中島花野のレビュー一覧
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アルコール、ギャンブル、薬物、万引き‥‥様々な依存症を抱える女性たちが共同で暮らしながら社会復帰を目指す場所「セゾン・サンカンシオン」。
そこで暮らす女たちがここに行き着くまでの経緯、依存を断ち切れず苦しむ今、そしてこれからへの小さな希望、彼女らが失ったものと彼女らを支え、または突き放す家族らの姿を描く5つの連作短編。
そして、章の合間に挟まれる一見関係なさそうなごく普通の家族の日常。ほんのちょっとした経緯で依存症に陥り家族が崩壊していく姿を見る時、依存症が決して特別なものではなく私たちの日常と地続きのところにある病なのだと認識させられる。
「だらしないから」「弱いから」「自己責任」と切り捨てる世間。依存症は並行して精神的な病も患うことが多く、意志の力だけで断ち切れるものではないというが、繰り返す依存、嘘、裏切りを目の当たりにした家族の苦悩も理解できる。
それでも、「依存症の根源にあるのは、寂しさなんじゃないかな」という言葉が胸に響く。快楽のためではなく、それなしでは生き延びることができなかった。人間って脆い。だけど、そうやってでも生きようとしてきたなら、きっと立ち直って生き直してて欲しい。
ラストの、主人公の空っぽの身体を満たしてくれたのが、お酒ではなく他人の温もりだったというくだりは泣けた。
厳しい現実を描きながら、ほんの少しの光を用意したそれぞれの短編は読後も爽やか。読んでよかった作品でした。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
オレンジ文庫、大変結構な作品に当たる
挿絵がないラノベ的な立ち位置らしいし、
たしかに若年層ターゲットの作品も多い
本作も中学校の中での出来事が描かれている。
重く、深く、浅く(笑)、
インマチュアな個体が集まる中学校の難しさというか、
ストラグルする半子供を
大人や社会がややこしくしているような、
そんな感じで、大人として胸が痛くなる良作である。
表題の通り
佐藤という男子中学生が告白した、という噂により
いじめ状の動きがおきる。
小説はグランドホテル形式で、
佐藤のことが好きな女子生徒”ひなの”の告白、
そして、担任教師の告白、
佐藤母の告白、鈴木の告白、
そしてエピローグで再び”ひなの”視点となる。
タイトルは『佐藤の告白』だが、佐藤がメインになる章はない。
そこが、おもしろくもあり、
ちょっと佐藤視点が読みたかったな、と思うところもあり。
やはり、自分の年齢その他の所為もあるが、
母とオカジュンの告白が面白かった。
佐藤母の母親が個人的な地雷人物で、非常に嫌な気分になるが
ほんとにチラッと出てくるだけなので、大丈夫。
しかし、この佐藤母の母タイプは最近よく出てくる鉄板タイプやねぇ
存外、Gのように多くて、被害を受けている人も多いということかもしれない。
そしてなにより、
ちらほらと見えてくる、佐藤自身のキャラクターがすばらしく、
物語全体をいい感じに締めている。
佐藤母自身もとてもすばらしいキャラなのだが
佐藤母よ、佐藤はいい子に育ってるぞ、と
キャラに向かって語りかけたくなった。
後味よかった。 -
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様々な依存症から立ち直るための女性達が暮らす「セゾン・サンカンシオン」。
ここの生活指導員の女性の半生を絡めながら、ここに暮らす依存症の女性達が描かれていく。
アルコール、万引き、覚せい剤、普通に生活していたら依存症に陥らないだろうと思っていたが、深い穴は誰の目の前にも大きく口を空けているように感じた。
家族が迷惑をかけられた、と言うけれど、実は家族の行動が引き金だったりする。
お酒に逃げ込まなくてはヤッてられない毎日があるのだろう。
読んでいるだけで苦しくなった。
依存症の人はまた元の生活に戻りたいわけではない、努力している。でもちょっとした揺らぎが過去に引き戻してしまうことも。
依存症の底知れない怖さをひしひしと感じた。
ここまで生きてきて、色んなことがあったけど、何かに逃げ込むまでではなかった人生に感謝しなくっちゃね。 -
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広島の被爆体験の惨さをリョウタの曾祖父が今の子にも伝わるように、オブラートに包んで教えてくれた。
レイの曾祖母の息子が被爆死し、遺体も骨も見つかっていない。時間が停止したまま帰りを待ち、探し続ける様に胸が詰まった。
リョウタがそんな彼女(レイの曾祖母)についた嘘には、リョウタの優しさを感じた。もしかしたら彼女(レイの曾祖母)は嘘だと気づいていたのではないか?
