久しぶりに実用書として手元に置いておきたい本に出合えました。
ここまで深く認知症の人のことを考えたことはなかったので、頭をガーンと殴られたような感覚でした。
認知症にも種類があり、また、同じ種類であっても人によって出現の仕方、行動パターンも違い、10人いたら10通りの認知症があるとは知っていました
...続きを読むが、当人たちの孤独、不安がとても伝わってくるようでした。
私たちは、一般的に、認知症の症状を目にしても「困った行動だ」「何度も言ってるのに」という自分目線で見てしまいがちになりますが、反対に当人にとっては、どのような状況に置かれてそのような行動をとっているのか、ということが例を挙げながら詳しく解説されており、読めば読むほど、症状を抱えた人たちの気持ちに成り代わって自分の身を置いてみると、「こんな行動とっても仕方ない」「自分でもそうなるかも」と、相手目線に立つことができました。
私たちが良かれと思ってやっていることも、実は混乱を引き起こす可能性があること、認知症があるためにあらゆる機能低下を引き起こしていると思うのは間違いで、関わり方によって、使っていなかった能力を引き出すことができるということも分かりました。
周囲に認知症の人がいて、関わる必要のある人には是非一読していただきたい1冊です。
私も、もしいつか家族が認知症になったら、読むよう勧めるため、そして自らが認知症になったら私にかかわる人たちにこの本に気づいて読んでもらえると嬉しいかな、と手元に置こうと思いました。
何より必要とするのは、コミュニケーション。
たとえ簡単な内容でも、会話をする、相手の話を聞くというのは、楽しく生き、心を許せる人が周りにいる、という安心感を与えることができるのですね。