佐藤眞一のレビュー一覧
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読めば、優しくなれる本ではないか。認知症の人に対してだけでなく、すべての人に対して、である。
本書においては、認知症とはどういうものか、認知症の人には世界がどのように見えていて、何が起きているのか?ということから、我々の目には奇異に映ったり、つい突き放してしまう、所謂「問題行動」の背景や、その行動に至る心の内、どのように接したら良いか?を解説する。
読み通して、認知症とは、とにかく、孤独に追い込まれてしまいがちな、怖く、また、気の毒な病気なのだなと感じた。自分だけが違う世界に放り込まれてしまったような怖さである。
特効薬もない現状では、本書のように、介護者や周りの人たちが認知症を理解し、相手 -
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ネタバレ2022.6
4章の認知症の人の苦しみを知るは、何度も読み返したい。
以下は抜粋したもの。
脳機能が上がることで、認知機能の低下をある程度防げるが、計算ドリル等に認められる効果は「認知機能の低下予防」であって、「認知症予防」ではない。
また、「意欲障がい」が軽度認知障がいや、アルツハイマー型認知症の初期に典型的に起きる。
…今まで楽しんでやっていたことも上手く出来なくなる苦しみは想像するだけで悲しいな。
認知症の人は、自由が奪われた腹立たしさ、自己決定できないつらさが日常のすべてにわたって起こっている。
介護者はどこまで、認知症の人の身になって、相手の気持ちを和ませながら、何度も同じことを -
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本文より抜粋。
認知症になれば、運転に適さなくなります。しかし、長年運転してきた人にとって、車は単なる移動手段ではありません。社会人になって、初めて買った車。その車に恋人を乗せて行ったドライブ。失意の中、一人車を走らせた夜の道。子どもができて、家族で遠出をしたときのこと。さまざまな思い出が、車には詰まっています。(中略)車を運転できなくなるとは、自由を失うことであり、幸せの象徴を失うことでもある。
老いとは、プライドとの闘いです。老いて弱っていく情けない自分と、人生の荒波を乗り越えて生き抜いてきた誇り高い自分。2つの自分の間で揺れ動き、引き裂かれそうになって、必死に闘っているのです。
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先日、認知症の長谷川スケールで知られる長谷川和夫先生が亡くなられ、大きく報道された。効果的な薬もない認知症は、超高齢社会を突き進む日本の大きな課題となっている。
私は祖父母と同居した経験がなく、高齢となった親も幸いなことに認知症を患っていない。介護者の苦しみは想像するしかないのだが、一方で自分がどこにいるのか、何をしていいのかわからない認知症患者の不安も相当なものだろうと思う。
本書は「介護は知ることで楽になる」をモットーに、物盗られ妄想、暴言、徘徊等、認知症の周辺症状であるBPSDを一つひとつ丁寧に解説していく。佐藤先生の解説もわかりやすくて、いいのだが、本書を他の類書と違うものにしている -
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かわいいマンガと解説で、認知症について知ることができる。認知症のひとの行動には理由があること、周囲の人は認知症のひとの行動が理解できず悩むが、認知症のひと本人も不安であることなど。自分では気づくことができない、知らないことがたくさんあった。性的逸脱についても触れられていて興味深く読んだ。
身近な人が認知症になったら?自分がなったら?と知らずに怖くて避けていたけれど、知ることで少し不安が減ったような気がする。
マンガに登場する婆ルは可愛らしくてほっこりするが、現実はこんなものではないだろう。今後も認知症について知る努力はしていきたいと思う。笑顔で接することからはじめたい。
佐藤先生のあとがきを -
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ここ半年くらいの間で、認知症に関する本をこれで4冊くらいかな、読んだのだけど、この本は漫画で示してその後に解説がある形式なためか、一番読みやすかったかな。もちろんこれまでの蓄積が少しだけどあるから、内容も入りやすかったのだろうけど。
あとがきで、人生にはなんでやねんということが本当に誰にでも起こりうる。認知症にならないために脳トレしていてもなるときはなるし、運動して食生活に気をつけていてもガンになるときはなる。でもそこから学ぶことが大事なんだとあって、今はそうありたいと思うしできるとも思うのだが、さて本当に自分に起きてしまったら、カミさんに起きてしまったらと考えると自信はないな。
親父の認知症 -
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私は高齢者の方が多く住む町で接客業をしていますが、たまに認知症の方が何度も来店し何度も同じことを尋ねてくるので仕事が進まないことがありました。しかし、この本を読んで認知症の人とそうでない人の見る世界が違うことが分かってよかったです。
私たちから見ると何度も来店しているのでイライラしてしまい突き放すような言葉を言ってしまいますが、認知症の方から見れば何度も来店したことも尋ねていることも全て忘れてしまっているので店員にキツイ言葉をかけられていることを理解できず混乱し怒ってしまったのかなと思いました。
私たちができることは認知症の方と店員の間だけで解決するのではなく、地域のサポートセンターなど専門知 -
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認知症、特にアルツハイマー型について、さまざまなケースを紹介するとともに、例えば俳諧とか物取られ妄想などの具合的な症状について、脳のどの部分がどういう風に障害されてそのような行動をとってしまっているのかということを解説しているので、大変勉強になった。認知症の人たちが、認知が障害されてしまったがためにどのような不安を感じているか、物事をどのように受け止めているのかについて解説し、それにどのように対応していけばいいのかのアドバイスもあり、本当に参考になった。
ただ、特に家族が、認知症の人たちの不安を受け止め、寄り添っていくためには、認知症について頭では理解できても感情として受けとめられるかという「 -
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認知症は今までの自分の人生の中にかかわりのない出来事でした。
ただ、いろんなメディアや知人の話等を耳にするといつ、何時自分にも関わりが起こり得る事ではないかと感じ、この本を手に取りました。
正直、こういう症状はこういうところがどうなってるから、こういう風な行動になるのかどうかは、医学的なことなので自分の頭にはあまり入ってこない部分でしたが、例がいくつもあるので、こういった場合は認知症の本人はどう感じてる。周りはきっとこう感じてる。こういう風な言動になることが多い。ということで、イメージがしやすいところがいいですね。
そして、その場合、認知症の方がこういう風に感じてるから、周りの人はこういう風な