あらすじ
船長から捜査の全権を委任されたフィデルマは、巡礼たちに聞き込みをする。だが船に乗っている修道士、修道女は奇矯な人物ばかり、被害者に思いを寄せていた者、嫉妬していた者、被害者の行状を良く思っていなかった者と、様々な感情が被害者をめぐり渦巻いていたことがわかってくる。捜査は難航し、相変わらず自分勝手でなれなれしいかつての恋人キアンに、フィデルマは苛立ちを隠せない。外からはサクソンの略奪船の影が迫り、内では殺人事件。フィデルマは目的地サンティアゴ・デ・コンポステラ到着までに、犯人を見つけることができるのか。
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Posted by ブクログ
7世紀のアイルランドという珍しい時代を描いた、修道女フィデルマのシリーズ。
8作目、後半。
これは中でも、船旅が舞台なのと、フィデルマの若い頃の恋人が出てくる、珍しい話です。
王の妹であり勝気で勉学好きな修道女フィデルマ、でもまだどう生きるかははっきり決めていなかった頃。
騎士と恋に落ちて結婚を考えましたが、手ひどくふられてしまった。こんな恋愛があったとは。
その相手が今は修道士になって同じ船に乗っていた。
当時のキリスト教は聖職者でも結婚できて、男女が一緒に暮らして夫婦で子育てをする修道院もあったのです。
この時代に、ローマでは高位の聖職者については独身が推奨されるようになっていくのですが。まだ強制ではありません。
数々の事件を共に解決した修道士エイダルフに惹かれているフィデルマですが。
エイダルフははっきりしたことは言わず、それが天然だからか?故国や恩師の期待を担っているからか、王の妹であるフィデルマに配慮しているのもあるのか‥
互いの意思は今一つ。さて?
修道女フィデルマのシリーズは、1995年から原著は発表されています。
日本では2000年の短編集の方が先に、2009年から発行されました。
長編の発行順も、原著の順番とは違うので、ちょっとややこしい?
本国での発表順だと、長編は
「死をもちて赦されん」
「サクソンの司教冠」
「幼き子らよ、我がもとへ」
「蛇、もっとも禍し」
「蜘蛛の巣」
「翳深き谷」
「消えた修道士」
「憐れみをなす者」
「昏き聖母」の順になります。
作者ピーター・トレメインは、イングランド生まれですが、アイルランド系。
ケルトの研究で知られる学者でもあります。
古代アイルランドの法の先進性に誇りを持ち、生き生きとした女性の活躍を描いているシリーズですね。
Posted by ブクログ
巡礼船での連続殺人事件。海賊船の襲撃や嵐に翻弄される船。フィデルマも命を狙われる。 下巻を読んだ。ネタバレになることはなるべく書きたくないが、修道士や修道女の乗る巡礼船での殺人事件。
フィデルマシリーズは7世紀半ばのアイルランドが舞台だが、キリスト教の影響が色こくあり、日本人には理解しづらい部分もあるが、それを除いても楽しめるミステリーである。
かつての恋人に対する気持ちを克服し、過去と決別するフィデルマ。そして歪んだ愛情が引き起こした殺人事件も解決。
巡礼船は無事に目的地に到着。ところがそこに兄であり王であるコルグーから手紙が来た。「すぐ戻れ!エイダルフが殺人罪で捕らえられた!」
次作がとても楽しみだが、次は短編集だそうだ。待ち遠しい。
Posted by ブクログ
事件の真実が明らかになったときにその中心人物が語る一言に、何とも後味の悪い思いを抱いてしまう。
しかし、最後の一文で「!」
早く次の翻訳が出ないかな。(原作はちょっと英語力が無い私には難しかった)I
Posted by ブクログ
(上巻より)
最初の解説がとてもわかりやすくて良かった。
このシリーズを読み始めるにあたって、
必要な予備知識だと思う。
その中に、
作者の描いている科学技術が
当時のアイルランドの力を鑑みれば到底あり得ないものであると
批判されているという記載があった。
確かに、国力は科学技術の土台となる。
大輪の花を咲かせるには豊かな土壌が必要だ。
しかし、同時に人が作り出すものでもあるはずだ。
遠く未来から見れば、
大陸から孤立している島国、
山がちな国土に、乏しい資源、
地震に台風に火山噴火といった自然災害の国で、
例えば、世界で最も早く安全な列車を走せていたというのは
信じられないということなのだろうか。