田中恵理香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
儀式とは、単なる形式や昔からの習慣ではなく、人がつながり、意味を見いだし、不安や混乱に対処するための仕組みなのだと感じた。
人は儀式を通じて集団との一体感を得て、出来事に区切りをつけ、自分の存在や役割を確かめているのだと思う。一方で、儀式には人を強く結びつける力がある反面、行き過ぎれば、外から入りにくくなったり、異なる意見が出しにくくなったりする危うさもあると感じた。
また、本書を通じて印象に残ったのは、人は意味があるから行動するだけではなく、行動することで意味を生み出している、ということだった。
苦労や労力を伴う儀式ほど価値があると感じやすく、それが幸福感や満足感にもつながる一方で、自己犠牲や同調圧力を正当化する危険もある。
だからこそ、儀式の力をただ肯定するのではなく、その効用と危うさの両方を意識しながら向き合うことが大切だと感じた。人は合理性だけでは生きられず、意味とつながりを必要とする存在であり、そのことを深く考えさせられる一冊だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ儀式には意味がある。キチンとそのことを証明した名著だ…。
個人の観点から見れば、儀式というのは苦痛を支払うのに何も得られない……ように見える。神に祈っても世界は変わらないし、火渡りをしてもお金がもらえるわけでもない。
ただし、社会性の観点から言えば、儀式というのは目に見えない形で得られるものがある。それは共同体として扱われたり、不確実な未来に希望を持たせたり、社会的地位をアピールしたりなどなど…。
特にそれは、(共同体の中で生きるしかなかった)近代以前の文明では必須の要項だった。だからこそ儀式は数千年の歴史の中で生き残ってきたのだ。
現代社会は「なぜ?」を問うことが多くなっており、一部の慣習はそれに答えられずに廃止されていっている。(例えば「なぜ出社しなくてはならないのか」「なぜ男性/女性が〇〇をしなくてはならないのか」など)
それはそれで正しいし良い方向に向かっていると思うけれど、その一方で言語化出来ない/説明できない何かが”穢れ”として払い落とされてしまうこともある。
現代人は「儀式なんて無駄だ」と言うかも知れないが、様々な文化にて見られた”儀式”には(自然淘汰的な観点でも)キチンと意味がある、というわけだな。 -
Posted by ブクログ
著者であるカッツ氏の座談会を拝聴する機会が先日ありましたことから、本書を手にとりました。日本の経済がなぜ近年低迷しているのか、産業の新陳代謝という観点から明解に断じておられます。
シュンペーターの言う「創造的破壊」が、1970年代後半以降の日本の産業で機能せず、急速に発展するガゼルのような米国の企業、アップル、マイクロソフト、近年ではテスラ、などのような企業が日本で出現せず、収益性の低いゾンビ企業が生き残り、雇用の安定を至上命題とする政界と財界の結託から、企業の新陳代謝が進んでいないことに大きな問題あることを著者は指摘します。一例として、2015年時点で日本では1990年以降の25年間に設立された企業はわずか5%であったが、米国では半数近くに上ると言います。
また日本の資本生産性(資本投入による追加的GDP増加額)の低さが、長年の低金利に反映される一方、間接金融が大きなシェアを占める日本で、銀行が担保を重視する与信方針をとるため、起業家が大きな資本を調達することが困難であることから、新興企業が大きく羽ばたく素地が得られていないこと、起業家自身がグローバル視点を持っていないことなどを問題として挙げておられます。
一方、日本が米国のようなモデルを採用することが現実的でないことを踏まえ、筆者は、北欧のフレクシキュリティモデルを提唱しています。これは、1990年代にデンマークで実施された、FlexibilityとSecurityを組み合わせたモデルで、市場経済を重視しつつ、所得安定と平等を図る政策です。
日本に長年住まわれるカッツ氏の、日本経済、そして若い世代への熱い期待を感じさせる本でした。 -
Posted by ブクログ
「儀式」とまで意識していない日常の慣習。会社での朝礼、子どもたちの運動会、結婚式やお葬式など。
そういった儀式の効果について、なんとなく感じていたものを言語化してくれたような本。
それにしても、世界には様々な儀式があるという驚きもあったけれど、
その効果を測るために行われる実験がまたおもしろかった。
儀式の効果
・日常にコントロールできる感覚をもたらす
・ある出来事を特別なものにすることによって、私たちの生活に意味を植え付ける。
・集団としての自己を際立たせ、個人としての自己を抑える
・同じ責任を共有する人たちの間で、フリーライダーが出るのを防止し、協力を促進する
・連帯感の醸成
最近は結婚式もお葬式も、しなかったり簡略化されてたりするけれど、その、目に見えない影響って大きいのかもと思ったり。
以下メモ
儀式のパラドックス
儀式は重要だと断言するが、なぜ重要かとなると、昔から続いているからという以外はよくわからない。儀式には意味がないように思われるが、儀式を行う人にとってはきわめて重要で神聖な経験になっている。
儀式を行うのは人間だけではない
一般的には自然界で儀式を観察すると、高度に知能が発達した動物の間で仰々しく派手に行われていることが分かる。儀式は不明瞭な手段を通じて望む結果を達成できる精神的ツール。だからこそ知能が高い動物が一見して無駄だと思える行動をとる。
人間が定住した理由は儀式への欲求?
