。2人の声と顔を思い浮かべながら読んだ。
歴史って過去のことだから、それを学ぶのはどれほど大事なことなのか、学生時代はまるで理解してなかったし、大人になった今も取り立てて歴史についての知識を深められていない自分を恥じた。歴史を知ることで、未来の予測ができる。深井龍之介さんはすごいと思う。
リベラルアーツを学ぶことの大切さも改めて知ることができて、良かった。アメリカの大学では最初の2年くらいはリベラルアーツをみっちり勉強することが多い理由につながった。 -
Posted by ブクログ
「理系こそが正義」と思い込んでいた自分が、なぜ今ビジネスの現場で文系知の価値を確信しているのか。
ソフトウェア開発の最前線でAIと向き合う中で見えてきた、「人文知という名の無意識の筋トレ」の必然性を言語化してくれた一冊。
昔は「理系でなければキャリアに役立たない」と考え、生まれ変わるなら、あるいは自分の子どもには理系に進んでほしいとすら思っていた。
しかし、法学や経営学といった文系分野を学び、ソフトウェア開発・販売企業でビジネス職(POなど)を務める今、強く感じることがある。
それは、「開発職をはじめとする理系人材だけでは、進むべき方向性を描き、意思決定を下すことはできない」ということだ。
本書は、その違和感に対するひとつの明確な答えを提示してくれた。
正解や常識が絶えず揺らぎ、無数に分岐する現代において、画一的な基準や規範だけで物事を判断することはできないし、すべきでもない。
コンテキストや関係性、関係者の意思を汲み取ったとしても、絶対の正解など存在しない。
だからこそ最後は、「好き」「やりたい」「こうあるべきだ」という個人の主観や美意識が判断の軸になる。
最近は業務でAIと対話する機会が増えたが、AIに対して「正誤」を指摘することはほとんどない。
むしろ「なんとなく違和感がある」「美しくない」「別の視点から捉えるとこうではないか」といった指摘が大半を占める。
これは正解を知っているからではなく、これまで思考し蓄積してきた文脈を、無意識のうちに総動員して判断しているからだ。
哲学や歴史を学ぶ意義は、まさにこの「無意識の筋トレ」にある。
直線的にすぐ目に見える成果へ結びつくわけではなく、じっくりと時間がかかる。
だが、だからこそ長期的なリソースを投下する価値があるのだという本書の主張に、深く膝を打った。
新書らしい手軽さがあり、ポッドキャストや動画でも触れられるトピックという側面はあるものの、日々の実務実感と知見がクリアに結びつく本だった。
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ネタバレすべての出来事は過去に起きている。
古典ラジオファンとしてはいつも深井さんが言っていることだなと思った。何度も聞いている話なので、すんなりと腹落ちしたように思う。
山口さんの本は知ってるけどちゃんと読んでないので読んでみたいと思った。実際、ビジネスマンのトップの人の話だろうと思ってあまり手に取ろうとは思ってなかった。
今回の本で、トップでもビジネスマンでもない自分にも少しできることはありそうだと思えた。例えば、歴史の価値を伝えること。歴史の面白さを教えること。学ぶことは、解ること。解るとはいうことは、自分が変わるということ。自分が変わるということは、自分の行いに対して、一歩引いてメタ認知すること。教科書読んで、わかった気になるだけではダメで、やはり自分と違う価値観の人と繋がって、ぶつかって、振り返ってしないとな。
自分は問いはあるけど、考えが薄い。そしてそれをうまく人に伝えることはできていない。それをまずは、自分の中ではっきりさせ、誰かに伝えることをもっとやりたいなと思った。
最後に、ふとおもったのは、このままだと負ける。いや、勝てるみたいな話は、ビジネスにおいて大切なのは解るが、勝つ負けるってなんなんだろう?勝たなきゃいけないんだっけ?と問いができた。 -
Posted by ブクログ
繰り返しが多くて途中から少し退屈した。
理系が大事!と言われる時代に哲学とか社会学、外国語や比較文化の分野が好きな自分としてはちょっと嬉しく感じた。人文知が土台となって意思決定などに役に立つのはわかるけど、終わりがない、はっきりとした答えがない学問だと思う。学ぶにはかなりの時間と労力がかかるし自分がわかるようになる自信はない。まず一歩踏み出すなら、色んな宗教についてもう少し学んで他国の文化のベースとなる考えを学んでみたいなと思った。
日本人は柔軟で曖昧も許せて、なんだかんだフットワーク軽い、言外の意志を読む、新しいものに適応していける、他国のものを取り入れて改造する、というのが他の国の人とは異質で興味深いと思っていた。この本を読んで、それを強みととらえて他国の真似ではなくもっと活かしていければいい、という視点が得られたのは良かった。
読書メモ
自分とは全く異なる価値観や信仰を持つ人たちがどういうロジックでその判断に至っているのかを理解する。
人間はどうしても自分の人生経験から考えてしまいがち。歴史を勉強したり本を読んで空間的にも時間的にも幅広く知ることで相対的に自分が所属する社会について知ることができる。
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Posted by ブクログ
人文知とは、哲学・歴史・文学・宗教・芸術など学問から得られる知識と思考様式の総称である。人文知は、世界の切り取り方、つまり解釈の幅を広げるために必要。人はなぜ、そのように感じ、行動するのかを描く想像力を与えてくれる。AIにより正解が導き出され、政治によって簡単に正解の判断が揺らぐ時代に必要不可欠。面白い問いを立てる能力も、現在地を把握しつつ実行していくことも人文知が役立つ。
リーダーには、古今東西、時代を通じて成功する共通項があり、「それは正確な現状認識」ができているという点である。外部環境の変化を見抜いたり、内部のステークホルダーの感情を理解したり、組織メンバーの戦略への理解度などの現状認識を把握できるのは、人文知の結集である。
自分が愚かであり、何もわかっていないことを自覚し続けて、認知をアップデートし続ける。この態度がなければ人文的にはなれない。そして、それに必要なのは元ライフネットの出口さんのいうように人・本・旅がそれを磨く。山口氏によれば、本を読むだけでも充分である。
自分の人生経験以外から考えられる思考の幅を持つことで、空間軸を広くとったり、時間軸を長くとったりできるようになる。例えば時間軸を長く取ればアメリカが覇権国であるのは、歴史上のある瞬間たまたま起こっていることだと理解できる。人間には直近の出来事や情報に影響されて、評価が歪む「直近評価バイアス」がある。
人文知を自分の人生に活かすのために必要なのは、認めたくない意見や考えに対して、どれだけ自分を開かれた状態にして、新しい発見を取り込んでいけるか。
これからの企業価値は、「こういう活動をしていることを我々はこのように解釈して、こういうふうに意義付けしています、」と説明できるかどうかに寄る。それは3年~5年のような時間軸ではなく50年~100年軸で考えることで、構想が大きくなり、採用を促進し、価値を高める。