深い悲しみに、戦後60年たった今も癒されていないんだと、勝手に想像した。
作者のお母さんの体験をもとに、長い期間をかけて作られた、事実を基にした物語(ノンフィクションではない)。
ロシアが原爆を脅しに使っているなか、人類は進歩しているのか?無駄な争いはなくならないのか?疑問が大きくなった。
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ネタバレ認知症のおばあちゃんをきっかけに小6の男のこと、中1の女の子が交流を深める。
戦争に興味を持つことって難しい。周りの強制で見学したり、体験したりはあまり意味はない。けど、心のどこかには残っていて、それがいつか自主的に知りたい時に息を吹き返してくれるといいよね。
女の子については深く語られないけど、髪ベリーショートにするところで、中1らしい内面的な葛藤を表現しているのだろう。
戦争について、正直自分も全く当事者意識がない。そして現実世界はどんどん戦争が起きてる。戦争は仕方がない。選択肢の一つという認識すら感じられる今日。
戦争から遠く離れてしまったからこそ、戦争に向かっているのではないか。
情報が溢れるからこそ、なんとなく発言が強い人の、自分が信じたいと思うことに引っ張られてしまうようなそんな危機感。多くの子が、この本を、通して、戦争について、すこしでも現実味を感じられたらいいなと思った。
同時に、広島の具体的な地名が多く、馴染みない自分にとってはイメージしにくいところもあった。 -
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源氏物語を、現在の女性の視点で解説する。
いや、実に面白い。
作者がそこまで考えてたのかと思うところはあるが、人物描写が真に迫ってるんだ。それを、当時の社会環境も踏まえ、あくまで、現在の女性の視点で語る。
型どおり、通り一遍じゃないんだね。「女性の」心の描き方が。
男性は、型通りだが。
だがそこに「現実的でないある意味理想的な」男性キャラを配置することで、女性を浮き彫りにする。
なるほど、最古だけでなく、現代でも十分に人を魅了する小説なんだ。
作者、男性批判も含めてはいるが、この本のタイトル、マイナスだと思うな。別段、紫式部はフェミ的なことは、言ってないと思うし、この本に関していえば、作者自身もそれが趣旨ではないだろう。 -
Posted by ブクログ
色々な依存症の民間回復施設、セゾン・サンカンシオン。
アルコール、万引き、ギャンブル、覚せい剤、様々な依存症の人とその家族が描かれていて、読んでいてずっと苦しい。
依存症は病で意志やモラルでどうにかなるものではない。
アルコール依存症の人が再飲酒するのは病の症状であって、風邪をひいた時に咳や鼻水を出すなと言われても出来ないことと同じなのだそう。
「人を依存症にするのは、快楽じゃないよ。心身の痛みや、それぞれが感じている生きづらさが原因で依存症になっていくの」という言葉に、何も言えなくなる。
本人の辛さ、そして周りにいる家族の辛さ、それが痛いほどに伝わってくるので、読んでいるのが辛くて、最後まで読んで、もう二度と手に取りたくないと思ってしまった。
そこまで感じさせるので、きっと問題を訴える力のある作品なのだと思います。
なんとか自分の感想を絞り出すとすると…
依存症の人が、自分の人生を取り戻していけるように、寂しくない場所があるといいなと思う。そして、それが家族である必要はないと思う。