田村美佐子のレビュー一覧
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ミステリ。修道女フィデルマ。
シリーズ長編の9作目。
5作目、7作目、9作目と、飛び飛びで読んでしまっているな…。
今作はエイダルフが殺人罪で捉えられているという設定により、かなりスリリング。
おおまかなプロットは予想通りとはいえ、ハラハラしながら一気に読んだ。
ミステリとしては、関係者から証言を集め、証拠となる物品を探し、得られた事実を照らし合わせて、法の下に真実を探求する流れが特徴。
重厚な本格ミステリ特有の論理的推理を、より分かりやすく表現しているように思える。
盲目の男ダルバッハが非常に良いキャラ。
著者の『蜘蛛の巣』でも障害を持ったキャラクターが強い個性を放っていた記憶がある。
そもそも、どのキャラクターも個性がハッキリしていて、著者はキャラクターを描くのが上手い気がする。
大満足の一冊でした。
2025年に読んだ作品でもベスト級の評価だが、これに並ぶ作品がマイクル・フリン『異星人の郷』。
どちらも宗教色が強い作品で、古い時代を描いた歴史もの。
自分の好みが若い頃からだいぶ変わってきているような…。 -
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ネタバレ修道女フィデルマ・シリーズ。
「まぐさ桶の犬」で葉村晶がこのシリーズの新作を読んでいて、
新作がでたのに気が付いた。
そういえば長年の友、エイダルフが幼い修道女への暴行と殺人で死刑判決を受けた、
という話で終わっていたんだっけ。
この時代のアイルランドでは、
殺人でも「血の代償」と呼ばれる賠償金を支払い、
公民権をはく奪され厚生施設で働かされることはあっても、
死刑になることはなかったので、
自分の気持ちに気が付いたフィデルマにとっては衝撃的だったろう。
当然フィデルマが駆けつけると、
エイダルフは(これまた当然だが)まだ処刑されていなかったが、
エイダルフを犯人だと証言した修道女は行方不明、
遺体を運んだ警備団員のうち一人は事故死、
船員を殺し金品をとったとして別の修道士が処刑されたと、
怪しさ満点。
(下巻へ続く) -
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7世紀のアイルランドという珍しい時代を描いた、修道女フィデルマのシリーズ。
8作目、後半。
これは中でも、船旅が舞台なのと、フィデルマの若い頃の恋人が出てくる、珍しい話です。
王の妹であり勝気で勉学好きな修道女フィデルマ、でもまだどう生きるかははっきり決めていなかった頃。
騎士と恋に落ちて結婚を考えましたが、手ひどくふられてしまった。こんな恋愛があったとは。
その相手が今は修道士になって同じ船に乗っていた。
当時のキリスト教は聖職者でも結婚できて、男女が一緒に暮らして夫婦で子育てをする修道院もあったのです。
この時代に、ローマでは高位の聖職者については独身が推奨されるようになっていくのですが。まだ強制ではありません。
数々の事件を共に解決した修道士エイダルフに惹かれているフィデルマですが。
エイダルフははっきりしたことは言わず、それが天然だからか?故国や恩師の期待を担っているからか、王の妹であるフィデルマに配慮しているのもあるのか‥
互いの意思は今一つ。さて?
修道女フィデルマのシリーズは、1995年から原著は発表されています。
日本では2000年の短編集の方が先に、2009年から発行されました。
長編の発行順も、原著の順番とは違うので、ちょっとややこしい?
本国での発表順だと、長編は
「死をもちて赦されん」
「サクソンの司教冠」
「幼き子らよ、我がもとへ」
「蛇、もっとも禍し」
「蜘蛛の巣」
「翳深き谷」
「消えた修道士」
「憐れみをなす者」
「昏き聖母」の順になります。
作者ピーター・トレメインは、イングランド生まれですが、アイルランド系。
ケルトの研究で知られる学者でもあります。
古代アイルランドの法の先進性に誇りを持ち、生き生きとした女性の活躍を描いているシリーズですね。 -
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巡礼船での連続殺人事件。海賊船の襲撃や嵐に翻弄される船。フィデルマも命を狙われる。 下巻を読んだ。ネタバレになることはなるべく書きたくないが、修道士や修道女の乗る巡礼船での殺人事件。
フィデルマシリーズは7世紀半ばのアイルランドが舞台だが、キリスト教の影響が色こくあり、日本人には理解しづらい部分もあるが、それを除いても楽しめるミステリーである。
かつての恋人に対する気持ちを克服し、過去と決別するフィデルマ。そして歪んだ愛情が引き起こした殺人事件も解決。
巡礼船は無事に目的地に到着。ところがそこに兄であり王であるコルグーから手紙が来た。「すぐ戻れ!エイダルフが殺人罪で捕らえられた!」
次作がとても楽しみだが、次は短編集だそうだ。待ち遠しい。 -
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西暦7世紀半のアイルランドで活躍するヒロイン。古代アイルランドの法廷弁護士フィデルマが乗り合わせた船での殺人事件に挑む。 久々のフィデルマワールドを堪能。
ヒロインは、西暦7世紀半ばの法廷弁護士として活躍している。
短編集や長編もあるが、本作は長編8作目である。
筆者によると、古代アイルランドは法治国家であり、女性も男性と同等の権利を認められていた。ヒロインのフィデルマは修道女でありながら法廷弁護士の資格をもち、これまでも数々の事件を解明している。