農業革命が定住をもたらしたという考え方がある。
一方で、農業が始まる前の時代で大規模な遺跡が発見される。そこから、巨大な建築をするために定住をしたとも考えられる。まず神殿があった、そして都市ができた。
儀式は自分の世界を制御したいという根強い欲求に端を発している。
ストレスがかかる不安な状況に直面すると、無意識のうちに儀式化された行動をとり、それに意味があると期待する。
儀式の特徴→予測可能
①厳格性:常に正しい方法で行われる
②反復
③冗長性:長くなる
(ストレスが高まるほど、この傾向も高まる)
予測可能であることにより、日々の混沌とした生活に秩序がつくりだされ、制御不能な状況にに対して、制御できるという感覚を持てる。
儀式は集団に属していることを示す象徴的な印を用いて、長く続いているということを思い起こさせ、考え方や行動に調和を生み出し、意味のある経験をつくりだす。儀式は一人一人が集団の中に組み込まれていくという連帯感を生み出す。
儀式の方向性
①ひんぱんに行われるもの(反復を軸とする)
②感情をかきたてることを重視したもの
集合的沸騰
集団で行う儀式は感情の状態が一致するように働きかけることで、唯一無二の経験を生み出すことができる。特別な興奮や一体感。そして、感情を共有する人たちをさらに親密で力強い関係へと導く
通過儀礼の役割
集団が存続するために、構成員が信頼できるかどうか判断が必要。構成員になるために前もって途方もない代償(激しい通過儀礼)を払わせることで判断する。
治癒効果のある儀式
精神疾患や心身症を患っている人は、精神科医にかかることをためらう。しかし、宗教の力で癒される場合、その人の病は悪霊など外的な力のせいにでき、自分自身にとって受け入れやすい。
新しい儀式
・昔は離婚は認められなかったから、そのような儀式はなかった。しかし現代では離婚率が増加しており、離婚の儀式も生まれている。
・デンマークの(儀式化した)会議。同じ場所で同じ時間に開かれ、同じ食べ物と飲み物が出される。話し合わなければならない差し迫った議題があるかどうかは関係ない。会議は別チームの人とのつながりを作り、他チームの活動を把握し、業績をたたえあう場。 -
Posted by ブクログ
世界中のシニアマーケターにアンケートを取り、その結果と過去の有名成功事例を結びつけ成功法則を紹介した本。
私の解釈になるが、マーケターなんだから社内においてもマーケターとして需要を捉え、協働することで価値を創造し、伝えなさいということだと思う。マーケターは顧客の価値を理解するのは当たり前、その上で雇われ人である以上企業にとっての価値も理解し、その2点とも満たす領域に注力しなければならない。
商品開発や生産技術、営業など他の部署の業務も短期的にでも経験しないと、正しく顧客の需要や商品の価値を理解することができないという考えは私も同感だ。マーケターは机上でマーケティングを学ぶだけではいけない。