新書なのにマンガ!?
そしてたった2年で13刷!!?
さらに認知症というテーマに惹かれて手に取った。
結論。一家に一冊、絶対あるべき…!!!
本書は認知症について、認知症の人はなんでこんなことをするの?それに対して周りはどう対処すればいいの?…などといった疑問や認知症のメカニズムについて分かりやす
...続きを読むくまとめられた一冊。
しかもマンガを担当しているニコ・ニコルソンさん(通称ニコルさん)と認知症研究者であり本書の解説パートを執筆されている佐藤先生は2人とも認知症の方の介護経験者。
マンガパートでは、ニコルさん・主な介護者である母ルさん、介護される側で認知症の婆ルさんの日常生活に佐藤先生が訪問して、婆ルさんがなぜ奇妙な行動を取るのか、どのようなことを考えて感じているかを解説するという形になっています。
認知症介護者にはあるある!なエピソードばかりです。
なんせマンガの中でニコルさんたちが
「介護をしている時に知りたかった!!!」
と叫ぶような、有意義なお話ばかりなのです…
今まさに介護をされている方には、共感必死の一冊と思われます。
私の周りにはまだ認知症の方がいたことごありませんが、それでも今後どうなるかも分からない。
親がなるかもしれないし、自分がなるかもしれない。
だからものすごく勉強になりました。
何より分かりやすい!!!
忙しい人にはマンガパートだけでも読むのをオススメします。それだけでもたくさんのことが分かる。
もちろん佐藤先生の解説文も合わせて全部読むのがベストですが。
そしてこの本のいいところが、介護する側・される側の両方に寄り添って描かれているところです。
どちらの気持ちも、マンガという媒体を通して、心に迫るほど伝わってきます。
私はどちらの気持ちにも泣きそうになりました…
でもあまり暗すぎず良い塩梅で描かれています。
介護する側・される側、両方の人権を守ろうという意識で書かれているのも素晴らしいです。
そして私は、佐藤先生の人生は「なんでやねん!」の連続。という言葉に励まされました。
そう、人生って、認知症に関わらずなんでやねん!の連続なんですよね。
だから、大変なことやつらいことがあっても、なんでやねん!と自分にツッコミを入れながら、周りの人に助けてもらい、笑ってすごすことの大切さを、改めて感じました。
そうは言ってもつらいことばかりでもう大変だよ…!という方ももちろんいるでしょう。
私もよくその波に飲まれます。
でもそういう時こそ一人で頭を抱えずに、お茶でも飲んで一息ついて、パラパラとこの本を読んでほしい。
きっとニコルさんや佐藤先生が、本書を通じて私たちの心に寄り添ってくれますから。
認知症の方の介護に困っている方や、周りにそのような方がいる方々にこそ、ぜひ手に取ってほしい。
ほんとに読む時間なかったら、気になる項目のマンガパート読むだけでもいいですので…!!
そう言いたくなる良書です。
以下備忘録がてら目次を。
備忘録ですが、本書に興味を持たれた方はぜひ目次を見て、この本がどのようなことを教えてくれるのか見てぜひ参考にしてください。
ちなみに、巻末のおすすめの本一欄や、認知症による「行動から探す」のページも索引として活用できて良きです。
序章
認知症ってなんですか?ためしよみ
認知症を心理学的に研究するということ/認知症とはなにか/予備軍も含めれば日本に一〇〇〇万人/認知・認知機能とはなにか/原因疾患と認知機能障害の関係/老化による物忘れと認知症の違い/「おかしいな」と思ったら
第1章
「お金を盗られた」「強盗にあった」と言うのはなぜ?ためしよみ
中核症状と周辺症状/物盗られ妄想の原因/自己防衛としての物盗られ妄想/身近な人を疑う理由/認知症と薬/薬をやめてみる
第2章
同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?
さまざまな記憶の種類/短期記憶と長期記憶――陳述記憶のプロセス/エピソード記憶障害の原因/符号化、貯蔵、検索――記憶のモデル/未来の予定がわからないことの不安/何度でも同じことを聞く理由/なんのための介護か
第3章
何度注意してもお米を大量に炊いてしまうのはなぜ?
陳述記憶と非陳述記憶/手続き的記憶が残る理由/繰り返される行動には、その人のアイデンティティが現われ る/同じものを大量に買ってしまうときは
第4章
突然怒りだすのはどうして?
前頭葉障害で、行動のコントロールが難しく/注意機能が低下し、気が散りやすくなる/前頭側頭型認知症の場合/夕暮れ症候群/偶然見つけたヒント/会話が重要/ときには放っておくことも有効
第5章
高齢者の車の事故はなぜ起きるの?
シニアカーがぶつかってきた/有効視野の低下/自分が今まで何をしていたのかわからない/注意機能の衰え/選択的注意機能と有効視野/一度に二つ以上のことができなくなる/認知症に限らず失敗しやすい「注意の切り替 え」/家族の同乗がかえってよくないこともある/運転が苦手になるのは、認知症の人に限らない
第6章
介護者につきまとうのはどうして?ためしよみ
遂行(実行)機能障害/目標・計画・実行のどこができないのか/できない自分に傷ついている/押し売りに引っかかってしまうのは?/見当識障害という問題/過去と現在と未来をつなげる/実行機能と遂行機能
第7章
家にいるのに 「 帰りたい 」 と言うのはなぜ?
見当識とはなにか/記憶の低下との関係/幼児期の記憶のあり方と似ている/婆ルさんはどこに帰りたいのか
第8章
これってもしかして「 徘徊 」ですか?
目的もなくうろついているわけではない/「徘徊」はなぜ起きるのか/頭の中の地図がつくれなくなる/建物と自分の位置関係がわからなくなる/鏡の不思議/徘徊が出てきたら、どうしたらいいのか/徘徊がおさまるのはいいことか
第9章
排泄を失敗してしまうのはなぜ?
排泄の失敗が増える理由/失敗を認めることは、プライドが許さない/弄便で自宅介護が限界に/なぜ食べられないものを口に入れてしまうのか/本人のプライドを傷つけないために
10章
介護に疲れ果てました 。 どうしたらいいですか?
人間関係はギブ&テイク/「思いどおりにならない」はコントロールのはじまり/「なぜこんなことをするのか?」と考える/心がすれ違うことで、ケアがコントロールに陥る/社会的認知機能の低下と「心の理論」/まずは話を聞くことから/介護を生きがいにしない
番外編
なんでお尻を触るんですかコラー!!
衝動を抑制できない/性欲以外が原因のことも/優しさが逆効果になることも/高齢者の性欲を認める/家族で認知症について話し合える関係に
あとがき
ニコ・ニコルソン 佐藤眞一
おすすめの本
行動から探す