当時のアイルランドの修道院では、修道士と修道女が恋愛し結婚し子供をもうけることが認められていた。(ローマ・カトリック教会の影響がだんだん強まりつつあるが)
そんな時代背景があってのこの作品である。今回は巡礼船での殺人事件。船長から事件解決の依頼を受け謎解きを始めるが、新たな事件が勃発する。関係者から話を聞き、謎解きをしていくのはいつものことだが、今回はフィデルマが18歳の頃付き合っていた男性が同乗しており、フィデルマの若かりし頃も語られていく。
犯人はいったい誰なのか。下巻に続く。
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上巻の冒頭部分に、七世紀のアイルランドの社会制度やキリスト教信仰についての解説が豊富にあり、いままで脚注や巻末の解説で紹介されていた内容を補うボリュームでとても良かった。
古代のアイルランドの著名な法律家として何人もの女性が活躍していたことも解説で初めて知り、興味深かった。参考文献として挙げられていたものも可能であれば読んでみたい。
もちろん小説の方も面白かった。
主人公のフィデルマは独り巡礼の船旅を始めようとしていた。
同乗者に知り合いもおらず、あらゆるしがらみから離れて静かに考えを整理するつもりだった彼女は予想外の事態に直面することになる。
重苦しい事件とは別に、実直な船長や船員たち(猫も含む)との交流や穏やかな日の風呂代わりの遊泳など、船旅の楽しさも生き生きと描かれている。 -
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「祝祭日の死体」Corpse on a Holy Day
聖デクランの祝祭日。彼を祀る礼拝堂に詣でたフィデルマは、二百年間眠る聖人の亡骸の上に、刺殺されて間もない若い女性の遺体を発見する。その女性はフィデルマが訪問しようとしていた修道院の見習い修道女だった。
リアル現代と通じるような猛暑の中、聖地巡礼をするフィデルマ。「なんでこんな暑い中を…」と言いつつも、良い事なんだから!と自分に言い聞かせる優等生気質がほほえましい。それでも事件でごたんに元気になってしまうフィデルマ。
「狗(いぬ)のかへり来(きた)りて……」Like a Dog Returning...
聖パトリックの直筆を納めた絢爛豪華な聖遺物箱の前に据えられた、若い娘の彫像に興味をひかれたフィデルマ。なぜか来歴を言い渋る修道院長を問い詰めると、二十年ほど前にこの場所で殺された修道女がモデルだという。しかしその犯人は、法廷で裁かれる前に修道士たちのリンチにより死んでしまった。納得がいかないフィデルマは過去の事件を探り始める。犯人とされた男性の娘が出てきたり、いかにも冤罪の空気がぷんぷん。クリスティ某作品を思わせる“過去の事件を解決”パターン。
「夜の黄金」Gold at Night
モアン王国と対立関係にあるアイルランド第二の大国ラーハンでは、三年ぶりの大祭が開かれていた。賓客として呼ばれていたフィデルマは、後見人ラズローンと親交を温めるのもつかの間、酒の飲み比べ競争で突然死した男の捜査を頼まれる。どうやら毒殺事件だと判明したため、ただちに調査を開始する。
飲んだ酒の量で氏族の優劣が決まるというくだらない勝負にうんざりするのがいかにもフィデルマ。酒飲み比べで死ぬなんでバカバカしい!何やってんのと思いつつも、事件となるとやはり張り切ってしまうお姫様。
「撒かれた棘」Scattered Thorns
小村で起きた殺人および窃盗事件の容疑者は16歳の少年だった。当地のブレホンから弁護を頼まれたフィデルマがその少年と話してみると、彼は自分の身の潔白を証明することを諦めていた。その理由は、彼と父親が市民権すらない最下級の階級に属する人間だからだという。
弱者に優しく権威主義者に厳しいフィデルマがかっこいい。
「尊者の死 」Death of an Icon
かつては勇猛果敢な修道士としてアイルランド全土にその名が知れ渡った尊者ゲラシウスが、90歳を間近に小小動員内で殺された。小修道院の長である神父によれば、金品を目当てに盗みに入った危険な放浪者が、出くわしたゲラシウスを殺害し、貴重な品々をもって逃走したのだという。殺害された状況と神父の説明に納得がいかないフィデルマ。おまけに現場は事件当時に完全な密室状態だったという。フィデルマは調べを始めるが。
フィデルマ、密室殺人に挑む!皆尊者が大好き故にいろいろ動いてしまう困ったちゃん関係者。 -
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2025年の30冊目は、ピーター・トレメインの「修道女フィデルマの慧眼」です。日本独自の短編集となります。前作「風に散る煙」が、かなり良かっただけに、この短編集も期待が持てる所です。
このシリーズの最大の魅力は、7世紀の古代アイルランドを舞台としているという唯一無二の世界感と主人公フィデルマのモアン王国国王の妹君にして、法廷弁護人という属性、聡明でいて、機知に富んだ性格という、これまた無二のキャラクターに有ります。
素晴らしかった前作と比べてしまうと、もの足りなさを感じもしますが、密室の死の謎を解く「尊者の死」や「撒かれた棘」がおすすめです。いつものように含蓄有る言葉も随所に盛り込まれています。
☆4.4次作の長編に期待です。 -
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ネタバレ(上巻より)
前作に続き、女性が殺人犯とはちょっと芸がない気もするが、
女性の地位が高かったから当然のことなのか?
