中島花野のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「人を依存症にするのは、快楽じゃないよ。
心身の痛みや、それぞれが感じている生きづらさが原因で依存症になっていくの」
アルコール依存症の母親をもつ柳岡千明は、退院後の母親が入所する施設「セゾン・サンカンシオン」へ見学に行く。そこは、様々な依存症に苦しむ女性たちが共同生活を行いながら、回復に向けて歩んでいくための場所だった。迷惑を掛けられてきた母親に嫌悪感を抱く千明だが、施設で同じくアルコール依存症を患っているパピコとの出会いから、母親との関係を見つめなおしていく――。
☆最高!最高!最高!☆読み終えた後、興奮してなかなか寝つけなかった。目を瞑るとシーンが瞼の裏に浮かんできて、自分のココロがグラグラ揺さぶられて、心をチクチク刺してくる。"全心"がストーリーで満たされて、酔ったような感覚が気持ち良い。以前に『シークレットペイン』を読んだ印象では、積極的にこの作家さんは追いかけないでおこう……と思っていたのだけど、その考えを改めることにした。これからこの作者をずっと追いかけていきたい、そう思った一冊。アルコールやニコチンを欲したことのある方なら共感できると思います。おすすめ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ2025年度のラノベ大賞受賞したことを知り、読んでみたが、とてもよかった!
佐藤に対する気持ちについて、鈴木は次のように書いている。
「自分の気持ちを好きという二文字に委ねてしまったことが、ひどく乱暴だった気がした。付き合いたいとか、相手が自分をどう思っているか確かめたいとか、そういう種類の感情で片付けてしまうのは何かが違う気がする。」
「恋とか友情とか、そういう何かに押し込めてしまいたいのに、どこにも分類できないこの感情。以上も未満もなく、佐藤春樹が好きだと、そう思った。」
この感情は、いつか名前がついてカテゴライズされるかもしれないし、このままふんわりしたままかもしれない。先のことはわからないし、これでいいのだと思った。
鈴木はひなのに、「関係ないよ。」と言われ、終盤では、鈴木はひなのにそう声をかける。当事者同士の問題は、当事者以外には関係がないのだ。人を尊重するとは、そういうことなんだと思った。
でも、ひなの(というか、佐藤と鈴木の当事者以外は)、タイトルにもなってる「告白」をしたのが、佐藤ではなく、鈴木の方だったって事実を知らないんだよな(当事者間のことだから、部外者は知らなくても良いことだけど、、)。その事実を知ってしまったら、鈴木をかばった佐藤のこと、もっともっと好きになっちゃうだろうな。
読後感もよく、読んでよかった! -
Posted by ブクログ
「2組の佐藤くんが、4組の鈴木くんに告白したらしい」
そんな噂が流れ、佐藤くんへのいじめが始まる中、佐藤くんに片思いしている女子生徒の長谷川ひなの、鈴木の担任をしているオカジュン先生、息子が男子に告白したことを知る佐藤の母、そして鈴木。この4人の視点から物語が展開されていく。
青春群像劇でありながら、視点が変わるたびに少しずつ真相へ近づいていくミステリーのような構成が面白い。特に「鈴木の告白」パートはとてつもなく美しく、文章にも熱が宿っていた。このパートで全ての登場人物が愛おしくなる。
題材が題材なだけあり、どうしても湊かなえの『告白』や是枝裕和の『怪物』は頭をよぎってしまうが、文章のユーモアは綿矢りさや宇佐美りんを思わせるし、根底に流れるテーマは凪良ゆうの『流浪の月』にも通じるものがある。
何より、これだけ多くの作品を連想させながら、それらの模倣ではなく、しっかりとひとつのオリジナリティとして成立しているのが凄かった。これがデビュー作なのも驚きでしかない。これからも追っていきたい作家になった。