あらすじ
「佐藤君が鈴木君に告白したらしい」という噂が学校中に瞬く間に広まった。佐藤に片想いしているひなのは、佐藤を振った鈴木や、いじめとしては処罰されない程度に悪意のある嫌がらせを行う男子たちのことが許せず、佐藤を守れる屈強なゴリラになりたいと願う。鈴木の担任は、学生時代いじめられていたトラウマから生徒に好かれる先生を演じていたが、この問題の対応を迫られる。佐藤の母は息子が男を好きになったのは、夫のDVが原因で離婚した家庭環境のせいではと思い悩む。ある男子生徒から男子生徒への「告白」が、学校の中に次々と波紋を描く2025年ノベル大賞〈大賞〉受賞作。おかしくて愛おしくてせつない青春群像劇。
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Posted by ブクログ
「俺って悩んでたほうが良いんですか?」
幅広い世代にオススメできる本。文章の構成がとても魅力的で、多様な人生を箱庭から覗いてるみたいです。いずれも、様々な境遇に置かれた人間(いま読んでる私たち読者も含め)が、再びこの「学校」という閉鎖的な空間に閉じ込められるような、そんな体験ができる本です。
Posted by ブクログ
デビュー作とは思えないほど構成も文章も上手で面白かった。
子供も大人も関係なく、「これは私たちの物語である」と思わせる説得力があった。
一番最初の語り手である「ひなの」のパンチがすごく、ここでグッと物語に引き込まれる。
好きな人との夢小説を書いたり恋心が暴走したりゴリラになったりと忙しなく、語彙の豊富さに笑います。
一転して先生、母、鈴木視点ではそれぞれの繊細な感情の機微がしっかり描かれており、学校という閉鎖空間での生き方を考えさせられます。
いじめをしていた生徒や鈴木と佐藤の関係の落とし所も爽やかでとても良かったです。
Posted by ブクログ
新人作家さん。今ドキな感じの自己を振り返り型の独白文章がテンポよい。中学生活って息苦しいよね、良くも悪くも。その息苦しいところに「佐藤が鈴木に告白した」という男子~男子への告白の噂。それを揶揄し、いつまでもネタにして嫌な感じの男子の雰囲気も。最初読んだときはこいつら許せねぇだったけど、もしかして嫌悪感だけじゃなくて他に色々思っているのか?と考えたり。あと、佐藤君のことが好きなひなのさん。報われるとよいんだけど。がんばれ。真実はまた別のところにあったけど、佐藤君良い人すぎるよ。先生たちの人間関係や過去もリアル。
Posted by ブクログ
「2組の佐藤くんが、4組の鈴木くんに告白したらしい」
そんな噂が流れ、佐藤くんへのいじめが始まる中、佐藤くんに片思いしている女子生徒の長谷川ひなの、鈴木の担任をしているオカジュン先生、息子が男子に告白したことを知る佐藤の母、そして鈴木。この4人の視点から物語が展開されていく。
青春群像劇でありながら、視点が変わるたびに少しずつ真相へ近づいていくミステリーのような構成が面白い。特に「鈴木の告白」パートはとてつもなく美しく、文章にも熱が宿っていた。このパートで全ての登場人物が愛おしくなる。
題材が題材なだけあり、どうしても湊かなえの『告白』や是枝裕和の『怪物』は頭をよぎってしまうが、文章のユーモアは綿矢りさや宇佐美りんを思わせるし、根底に流れるテーマは凪良ゆうの『流浪の月』にも通じるものがある。
何より、これだけ多くの作品を連想させながら、それらの模倣ではなく、しっかりとひとつのオリジナリティとして成立しているのが凄かった。これがデビュー作なのも驚きでしかない。これからも追っていきたい作家になった。
Posted by ブクログ
今でこそ多様性のあり方についていろいろな意見があり、周囲からの見られ方が変わってきたとはいえ僕が学生の時は、この本の舞台となる学校とそんなに変わらなかったのかなと思いました。
多様性を扱う作品だからこそ、1人の視点ではなく登場人物それぞれの視点で物語が進んでいくことに意味があるのかなと思いながら読んでいたら、あっという間に読み終えてしまいました笑
生徒に怒った(というかキレた)オカジュン先生にはスッキリさせていただきました!
Posted by ブクログ
面白かった。
オレンジ文庫、大変結構な作品に当たる
挿絵がないラノベ的な立ち位置らしいし、
たしかに若年層ターゲットの作品も多い
本作も中学校の中での出来事が描かれている。
重く、深く、浅く(笑)、
インマチュアな個体が集まる中学校の難しさというか、
ストラグルする半子供を
大人や社会がややこしくしているような、
そんな感じで、大人として胸が痛くなる良作である。
表題の通り
佐藤という男子中学生が告白した、という噂により
いじめ状の動きがおきる。
小説はグランドホテル形式で、
佐藤のことが好きな女子生徒”ひなの”の告白、
そして、担任教師の告白、
佐藤母の告白、鈴木の告白、
そしてエピローグで再び”ひなの”視点となる。
タイトルは『佐藤の告白』だが、佐藤がメインになる章はない。
そこが、おもしろくもあり、
ちょっと佐藤視点が読みたかったな、と思うところもあり。
やはり、自分の年齢その他の所為もあるが、
母とオカジュンの告白が面白かった。
佐藤母の母親が個人的な地雷人物で、非常に嫌な気分になるが
ほんとにチラッと出てくるだけなので、大丈夫。
しかし、この佐藤母の母タイプは最近よく出てくる鉄板タイプやねぇ
存外、Gのように多くて、被害を受けている人も多いということかもしれない。
そしてなにより、
ちらほらと見えてくる、佐藤自身のキャラクターがすばらしく、
物語全体をいい感じに締めている。
佐藤母自身もとてもすばらしいキャラなのだが
佐藤母よ、佐藤はいい子に育ってるぞ、と
キャラに向かって語りかけたくなった。
後味よかった。