それと、フィデルマがうかつにも見せた証拠で、
知らなかったとはいえ実の息子を娘の殺人犯として、
死に追いやってしまったことに気が付いた男が自殺してしまったのは、酷い話だ。
そして、フィデルマとエイダルフは二人で旅を始めたのに、
今回の事件でギクシャクするし、
最後にはおみくじのように焼き菓子の中に隠されていた、
指輪と殻付きのヘーゼルナッツを
それぞれひいてしまったという嫌な終わり方だった。
結婚が近いと言う意味の指輪と、生涯独身の意味のヘーゼルナッツを。 -
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ネタバレ修道女フィデルマ・シリーズ。
せっかく二人で旅立だったというのに、
時化にあって頭を打ち船を下ろされてしまったエイダルフ。
フィデルマも一緒に降り立ったその土地はブリトン人の王国で、
ザクソン人であるエイダルフにとっては敵国。
すぐにでも、本来の目的地であるカンタベリーに向かいたいエイダルフだったが、
フィデルマの方は、
修道院の修道士が全ていなくなった謎を解くよう国王に頼まれて、
引き受けてしまう。
調べに向かったフィデルマたちは、
修道士失踪を目撃した若者が、裁判も受けずに私刑されそうなところを助ける。
若者は村の娘を襲って殺したと思われていたが、
フィデルマは疑問を感じる。
そして、事件現場である修道院に向かったフィデルマたちは、
死体を見つけたが、追剥たちの集団に囚われてしまう…。
(下巻へ続く) -
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イギリスの作家ピーター・トレメインの連作ミステリ短篇集『修道女フィデルマの采配 修道女フィデルマ短編集(原題:The Heir Apparent and The Other Stories From Whispers of the Dead)』を読みました。
ここのところ、イギリスの作家の作品が続いています。
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王女にして法廷弁護士、美貌の修道女が
旅先で出会った難事件を一刀両断!
世界中の読書家を虜にする推理の妙〈フィデルマ・ワールド〉
日本オリジナル短編集第5弾
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマが、アイルランドの各地を巡り難事件を解決する。
占星術でみずから占ったとおりに殺された修道士をめぐる事件を描いた「みずからの殺害を予言した占星術師」、小王国の族長の跡継ぎを選定するための会合で、有力な候補者を毒殺した犯人を推理する「法定推定相続人」など全5編を収録。
待望の日本オリジナル短編集第5弾。
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2004年(平成16年)に刊行された作品……修道女フィデルマシリーズの日本オリジナル短篇集の第5作で以下の5篇が収録されています。
■みずからの殺害を予言した占星術師(原題:The Astrologer Who Predicted His Own Murder)
■魚泥棒は誰だ(原題:Who Stole The Fish?)
■養い親(原題:The Fosterer)
■「狼だ!」(原題:Cry Wolf!)
■法定推定相続人(原題: The Heir Apparent)
■訳註
■解説 石井千湖
法廷弁護士にして裁判官の資格を持つ美貌の修道女フィデルマがアイルランドの各地を巡り難事件を解決する……占星術で自らの死を予言して死んだ修道士、犯人と名指しされたのは修道院長だった――『みずからの殺害を予言した占星術師』、、、
小王国の族長の跡継ぎを選定するための会合で、有力な候補者が死亡、どうやら毒を盛られたらしい……果たして犯人の思惑は?『法定推定相続人』等全5篇を収録した待望の日本オリジナル短篇集第5弾。
7世紀のアイルランドを舞台に、アイルランド5王国のうち最大の勢力を誇るモアン王国の王女にしてドーリィー(法廷弁護士)であり、頭脳明晰で美貌の修道女でもあるフィデルマが探偵役を務め、旅先で出会った難事件を一刀両断! アイルランドの各地を巡り難事件を解決する……『水戸黄門』的な結末がスカッとする展開の物語ばかりで読みやすかったですね、、、
途中から結末が予測できたけど……ユニークな真相が印象的な『みずからの殺害を予言した占星術師』、
料理長が殺害されたというメインの事件の真相よりも、魚がどうなったのか……が忘れられない『魚泥棒は誰だ』、
現代でも同じですが……未成年を裁く法律の限界を感じさせられ、親野立場として色々な思いが交錯して考えさせられる『養い親』、
3度目の訴えは通じるのか? ユニークなプロットと皮肉な結末がが印象的『「狼だ!」』、
意外な真相とフィデルマの無知で傍若無人な若者への毅然とした対応に魅了される『法定推定相続人』、
面白かったー 本シリーズ、機会があればもっともっと読んでみたいですね。